税務デイリーニュース
税務に関する最新のニュースを毎日お届けします。
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2025/12/23
経団連 「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を公表
経団連(一般社団法人日本経済団体連合会)は、12月8日に意見書「持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方」を公表した。コーポレートガバナンス(企業統治)とは、企業経営を管理監督する仕組みのことであり、不正や独善を防ぎ、透明で公正な経営を通じて企業価値を向上させることを目的としている。わが国でも政府が「「日本再興戦略」改訂2014」で成長戦略のひとつとしてコーポレートガバナンスの強化を位置付け、2015年6月に上場企業の企業統治におけるガイドラインとすべき原則・指針「コーポレートガバナンス・コード」(以下「ガバナンス・コード」)の適用が開始された。意見書ではガバナンス・コードの制定から10年を経て、「持続的な成長と中長期的な企業価値の向上」を実現するコーポレートガバナンスの本質を踏まえ、企業と株主・投資家のそれぞれにおける課題・果たすべき役割について、経団連の考え方を示し、経営者のマインドセット(物事の捉え方、判断基準)の変革を促すとともに、政府への提言を行っている。コーポレートガバナンス改革を踏まえた今後の課題及び提言は以下のとおりである。1企業(事業会社)の課題企業は短期的な経営指標の改善、株主への還元拡大や目先の資本効率など目先に捉われており、研究開発、設備投資、新規事業など中長期的な価値創造への投資が伸び悩んでいる。経営者は、自社のパーパス(目的)と長期的な成長を経済的価値・社会的価値の両面から価値創造ストーリーとして明示し、積極的に成長への投資に取り組むべきである。また、ガバナンス・コードは企業の創意工夫による自律的経営を支える枠組みであり、企業行動の制限や特定の政策目的の実現手段として用いるべきでないとしている。2株主・投資家の課題企業と株主・投資家が「共創者」としての役割を果たすことが重要であり、株主・投資家が取り組むべきことについて主体別に分け、アセットオーナー・アセットマネージャーは中長期の企業価値向上のための対話(短期的な株価変動に左右されない対話等)などの定着、議決権行使助言会社は実質的な企業理解に基づく助言などの実施、ESG評価機関・データ提供機関は分析結果等の透明性や説明責任の明確化などを検討すべきである。3株主総会や開示、株主権等の課題企業と株主・投資家の関係が多様化し、株主総会の運営、開示内容・手法、株主権限などについて抜本的な見直しが必要となる段階にある。特に、近年、株主提案の件数が著しく増加し、対応する企業の負担も増大しており、企業の規模等を問わず議決権を300個有していれば株主提案権を有するという現行制度は廃止すべきである。わが国のコーポレートガバナンス改革は途上にあり、実質的な経営改善へと結びつけていくための環境整備が今後の課題である。改革の目的は、健全で持続的な経済成長を支える企業行動を定着させることである。そのため、制度横断的な見直し、企業負担の軽減、規則の見直しなど企業が自律的かつ柔軟に成長を果たせるような制度設計が必要であり、企業・投資家・制度がそれぞれの役割を果たし、着実に前進を続けていくことが期待されていると意見書は締めくくっている。(参考)持続的な成長に向けたコーポレートガバナンスのあり方https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/083.html
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2025/12/22
売り手も買い手もスッキリ楽々!!「デジタルインボイス」
国税庁は12月4日、同庁ホームページの新着情報に「売り手も買い手もスッキリ楽々‼「デジタルインボイス」」(チラシ)を掲載した。デジタルインボイスとは、「Peppol(ペポル)」という国際規格に準拠し、標準化された電子インボイスのことを指し、電子帳簿保存法の「電子取引」に該当する。このPeppol(ペポル)は、「PanEuropeanPublicProcurementOnline」の略で、ヨーロッパやオーストラリアなど世界約40か国以上で採用されている電子文書の「文書の仕様」、「運用ルール」、「ネットワーク」に関する標準規格である。我が国ではインボイス制度を導入するにあたり、このPeppolをベースとした、デジタルインボイスの標準仕様「JPPINT」を策定しており、デジタル庁が管理している。Peppolの規格に対応したデジタルインボイスを使用することで、これまで紙で行っていた際の請求書の確認・入力や保管等の手間が減少するだけでなく、売り手と買い手で会計システムが異なっている場合でも、このデジタルインボイスにより会計データを自動処理することができるため、作業時間の短縮やヒューマンエラーの防止につながることになる。デジタルインボイスにおける売り手と買い手との間における事務処理のイメージは、以下のとおりである。1売り手から買い手に対してデジタルインボイス(Peppol)を送信する。2買い手は、デジタルインボイスの請求データに基づき、支払処理を実施する。3支払処理後、全銀EDIシステム(ZEDIと呼ばれる全国銀行資金決済ネットワークが提供するデータ連携システム)を通じて買い手から売り手に請求データが含まれたデジタルインボイスの支払データとして送信される。4売り手は、支払データを入金データとして受け取り、入金データに含まれている請求データと買い手に送信した請求データの突合を行うことで自動消込が行われる。このようにやりとりが全てデータとなるため、紙の請求書で必要な様々な処理(印刷、封入など)が不要となり、売り手と買い手双方の経理業務の自動化・効率化につながることになる。デジタルインボイスを導入するには、次の3つのステップを行うことになる。1デジタルインボイスに対応した会計ソフトを確認し、導入を行う。2デジタル庁に認定を受けたPeppolサービスプロバイダーから「PeppolID」を取得する。3取引先のPeppolIDの収集を行い、取引先への送信方法の変更について案内等を行った上で取引を開始する。現在、30社以上の会計ソフト等がデジタルインボイスに対応しており、既に導入済みの企業もあり、今後、ますます普及していくことが見込まれている。なお、デジタルインボイスに対応した会計ソフトを導入するにあたっては、IT導入補助金も利用できることから、導入を検討している企業は、補助金の利用も検討するとよいだろう。(参考1)売り手も買い手もスッキリ楽々‼「デジタルインボイス」(国税庁)https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/jigyousyadx/pdf/03.pdf(参考2)「事業者のデジタル化促進」(国税庁)https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/jigyousyadx.htm(参考3)「IT導入補助金」ホームページhttps://it-shien.smrj.go.jp/
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2025/12/19
「第4回 経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」
政府税制調査会は11月13日、第4回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合を開催した。議題については以下の3点となっている。1点目、「事業者のデジタル化と記帳水準の向上」については、これまでの議論における主な意見として、「記帳水準の向上は、事業者の適正申告の確保に向けた中長期的な課題であるが早急かつ着実に取組を進める必要がある」、「記帳等のデジタル化を進めるに当たっては、仕事が効率化する、生産性が向上するということが前面にあるべき。その上で、納税環境整備としてもこれに資するという順番が大切である」などが挙げられている。次に「税務執行に関する諸課題」については、国税犯則調査(査察調査)と徴収手続の二項目となっている。国税犯則調査は、刑事手続のデジタル化への対応として、各種犯則調査を所管する省庁等については、刑事手続のデジタル化実現のための法整備の状況を踏まえて、可及的速やかに法令整備を実現することとし、IT基盤の整備については、刑事手続のデジタル化との一体性に配慮し、2027年度中の一部省庁でのデジタル化試行を念頭にデジタル庁とも連携して対応を行っていくとの具体的な目標を挙げている。徴収手続は、滞納残高の推移、国税庁における滞納の未然防止に向けた取組、公売の実施状況が挙げられており、財産の差押えに関する課題として、滞納者が自己管理する暗号資産に関する具体的な事例と課題が示されている。3点目、「財産評価を巡る諸問題」については、現状として、相続税においては不動産や株式などの評価額を圧縮する租税回避等(スキーム)が広く利用され、近年ではスキームの態様が多様化している。スキームに対しては、これまで評価通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)に基づく課税処分を行うことなどにより個別に対応しているが、問題点として、近年、評価通達6項による評価に係る訴訟等が増加傾向にあり、こうした個別の対応について、納税者の予見可能性といった観点からの批判等があり、評価方法の明確化等が要請されている情勢などを挙げている。(参考)「第4回経済社会のデジタル化への対応と納税環境整備に関する専門家会合」https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/digital-noukan/2025/7digital-noukan4kai.html
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2025/12/18
国税庁 「令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」を公表
国税庁は、このほど、「令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせ」を公表した。お知らせによると令和7年分の確定申告の相談及び申告書の受付期間は、令和8年2月16日(月)から3月16日(月)までとなっており、確定申告会場での相談を希望される方は、LINEによるオンライン事前予約が必要(申告書等の提出のみの場合は不要)となっている。LINEによるオンライン事前予約方法については、国税庁ホームページの「令和7年分確定申告特集(準備編)」に掲載(QRコードも掲載)されており、手順は以下のとおりである。STEP1LINEアプリから国税庁LINE公式アカウントを友だちに追加する。※「友だち追加」ボタンをタップ、QRコードを読み込むほか、国税庁LINE公式アカウント(外部サイト)からも友だち登録が可能となる。STEP2「メインメニュー」タブの「確定申告相談の申込(個人の方)」を選択する。STEP3確定申告を行う税務署及び希望日時を選択する。STEP4申込した内容を確認した後、「申込」をタップすると申込が完了する。確定申告会場にて申込完了画面を提示して会場に入場する。確定申告会場では、自身が所有しているスマートフォンを使用して国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で申告書を作成し、e-Tax送信(申告書の提出)する指導を行っているため、スマートフォンを持っている人は持参する必要がある。また、e-Tax送信の際にはマイナンバーカードを使用するため、マイナンバーカードも持参する必要がある。各確定申告会場では、当日の予約受付も行っているが、当日の相談枠に限りがあることから、国税庁では、オンライン事前予約を行うよう呼びかけている。税務署の閉庁日(土曜・日曜・祝日等)については、相談及び申告書の受付は行っていないが、一部の会場においては、3月1日(日)に確定申告の相談及び申告書の受付を行うこととしている。なお、確定申告会場は混雑が予想されるほか、特に確定申告期限間際については大変な混雑が予想されることから、国税庁では「来場される場合はお早目にお越しください。」と呼びかけている。また、申告相談は、国税庁ホームページのチャットボット(ふたば)や確定申告コールセンター(3月1日(日)も開設)でも行っていると案内している。(参考1)令和7年分確定申告期の確定申告会場のお知らせhttps://www.nta.go.jp/information/other/data/r07/kakushin_kaijo/index.htm(参考2)令和7年分確定申告特集(準備編)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/kakushin-sonota/kakushin-kaijou.htm(参考3)令和8年3月1日(日)に確定申告の相談等を行う税務署https://www.nta.go.jp/information/other/data/r07/kakushin_kaijo/index02.htm
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2025/12/17
総務省 「租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(令和7年度)」を公表
租税特別措置等は、税負担の公平の原則の例外であり、その適用の実態や効果が透明で分かりやすいものでなくてはならないことから、各行政機関は、措置の必要性や有効性等について国民への説明責任を果たしていくため、法令に基づき、政策評価を実施することが義務付けられている。政策評価の義務付け対象は、法人税(国税)、法人住民税・法人事業税(地方税)関係の措置のうち、税負担を軽減・繰延べするものとなっている。総務省行政評価局では、評価の質を向上させ、税制改正作業での活用に資するよう、毎年度、各行政機関が税制改正要望に際し行う「租税特別措置等に係る政策評価」の政策評価書において、十分な分析・説明がなされているかとの観点から点検を実施している。今般、令和8年度税制改正要望に係る40件の政策評価書を対象に点検を実施し、各行政機関及び税制当局に結果を通知・提供したので11月25日に公表した。点検に当たっては、政策目的の実現に向けた手段としての「有効性」及び「相当性」に重点を置き、点検項目として「達成目標」、「過去の適用数」、「将来の適用数」、「過去の減収額」、「将来の減収額」、「過去の効果」、「将来の効果」及び「他の政策手段」を設定し、結果は以下のとおりA~Eの5段階に分類して表している。A一定の分析・説明はされており、今後も評価水準の維持向上を図っていくべきものBデータが算定根拠とともに示されているが、それらを用いた分析・説明が十分ではないものC定量的なデータによって分析・説明されているが、その算定根拠等が不足しているものD定性的説明はされているが、定量化が不十分なものE分析・説明されていないもの点検結果について、全体の状況としては、点検プロセスにおける各行政機関の補足説明によって、各項目について分析・説明の内容に改善が見られたが、「過去の効果」及び「将来の効果」の分析・説明を中心に、十分とは言い難い状況にあった。また、客観的なデータがその算定根拠とともに示されていないなどのため点検結果がC~E段階のものは、「達成目標」は13件、「過去の適用数」は1件、「将来の適用数」6件、「過去の減収額」は5件、「将来の減収額」は10件、「過去の効果」は11件、「将来の効果」は21件であり、分析・説明がされていない項目(E段階)が残る著しく不十分な評価書も10件となっている。(参考)「租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(令和7年度)」https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_251125000185833.html
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2025/12/16
国税庁 「令和6事務年度 法人税等の調査事績の概要」を公表
国税庁は12月2日、「令和6事務年度法人税等の調査事績の概要」を公表した。令和6事務年度においては、AIも活用しながら、あらゆる機会を通じて収集した資料情報等や申告書の分析・検討を行うことにより、調査必要度の高い法人を的確に抽出し、実地調査を実施した結果、追徴税額(法人税・消費税)の総額は3,407億円となり、直近10年で最高値となっている。法人税・消費税調査について、実地調査の件数は5万4千件(対前年比▲7.4%)であり、申告漏れ所得金額の総額は8,198億円(同▲15.8%)、追徴税額の総額は3,407億円(同+6.6%)、調査1件当たりの追徴税額は6,342千円(同+15.4%)となっており、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で2番目の高水準となっている。源泉所得税調査について、実地調査の件数は6万4千件(同▲6.7%)であり、非違があった件数は2万1千件(同▲5.1%)、追徴税額の総額は404億円(同+7.8%)、調査1件当たりの追徴税額は633千円(同+15.6%)となっており、追徴税額の総額は直近10年で2番目の高水準、調査1件当たりの追徴税額は直近10年で最高値となっている。また、主要な取組として、AI・データ分析の活用(税務署所管法人)、重点課題(消費税還付申告法人、海外取引法人等及び無申告法人への対応)、簡易な接触の3点を挙げている。1点目、同庁ではAIを活用した予測モデルにより調査必要度の高い法人を抽出し、予測モデルが判定した不正パターンに加え、申告書や国税組織が保有する様々な資料情報等を併せて分析・検討した後、調査官が調査実施の要否を最終的に判断しており、調査官の知見にAIの分析結果を組み合わせることにより、効率的で精度の高い調査を実施している。2点目の重点課題への対応については厳正な調査を実施し、消費税還付申告法人における追徴税額は299億円、うち不正計算に係る追徴税額は51億円となっている。海外取引法人等では、海外取引に係る申告漏れ所得は2,096億円、源泉徴収漏れ追徴税額は72億円、無申告法人では、法人税・消費税の追徴総額は355億円、うち不正計算に係る追徴税額は228億円となっている。3点目の簡易な接触は、申告内容に誤り等が想定される法人等に対して、自発的な申告内容の見直し要請などを行い、法人税・消費税の簡易な接触の件数は8万5千件(同+13.4%)、申告漏れ所得金額は565億円、追徴税額は265億円となっている。(参考)「令和6事務年度法人税等の調査事績の概要」https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/hojin_chosa/index.htm
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2025/12/15
国税庁 令和6事務年度の「相互協議の状況」を公表
国税庁は、11月11日に令和6事務年度の「相互協議の状況」を公表した。相互協議とは、移転価格課税等などによる国際的な二重課税について、納税者の申立てを国税庁が受けた場合に租税条約の規定に基づき、外国税務当局との間で協議を行う手続きである。また、納税者の予見可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、納税者が申し出た独立起業間価格の算定方法などについて税務当局が確認を行う事前確認に係る相互協議の手続きも実施している。令和6事務年度(令和6年7月1日~令和7年6月30日)における相互協議事案の発生件数は280件(前事務年度比32%増加)となっており、内訳は、事前確認に係るものは194件(構成比69%)、移転価格課税その他に係るものは86件(同31%)と事前確認に係るものの割合が多かった。処理件数については、242件(前事務年度比11%増加)となっており、内訳は、事前確認に係るものは194件(構成比80%)、移転価格課税その他に係るものは48件(同20%)であった。処理事案1件当たりに要した平均処理期間は、39.6か月(令和5事務年度:31.8か月)となっており、内訳は、事前確認に係るものは42.4か月(令和5事務年度:35.8か月)、移転価格課税その他に係るものは28.5か月(令和5事務年度:21.5か月)であり、いずれも前事務年度より処理期間が長くなっている。繰越件数は、773件数(令和5事務年度:735件)であり、内訳は、事前確認に係るものが595件(同:595件)、移転価格課税その他に係るものが178件(同:140件)となっている。繰越件数が増加したことについて国税庁は、令和6事務年度の発生件数が処理件数を上回ったためとしている。令和6事務年度の繰越事案の相手国・地域は、アジア・大洋州で426件、米州で211件、欧州・アフリカ136件の順となっており、アジア・大洋州が最も多い。国別では米国(25%)、次にインド(15%)、中国(13%)、韓国(12%)、ドイツ(5%)の順となっている。OECD非加盟国・地域との相互協議事案について、令和6事務年度の発生件数は112件、処理件数は104件、令和6事務年度末の繰越件数は334件であり、この件数は、令和6事務年度末の相互協議事案の繰越件数773件の約43%に当たる。処理事案1件に要した平均処理期間は、49.0か月となっており、そのうち事前確認に係るものは51.8か月、移転価格課税に係るものは36.3か月となっており、特にOECD非加盟国・地域との相互協議事案の処理は、相手国の税務当局と連携が取りにくいことから長期化の傾向にある。事前確認は、移転価格課税への対策として有効な手段と考えられるが、その処理には時間を要することから事前確認を行う企業は、長期的な視点での計画が必要である。(参考)令和6事務年度の「相互協議の状況」についてhttps://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/sogo_kyogi/sogo_kyogi.pdf
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2025/12/12
自動車運送事業関連手続きのオンライン申請の本格運用を開始
国土交通省は、11月25日、自動車運送事業関連手続きのオンライン申請の本格運用を令和7年12月1日より開始したことを公表した。従来、自動車運送事業関連の申請・届出等は、窓口や郵送等で実施してきたが、令和7年9月から、手続きの一部について先行してオンラインでの申請を開始しており、12月1日に新たに49手続きを追加して、本格的な運用を始めている。自動者運送事業におけるオンライン申請とは、バス・トラック・タクシー等の事業者が書面で提出していた自動車運送事業関連手続きの「申請書」や「届出書」が自宅のパソコンからインターネットを通じて提出することができる仕組みである。オンライン申請の対象となる手続きは、貨物自動車事業(トラック)、旅客自動車事業(バス・タクシー)許認可の手続きや、自家用有償旅客運送の登録、運行・整備管理者等の選任に係る届出などの137手続きであり、令和7年の9月より先行運用(16手続き)を経て、令和7年12月に49手続きを追加し、計65手続きで本格的な運用を開始している。令和8年度には更に72手続きを追加し、最終的に137手続きで利用を開始する予定となっている。今回、12月1日に利用開始となる手続きのうち主なものは以下のとおりである。・一般貨物・特定貨物、一般旅客自動車運送事業(貸切・乗用)の許可申請・一般貨物・特定貨物、一般旅客自動車運送事業の事業計画の変更認可申請・届出・一般貨物・特定貨物事業の事業報告・輸送実績報告の届出・事業の事故報告の届出・適正診断実施機関の認定・変更届出・運行管理者講習実施機関の年間報告及び会計報告の届出オンライン申請利用を利用するためには、まず、パソコンの環境設定としてJava実行環境及びe-Gov電子申請プログラムのインストール作業を行う。次に利用しているパソコンからe-Govの電子申請プログラムにログインの上、手続き検索機能を利用し、申請書/届出書の様式画面を表示し、画面に申請/届出内容の入力及び添付資料ファイルをアップロードする(申請様式と添付書類の作成)。申請書及び添付書類を作成後、e-Govの電子申請システム上で提出先等の設定を行った上で申請書/届出書、添付書類の提出を行うこととなる。注意すべき事項としてスマートフォンからは、申請・届出はできないことになっている。国土交通省では利用者のためのサイト「国土交通省物流・自動車局オンライン申請サイト」を設置し、オンライン申請の概要、オンライン申請利用方法、よくある質問への回答(FAQ)、説明動画などを掲載している。なお、パソコンの環境設定・電子申請システムの手順・不具合等に関する問い合わせ先は、e-Gov電子政府利用支援センター(050-3786-2225)となっており、対応時間は、平日9:00~19:00、土日祝日9:00~17:00(8月~3月の平日・土日祝日は、9:00~17:00)となっている。(参考)自動車運送事業関連手続きのオンライン申請の本格運用を開始しますhttps://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000485.html(参考)国土交通省物流・自動車局オンライン申請サイトhttps://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000132.html
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2025/12/11
人工衛星打上げ輸送サービスに係る消費税の取扱いについて
東京国税局は11月10日、「人工衛星打上げ輸送サービスに係る消費税の取扱いについて」(事前照会に係る文書回答)を公表した。照会者(以下「A社」)が、照会した内容は次のとおりである。A社は、人工衛星を所有する顧客から発注を受け、ロケットによる人工衛星打上げ輸送サービス(以下「本件サービス」)を提供する予定である。本件サービスは、人工衛星の打上げに必要なロケットの準備から顧客が所有する人工衛星を国内の射場(人工衛星の打上げ用ロケットを発射する機能を有する施設)より宇宙空間における所定の軌道に投入するまでの各業務を実施するものである。この場合、A社が顧客から対価を得て行う本件サービスは、国内において行われる課税資産の譲渡等に該当するとともに、輸出免税が適用されるかについて東京国税局に事前照会した。消費税法上、事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、国内及び国内以外の地域にわたって行われる貨物の輸送については輸出免税が適用される(消費税法7条1項三号、消費税法基本通達5-7-13)。本件サービスにおけるA社と顧客との契約は、ロケットの打上げ作業の実施自体ではなく「人工衛星の宇宙空間への輸送業務(所定の軌道への投入)」を目的に合意しており、本件サービスの役務提供の完了時点は「人工衛星を宇宙空間の所定の軌道に投入した時点」としている。また、再度ロケットが打上げ可能な場合は打上げ失敗とされず、改めてロケットを打ち上げることとされていることから、本件サービスは、「貨物の輸送」に該当すると判断している。また、消費税法における「国内」とは、同法の施行地をいうところ(消費税法第2条第1項1号)、同法における「国内」とは日本の領空及び領海を含む領土全域を指し、日本の主権が及ぶ地域を指すものと考えられる。一方、宇宙空間は、国連総会で採択された「月その他の天体を含む宇宙空間の探査及び利用における国家活動を律する原則に関する条約」(以下「宇宙条約」)において宇宙空間は主権の主張、使用若しくは占拠又はその他のいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない(宇宙条約第2条)ことが定められている。このことから、宇宙空間は国家の主権が及ばないことから、消費税法上における「国内」に該当せず、「国内以外の地域」に該当する。また、本件サービスは国内の射場を出発地としていることから、「国内において行う課税資産の譲渡等」に該当し、国内の射場を出発地とし国内以外の地域(宇宙空間)を到着地とする人工衛星の輸送であることから「国内及び国内以外の地域にわたって行われる貨物の輸送」に該当するものとして、A社は、国内において行う課税資産の譲渡等に該当するとともに輸出免税の適用があるとの考えを示し、事前照会を行った。これについて東京国税局は、「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません。」とA社に回答している。(参考)人工衛星打上げ輸送サービスに係る消費税の取扱いについてhttps://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/bunshokaito/shohi/251017/index.htm
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2025/12/10
国土交通省 新築マンションの取引の調査結果を公表
国土交通省は、11月25日に三大都市圏及び地方四市の新築マンションにおける短期売買(購入後1年以内の売買)の状況、国外に住所のある者による取得状況についての調査結果を公表した。また、都心6区の新築マンションにおける価格帯別の短期売買、取得の状況について分析した結果も併せて公表した。この調査は、2018年1月から2025年6月までに保存登記のあった三大都市圏(東京、大阪、名古屋)及び地方四市(札幌市、仙台市、広島市、福岡市)の新築マンション約55万戸を対象として行われた。国土交通省は、法務省から受領した不動産の登記情報を元に新築マンションの短期売買(購入後1年以内の売買)、国外に住所がある者による取得状況を分析、価格帯別の傾向も把握できるよう、民間の価格データも活用し、調査した結果となっている。調査結果によると、新築マンションの短期売買割合について、保存登記期間が2024年1月~6月の間で、東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県)は6.3%(2023年:3.7%)と、大阪圏(大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)は5.6%(同:3.4%)、名古屋圏(愛知県、三重県)は1.6%(同:1.0%)となっており、東京圏及び大阪圏の割合が高くなっている。東京圏の中で東京都は8.5%(同:5.2%)、神奈川県は5.1%(同:2.8%)、大阪圏の中で、大阪府は6.2%(同:3.8%)。兵庫県は、7.1%(同:3.4%)となっており、いずれも都市圏の中心部において短期売買の割合が高い傾向がみられるが、その年にどのようなマンションが供給されたか等によっても影響を受けると分析している。東京23区における新築マンションの短期売買割合は、その利便性の高さから、近年は6%~9%前後で推移しているが、国外に住所がある者の短期売買割合は、2024年1月~6月の間で7.0%(2023年3.9%)と増加傾向がみられる。また、専有面積40㎡以上の物件について、全体の約6割を占める大規模マンション(1棟あたりの保存登記数(登記原因が売買)が100件以上のもの)は、それ以外のマンションと比べて、直近では、短期売買割合が高く、増加傾向にあり、短期売買数全体の8割以上を占めている。国外に住所がある者による新築マンションの取得の割合は、2025年1月~6月の間で東京圏1.9%(2024年:1.0%)、大阪圏2.1%(同:3.1%)、名古屋圏0.4%(同0.6%)で東京圏、大阪圏で高く、中でも東京都3.0%(同1.5%)、大阪府2.6%(同3.9%)、京都府2.3%(同3.1%)の割合が高くなっている。また、東京都都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)における2億円以上のマンションの高額物件について、国外に住所がある者による2023年1月から2024年6月の間で短期売買件数は0件、2023年1月から2024年12月の新築マンションの取得件数は20件(購入比3.8%)で、国外に住所がある者が高額マンションを活発に購入している傾向は特にみられないと分析している。(参考)不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo05_hh_000001_00237.html
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