税務デイリーニュース
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2024/09/20
新経連、「税と成長の好循環」実現に税制面の支援を!
<税制改正>新経済連盟(新経連)は13日、2025年度税制改正提言を発表した。税制全般に対する基本的な考え方として、税率を引き下げて日本経済活性化を促し、税収を増やして再び国内投資を活性化する、この「税と成長の好循環」を実現する3つの柱を掲げた。その1は、「国内投資の促進」。国内外から日本への投資を呼び込んで経済を活性化するほか、AIや暗号資産など、新たな産業の構築を促すために税制面から支援する。その2は「人への投資」。賃上げ促進税制を強化しつつ労働市場の流動性を高めるほか、国内外の高度な人材を確保する。柱のその3は「スタートアップ支援・生産性向上」で、研究開発・スタートアップの促進、DX化等を通じ、イノベーションの促進と経済全体の生産性の底上げを図る。新経連は、これらの成長を促す3つの柱それぞれについて、税制改正を提言している。具体的には、まず法人税・所得税・相続税の税率引下げを求めた。現状でも高い法人税率とさらなる税率の引上げは、企業の投資や賃上げの原資を減らしてしまう。法人課税と個人の配当所得課税は二重課税であることから、見直しを行うべきこと。現在55%の所得税の最高税率(地方税率を含む)を40%程度まで引下げや、リスクマネーの供給を大きく阻害し株価等にも大きな影響を及ぼす金融所得課税の強化に反対の意を示した。また、相続税の引下げや、法人税の実効税率(現在29.74%)を20%程度まで引き下げること、特に、海外で得た所得を国内に還流し、国内投資促進と賃上げを図る観点から、海外子会社等からの配当所得等に係る税率を引き下げることを要望。法人課税と個人の配当所得課税の見直し(両者を調整するインピュテーション方式の導入等)を求めた。そのほか、ふるさと納税制度は、地方自治体が自ら財源を集め、地域振興を図るための重要な手段であり、制度に対する過度の制限には強く反対している。企業版ふるさと納税制度についても、地方自治体と民間企業が連携して地域振興(二地域居住の推進等)を図る上で重要であり、制度の期限延長又は恒久化と同時に、より使いやすくする制度の見直しを行うことを要望した。また、AIの開発強化・利活用促進に向けた税制の創設を要望。生成AI技術をはじめとして、各国ではAIの開発・利活用が急速に進展。現在の群雄割拠を好機と捉えて、AI分野で日本が強みを発揮するための集中支援を早急に実施すべきだとして、AI開発に必要な計算資源の確保や高品質なデータの整備のほか、AI利活用促進に向けたインフラ・通信基盤の強化・人材育成等を進めるため、税制面からも支援していくことが必要だとした。新経済連盟の2025年税制改正提言は↓https://jane.or.jp/app/wp-content/uploads/2024/09/zeisei2024-1.pdf提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/19
2024年地価、全国全用途平均+1.4%で3年連続上昇
<その他>国土交通省が17日に公表した2024年地価調査結果によると、2万1436地点を対象に実施された2024年7月1日時点の基準地価は、全国の全用途平均が前年比+1.4%(前年+1.0%)となり、3年連続の上昇となった。用途別では、全国住宅地は+0.9%(同+0.7%)、全国商業地が+2.4%(同+1.5%)とともに3年連続の上昇、地方圏でも上昇幅が拡大又は上昇傾向が継続するなど、全体として上昇基調が強まっている。三大都市圏では、住宅地は、東京圏(+3.6%)と名古屋圏(+2.5%)は4年連続で上昇し、大阪圏(+1.7%)は3年連続で上昇した。商業地は、東京圏(+7.0%)が12年連続で上昇、大阪圏(+6.0%)は3年連続で上昇し、名古屋圏(+3.8%)は4年連続で上昇した。ちなみに、上昇地点の割合をみると、住宅地は全国で44.8%(昨年41.6%)、商業地は全国で54.6%(同50.1%)にともに拡大している。地方圏は、全用途平均(+0.4%)、住宅地(+0.1%)、商業地(+0.9%)がともに2年連続で上昇。地方四市(札幌市、仙台市、広島市及び福岡市)では、全用途平均(+6.8%)・住宅地(+5.6%)・商業地(+8.7%)のいずれも、12年連続で上昇。地方四市を除くその他の地域では、全用途平均(+0.2%)は32年ぶりに上昇に転じ、住宅地(▲0.1%)は下落率が縮小、商業地(+0.5%)は2年連続で上昇した。国交省では、用途別の特徴として、住宅地は、低金利環境の継続などにより、引き続き住宅需要は堅調であり、地価上昇が継続している。特に、大都市圏の中心部などにおける地価上昇傾向が強まっている。人気の高いリゾート地では、別荘やコンドミニアムに加え、移住者用住居などの需要が増大し、引き続き高い上昇となった地点が鉄道新路線等の開業による交通利便性の向上などを受け、上昇幅が拡大した地点が見られることを挙げた。また、商業地は、主要都市では、店舗・ホテルなどの需要が堅調であり、オフィスについても空室率の低下傾向や賃料の上昇傾向によって収益性が向上していることなどから、地価上昇が継続している。外国人を含めた観光客が回復した観光地では、高い上昇となった地点が見られる。都市中心部付近では、マンション需要との競合により、引き続き高い上昇となった地点が見られることなどを挙げている。なお、全国の最高価格地は、商業地が東京都中央区銀座二丁目の「明治屋銀座ビル」(1平方メートル当たり4210万円)で、前年比で5.0%(前年2.0%)上昇し、19年連続の1位となった。次いで、東京都中央区銀座六丁目の「銀座6-8-3」(同3000万円、前年比+4.2%)だった。住宅地は、「東京都港区赤坂1-14-11」(同556万円)が前年に比べて6.1%上昇し、6年連続のトップとなっている。2024年地価調査結果の概要は↓https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001762894.pdf提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/18
確定申告はスマホとマイナポータル連携でさらに便利に
<国税庁>国税庁は、2024年分の確定申告はスマホとマイナポータル連携でさらに便利になるとPRしている。国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額等を入力するだけで、所得税、消費税及び贈与税の申告書や青色申告決算書・収支内訳書等の作成・e-Taxによる送信ができる。また、自動計算されるので計算誤りがない。2024年分確定申告から確定申告書等作成コーナーで新しいサービスを開始予定だ。まず、確定申告書等作成コーナーでは、スマホ向けの専用画面を提供しており、その対象画面は順次拡大してきたところだが、2025年1月からは、所得税のすべての画面でスマホでも操作しやすい画面を提供する。これにより、スマホ申告がますます便利になる。消費税及び贈与税については、一部の画面で提供する予定だ。また、パソコンで表示される画面もデザインを統一し、操作性が向上する。次に、2025年1月からスマホ用電子証明書に対応する。スマホ用電子証明書を利用することで、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成・e-Tax送信ができるようになる。また、利用者証明用電子証明書のパスワードはスマホの生体認証機能等を利用できるようになる(機種によって異なる)。スマホ用電子証明書については、デジタル庁ホームページの特設ページが参考になる。ところで、マイナポータル連携の利用者が増えている。マイナポータル連携とは、所得税確定申告の手続きにおいて、マイナポータル経由で、控除証明書等のデータを一括で取得し、確定申告書の該当項目へ自動入力する機能だ。所得税確定申告の手続きの場合は、「確定申告書等作成コーナー」で、この機能を利用できる。2023年分の確定申告では、190万人がマイナポータル連携を利用しており、そのメリットから、利用者数は年々増加している。なお、マイナポータル連携を利用するには、マイナンバーカードとマイナンバーカード読取対応のスマホ(又はICカードリーダライタ)が必要となる。また、マイナポータル連携により控除証明書等のデータを取得するには、控除証明書の発行主体が、マイナポータル連携に対応していることが必要だ。マイナポータル連携に対応している発行主体は、マイナポータル連携可能な控除証明書等発行主体一覧で確認できる。この件については↓https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/r6_smart_shinkoku/index.htm提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/17
青色事業専従者本人が定額減税適用を受ける必要あり
<所得税等>2024年度税制改正に伴い、2024年分所得税について定額による所得税の特別控除(定額減税)が実施されているが、国税庁は、同庁HP上に掲載している「2024年分所得税の定額減税Q&A(予定納税・確定申告関係)」を更新した。その中で、「青色事業専従者等に係る定額減税の適用」が追加され、家族を事業専従者としているケースで、この家族は、同一生計配偶者等として、定額減税の対象にはならないのかとの問いに答えている。答えによると、青色事業専従者等は、定額減税の対象となる同一生計配偶者等には含まれないこととされており、これらの家族を同一生計配偶者等として定額減税の適用を受けることはできない。青色事業専従者等が、所得控除の合計額以上の所得金額であるなどにより、定額減税前の所得税額がある場合には、青色事業専従者等が納税者本人として定額減税の適用を受ける必要があることを明らかにしている。なお、合計所得金額が48万円を超えるため、同一生計配偶者等に含まれない配偶者及び親族についても、定額減税前の所得税額がある場合には、配偶者又は親族が納税者本人として定額減税の適用を受ける必要がある。青色事業専従者等や、合計所得金額が48万円を超えるため、同一生計配偶者等に含まれない人で、控除しきれない定額減税の金額がある場合や、定額減税前の所得税額がない場合については、調整給付の対象とされている。また、内閣官房ホームページに掲載されている「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」においては、定額減税前の所得税額及び個人住民税所得割の税額がない場合の調整給付の受給に当たっては、原則、本人から、住まいの市区町村への申請を要請することとされており、具体的な給付時期や申請に当たって必要となる書類は、住まいの市区町村に確認するよう案内している。「新たな経済に向けた給付金・定額減税一体措置」は↓https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/benefit2023/提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/13
厚労省、医療提供体制の確保に適用期限の延長を要望
カテゴリ:税制改正厚生労働省は、2025年度税制改正要望において、医療提供体制の確保のため、(1)医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度、(2)地域医療構想の実現のための病床再編等の促進に向けた特別償却制度、(3)高額な医療用機器(取得価格500万円以上)に係る特別償却制度について、適用期限を2年延長することを求めた。(3)は、全身用CT・MRIについては引き続き配置効率化等を促す仕組みを講じる。(1)は2018年度に創設された制度で、対象設備は、医師等勤務時間短縮計画に基づき取得した器具・備品(医療用機器を含む)、ソフトウェアのうち一定の規模(30万円以上)のもの。特別償却割合は、取得価格の5%。(2)も2018年度に創設された制度で、対象設備は、地域医療構想調整会議において合意された医療機関の具体的対応方針に基づき、病床の再編等のために取得又は建設をした病院用又は診療所用の建物及びその附属設備。(2)の特別償却割合は、取得価格の8%。(3)は1979年度に創設された制度で、対象機器は、高度な医療の提供に資するもの又は医薬品医療機器等法の指定を受けてから2年以内の医療機器。特別償却割合は取得価格の12%。また、医療・介護DXの推進に向け、医療介護のデータ利活用の方針及び基盤整備、システム開発・運用主体のあり方等について、社会保障審議会等での検討結果等を踏まえて、税制上の所要の措置を講ずることを要望。現在、医療・介護DX推進に向けて、「全国医療情報プラットフォーム」の構築及び当該プラットフォームで共有される情報を新しい医療技術の開発や創薬等のために二次利用する環境の整備や、医療介護の公的データベースのデータ利活用の促進、医療・介護DXを推進するための体制整備(社会保険診療報酬支払基金の改組)について、検討を行っている状況にある。そのほか、国民の健康の観点から、たばこの消費を抑制することを目的として、たばこ税及び地方たばこ税の税率の引上げを要望。喫煙による健康被害は科学的に明らかとなっており、喫煙率の減少は健康被害を確実に減少させる最善の解決策。健康日本21(第三次)においては喫煙率の減少(喫煙をやめたい者がやめる)を目標とし、喫煙率を12%(2032年度)とする目標を掲げているが、2022年度の喫煙率は14.8%となっている。喫煙率の減少に向けては、これまで、喫煙による健康被害の普及啓発や禁煙支援等を実施してきたが、一層の取組みが必要。たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約においても、価格や課税に関する措置がたばこの消費を減少させることの効果的及び重要な手段とされているが、日本におけるたばこ1箱あたりの販売価格や税額は、諸外国と比較して低い。また、2018年度税制改正によるたばこ税の段階的見直しは、2022年10月で完了している。厚労省の2025年度税制改正要望の概要は↓https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/001296189.pdf
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2024/09/12
免税のBtoB中心事業者の73.3%がインボイス登録
カテゴリ:消費税等日本商工会議所・東京商工会議所が発表した「中小企業におけるインボイス制度、電子帳簿保存法、バックオフィス業務の実態調査」結果(有効回答数3149者)によると、インボイス発行事業者への登録状況は、制度導入前、免税事業者だった事業者のうち、BtoB中心事業者では73.3%(「本則課税転換」22.6%、「簡易課税転換」50.7%)、BtoC中心事業者では24.9%(同9.5%、15.4%)がインボイス発行事業者登録を行っている。約26%のBtoB中心事業者がインボイス登録を行わなかったが、その主な理由(複数回答)は、「新たな事務負担が発生」(57.1%)、「新たな税負担が発生」(47.1%)が多くを占め、「取引先からの要請がなかった」も34.3%あった。また、インボイス登録を行わなかった免税事業者のうち、BtoB中心事業者の64.0%が今後登録を検討、BtoC中心事業者の約7割(69.5%)が今後も申請を行わない意向を示している。免税事業者からインボイス登録(課税転換)した事業者状況をみると、これらの事業者のうち、54.9%が減収したと回答。「変わらない」が41.3%で、「増収」は3.8%に過ぎない。また、免税事業者がインボイス登録した場合、納税額を売上税額の2割に軽減する特例措置(2026年9月末で終了予定)があるが、事業者の85.5%が2割特例を適用し、2割特例を適用した事業者の85.2%が「スムーズに消費税申告できた」と回答した。制度導入後もほぼすべての免税事業者からの仕入等を継続する事業者は、74.0%だったが、今後も継続予定の事業者は47.1%にとどまる。また、制度導入により約半数(48.4%)がコストが増加、約8割(82.2%)が事務負担が増加と回答。増加したコスト(複数回答)は「既存システムの改修」(32.4%)、「税理士への顧問料」(25.0%)が多く、増加した事務負担(複数回答)は、「仕入れ先のインボイス登録状況確認」(66.0%)が最も多い。なお、2024年1月から義務化された「電子取引におけるデータ保存」への対応状況は、規模が小さくなるほど「制度をよく理解できず未対応」の割合が(売上高「1億円超」19.8%から「1千万円以下」59.4%)高くなっている。改正電子帳簿保存法への対応につい、「改ざん防止措置要件」と「検索機能確保要件」への対応については、ともに「制度を理解できず未対応」との回答が各53.4%、45.8%と最も多い。同調査結果は↓https://www.tokyo-cci.or.jp/file.jsp?id=1204044
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2024/09/11
国交省、住宅ローン減税の優遇措置の延長要望
<税制改正>国土交通省は2025年度税制改正要望を公表し、住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保のため、(1)住宅ローン減税等に係る所要の措置、(2)老朽化マンションの再生等の円滑化のための組合による事業施行に係る特例措置の創設・拡充、(3)長寿命化に資する大規模修繕工事を行ったマンションに対する特例措置の延長、(4)買取再販で扱われる住宅の取得に係る特例措置の延長などを要望事項として掲げた。まず、住宅ローン減税等について、2024年度与党税制改正大綱において「子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充」、「子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充」として示された措置を講じる。具体的には、子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充は、借入限度額について、子育て支援の観点からの上乗せを行う。また、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1000万円以下の者に限り40平方メートルに緩和する。また、子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充として、子育て世帯及び若者夫婦世帯が行う一定の子育て対応改修工事を対象に加える。「扶養控除等の見直し」と併せて行う子育て支援税制として、2025年度税制改正において検討し、結論を得る。ただし、上記の「子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充や住宅リフォーム税制の拡充」は、現下の急激な住宅価格の上昇等の状況を踏まえ、2024年限りの措置として先行的に対応する。次に、老朽化マンション等における区分所有関係の解消・再生のための仕組みに係る税制上の特例措置を創設・拡充する。区分所有法において、区分所有関係の解消・再生のための新たな仕組みが創設されることを見据え、マンション建替円滑化法において、これら新たな仕組みに対応した事業手続き(組合設立等)の創設を検討。老朽化マンションの再生等においては、費用負担の問題が区分所有者間の合意形成の最大の阻害要因となっている。新たな事業手続きを活用した再生等を円滑に進めるためには、これらの事業実施のために設立される組合について、従来の組合と同様の費用負担軽減が必要となる。要望は、マンション建替円滑化法に新設する、「マンション取壊し敷地売却事業」(仮称)、「マンション更新(一棟リノベーション)事業」(仮称)等の円滑化のため、事業の施行者(組合)に係る特例措置(恒久措置)の創設を求める。国交省の2025年度税制改正要望は↓https://www.mlit.go.jp/page/content/001760257.pdf提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/10
1~8月の「税金滞納」倒産123件、年間200件超も
<その他>東京商工リサーチが発表した「2024年1~8月の税金滞納倒産調査」結果によると、「税金滞納(社会保険料含む)」を一因とした倒産が、今年1~8月で合計123件(前年同期比127.7%増)と急増している。すでに、7月までに年間最多だった2018年の105件を上回り、年間200件を超える可能性も出てきた。政府は、2024年3月の再生支援の総合的対策を踏まえ、6月から「事業再生情報ネットワーク」の運用を開始した。これは、公租公課の確実な納付と事業再生の両立を目指している。だが、業績回復が遅れた企業は納付原資の確保に苦心しがちで、滞納処分から資産差押えで再生の道が途絶えるケースが少なくない。コロナ禍の特例措置で、国税は2020年2月から2021年2月まで、社会保険料は2020年1月から2021年2月まで、それぞれ1年間の納付の猶予(無担保かつ延滞金なし)が認められた。その後、コロナ禍が落ち着くなか、納税(納付)が再開後も、円安による物価高や人件費上昇などのコストアップが資金繰りを圧迫し、納税資金を捻出できない企業は少なくない。コロナ禍が落ち着き、各種支援策が縮小、終了する時期に重なるように、企業は円安、原材料やエネルギー価格の高騰、人件費アップに見舞われた。このため、業績不振から抜け出せない企業を中心に、運転資金の確保に追われ納税が遅れるケースが増えている。一定期間の滞納が続くと、執行機関による財産調査の過程で、滞納が知れ渡るレピュテーションリスクに晒される。金融機関や取引先では、取引条件や取引そのものを見直すケースもあり、滞納を解消できない場合、資産の差押えや債権譲渡を実行され、期限利益の喪失が顕在化する。特に、毎月積み上がる社会保険の滞納解消は容易ではない。「税金滞納」倒産は、業績回復が遅れた企業を中心に、さらに倒産を押し上げる可能性もある。税金の滞納期間が長引くと、関係機関は資産などの差押えなどの滞納処分を行う。こうした状況が発覚すると、期限利益の喪失から金融機関は一括返済を求めることもある。また、経営再建を目指す企業にとっては、金融機関や取引先の信用を失墜し、倒産に追い込まれることになる。同調査結果は↓https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198896_1527.html提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/09
経産省、中小企業経営強化税制に上乗せ措置の創設等
<税制改正>経済産業省は、2025年度税制改正要望を公表した中で、中小企業の成長を後押しし、中堅企業への成長ポテンシャルが高い売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)の創出を推進するため、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除(最大10%))を拡充し、100億企業を目指す中小企業に対する上乗せ措置の創設等を行うとともに、適用期限の2年間の延長を求めた。売上100億円超の中小企業(100億企業)は高いレベルで外需と内需を取り込み、収益を上げて生産性向上(イノベーション)を図り、賃上げを実現し、人口減少社会においても、地域経済の好循環を先導する存在だ。経済成長を実現する上で、各地域に「100億企業」のような成長中小企業を創出することが重要となる。さらに、100億企業は中堅企業へのパスになるが、現状4500者程度と推計され、政策による強力な後押しが必要とした。次に、地域経済を牽引する中堅・中核企業の成長促進を通じた強靱な産業基盤の構築に向けては、地域経済への波及効果が特に高く期待できる事業の促進を強化すべく、地域未来投資促進税制(通常は、特別償却(40%)又は税額控除(4%))を拡充し、意欲ある自治体が地域の特性を踏まえて戦略的に定める「重点促進分野(仮称)」における設備投資への優遇措置の創設と適用期限の2年間の延長を求めた。また、産業用地に対するニーズが高まる中で用地整備を迅速化するため、自治体による用地整備と同様に、自治体と連携した民間事業者による用地整備においても、地権者が土地を譲渡した際の売却益の一部について所得控除を設ける産業用地整備促進税制の創設を要望。スタートアップに対する資金供給を促す観点から、エンジェル税制では、個人投資家による更なる利活用を拡大するため、再投資期間(現行1年)の複数年に延長を求めた。事業承継税制の特例措置は、事業承継時の相続税・贈与税負担を実質ゼロにする時限措置(法人版:2018年度抜本拡充、個人版:2019年度新設)だが、事業承継税制の特例措置の適用期限が到来するまでの間、本税制を最大限活用できるよう、役員就任要件の見直し等を行い、また、本税制の適用期間における事業承継の取組等も踏まえ、円滑な事業承継の実施のために必要な措置について検討することを要望した。そのほか、人手不足や物価高騰など引き続き厳しい経営環境において、中小企業における成長や規模拡大を促進するとともに、持続的な賃上げへの好循環を生み出すため、中小企業投資促進税制(特別償却30%又は税額控除(7%))を延長するとともに、中小企業軽減税率(所得800万円まで、法人税率を19%→15%に軽減)を延長することも要望事項とした。経産省の2025年度税制改正要望の概要は↓https://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2025/pdf/03.pdf提供:株式会社タックス・コム
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2024/09/06
2023年度の滞納整理の訴訟提起は139件~国税庁
<国税庁>国税庁が先日公表した2023年度租税滞納状況によると、新規滞納発生額全体の5割超を占める消費税の新規滞納発生が大きく増加したことなどから、国税の滞納残高が4年連続で増加したことが明らかになった。同庁では、処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となる訴訟を提起したり、滞納処分免脱罪による告発を活用して、積極的に滞納整理に取り組んでいる。原告訴訟に関しては、2023年度は前年度を2件上回る139件の訴訟を提起。訴訟の内訳は、「供託金取立等」1件、「差押債権取立」7件、「その他(債権届出など)」129件のほか、特に悪質な事案で用いられる「名義変更・詐害行為」が2件。また、財産の隠ぺいなどにより滞納処分の執行を免れようとする悪質な滞納者に対しては、「滞納処分免脱罪」の告発を行うなど、特に厳正に対処。2023年度は、8件(16人(社))を告発している。悪質な滞納事例をみると、滞納処分の執行を免れるため、取引先に対し、工事代金等を代表者の息子等名義の預金口座に振込入金させて財産を隠蔽した行為について、滞納処分免脱罪により告発した事例がある。滞納法人の取締役(代表者の妻)は、徴収職員に対し、滞納法人は廃業したと虚偽の説明を行った。代表者と取締役は、共謀し、滞納法人の取引先に依頼して、滞納法人の工事代金等を両者の息子等の名義の預金口座に振り込ませた。国税当局(徴収職員)は、工事代金等を両者の息子等の名義の預金口座に振り込ませた行為が滞納法人に対する滞納処分の執行を免れる目的でされた財産の隠蔽に該当すると判断し、滞納法人、代表者及び取締役を国税徴収法違反(滞納処分免脱罪)で告発した。この「滞納処分免脱罪」の告発は、2022年度は前年度の4件(7人(社))から7件(12人(社))へと大きく増加したが、2023年度は8件(16人(社))とさらに増えている。そのほか、海外への財産の移転などによる国際的な滞納事案に対しては、租税条約に基づく徴収共助の要請を確実に行うなど、積極的に取り組んでいる。2023事務年度に、日本から徴収共助を要請した件数は11件、また、外国の税務当局から徴収共助の要請を受けた件数は3件だった。「徴収共助」とは、租税債権の徴収において執行管轄権という制約がある中で、各国の税務当局が、相互主義の下、互いに条約相手国の租税債権を徴収する枠組み。なお、上記の「詐害行為取消訴訟」は、国が、滞納者と第三者との間における債権者(国)を害する法律行為の効力を否定して、滞納者から離脱した財産をその第三者から取り戻して滞納者に復帰させるために行うもの。また、「名義変更訴訟」は、国税債権者である国が、国税債務者である滞納者に代わって、滞納者に帰属しながら滞納者の名義となっていない財産の名義を滞納者名義とすることを求めて提起するものだ。提供:株式会社タックス・コム
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