課税庁に裁量の余地がなく、処分の不当性を検討する前提が欠けると判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】 処分の不当とは、裁量権が付与されている処分について、制度の趣旨・目的や判例等からみて、裁量の逸脱又は濫用は認められず違法ではないものの、不合理な裁量権行使であることをいう。つまり、処分の不当が問題となるのは、処分を行うにつき、行政処分庁に裁量権を付与されていることが前提となる。たとえば、調査の時期・方法等や、青色取消処分については課税庁が裁量権を有している。では、加算税の賦課決定処分はどうか? 一般労働者派遣事業等を行う9月決算の審査請求人は、平成16年に消費税簡易課税制度選択届出書を提出しており、令和3年9月期は簡易課税の適用要件が満たされたにもかかわらず、本則課税を適用して申告した。税務調査を受けて修正申告を行ったが、過少申告加算税が課されたことから、「不当である」として審査請求を行った。過少申告加算税には修正申告による増差税額が多額のため、加重分が加算されていた(国税通則法第65条第2項)。
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