税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
992 件の結果のうち、 1 から 10 までを表示
-
2025/03/31
死亡した者に対する退職手当等の取扱い
役員や従業員が在職中に死亡した際に、その遺族に支給される退職手当等を死亡退職金という。これは通常の退職金とは異なり、その死亡後に支給期が到来するものは、故人に帰属して所得税が課されるのか、またはその支給を受ける相続人などに帰属して相続税が課されるのかという問題が生ずる。相続税法第3条1項2号は、被相続人(死亡した役員や従業員)に支給されるべきであった退職手当金は、相続または遺贈により取得したものとみなすと規定している。ただし、死亡後も相当の期間が経過した後に支給されるものまで相続税の課税対象にすることは適当でないとして、死亡後3年以内の支給確定分はみなし相続財産、死亡後3年経過後に支給が確定したものは、それを受領した者の一時所得になると規定している。なお、この場合、所得税法第9条1項17号では相続税との二重課税を避ける趣旨から、所得税が課税されないと規定されているため、源泉徴収の必要はない。(注1)一方で、死亡した者に退職金を支払うケースとして、生前に退職し、その後、支給日までの間に死亡するケースがある。このようなケースで、生前に退職手当等として支給すべき額が確定していた場合は、所得税法上の所得とみなされ、源泉徴収や準確定申告の必要がある。この取り扱いは住民税においても同様である。例えば、国税庁ホームページでは、3月31日に退職し、4月25日に退職金を支給する予定だったが、4月20日に死亡した事例が掲載されており、この事例では詳細は書かれていないが、生存中に退職手当等が確定しているという前提で、退職所得の収入とすべき時期は退職の日であり、所得税及び復興特別所得税の源泉徴収が必要であるとしている(注2)。この場合、所得税等を差し引いた残余の金額が本来の相続財産として相続税が課税されることになり、みなし相続財産の非課税の適用はない。また、役員や従業員が死亡退職した際、勤務先から弔慰金や花輪代、葬祭料などが支払われることがあるが、これらは通常、相続税の対象にはならない。しかし、実質上、退職手当等に該当する場合や一定の金額を超える場合は、退職手当等として相続財産とみなされるため注意が必要である(注3)。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4117.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2728_qa.htm#q1https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4120.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/03/24
総合譲渡所得の注意点
譲渡所得とは、土地、建物、株式、ゴルフ会員券、書画骨董、貴金属や宝石などの資産を売却することによって生ずる所得をいう(注1)が、ゴルフ会員権、金地金などの動産、借家権、特許権などの権利の譲渡から生じる所得は総合譲渡所得とされている。総合譲渡所得は、原則として保有期間に応じて短期譲渡所得と長期譲渡所得に区分される。具体的には、譲渡資産の保有期間が5年以内のものは短期譲渡所得、5年を超えるものは長期譲渡所得とされる(注2)。ただし、特定の資産については保有期間に関わらず長期譲渡所得とされる。例えば、自己の研究の成果である特許権や実用新案権、自己の著作に関わる著作権などが該当する。生活用動産の譲渡については、所得税法第9条第1項第9号に規定されており、「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゅう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」は非課税とされている。こうした生活に通常必要な動産は、売却して利益が出たとしても課税されないが、その代わりに損失が生じても損益通算の対象にはならない。一方で、生活に通常必要でない資産や、生活の用に供する動産のうち、30万円を超える貴金属、書画、骨董、美術工芸品などの譲渡所得は課税対象となる。生活用動産の課税・非課税の判定においては、単に金額基準である30万円を当てはめるのではなく、取引形態や資産の性質を見極める必要がある。例えば、高級腕時計だったとしても、宝飾品が一切使われておらず、日常的に使用するものであれば生活に通常必要である動産の要素が強いが、宝石がちりばめられたものは宝飾品として扱われ、生活に通常必要でない動産と見なされるため、課税対象となる。車の取り扱いについても、プライベートと業務で兼用している高級車の場合、それが生活用動産として認められるかどうかは判断が難しい。裁判でも争われることがあり、その判断基準としては、その所有が通常かつ必要と考えられるかどうかが重要視される。一般的に、個々の所有者の事情は考慮されないが、地域的な特殊性がある場合には一定の配慮がなされることもある。また、時の経過によって価値が減少するかどうか、歴史的価値や希少価値を有するかどうか、代替性があるかどうかといった要素も判断材料となる。ゴルフ会員権については、ゴルフ場経営法人が破綻し、優先的施設利用権が消滅したものは雑所得となる。それ以外のゴルフ会員権は総合譲渡所得とされるが、平成26年4月1日以降、その譲渡損失は他の所得と損益通算ができなくなっている。これは、生活に通常必要でない資産に該当するためである。総合譲渡所得は、生活用動産の譲渡所得の非課税範囲や特例の適用について慎重に判断する必要がある。また、事業用資産の譲渡については、棚卸資産に準ずる資産か、少額重要資産に該当するか、その譲渡所得が営利を目的として継続的に行われているか等の検討が必要となる点に注意が必要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3105.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1460.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/03/17
医療費控除の判断ポイント
所得税確定申告における医療費控除の適用可否を判断する際、特に注意すべきポイントがいくつかある。医療費控除を適用する際には、以下のポイントを正確に判断することが求められる。1.医療品購入に関する判断所得税法73条2項及び施行令207条2号の「治療又は療養に必要な医薬品の購入」の対価は、治療又は療養に必要な薬事法2条1項所定の「医薬品」の購入の対価に限られると解されているところ、医師の処方箋に基づいて薬局で購入した医薬品は、原則としてすべて医療費控除の対象となる。一方で、処方箋なしに自己判断で購入した市販薬については、その全てが控除の対象となるわけではなく、いくつかの条件を満たす必要がある。具体的には、購入した医薬品が薬機法(旧薬事法)に定められた医薬品であり、単なる健康維持や美容目的ではなく、明確な治療や療養のために必要なものであることが求められる。さらに、その症状に応じた一般的な治療費の範囲内で支出されたものでなければならない(注1)。サプリメントについては、医師の指導のもとで購入した場合でも医薬品には該当しないため、控除の対象外とした判例がある(平成27年5月12日東京地裁判決第265号‐75(順号12658))。不妊治療の一環としてクリニックで購入した商品が、医薬品と同等の成分を含む製品であっても、医療費控除の対象とすることはできないと判断された。2.交通費の扱い医療機関への通院にかかった交通費については、その費用の性質によって医療費控除の適用可否が異なる。公共交通機関を利用した場合の運賃、例えば電車やバスの料金、または患者の事情によりやむを得ず利用したタクシー代は、医療費控除の対象として認められる。しかし、自家用車を利用した場合のガソリン代や、高速道路の通行料金、さらには病院の駐車場代については、医療費控除の対象とはならない。これは、令和5年11月6日に公表された裁決でも明確に示されている。3.セルフメディケーション税制との関係通常の医療費控除とは別に、「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)」が存在する。この制度では、一定の要件を満たすスイッチOTC医薬品(医療用から転用された一般用医薬品)の購入費用が控除対象となる。ただし、適用には健康診断や予防接種などの「一定の取組」を行っていることが条件となる。通常の医療費控除とは併用できない(注2)。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/03/10
青色事業専従者給与とは
青色事業専従者給与とは、青色申告を行う個人事業主が、生計を一にする配偶者やその他の親族で、専らその事業に従事する者に支払う給与を、必要経費として認める制度である(注1)。青色事業専従者給与を経費として計上するためには、以下の要件を満たす必要がある。生計を一にする配偶者または親族であること。その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること。その年の6か月を超える期間、専らその事業に従事していること。年の途中で事業開始した場合などは、事業に従事可能な期間の2分の1を超える期間の従事があれば認められる(注2)。支払う給与が労務の対価として相当であること。このほか、専従の程度によっては、専従者として認められないケースもあるため注意が必要である。例えば、週1日程度の勤務では専従とは認められない可能性が高く、専業主婦が事業の一部を補助していた程度では認められなかった事例がある。青色事業専従者給与が税務上認められるためには、労務内容や勤務実態を明確に記録し、証拠として提示できる状態にしておくことが重要である。帳簿への記帳や振込決済を行い、支払い事実を明確にすることも求められる。特に注意が必要なのは、支払われる給与額が相当額を超えた場合の取扱いである。給与が過大と判断された場合、その超過分は経費として認められないばかりか、事業主から専従者への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性がある。給与額の決定には、十分な検討が必要である(注3)。さらに、青色事業専従者給与を経費に算入するためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出する必要がある。提出期限は、給与を経費に算入しようとする年の3月15日までである。ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その日から2ヶ月以内に提出する。届出書には、専従者の氏名、職務内容、給与の金額支給時期などを詳細に記載する。また、専従者が増えた場合や、給与額を変更する場合には、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を速やかに提出しなければならない。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/10.htmhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/651008/01.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/03/03
満期や解約により保険金を受け取ったとき
確定申告の時期を迎え、満期や解約により保険金を受け取った場合の取扱いについて改めて確認しておきたい。同保険金にかかる税金は、契約者、受取人の関係によって異なり、所得税または贈与税の課税対象となる(注1)。1.契約者と受取人が同一の場合(自身の契約で、自身が受取人の場合)この場合、満期や解約による保険金は、受取の方法により、契約者(兼受取人)の一時所得または雑所得となる。満期保険金等を一時金で受領した場合満期保険金等を一時金で受領した場合には、一時所得になる。【計算式】(受取保険金額-払込保険料総額-特別控除額50万円)×1/2=一時所得満期保険金等を年金で受領した場合満期保険金等を年金で受領した場合には、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額が、公的年金等以外の雑所得になる。2.契約者と受取人が異なる場合(例:契約者が親、子が受取人)契約者(保険料の負担者)と保険金の受取人が異なる場合は、贈与税が課される。満期保険金を一時金でなく、年金で受領する場合は、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課される。契約者と受取人が同一の場合は、満期返戻金額または解約返戻金額から払込保険料総額を差し引いた額が課税対象となるが、契約者(保険料の負担者)と保険金の受取人が異なる場合は、払込保険料は加味されない。暦年贈与の場合は、満期返戻金額または解約返戻金額から110万円を差し引いた額が贈与税の課税対象となる。3.契約者と受取人が同一であっても、保険料の負担者が異なる場合契約者と受取人が同一の場合は上記1の取扱いとなるが、実務では契約者と実際の保険料の負担者が異なることがある。例えば、契約者と受取人を子にしつつも、その保険料を親が直接保険会社に支払うケースである。この場合は、たとえ契約者と受取人が同一であっても、上記2と同様に贈与税が課される。この場合、払込保険料ではなく、上記2と同様に満期返戻金額または解約返戻金額が贈与税の対象となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1755.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/02/17
相続時精算課税制度と贈与税申告
令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度が大幅に変更されている(注1)。令和6年中にこの制度を利用して贈与を受けた方は、確定申告手続きが例年と異なるため、注意が必要である。相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に対して財産を贈与する際に選択できる制度である。贈与時においては、特別控除により2,500万円までの贈与が非課税となるが、贈与者が亡くなった際には、これらの贈与が相続財産に加算され、相続税対象となる(注2)。令和6年分において初めて相続時精算課税制度を選択する場合、以下の手続きが必要になる。「相続時精算課税選択届出書」の提出「相続時精算課税選択届出書」に受贈者の戸籍謄本または抄本などを添付して受贈者の所轄税務署に提出する。提出期間は、令和7年2月3日から3月17日まで。贈与税の申告書の提出(贈与財産が110万円を超える場合)贈与財産の価額が年110万円を超える場合は、1の届出書と併せて「贈与税の申告書」を提出する必要がある。一方で、贈与財産の価額が110万円以下の場合は、申告書の提出は不要で、届出書のみの提出で済む。このように手続きが変更になったのは、相続時精算課税制度においても年間110万円の基礎控除が認められるようになったことによる。これにより、贈与財産の価額が110万円以下の場合は贈与税申告書の提出義務がなくなった。令和6年分贈与税申告の申告期間は、令和7年2月3日から令和7年3月17日である。この期間は、所得税申告の申告期間(令和7年2月17日から令和7年3月17日)とは異なるため、早めの準備が求められる。特に、今回初めて相続時精算課税を選択する場合は、期限内に必要書類を全て提出しなければ選択が認められず、暦年課税となってしまうことに注意が必要である。改正により相続時精算課税はメリットが大きくなったが、一度選択すると取り消して暦年贈与に戻すことはできないため、選択する際には慎重に検討することが重要である。(参考)令和6年分贈与税の申告のしかたhttps://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2024/01.htm<注釈>https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/02/17
必要経費と認められる支出〜資格取得費用をめぐる判断
所得税法では、必要経費を「事業の遂行上必要な支出」と定め、事業収入と直接関連するものが該当するとされる。個人事業においては、店舗併用住宅の維持費など、一つの支出が家事費と業務上必要な費用の両方の性質をもつ家事関連費について区分が難しい。特に、教育関連費の支出については、家事関連費に該当するのか、該当した場合に必要経費に算入できるかどうかを二段階で検討する必要がある。所得税法施行令96条では、家事関連費は原則として必要経費に算入できないと規定されている。ただし、支出の「主たる部分」が業務遂行上直接必要であり、かつ、その必要部分が明確に区分できる場合に限り、必要経費として認められる(注1)。この点に関し、法廷で争われた事例として、大阪高裁令和2年5月22日判決がある(注2)。本件では、接骨院を経営する者が、柔道整復師の資格取得費用を必要経費として計上できるかが争われた。裁判所の判断(要旨)は次のとおりである。資格がなくても事業を継続できていたため、資格取得が業務遂行上不可欠とはいえない。将来の事業拡大や収入増加の可能性はあるものの、資格取得は個人のスキル向上の側面が強く、必要経費とは認められない。支出の中に業務に関連する部分が含まれていたとしても、家事費と明確に区分されていないため、必要経費には算入できない。この判決から、必要経費として認められるには、業務との関連性を客観的に示す証拠が不可欠であり、納税者の主観的な判断だけでは認められないことがわかる。また、家事関連費と家事費を明確に区分することの重要性も指摘されており、教育関連費を安易に必要経費として計上することは避けるべきであろう。一方、近年の働き方の変化に伴い、リスキリングや資格取得の重要性が高まっていることから、教育関連費を必要経費として認めるべきではないかという意見もある。しかし、現状では十分な議論が尽くされておらず、本判決が実務に与える影響は大きい。教育関連費を必要経費として計上する際には、慎重な判断が求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13408.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/02/10
チャットボットによる確定申告相談スタート
令和7年1月6日、令和6年分所得税の確定申告に対応する税務相談チャットボットが国税庁ホームページで公開された(注1)。チャットボットは「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、利用者の知りたい情報を簡単に得られる便利なウエブサービスである。メニューから質問を選ぶか、ユーザーが文字を直接入力すると、AI(人工知能)が自動的に回答を表示してくれる(注2)。国税庁のチャットボットは「税務職員ふたば」というAIキャラクターが、利用者の質問に対して24時間対応している。●相談方法メニューから質問する方法「よくある質問」が一覧として表示されるので、相談内容に近いメニューを選択し、さらに細かい項目を選んでいくと回答が表示される。例えば、確定申告に必要な書類を調べたい場合、「所得税の確定申告令和6年分」から「確定申告に必要な書類を調べる」を選択する。その後、「所得の種類」や「控除の種類」を順に選ぶ。所得:「給与所得、公的年金、土地や建物の譲渡所得」、控除:「医療費控除、住宅ローン控除」と選択した場合は、マイナンバーを確認するための本人確認書類譲渡所得の内訳書医療費控除の明細書住宅借入金等特別控除の計算明細書住宅取得資金の借入金の年末残高証明書などが表示され、各書類名をクリックするとその様式や説明が確認できる。文字を直接入力して質問する方法具体的な質問を話し言葉で入力すると、それに応じた回答が表示される。例えば、「土地・建物を譲渡した時の税金について教えてほしい。」と入力すると、「土地や建物を売却した場合の税金の取扱い」が表示される。さらに、「参考情報:土地や建物を売ったとき」をクリックすると、譲渡所得や税金の計算方法、譲渡益や譲渡損失がある場合の特例について、さらに詳しい情報が表示される。税務相談チャットボットは昨年より進化しており、確定申告の税金相談だけでなく、e-Taxやスマホ申告の相談もできるようになっている。インターネット上で申告書が作成できる「確定申告書作成コーナー」の事前準備方法やエラーの対処方法などについても相談できる。自宅からパソコンやスマホで申告する際の相談ツールとして心強いものとなった印象であり、多くの利用が期待される。今後、令和6年分の消費税の確定申告に対応するチャットボットは、令和7年2月3日に公開される予定。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/pdf/0020011-029.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/02/03
関税等脱税事件 金の密輸事件が6割占める
財務省が公表した令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月まで)に全国の税関が行った輸入品に対する関税及び消費税に係る犯則調査の状況(注1)によると、令和5事務年度に税関長による通告処分は151件、検察官への告発は6件の計157件で、脱税額は総額で約4億円に上った。特に、金地金の密輸事件が102件と全体の約6割を占め、脱税額は約3億6千万円で総額の約9割に達している。金地金、いわゆる金の密輸は、金を隠匿して日本国内に持ち込むことにより消費税の納税を回避し、その持ち込んだ金を消費税込みの価格で金買取業者に売却することで利益を得る手口である。密輸で得られた利益は国外に持ち出され、新たな金の購入資金に充てられるなどしており、これらの行為は組織的に行われていると考えられる。消費税率が平成26年4月に8%へと引き上げられた後、金の密輸は急増した。これに対し、財務省関税局は、平成29年11月に「ストップ金密輸」緊急対策を策定し、取り締まりの強化や金密輸の厳罰化を進めた(注2)。その結果、平成30年頃からは減少し、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの入国者数が激減したことにより、金密輸事件の発生は極めて低位で推移していた。しかし、最近の訪日外国人旅行者の急回復や金価格の高騰を背景に、再び金密輸事件の摘発件数や押収量が増加している。具体的な事例として、タイから入国する際に金約105㎏をプラスティックケースに隠匿し、消費税等約8,080万円を不正に免れようとしたケースや、韓国からの入国時に金約30㎏を活魚運搬車内に隠し、消費税等約2,896万円を不正に免れようとしたケースが報告されている(注3)。財務省関税局・税関は、令和6年11月に金密輸対策のための臨時の税関長会議を開催し、関税局長から各税関長に対して、水際での取り締まり強化を指示した(注4)。具体的には、隠匿された金の摘発に効果が期待される検査機器を整備や旅客や貨物に対する深度ある検査の実施を行うことで、金密輸に対する抑止効果を高めるとしている。税関による金密輸の摘発は、氷山の一角であり、相当程度の利益が犯罪組織などに流れているとも言われていることから、一刻も早い対策強化が求められている。<注釈>https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a.htmhttps://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/stop.htmhttps://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a2_topics.pdfhttps://www.customs.go.jp/news/hodo/20241129.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
-
2025/01/27
確定申告と医療費控除
1月1日から12月31日の間に、一定額以上の医療費を支払った場合、確定申告において医療費控除の適用を受けることができる。セルフメディケーション税制とは異なる制度だが、どちらか有利な方を選択して申告できる。医療費控除の適用を受けるためには、医療費の詳細を記載した「医療費控除の明細書」を添付して確定申告する必要がある。しかし、受診件数や医療機関数が多い場合、明細書の記載が煩雑で手間がかかることがある。この課題を解消するため注目されているのが、マイナポータル連携である(注1)。マイナポータル連携とは、マイナポータル経由で給与所得の源泉徴収票、控除証明書などのデータを一括取得し、確定申告書に自動入力する機能のことである。医療費通知情報も取得可能であり、これを利用すれば、正確な情報を簡便に取得でき、手作業での入力負担を軽減できる。また、代理人設定を行えば、家族の医療費通知情報も連携が可能である。取得したデータは、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で利用できるが、マイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する場合に限られる。令和6年分所得税確定申告における医療費控除の変更点として、「医療費控除の適用を受けるおむつ代」が挙げられる。介護保険法施行規則の一部改正に伴い、要介護状態が長期間にわたって継続することが見込まれる場合は、一定の手続きにより最長48か月間の要介護認定を行うことができることとされたこと等を踏まえ、厚生労働省において「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(注2)」が令和6年10月10日付で改正されている。これにより、おむつ代の医療費控除の適用を受ける際の手続きが簡略化されている。具体的には、適用1年目でも一定の要件を満たす場合、「おむつ使用証明書」に代えて「主治医意見書の内容を確認した書類」等を用いることが可能となった(注3)。ただし、前述のマイナポータル連携はできない。なお、医療費控除の適用を受けるためには、医療費控除の明細書の添付は必要だが、領収書の添付や提示は不要である。ただし、税務署から確認や提出を求められる場合があるため、確定申告期限から5年間適切に保管する必要がある。また、医療費通知に記載されている医療費の内容は年の途中までの場合があり、1年分の記載がないこともあるため、記載されていない分の医療費については、領収書等を基に入力する必要がある点等については留意が必要である(注4)。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mynapo.htmhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/pdf/omutuBetten.pdfhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/index.htmhttps://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/cat1/cat13/cat132/cat1322/cat13221/cid364.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
続きを読む
992 件の結果のうち、 1 から 10 までを表示