税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2024/10/07
各府省庁の令和7年度税制改正要望
令和6年8月末で締切られた各府省庁からの令和7年度の税制改正要望が財務省のホームページで公表されている。(注1)同ホームページ上ではその詳細が確認できるが、注目度の高い改正要望について概要を見ておきたい。国土交通省:好調を続ける観光業を後押しする意味合いからか、外国人旅行者の利便性向上のため、免税店の負担軽減等を踏まえた免税制度の見直しを掲げるほか、例年と同様、住宅ローン控除の拡充などを求めている。なお、この住宅ローン控除拡充については、復興庁・こども家庭庁・環境省が同様の要望を掲げている。デジタル庁:マイナンバーカード機能のスマートフォンへの搭載に伴う本人確認措置等に係る所要の措置、並びに、新たな預貯金口座付番制度に基づき付番された個人番号について、税法上の告知等の要件を満たすよう所要の措置を講じることを要求している。経済産業省:「金融所得課税の一体化」に向けた金融商品に係る損益通算範囲の拡大や、経済のデジタル化等に対応した新たな国際課税制度への対応、その他、エンジェル税制の拡充や中小企業者等に係る法人税の軽減税率の延長を求めている。金融庁:子を扶養する国民が加入している死亡保険金額の低さを指摘し、生命保険料控除の適用限度額の2万円上乗せ措置を要求している。また、この生命保険料控除の拡充については厚生労働省も同一の意見を出し、遺族の生活困窮の防止や子どもの教育機会の確保に向けた遺族保障の充実を訴えている。厚生労働省:昨年度の税制改正により非課税とされた改正雇用保険法による「教育訓練休暇給付金」の措置に加え、被保険者以外の者を対象とした融資制度について、返済免除による債務免除益への非課税措置を盛り込んでいる。その他にも、内閣府の企業版ふるさと納税の延長措置、文部科学省の特定公益増進法人等への法人寄附に係る特別損金算入限度額の拡充、中小企業庁の売上高100億円を超える中小企業の創出を推進する中小企業経営強化税制等が公表されている。いずれの要望についても、経済対策、デジタル化の推進、子育て支援、労働環境改善など、現在の世相が反映されたものであることがうかがえる。こうした要求が翌年度の税制改正にどれだけ反映されるものか、今後の改正の動向に注目しておく必要がある。<注釈>https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2025/request/index.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/09/30
障害者相談支援事業を受託した場合の消費税の取扱い
社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等については消費税が非課税であるが、「障害者相談支援事業」は社会福祉法に規定する社会福祉事業に該当しないため、課税対象となる。この消費税の取扱いについて誤りが多く見られるため、子ども家庭庁及び厚生労働省(注1)が国税当局(注2)と協議し、その取扱いを周知している。「障害者相談支援事業」とは、障害者総合支援法に基づき市町村が実施する事業であり、障害者等が障害福祉サービスを利用しつつ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の便宜を供与するとともに、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行う事業である。しかし、社会福祉法上、この事業は第二種社会福祉事業には該当せず、消費税法上も非課税対象には含まれないため、受託者が受け取る委託料は課税の対象となる。また、以下の障害児・障害者の相談支援事業も社会福祉事業に該当しないため、同様に課税対象である。住宅入居等支援事業(居住サポート事業)基幹相談支援センターを運営する事業障害児等療育支援事業発達障害者支援センターを運営する事業高次脳機能障害及びその関連障害に対する支援普及事業医療的ケア児支援センターを運営する事業令和6年4月「障害者相談支援事業等に関連するお問合せ(Q&A)」(注3)によると、もし、誤って消費税を「非課税」として扱い、適正に申告していなかった場合は修正申告が必要である。過去に税務署から誤った指導があった場合は加算税や延滞税が免除される可能性があるため、判断に迷った際は所轄の税務署に相談することが推奨される。<注釈>https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001248596.pdfhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shohi/0024004-027/index.htmhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shohi/0024004-027/pdf/0024004-027.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/09/30
令和5年度租税滞納状況と第二次納税義務の整備
国税庁から、令和5年度租税滞納状況の概要が公表された(注1)。国税庁は納税者個々の実情を踏まえながら、納税緩和の適用や滞納処分を実施するなどして徴収に努めているが、令和5年度の租税滞納状況は前年に比べて増加傾向となっている。【滞納状況の概要】新規発生滞納額新規発生滞納額は7,997億円で、前年の7,196億円に比べて802億円(11.1%)増加した。これは、平成4年度のピーク時の約4割に相当する。滞納発生割合滞納発生割合は1.0%だった。この割合は、徴収決定済額に対する新規発生滞納額の割合で、ここ10年は低水準で推移している。整理済額整理済額は7,670億円で、前年の7,104億円に比べて566億円(8.0%)増加した。滞納整理中のものの額(滞納残高)滞納整理中の残高(滞納残高)は9,276億円となっており、前年度に比べ328億円(3.7%)増加した。これは、平成10年度のピーク時の約3割に相当する。【第二次納税義務の整備】法人が財産を散逸させて廃業する等により、納税義務を免れようとする事案が散見されている。調査や滞納処分を行う段階では、既にその法人の財産が残存せず、これまでの徴収手続きでは滞納となった国税の徴収が困難となるものである。制度上、代表者が自ら不正行為を行っていたとしても、代表者に追及することができない仕組みとなっているからであり、こうした事例に対する対策として、令和6年度税制改正では国税通則法が改正された。法人が不正行為により国税を免れた場合、法人を支配する役員等に対しても第二次納税義務を課すことになる。この改正は令和7年1月1日以降に適用される(注2)。対象となる法人は、株式会社、合資会社、合同会社であり、これらの法人が不正行為により国税を免れた場合、不正を行った役員等に対して第二次納税義務が課される。「偽りその他不正の行為により免れ、又は還付を受けた国税」のほか、本税に付随する附帯税についても対象となる。ただし、第二次納税義務には限度が設けられており、次の二つのいずれか低い額を限度として課されることとなる。その偽りその他不正の行為により免れ、又は還付を受けた国税の額その偽りその他不正の行為があった時以後に、「その特定役員等が移転を受けた財産」及び「その特定役員等が移転をした財産(通常の取引として移転をしたものを除く。)」の価額<注釈>https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozei_taino/pdf/sozei_taino.pdfhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2024/explanation/PDF/p0829-0856.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/09/09
インボイスの「多く寄せられるご質問」を更新
国税庁は、令和6年7月26日、インボイス制度の「多く寄せられるご質問」を2問追加した。(注1)追加された質問は、問ⓕ複数年をまたぐ取引に係る適格請求書の交付(1年を超える期間にわたり毎月保守を行う役務提供など、課税期間をまたぐ長期間の取引に係るインボイスの交付について、対価の前受け時に複数の課税期間分をまとめてインボイスを交付してよいとする対応)と、問ⓔ地方公営企業法適用の特別会計に移行する際の適格請求書発行事業者の登録となっている。問ⓕ複数年をまたぐ取引に係る適格請求書の交付については、適格請求書発行事業者である売手は、国内において課税資産の譲渡等を行った場合、取引の相手方(課税事業者に限ります。)の求めに応じ、適格請求書を交付する義務が課されており、この適格請求書の記載事項である「課税資産の譲渡等を行った年月日」については、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税資産の譲渡等につきまとめて適格請求書を作成する場合には、当該一定の期間を記載することになる。ただし、「課税期間の範囲内で」とあるとおり、一定の期間をまとめて適格請求書を交付するとしても、取引の期間が売手の課税期間をまたぐ場合には、適格請求書は課税期間ごとに区分し交付することが原則となる。他方、課税期間をまたぐ期間に係る取引をまとめて一の適格請求書に記載することも妨げられるものではなく、また、課税資産の譲渡等を行う前に適格請求書を交付することも可能である。そうした点と請求書交付実務の簡便性という観点から、例えば、毎月の保守契約のように一定期間継続して同一の課税資産の譲渡等を行うものについては、売手である事業者が適格請求書の交付対象となる期間、継続して適格請求書発行事業者である限りにおいて、課税期間の範囲を超える期間をまとめて適格請求書を交付することとして差し支えない。とされた。また、問ⓔ地方公営企業法適用の特別会計に移行する際の適格請求書発行事業者の登録については、インボイス発行事業者の登録は、登録を受けようとする事業者ごとに行うことになっており、地方公共団体の場合、特別会計ごとに登録が必要となる。地方公営企業法の規定を適用する特別会計に移行する場合、通常、現在の特別会計(以下「旧特別会計」という。)は廃止され、新たな特別会計が設置されることとなる。このため、旧特別会計においては「事業廃止届出書」の提出が必要となり、それに伴い旧特別会計の登録番号は失効することとなるので、移行後の新たな特別会計において改めて適格請求書発行事業者の登録申請を行い、登録番号の付番を受ける必要がある。とされた。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024004-026.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/09/02
日税連 令和7年度税制改正に関する建議書
日本税理士会連合会(以下「日税連」)は、令和6年6月27日の理事会において「令和7年度税制改正に関する建議書」を決定し、7月22日から25日にかけて財務省等の関係省庁に提出した。日税連は、税務行政や租税に関する制度について、権限のある官公署に建議し、又はその諮問に答申することができるとの税理士法の規程にのっとり、この建議書を毎年取りまとめている。内容は、例年数点の重要建議項目と、数十点の個別の建議項目で構成されており、いずれも「公平・中立・簡素」といった租税3原則や、近年の経済状況の変化等への対応を念頭にして検討されている。本年度の重要建議項目は次のものになる。少子化対策への税制面での対応年少扶養親族や高校生世代の扶養控除と給付等の併用や、配偶者の就業調整への対応、あるいは不妊治療や出産費用等に係る医療費控除の拡充など年末調整や所得税確定申告の期間拡大事務負担増や計算の複雑化に対応するために、年末調整を翌年1月末まで、法定調書等の提出を2月15日まで、確定申告を1月1日から3月31までに拡充役員給与税制の見直しと中小企業等の法人税率の特例の適用期限延長役員給与の減額改定時の業績悪化改訂事由の緩和、新設法人の定期同額給与判定時期(現状3カ月以内)の柔軟化、中小企業者等の法人税率の特例の延長軽減税率の廃止とインボイス制度導入に伴う各種特例措置の延長消費税の逆進性対策として非効率であるとの理由等から軽減税率の廃止、インボイス制度が安定・定着するまで現状の特例措置の延長「特定非常災害」に係る雑損控除について控除順の見直しと繰戻還付制度の創設東日本大震災の際の臨時特例であった「純損失の繰越控除の特例及び繰戻還付の特例」のような制度について、臨時でなく恒久的な措置の検討その他の個別の建議項目では、賃上げ促進税制の控除限度額の拡充、法人税等の申告・納付期限を3カ月まで延長する措置、簡易課税制度等について基準期間制度を廃止して当該課税期間での判定などが盛り込まれている。重要建議項目とあわせ、現状の社会情勢に関する問題点への対応や、事務手続きの負担軽減といった現場ならではの視点からの提言が目立っている。現在の税制の懸念を的確にとらえているため、租税制度を俯瞰するために確認しておきたい資料となる。提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/08/26
フリーランス・事業者間取引適正化等法
令和6年11月1日から「フリーランス・事業者間取引適正化等法(通称:フリーランス新法)」が施行される。この法律により、フリーランスに業務を委託する事業者に対しては以下の義務等を課すことになる。(注1)取引条件の明示:業務委託の際に、取引条件を明確に示すこと報酬の支払い:給付を受領した日から原則60日以内に報酬を支払うことハラスメント対策:ハラスメント防止のための体制整備フリーランス新法の施行により、税務上の取り扱いにも影響が出る可能性がある。特に、個人事業者と給与所得者の区分については、税務当局と見解が分かれることがままあるが、この新法の施行により、その判断基準も変わる可能性がある。令和3年3月26日に発表された「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」によると、フリーランスとは「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長で、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」と定義されている。また、発注事業者の指揮命令を受けて仕事をしている場合は、「雇用」とみなされ、労働関係法令が適用されることが示されている。一方、消費税基本通達1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分)は、「事業者とは自己の計算において独立して事業を行う者をいうから、個人が雇用契約又はこれに準ずる契約に基づき他の者に従属し、かつ、当該他の者の計算により行われる事業に役務を提供する場合は、事業に該当しない」としており、これは、ガイドラインや新法の考え方と一致している。では、実際に個人事業者と給与所得者をどのように区分するのか。現行の消費税基本通達1-1-1に示されているように、以下の要素を総合勘案して判断している。他人の代替を容れるかどうか指揮監督を受けるかどうか危険負担を追うかどうか材料等の提供を受けるかどうかまた、確定申告の状況やインボイス発行事業者の登録の有無も判断基準の1つとしているところ、フリーランス新法施行後は、書面による取引条件の明示、報酬支払期日の設定やその支払い状況が加えられることが想定される。このように、フリーランス新法の施行は、フリーランスと事業者の関係性に新たなルールをもたらし、税務上の判断にも影響を与えることが想定される。フリーランスや発注事業者は、施行前に新法の内容をしっかりと理解しておくことが必要であろう。<注釈>https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/freelance/index.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/08/19
フリマアプリ等により商品を仕入れた場合の仕入税額控除
令和5年10月から開始されたインボイス制度において仕入税額控除を受けるためには、要件を満たしたインボイスの保存と帳簿の記載が必要になっている。しかし、フリマアプリやインターネットオークションを通じて仕入れや事務用品の購入などを行う場合は匿名取引であることが多く、実務での対応に疑問の声が多く上がっているが、国税庁は、Q&A(注1)やお問合せの多いご質問(注2)などで取り扱いを示しているので確認しておきたい。1古物商特例の適用について古物営業法上の許可を受けて古物営業を営む古物商が、インボイス発行事業者以外の者から商品を仕入れた場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除の適用を受けることができることとなっている(古物商等特例)。商品の仕入対価が1万円以上の場合には、古物営業法上、「古物台帳」に仕入先の住所、氏名、職業及び年齢を記載することとされているため、古物商等特例の適用に当たっては、消費税法上の帳簿にもそれらの情報のうち住所及び氏名が記載されている必要がある。2フリマアプリ等から仕入れた場合フリマアプリやインターネットオークションを通じて仕入れを行った場合、仕入先がインボイス発行事業者であればインボイスを受領し保存する必要がある。仕入先がインボイス発行事業者以外の者のときは、上記1のとおり、帳簿に一定の事項を記載することで古物商等特例の適用を受けることが可能である。その際、仕入対価が1万円未満であれば、古物台帳に仕入先の住所、氏名、職業及び年齢の記載は不要であるため、匿名で取引が行われていたとしても古物商等特例の適用は可能だが、1万円以上の場合は仕入先にそれらの確認を行う必要がある。自動二輪車、家庭用コンピュータゲーム、CD・DVD、書籍の買い受けなど、1万円未満であっても、古物営業法上、相手方の本人確認や帳簿への記帳義務が生ずる場合がある。3古物商以外の者がインボイス発行事業者以外から仕入れた場合古物商以外の者が、フリマアプリ等でインボイス発行事業者以外から事業用の物品などを購入した場合(古物営業に該当しない場合)、80%、50%の経過措置の適用を受けることが可能である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/qa_invoice_mokuji.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0024004-026.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/08/19
国税・地方税のキャッシュレス納付共同レポート
国税庁は、令和6年5月30日、キャッシュレス納付の更なる推進に向けた機運を高めるため、関係する23団体共同で「国税・地方税キャッシュレス納付推進全国宣言式」を開催し、国税庁・総務省・地方税共同機構・金融庁・日本銀行・全国銀行協会・全国地方銀行協会が共同で作成した「国税・地方税のキャッシュレス納付共同レポート」を発表し、各団体がキャッシュレス納付の推進に向けて取り組んでいる事例等を紹介した。(注1)国税当局では納税者の利便性向上と現金管理等に伴う社会全体のコスト縮減のため、令和7年度までにキャッシュレス納付割合4割を目指して、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでおり、地方税当局においても、個人を取り巻くICT環境の変化等に対応するため、キャッシュレス納付手段の多様化や普及拡大を図るなど、各種施策に取り組んでいる。「国税・地方税のキャッシュレス納付共同レポート」では、キャッシュレス納付のメリット、納付手段の紹介、利便性向上策、利用推進に向けた取組が記載され、地方団体や金融機関における利用推進に向けた取組についても記載されている。国税・地方税キャッシュレス納付手段は、振替納税(口座振替)、ダイレクト納付、インターネットバンキング等、クレジットカード納付、スマホアプリ納付等があるが、国税庁では、令和6年4月から新たにe-Taxで申告等データを送信する際に、「自動ダイレクト」の利用に関するチェックボックスにチェックを入れて送信することで、各申告手続の法定納期限に自動で口座引落しができる機能(自動ダイレクト)を開始し、地方税では、令和5年4月から、地方税の納付に「地方税統一QRコード(eL-QR)」を用いた仕組みを導入し、①eLTAX操作による電子納付②スマートフォン操作による電子納付③金融機関窓口における納付受付後の事務処理への活用を開始している。令和4年度実績では、国税のキャッシュレス納付割合は35.9%にとどまり、大半は金融機関や税務署等での窓口納付となっており、非キャッシュレス納付件数の69.9%は法人で、税目別では50.9%が源泉所得税となっている。一方、地方税では、同じく令和4年度実績でキャッシュレス納付比率は件数ベースで約31%となっており、口座振替が活用しやすい税目(固定資産税等)はキャッシュレス納付比率が高く、法人が関係する法人住民税・事業税や個人住民税(特別徴収)はキャッシュレス納付比率が低くなっている。キャッシュレス納付の課題や事業者ニーズの把握、取り組み方法の協議、利用勧奨ツールや利用勧奨方法の見直しなど各種施策の企画・立案をすることを目的として、今後関係者により「キャッシュレス納付推進協議会(仮)」を発足することが予定されている。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/pdf/06240406_02.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/08/05
電子帳簿保存法一問一答の改訂
これまで報じてきたとおり、電子帳簿保存法は令和3年度の税制改正で大幅に改正されている。とくに、「電子取引保存」に係る部分については義務化となっており、令和5年末までの宥恕措置も終了したため、現在では、原則として「電子取引保存」への対応は必須となっている。この改正以降、電子帳簿保存法については一問一答というFAQのほか、「お問合せの多いご質問」といった取り扱い情報が公表されてきているところであるが、この一問一答が令和6年6月28日に改訂され、いくつかの項目が追加された。「お問合せの多いご質問」から一問一答に取り込まれたものもあるが、新たに追加された設問もあるため確認しておきたい。なお、改訂があったのは「電子取引保存」に係るもののみであり、「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」に関する一問一答についての変更・追加はない。問27-2電子データと紙書類の混在する取引について、処理の便宜上、データを適切に保存したうえで印刷書面も他の書類と併せてファイリングしているが、その併用処理は問題ないか→データを保存している限り書面出力管理は問題ない問40-2ECサイトで購入した際の領収書等は必ずダウンロードする必要があるか→ECサイトが保存要件を満たしており、その領収書等データの確認が随時可能な場合には必ずしもダウンロードする必要はない問45(改訂)検索要件が不要とされる基準期間の売上高が5,000万円以下かどうかの判定→非課税売上を含んで判定するが、通常の営業活動から生じる収益を指すため、個人・法人とも、例えば、一時的に保有する資産の売却額などは含まれない問69青色申告の承認を受けて収益事業を行う公益法人等の保存義務の範囲→青色申告法人の場合には収益事業を含む全ての事業の取引情報、それ以外の公益法人等の場合には収益事業に係る取引情報のみが対象掲載の都合上、内容を大幅に要約している。また、以前に掲載した情報については割愛している。この一問一答の構成は「問」「回答」「解説」となっており、詳細な取り扱いは「解説」で説明されている。改正点の詳細は、一問一答の解説本文を参照されたい。国税庁HP「電子帳簿保存法一問一答(Q&A)」https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/4-3.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/07/29
令和5年度査察の概要
査察制度は、悪質な脱税者に対して刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持を目的としている。令和5年度の査察調査では、101件を検察庁に告発し、これにより脱税総額は89億円、1件当たりの脱税額は88百万円、告発率は66.9%となった。令和2年、3年は新型コロナの影響もあり告発件数は落ち込んだが、令和5年度はコロナ禍前の水準まで戻っている。一方で、連年70%台をキープしていた告発率は低調であった。昨年、インボイス制度が導入され、消費税の取扱いが大幅に変更されたことや、輸出免税を利用した不正な還付が社会問題となっていることから、消費税は国民の関心が極めて高い分野であり、重点事案の1つとなっている。同一の高級腕時計のシリアルナンバーや不正に入手したパスポートの写しを用いて書類を偽造することで、架空の課税仕入れ及び架空の輸出免税売上を計上していた事案やコンビニエンスストアで販売していた免税商品について、虚偽のパスポート情報を用いることで、架空の輸出免税売上を計上していた事案などの不正受還付事案の告発があった。また、無申告事案は納税者の自発的な申告・納税を前提とする申告納税制度の根幹を揺るがすものであることから重点事案の1つとなっており、16件を告発している。このほか、グローバル化の進展や資産の保有、運用の多様化・複雑化に対応するため、国際取引を利用した脱税にも積極的に取り組んでおり、23件を告発している。社会的波及効果が高い事案としては、次のような事案があった。脱税請負人が、脱税のために虚偽の経費を計上するスキームを節税とうたって、広く納税者を勧誘し、納税者らが当該スキームを利用して法人税及び消費税を免れていた。インターネット上の物品の転売やそのノウハウの指南を業とする者が、架空の経費の計上や売上を除外することで、自身の所得税及び主宰法人の法人税を免れていた。コロナ禍におけるペット需要の高まりを受けたブリーダー業を営む者が、架空の経費を計上することで、所得税を免れていた。これら脱税によって得た不正資金の多くは、現金や預貯金として留保されていたが、高級車両や暗号資産の購入やギャンブル、交際費・遊興費に数千万円規模で費消していた事例も見受けられた。例年、7月から国税局や税務署の調査が本格化するが、指摘されることがないように適正申告に努めたいものである。(参考)国税庁ホームページ「令和5年度査察の概要」https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sasatsu/r05_sasatsu.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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