会計研究レポート
MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。
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2024/11/21 財務会計
2015年改訂版 中小企業向け国際財務報告基準(19)
1.はじめにこのシリーズでは、2015年に国際会計基準審議会(InternationalAccountingStandardsBoard:IASB)が公表した「改訂版中小企業向け国際財務報告基準」(以下、「中小企業向けIFRS(2015年版)」という)について解説しています。2022年9月に、IASBは、公開草案「中小企業向け国際財務報告基準(第3版)」(以下、「公開草案(第3版)」という)を公表しており、本シリーズでも、適宜「公開草案(第3版)」に触れています。2024年2月に、IASBは「公開草案(第3版)の補遺」(AddendumtotheExposureDraftThirdeditionoftheIFRSforSMEsAccountingStandard)という公開草案を公表しています(コメントの締切りは2024年7月31日)。今回は、前回に引き続き、「公開草案(第3版)」の第23章「顧客との契約から生じる収益」における収益の認識モデルのステップ2とステップ3を説明します。2.ステップ2履行義務の識別契約開始時に、企業は、顧客との契約において約束された財およびサービスを評価し、別個の財またはサービスを移転する約束を個々に識別しなければなりません(23.16項)。(1)別個の財またはサービス次の①と②をいずれも満たす場合は、顧客に約束した財またはサービスは、別個の履行義務になります(23.20項)。顧客が、財またはサービスからの便益を、単独でまたは容易に利用できる他の資源と組み合わせて享受することができる。財またはサービスを顧客に移転する義務が、契約に含まれる他の義務と区分できる。(2)製品保証顧客が保証を別途購入する選択を有する場合(つまり、保証付きか保証なしのいずれかを選択できる場合)は、契約に記載された機能を有する製品に加えて顧客へのサービス提供を約束しているため、この保証は別個のものになります。このような場合、保証は別個の約束として会計処理をします(23.26項)。一方、顧客が保証を別途購入する選択を有しない場合は、この保証は原則として第21章「引当金および偶発事象」に従って会計処理されます(23.27項)。(3)追加的な財またはサービスを取得する顧客のオプション顧客との契約には、顧客が追加的な財またはサービスを無料または割引価格で取得できるオプションを有するものもあります(注1)。オプションが、その契約を締結しなければ顧客が受け取らないであろう重要な権利を顧客に提供する場合は、そのオプションは別の約束を生じさせます。顧客が追加的な財またはサービスを独立販売価格で取得するオプションを有している場合、このオプションは顧客に対して重要な権利を与えていないので、別個の約束を生じさせません(23.32項)。一方、追加的な財またはサービスを取得する顧客のオプションが重要な権利である場合は(注2)、このオプションを別個の約束として会計処理します(23.35項)。(4)本人と代理人の区分企業は、契約における約束ごとに、本人であるか代理人であるかを判断しなければなりません(23.37項)。企業が本人に該当する場合は、提供された財またはサービスと交換に企業が権利を得ると見込まれる対価の総額で収益を認識します(23.39項)。企業が代理人に該当する場合は、企業が権利を得ると見込む報酬または手数料の金額(つまり純額)で収益を認識します(23.40項)。3.ステップ3取引価格の算定取引価格とは、顧客に約束した財またはサービスを移転するのと引換えに、企業が権利を得ると予想される対価の額で、第三者のために回収する金額(たとえば、消費税)を除いたものです(23.41項)。取引価格を決定するにあたって、企業は、財またはサービスが契約に従って顧客に移転されること、契約が解除・修正・更新されないことを仮定する必要があります(23.42項)。(1)変動対価変動対価は、顧客と約束した対価のうち変動する可能性のある部分です。変動対価が含まれる場合は、取引価格に含まれる変動額を見積る必要があります。変動対価を見積もる際には、期待値または最頻値のいずれかを用います(23.43項)。返金負債企業が顧客から対価を受け取り、その対価の一部または全部を顧客に返金すると予想される場合は、顧客に返金すると合理的に見込まれる対価の額を返金負債として認識します(23.49項)。返品権付きの販売顧客との契約においては、商品や製品の支配を顧客に移転するとともに、その商品や製品の返品について、次のような権利を顧客に付与する場合があります(23.51項)。顧客が支払った対価の全額または一部の返金顧客が企業に対して負う、または負う予定の金額に適用できる値引き別の商品や製品への交換返品権付きで商品や製品(返金条件付きで提供されるサービスも含む)を販売した場合は、次のように処理します(23.52項)。返品されないと見込まれる商品や製品に対してのみ収益を認識する返品されると見込まれる商品や製品については、収益を認識せず、受け取った額で返金負債を認識する。顧客から商品や製品を回収する権利について返品資産を認識する(2)貨幣の時間価値支払い期限が通常の取引条件よりも遅い場合、この契約は金融取引に該当します。この場合、企業は、約束された対価の額を貨幣の時間的価値の影響について調整し、利息収益を認識します。そして、利息収益を顧客契約からの収益と区別して表示します(23.58項)。ただし、契約開始時において、約束した財またはサービスを顧客に移転してから顧客が対価の支払いを行うまでの期間が1年以内であると見込まれる場合は、貨幣の時間的価値を調整する必要はありません。(3)現金以外の対価顧客が現金以外の形で対価を約束する契約の取引価格を決定する際には、現金以外の対価を公正価値で測定します(23.60項)。ステップ2「履行義務の識別」とステップ3「取引価格の算定」については、「公開草案(第3版)」、IFRS第15号および企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」間で、その内容に大きな差はないと言えます。ただし、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」では、日本に特有な取引事例(注3)も示されています。<注釈>たとえば、100個までの販売単価は300円だが、101個以上の販売単価は280円とするような契約です。顧客に重要な権利を提供するオプションの例としては、販売報奨金、顧客特典クレジット(ポイント)、契約更新オプション、将来における商品またはサービスの割引などがあります(23.33項)。たとえば、小売業における消化仕入、他社ポイントの付与が挙げられます。提供:税経システム研究所
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2024/11/14 管理会計
中小企業も知っておきたい! 事例でつかむESG経営と管理会計(24)
1.人的資本開示の現状と効果検証の必要性有価証券報告書を開示する大企業は、2023年3月期に発行する有価証券報告書から人的資本情報の開示が求められるようになりました。対象となる企業は、有価証券報告書内の「サステナビリティに関する考え方および取組」の項目において、自社の人的資本経営に関するガバナンス(人的資本に関連するリスク及び機会に関する組織のガバナンス)、戦略(人的資本に関連するリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画へ及ぼす影響)、リスク管理(人的資本に関連するリスク及び機会を識別・評価・管理するためのプロセス)、指針と目標(人的資本に関連するリスク及び機会の評価・管理に用いる指標と目標)を開示することが求められています(注1)。具体的にどのような指標を開示すべきかについては、内閣府が公表した「人的資本可視化指針」(注2)のなかで①人材育成に関連する開示事項、②従業員エンゲージメントに関連する開示事項、③流動性に関連する開示事項、④ダイバーシティに関連する開示事項、⑤健康・安全分野に関連する開示事項、⑥コンプライアンス・労働慣行に関連する開示事項、に分けて具体的な開示事項が説明されています。また、開示に際しては、企業間での比較可能性を確保する必要性が強調される一方で、各企業の人材戦略の実践を踏まえた独自性を出すことが求められており、「比較可能性」と「独自性」のバランスに配慮することが要求されています。2024年10月現在、人的資本情報の開示を含む有価証券報告書は2年度分開示されていますが、必ずしも比較可能性が高い状況にあるとは言えません。比較可能な指標は、女性活躍推進法等によって一定の要件を満たした企業に開示が義務付けられている「女性管理職比率」「男女賃金格差」「男性育児休業取得率」の3指標のみであり、その他の開示内容については、企業によって情報の量(開示情報量)も質(開示情報の客観性や比較可能性)も大きなバラツキがみられる状態です。たとえば、従業員への教育・研修に関する指標の開示に関して、社員研修の総時間を開示する企業もあれば、社員一人当たりの研修時間を開示する企業もあります。はたまた、時間ではなく、研修費用総額や、社員一人当たり研修費用という形で開示する企業もあり、その際の研修費用の計算式も明確ではない(研修費用とは講師の人件費なのか、情報システム等利用料、コーディネータの人件費を含むのか)ことから、開示情報の評価が非常に難しくなっています。人的資本開示が、企業の業績にどのような影響をもたらすのかを明らかにしようとする場合、個別企業のデータを一社ずつ入手することは極めて困難となります(プライム上場企業に限定しても、約1,640社)。したがって、開示情報が収録されたデータベース(日経バリューサーチやBloombergAnywhereなど)から情報を入手する必要があります。しかし、開示情報内容にバラツキが大きいこともあり、データは大きく欠損しています。BloombergAnywhereを使用して、東証プライム上場企業の「一人当たり研修時間」のデータを取得したところ、1,640社中96社のデータしか取得することができませんでした(注3)。これでは、頑健性の高い検証は難しくなってしまいます。人的資本開示は始まったばかりですが、どこかの段階で、その効果の検証が求められます。人的資本開示が、本当に企業業績(企業価値)の向上に寄与するのかを見極めるためにも、効果検証に耐えうるデータの収集について検討を始める必要があるように思います。人的資本投資にも、人的資本情報の収集のためにも、少なからぬコストがかかります。効率的な投資で、最大の効果を得るためにも、人的資本開示に関する効果検証の在り方を考える必要があるのではないでしょうか。2.人的資本に関するオリジナル指標の開示前述のとおり、人的資本情報開示には、「比較可能性」と「独自性」が求められています。前述の効果検証という観点では、比較可能性を考えることが重要となります。一方で、人的資本情報開示は、人的資本経営に取り組んだ”結果”について開示するものですので、従業員の能力を最大限引き出すためには、各企業の価値観や組織文化を反映した、オリジナルの指標を設定し、企業の価値をドライブするKPI(バリュードライバー)として活用していく必要があります。この点、多くの企業では、開示義務化への対応に手いっぱいで、なかなかオリジナル指標の開発にまで至っていないところが多いようです。しかし、それでは人的資本開示を、企業業績の向上に結び付けていくことはできません。今回は、興味深いオリジナル指標の開発の例として丸井グループの取り組みについてご紹介したいと思います。まず、丸井グループでは、従業員一人一人の経営参画意識を高めるために、”手上げの文化”を推奨しています。従業員が自ら進んで手を挙げ、自らの意思で様々なプロジェクトに参画するようになることで、自らの能力を最大限発揮して欲しいという意図があるようです。しかしながら、自ら手を挙げようとする社員は多くはありませんでした。このような状況を打破し、社員の経営参画意識を高めるため、丸井グループでは「打席数」というKPIを設定することにしました。チャレンジした結果の良否をKPIにしたのでは、失敗を恐れて消極的になってしまう。まずは、失敗を恐れずに自ら打席に立つ(挑戦する)という意識をもってもらう必要があると考え、新規事業の立ち上げなどにチャレンジすることを評価する「打席数」という独自KPIを設定するに至ったのです。なお、当該指標は、丸井グループの有価証券報告書のなかでも掲載されています(注4)。なお、従業員のチャレンジ意識が高まった結果、中期経営計画進捗報告会に、若手社員も手を挙げて(その後、エッセー執筆による審査があるようですが)参加できるようになり、さらには、部門の垣根を越えて、チャレンジしたいプロジェクトにかかわることもできるようになったということです(本業のプロジェクト以外に、2つ3つのプロジェクトをかけ持つ方もいらっしゃるようです)。人的資本開示については、「比較可能性」と「独自性」の2つの側面のバランスが求められます。他社との比較のなかで自社の人的資本投資の価値を伝えるためには、他社と比較可能な指標を用いることが必要になります。その一方で、自社の価値観や組織風土を従業員に伝え、従業員の能力を最大限発揮してもらうためには、「独自性」の高いオリジナルの指標を開発することも必要です。人的資本への取り組みは、人材の価値を高め、企業の業績を高めていくための重要な取り組みです。何のために人的資本投資が必要なのか、これにどのように取り組むべきなのか、改めて検討してみてはいかがでしょうか。<注釈>「企業内容等の開示に関する内閣府令」(2023年1月31日改正)は、「ガバナンス」「リスク管理」はすべての企業に開示を求め、「戦略」「指標及び目標」は企業における重要性を判断して開示することとしています。非財務情報可視化研究会(2022)「人的資本可視化指針」https://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/20220830shiryou1.pdf試しに、取得できたデータ(2024年3月末時点データ)を使用して、一人当たり研修時間が企業の業績(ROEを使用)に与える影響に関する単回帰分析を実行したところ、一人あたりの研修時間が1時間増加すると、ROEが約0.024%増加するという結果が得られました(ROEに関する異常値除去後)。しかし、前述のとおり、そもそもデータ数が限定的であり、かつ、研修時間の測定方法も統一されているわけではありません。充実したデータが得られなければ、人的資本情報が企業業績に与える影響を見極めるための頑健な結果を得ることはできないという点に注意が必要です。丸井グループ2024年3月期有価証券報告書(p.26):https://www.0101maruigroup.co.jp/pdf/settlement/0240gfe0.pdf提供:税経システム研究所
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2024/11/07 財務会計
公益法人制度の改正(1)
はじめに「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」(平成十八年法律第四十九号)(以下、改正前公益認定法)が、本年2024年(令和6年)5月に改正(注1)(改正後の法律は、以下、改正公益認定法)され、新たな公益法人制度が2025年(令和7年)4月から始まります。この改正により、これまでの公益認定基準のほか、行政手続き等が変化することになります。そこで「公益法人制度の改正」の内容を、これから一連のレポートで解説します。今回のレポートでは、改正に至る背景及び改正の重要ポイントを概括的に言及することにします。1.改正の背景2006年(平成18年)に公布された改正前公益認定法は、その第5条において18の公益認定基準が規定されていました。その公益認定基準のなかで、財務に関する重要な基準として、収支相償(第6号)と公益目的事業比率(第8号)、遊休財産額保有制限(第9号)が挙げられます。そしてこうした公益認定基準に使用される会計数値を導くための財務諸表等を作成するために、公益法人会計基準も2008年(平成20年)に改正されました。しかし、特に収支相償は、「その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。」との規定となっており、制定当初より、法律の規定を字義通りに読むならば、公益目的事業の縮小再生産となるとの指摘がなされていました。そして、この問題を解決するために設けられたのが、特定費用準備資金や公益目的資産取得準備資金の積立額を費用(注2)に加算して収支相償の基準を満たしているか否かを判定するという手法でした。ただし、これらの積立ては、必ず将来の具体的で実行可能性のある計画を設けていることが求められていました。なおかつ、収支相償は、個々の公益目的事業について判定された上で、さらに公益目的事業全体で判定されるという2段階方式が採用されていました。そしてこうした準備金の積立てによる措置は、公益目的事業比率の判断に際しても用いられていました。そのため、収支相償や公益目的事業比率については、公益目的事業において継続的に余剰が計算され、かつ将来の計画によりその余剰を公益目的事業で使用することが計画できない法人からは、使い勝手が悪いとの声が上がっていました。さらに将来の計画が具体的に設けられない法人にとっては、遊休財産額の保有制限にも抵触する可能性も出てきていました。また公益認定を受けた法人(公益社団・財団法人)が、その認定の際に記載した内容を変更する場合に、いかなる事項であれば認定を受け、いかなる事項であれば届出で済むのかといった明確な規準がなく、結果的に認定事項として処理されることが多くなり、手続きが煩雑となっているとの指摘も受けていました。加えて、公益法人会計基準については、特に正味財産の部が指定正味財産と一般正味財産に区分されて、指定正味財産から一般正味財産への振替えが行われる点等について、分かり難いとの認識を有する者(注3)も出てきていたと思われます。さらにそうした点が相まって、一般社団・財団法人の数は増加しているにも拘わらず、公益社団・財団法人の数はさほど増加していないと、行政側は思ったのではないかと想像されます。そのため、公益社団・財団法人は、「使い勝手がよい」や「わかりやすい」を標榜した改正が、この度行われたと言えます。図表1:公益社団・財団法人の数(令和4年12月1日現在)(注4)公益社団法人公益財団法人合計内閣府823法人1,783法人2,606法人都道府県計3,348法人3,718法人7,066法人合計4,171法人5,501法人9,672法人2.公益認定法改正の主要点(概括)内閣府公益認定等委員会によれば、改正のポイントとして大きく次の3つが挙げられています(注5)。すなわち、「財務規律の柔軟化・明確化(より自由な資金活用)」と「行政手続の簡素化・合理化(より柔軟な事業展開)」、「自律的なガバナンスの充実、透明性向上(更なる信頼確保)」です。これらの改正により、岸田内閣時に掲げられた「新しい資本主義」のもと、「民間も公的役割を担う社会」の実現に貢献するものと、内閣府公益認定等委員会では考えているようです(注6)。<1>財務規律の柔軟化・明確化(より自由な資金活用)まず収支相償を見直し、一会計期間ではなく、中期的期間での収支の均衡を図るように、改正が行われました。そして将来の公益目的事業を充実させるための資金を新たに設け、その積立ては、収支相償基準を充たしているか否かの判断に際して費用に含めることとなりました。また遊休財産の名称が、「使途不特定財産」に変更されました。さらに公益目的事業継続予備財産の制度を新たに設け、その金額を保有制限の算定対象から除外することにされました。この公益目的事業継続予備財産は、災害等の予見し難い事由に対応して、公益目的事業を継続することができるようにするための財産と位置づけられています。ただし、その保有についての理由は公表することが義務づけられています。<2>行政手続の簡素化・合理化(より柔軟な事業展開)収益事業等の内容の変更については、認定事項から届出事項となることが明記されました。ただし、収益事業から公益目的事業に変更する場合には、認定事項となります。<3>自律的なガバナンスの充実、透明性向上(更なる信頼確保)自律的なガバナンスについては、会計も関連しています。すなわち、財務情報開示に際しては、公益法人に公益目的事業と収益事業等、法人運営の3区分経理を、継続することになります。また理事・監事間の特別な利害関係の排除や、外部理事・外部監事を導入することが求められるようになりました。加えて事業報告に、ガバナンス充実に向けた自主的な取組等を記載することが求められるようになります。<注釈>公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第二十九号)として、改正が行われました。会計帳簿上は、費用として処理されません。あくまで、収支相償の判断上においてのみ、費用に加算できることになります。この振替えは、企業会計におけるその他包括利益のリサイクリングに相似しているため、公益法人会計基準の正味財産の部の2区分から生じる振替えをわかりにくいと感じる者にとっては、企業会計はもっと分かり難いものと思われます。財務諸表等を作成する法人側では、既に慣れ親しんでいるために、特に分かり難いとの反応はなく、誰にとっての分かり難さであるのかという疑問は広く出されています(2024年10月5日から6日に開催された非営利法人研究学会においても、統一論題、分野別研究会報告、さらには内閣府公益認定等委員会事務局長の高角健志氏を招いてのワークショップ等において、かかる疑問は複数の方々から発言されていました)。内閣府「令和4年公益法人の概況及び公益認定等委員会の活動報告」(令和5年12月)、3頁。2022_01_houkoku.pdf(koeki-info.go.jp)「公益社団法人及び公益財団法人の認定などに関する法律の一部を改正する法律の概要」20240522_01_gaiyo_nintei.pdf(koeki-info.go.jp)公益社団・財団法人の数を増やしたいとの意向があります。提供:税経システム研究所
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2024/10/31 管理会計
中小企業が身につけておきたい原価管理の知識(18)
1.はじめに本シリーズでは、経営・会計において欠かせない原価管理の考え方を紹介します。今回は、前回までに続いて、原価企画の例として、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社(以下、同社)による製品開発時の取り組みを取り上げ、目標原価の進捗管理について説明します。2.目標達成管理の概要同社の製品開発には、商品企画、製品企画、基本・量産設計、生産準備のステージがあります。そして、製品開発の各ステージにおいて、目標原価を使用した「目標達成管理」が行われます。以下では、目標原価を達成するために行われる主な活動を見てみましょう。(1)ベンチマーク手法を用いた改善ベンチマークは、会社や部門の測定可能な目標値のことで、会社内外の類似業務の中でベストの数値に基づいて設定されます。ここでは、部品費の改善を例として考えます。はじめに、比較や分析の対象として、機能や仕様が開発商品と近く、製造原価が最少か優れた競合機を1つから3つほど選定して、自社の前任機を追加します。予め競合機を分解しておき、各部品をコストテーブル(注1)で見積り、コスト付きの部品表を作成して、部品の区分ごとに部品点数と原価総額、設計上の重要部品の原価などを比較します。その際に、できる限り性能や仕様をあわせて比較して、最低原価の部品を積み上げた商品が、ベンチマークの商品となります。上記の比較、分析を行った後、ベンチマークの商品の部品構成を目指すための改善策を実行します。ベンチマークの活動は、対象となる部品原価を下回るようにすることが理想的ですが、実際には、対象となる部品原価に追いつくのに精一杯となってしまう場合が多いです。この他、ベンチマークの手法は、部品やユニットの機能、コストテーブルを用いた見積原価、使用部品点数、使用材料などの比較を通じて、原価の低減に使用されています。(2)改善検討会における改善案の抽出改善検討会は、部門を超えて、開発活動のメンバーや他の関連部門のメンバーが参加して、改善案を出し合い、検討するための会議体です。例えば、目的、日時、場所、部品等の活動対象、改善目標額を開示し、メンバーを招集し、改善案を検討します。改善検討会には、多角的な視点で検討することで改善案を多く抽出できることや、メンバー間のコミュニケーションと連携を深めることで改善策を円滑に導入できることなどのメリットがあります。改善検討会で取り扱われる案は、予め各関連部門で抽出された案に基づいたものであり、当該商品の開発担当でなくても、活動対象の知見やアイデアを持つ人が参加することが推奨されます。また、改善目標額も、活動対象ごとに設定した方が、各関連部門でのアイデアの抽出を推奨しやすくなります。(3)その他の活動目標達成管理では、ベンチマーク手法の使用、改善検討会の他にも次のような活動が行われています。設計仕様のスリム化:顧客や企画部門からの要求仕様を安定品質、低コストの方法で実行できるかどうかを検討します。経営上の戦略:技術戦略、特許戦略、取引先戦略、販売先戦略、法規や規定(安全、評価等)による顧客要求仕様、機能のスリム化を検討します。新技術導入による改善:商品や部品レベル、工程設計、加工等の新技術を採用することによる改善を行います。共通化・標準化:新設計部品を減らし、品質が安定した既存・標準部品や共通部品の使用によって購入量を減らし、低コストでの購入を行います。開発購買:企画段階から取引先と特定部品やユニットの開発、設計を協力して行って、改善します。各関連部門の戦略:開発戦略、調達戦略、生産戦略を製品開発や製造活動に導入することで改善します。参考文献谷武幸.2022.『エッセンシャル管理会計第4版』中央経済社.吉田栄介・伊藤治文.2021.『実践Q&Aコストダウンのはなし』中央経済社.<注釈>コストテーブルは、部品や材料ごとに、原価情報をまとめた資料(データベースとしての機能を持つもの)のことです、コストテーブルを用いた原価見積りの詳しい内容は、第12回の記事をご覧ください。提供:税経システム研究所
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2024/10/17 管理会計
企業が生き残るための製品・サービスの原価計算の勘所(13)
1.売上原価の予実差異分析前回の(12)では、目標営業利益達成のための分析の一環として、売上高の予実差異分析を説明しました。売上高の予算と実績とを比較して、金額を比較するだけでは不十分だということでした。金額は、単価と数量との掛け算ですから、単価の変動による売上高の増減と、販売数量の変動による売上高の増減とに分解して検討しなくてはならないということでした。今回は、売上原価の予実差異の分析について検討してみましょう。前回(12)と同様に、製品は1種類であったとします。売上高の予算を100億円と設定し、これを達成するために、販売単価が20万円で5万単位を販売する計画を立てていました。売上原価の予算は、製品製造単価が12万円であるとすると、5万単位を製造すると60億円の見積となります。一方、実際の売上原価が62億4千万円であったとします。単純な売上原価の予算と実績との差額は、予算60億円に対して実績が62億4千万円で、実績が予算を2億4千万円上回っているということになります。目標である予算の売上原価を実績の売上原価が上回ったので、それだけを見ると好ましくない状況と考えそうですが、実績の売上原価を単価と販売数量とに分けて考えると、もう少し詳細な情報を得られます。実績の売上原価が62億4千万円であっても、製品製造単価が13万円で販売数量が4万8千単位だとすると、製品製造単価は増加しているのですが、販売数量は計画である予算を下回っています。そこで、単純に売上原価の増減だけではなく、販売数量の変動による売上原価の増減を(1)式のように計算します。販売数量の変動による増減=予算製品製造単価×(実績販売数量-予算販売数量)・・・(1)販売数量の変動による売上原価の増減は、次のように計算できます。¥120,000×(48,000単位-50,000単位)=-¥240,000,000また、製品製造単価の変動による売上原価の増減を(2)式のように計算します。製品製造単価の変動による増減=(実績製品製造単価-予算製品製造単価)×実績販売数量・・・(2)製品製造単価の変動による売上高の増減は、次のように計算できます。(¥130,000-¥120,000)×48,000単位=¥480,000,000これらの計算結果からわかることは、製品製造単価の増加によって実際の売上原価は予算を4億8千万円上回っていますが、販売数量の減少によって、実績の売上原価は予算を2億4千万円下回っています。このデータから、予算編成時に製品製造単価が12万円のところ、実際の製品製造単価が13万円に上がったとはいえ、5万単位販売する計画に対し4万8千単位しか売れなかったために、売上原価が上昇することへの影響が減じられたという状況を把握できます。2.売上総利益の増減分析前回(12)からの説明の流れをもう一度確認します。前回は、売上高の予算と実績との間の差異について、販売単価の変動による売上高の増減と、販売数量の変動による売上高の増減に分解して検討しました。今回は、売上原価の予算と実績との間の際について、製品製造単価の変動による売上原価の増減と、販売数量の変動による売上原価の増減に分解して検討しました。そもそも、売上総利益は(3)式のように計算します。売上高-売上原価=売上総利益・・・(3)そこで、売上高の増減と売上原価の増減を、単純に予算と実績との金額を比較するだけではなく、売上高を販売単価×販売数量に、また、売上原価を製品製造単価×販売数量に分解して検討したことを踏まえて、実績の売上総利益が予算と比較して増加または減少した要因について吟味してみます。表1は、前々回(11)から設例で一貫して用いてきたデータの一覧です。表1設例のデータ表1の設例のデータにもとづき、これまでに検討してきた予算と実績との間の差異を計算結果により作成したのが表2の売上総利益の予算実績差異分析表です。表2売上総利益予算実績差異分析表の計算例表2の売上総利益の予算実績差異分析表からは、次のことが指摘できます。売上高の実績が、予算と比較して20億円上回ったこと販売数量が減少したにもかかわらず、売上高の実績が予算を20億円上回った要因は、販売単価の実績が予算の20万円を上回って25万円になったことである売上原価の実績が、予算と比較して2億4千万円増加していること販売数量が減少したにもかかわらず、売上原価の実績が予算を2億4千万円上回った要因は、製品製造単価の実績が予算の12万円を上回って13万円になったことである最終的な結果として、売上総利益が17億6千万増加していることこのように、表1の冒頭の3行に示す売上高、売上原価、売上総利益のデータから売上総利益の実績を予算との増減で見るだけではなく、売上高と売上原価を「単価×数量」に分解することでより詳細に分析することができます。つまり、売上高の増減を販売単価の変動による増減と販売数量の変動による増減に分解して、また、売上原価の増減を製品製造単価の変動による増減と販売数量の変動による増減に分解して、売上総利益の増減の要因を検討することが可能になります。参考文献伊藤博、1975『管理会計―事例による解説と研究』実教出版。伊藤博、1992『管理会計の世紀』同文舘出版。伊藤嘉博・目時壮浩、2021『異論・正論管理会計』中央経済社。岡本清、2000『原価計算』六訂版、国元書房。岡本清・廣本敏郎・尾畑裕・挽文子、2008『管理会計』中央経済社。小林啓孝、1997『現代原価計算講義』第2版、中央経済社。小林啓孝・伊藤嘉博・清水孝・長谷川惠一、2017『スタンダード管理会計』第2版、東洋経済新報社。清水孝、2006『上級原価計算』第2版、中央経済社。清水孝、2014『現場で使える原価計算』中央経済社。清水孝・長谷川惠一・奥村雅史、2004『入門原価計算』第2版、中央経済社。園田智昭、2021『プラクティカル原価計算』中央経済社。谷武幸、2022『エッセンシャル管理会計』第4版、中央経済社。提供:税経システム研究所
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2024/10/10 財務会計
IFRS第 18号「財務諸表における表示及び開示」(3)
本レポートでは、IASBより2024年4月に公表された会計基準IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示(PresentationandDisclosureinFinancialStatements)」(以下、IFRS18といいます)について解説しています。IFRS18は、とくに損益計算書に大きくかかわるものであり、国際会計基準を任意適用している日本企業にも影響を与えることとなります。なお、IFRS18は従来のIAS1「財務諸表の表示(PresentationofFinancialStatements)」(以下、IAS1ともいいます(注1))を置き換えるものであり、IFRS18の適用は2027年1月1日と規定されていますが、それより前の早期適用も認められています(注2)。4.「異常項目」「通例でない収益及び費用」今回のレポートでは、IFRS18公表の前段階として2019年12月にIASBより公表された公開草案ED/2019/7「全般的な表示及び開示(GeneralPresentationandDisclosures)」(以下、ED(2019)ともいいます(注3))において、元々提案されていた「通例でない収益及び費用(unusualincomeandexpenses)」についての、IFRS18における顛末を確認します。また、その関連事項として、IFRS18の前基準であるIAS1において禁止項目として規定されていた「異常項目(extraordinaryitems)」について、IFRS18ではどのように取り扱われているかについて確認します。(1)異常項目について以前のレポート「国際会計基準の公開草案「全般的な表示及び開示」(17)」で説明したように、IAS1では、「企業は、収益又は費用のいかなる項目も、純損益及びその他の包括利益を表示する計算書又は注記において、異常項目として表示してはならない」(par.87)と規定されていました。この「異常項目」についてIFRS18では言及されていませんが、IFRS18では損益計算書において営業・投資・財務といった区分が示されており(参照:IFRS第18号「財務諸表における表示及び開示」(1))、すべての収益・費用はIFRS18で示された区分のいずれかの区分に含まれることとされているため、「異常項目」のための新たな区分を作ることは禁止されているということになります(IFRS18,BC245)。つまり、IFRS18でもIAS1と同様に、損益計算書において「異常項目」を区分して表示することは認められていないということです。(2)通例でない収益及び費用について①定義付けの試み【参照:「国際会計基準の公開草案「全般的な表示及び開示」(16)」】ED(2019)では、上記の「異常項目」とは異なるものとして、「通例でない収益及び費用」を以下のように定義することが試みられていました。■「通例でない収益及び費用」の定義●予測価値が限定的な(limitedpredictivevalue)収益及び費用↓予測価値が限定的な場合とは?●種類及び金額が類似している収益又は費用(similarintypeandamount)が将来の数事業年度について生じないであろうと予想することが合理的(reasonable)である場合出所:(ED(2019),par.100)②単一の注記における開示【参照:「国際会計基準の公開草案「全般的な表示及び開示」(20)」】ED(2019)では、上記のように定義づけされた「通例でない収益及び費用」を、単一の注記において開示しなければならないことが提案されており、その内容として以下が示されていました(ED(2019),par.101)。■「通例でない収益及び費用」の注記において開示すべき内容●通例でない収益や費用自体について各項目の金額当該項目を生じさせた取引やその他の事象の説明的記述通例でない収益や費用の項目が含まれている財務業績の計算書における科目名●当該項目と種類および金額が類似している収益や費用について将来の数事業年度について生じないと見込まれる理由③IFRS18における顛末以上のようにED(2019)では「通例でない収益及び費用」について積極的に定義し、単一の注記において開示すべき具体的内容についても提案されていました。しかしIFRS18では一転して、この「通例でない収益及び費用」についての規定がなくなっています。この点についてIFRS18における「結論の背景」という箇所を確認すると、「通例でない収益及び費用」については、その定義自体を巡りさまざまな意見があり、それらを解決することが難しかったこと、この定義の開発についてこれ以上の時間をかけるとIFRS18の公表が遅れてしまうことから、今回は「通例でない収益及び費用」については見送られたという事情がわかります(IFRS18,BC409‐BC411)。つまり、IFRS18では「通例でない収益及び費用」についての定義は示されておらず、また、「通例でない収益及び費用」を単一の注記において開示することも要求されていないわけです。ただし、これは時間的制約もあり見送られた議論でもあると考えられますので、将来的に再度、IFRS18が見直される事となる時には、改めて議論されることも想定されます。今回のレポートでとりあげた「異常項目」「通例でない収益及び費用」は、日本の会計基準における「特別損益」と類似するものであるため、今後の動向にも注目しておく必要があるでしょう。<注釈>本レポートでは、以下の会計基準および日本語訳を、一部修正のうえ引用。InternationalAccountingStandardsBoard.2014.PresentationofFinancialStatements.InternationalAccountingStandardNo.1.IASB.(IAS1)(IFRS財団(編集),企業会計基準委員会・財務会計基準機構(監訳).2018.『IFRS®基準2018』中央経済社.)PrimaryFinancialStatements,FinalStage[https://www.ifrs.org/projects/completed-projects/2024/primary-financial-statements/#final-stage](accessedon2024/08/20)本レポートでは、以下を一部修正のうえ引用。InternationalAccountingStandardsBoard.2019.GeneralPresentationandDisclosures.ExposureDraftED/2019/7.IASB.*本基準の日本語訳については、以下のページより入手。[https://www.asb-j.jp/jp/iasb_activity/press_release/y2019/2019-1217.html](accessedon2024/9/20)提供:税経システム研究所
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2024/09/26 財務会計
2015年改訂版 中小企業向け国際財務報告基準(18)
1.はじめにこのシリーズでは、2015年に国際会計基準審議会(InternationalAccountingStandardsBoard:IASB)が公表した「改訂版中小企業向け国際財務報告基準」(以下、「中小企業向けIFRS(2015年版)」という)について解説しています。2022年9月に、IASBは、公開草案「中小企業向け国際財務報告基準(第3版)」(以下、「公開草案(第3版)」という)を公表しており、本シリーズでも、適宜「公開草案(第3版)」に触れています。2024年2月に、IASBは「公開草案(第3版)の補遺」(AddendumtotheExposureDraftThirdeditionoftheIFRSforSMEsAccountingStandard)という公開草案を公表しています(コメントの締切りは2024年7月31日)。今回は、収益の会計処理について、「公開草案(第3版)」の第23章「顧客との契約から生じる収益」の続きを説明します。「公開草案(第3版)」は、IFRS第15号における考え方が取り入れられています(注1)。前号で説明したように、企業は、顧客との契約から生じる収益の認識モデルを適用するにあたっては、次の5つのステップを取る必要があります(23.3項)。今回は、ステップ1を詳しく説明します。なお、IFRS第15号で用いられているperformanceobligation(履行義務)については、「公開草案(第3版)」ではpromiseを用いることが提案されています。ステップ1顧客との契約の識別ステップ2履行義務の識別ステップ3取引価格の算定ステップ4取引価格の履行義務への配分ステップ5履行義務の充足時の収益認識2.ステップ1顧客との契約の識別(1)契約の識別企業は、以下の要件をすべて満たす場合にのみ、顧客との契約の会計処理に収益認識モデルを適用する必要があります(23.6項)。契約とは、強制力のある権利と義務を生じさせる複数の当事者間での合意と定義されています。契約の当事者が契約を承認しており、それぞれの義務の履行を確約している。企業が、移転すべき財またはサービスに関する各当事者の権利を識別できる。企業が、移転すべき財またはサービスに関する支払条件を識別できる。契約に経済的実質がある。企業が、顧客に移転する財またはサービスと交換に権利を得ることとなる対価を回収する可能性が高い(注2)。顧客との契約が取引開始時点で23.6項の要件を満たす場合は、関連する事実と状況に重要な変化の兆候があった場合に限り、その要件を満たすかどうかの再評価が必要になります。顧客との契約が23.6項の要件を満たさない場合は、企業は顧客から受領した対価を負債として当初認識し、要件を満たすまで契約の再評価を継続します(23.9項)。この場合、企業は、次のいずれかに該当するときは、当初に負債として認識した対価を収益として認識します(23.10項)。契約が完了し、顧客が約束した対価のすべてまたは実質的にすべてを受け取っており、顧客への返金は不要である。契約が解約されており、顧客から受け取った対価の返金が不要である。(2)契約の結合同一の顧客(または顧客の関連当事者)と同時にまたはほとんど同時に締結した契約について、次のいずれかの要件を満たす場合は、複数の契約を結合し、単一の契約として会計処理します(23.12項)。複数の契約が、単一の商業的目的を有するパッケージとして交渉されたものである。1つの契約において支払われる対価の額が、他の契約の価格または履行に影響される。複数の契約で約束した財またはサービスが、23.16項から23.24項に従うと単一の履行義務である。(3)契約変更契約変更は、契約当事者が承認した契約の範囲または価格(またはその両方)の変更であり、強制力のある権利と義務を新たに生じさせるか、またはすでに存在する強制力のある権利と義務を変更するものです(23.13項)。契約変更の会計処理は、「いまだ移転していない財またはサービス」が「契約変更日以前に移転した財またはサービス」と別個か否かによって変わります。両者が別個の場合は、既存の契約を解約し、新契約を締結したものと仮定して処理します(23.14項a)。一方、両者が別個でない場合は、契約変更を既存の契約の一部であると仮定して会計処理します(注3)(23.14項b)。ただし、次の2つの要件をいずれも満たす場合は、23.14項aの代替として、契約を解約させる代わりに契約変更を独立した契約として会計処理することも選択できます(23.15項)。別個の財またはサービスの追加により、既存の契約の範囲が拡大される。独立販売価格相当分の対価の増額がある。以上、見てきたようにステップ1「顧客との契約の識別」については、「公開草案(第3版)」、IFRS第15号および企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」内容に大きな差はないと言えるでしょう。(4)設例ここでは、企業会計基準委員会(ASBJ)が公表した「収益認識に関する会計基準の適用指針」の設例(IFRS第15号の設例を基礎とした設例)のうち、設例4「累積的な影響に基づいて収益を修正する契約変更」を示します。この設例は、「いまだ移転していない財またはサービス」が「契約変更日以前に移転した財またはサービス」が別個でない場合です。なお、説明の簡便化と紙幅の都合上、原文で記載されていた文言や条件を一部削除しています。【前提条件】A社(建設会社)は、X1年度に、B社(顧客)の所有する土地にB社のための商業ビルを建設する契約をB社と締結した。契約における固定対価は1,000,000千円であるが、建物が24か月以内に完成した場合には、A社は200,000千円の割増金を受け取る。A社は、諸条件に鑑みて200,000千円の割増金は取引価格に含めないこととした。契約における取引開始日のA社の見積額は次のとおりであった(単位:千円)。工事収益総額(取引価格)1,000,000見積工事原価700,000見積工事利益(30%)300,000A社は、B社が建設中の建物を支配しており、単一の履行義務として処理するものと判断した。また、履行義務の充足に係る進捗度を適切に見積ることができると判断した。X1年度末までに発生した原価は420,000千円であった。X2年度の第1四半期に、A社とB社は、契約を変更することに合意した。その結果、固定対価は150,000千円、見積工事原価は120,000千円増加し、契約変更後の対価の総額は最大で1,350,000千円(=固定対価1,150,000千円+割増金200,000千円)となった。なお、X2年度の期首から契約変更時までに原価は発生していない。契約変更により、A社が割増金の200,000千円を受け取る条件となる期間も6か月延長され、建物が30か月以内に完成した場合に変更された。A社は、当該契約変更日において、諸条件に鑑みて200,000千円(当該割増金の額)を取引価格に含める判断をした。A社は、当該契約変更を評価する際に、変更後の契約により移転する残りの財またはサービスが、契約変更日以前に移転した財またはサービスと別個のものではないと判断し、この契約を引き続き単一の履行義務として処理すると判断した。【会計処理】X1年度における工事収益の計上契約変更時<注釈>「結論の根拠(BasisforConclusions)」では、IFRS第15号と整合させるために現行の第23章を完全に改訂するか一部を修正するかの議論があったが、財務諸表利用者と作成者にベネフィットをもたらすので、IFRS第15号と整合させるという結論になったことが説明されています(BC184-190)。一方で、修正された第23章を適用するのにかかるコストを減らすための簡素化も示されています(BC191)。この要件は、支払日に顧客が対価を支払う能力と意思を有している場合に満たされます(23.7項)。この処理は、累積的キャッチアップ方式(累積的な影響に基づいて修正する方式)と呼ばれます。(4)設例も参照ください。提供:税経システム研究所
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2024/09/19 管理会計
中小企業も知っておきたい! 事例でつかむESG経営と管理会計(23)
1.人的資本経営の現状前回のリポートでは、人的資本投資の効果を長期的に測定する指標としての人的資本ROIについてご紹介させていただきました。人的資本ROIは、人的資本経営に関する国際標準規格であるISO30414にも採用されている指標であり、営業利益を人的資本投資額で除すことによって、人的資本投資が営業利益をどの程度生み出すことに寄与しているのかを明らかにすることができます。人的資本ROIは、人的資本投資を行った結果として、どの程度のリターンが生まれたのかを明らかにすることには役立ちますが、人的資本投資を行うべきか否か、もしくは、どのようなプロジェクトに投資をすべきかについての意思決定の判断基準を提供するものではありません。現在、人的資本経営に関して各社どのような取り組みを行っているかについて、十数社にインタビュー調査をさせていただいていますが、人的資本経営の重要性を認識する企業が増えている一方で、人的資本経営を、社内のマネジメントシステム、具体的には、業績評価、予算、投資判断のルールなどへの落とし込みができている企業は極めて少ないのが現状のようです。多くの企業は人的資本情報の開示への対応に奔走し、情報の収集や開示書類の作成で手一杯といった状況です。しかし、一歩先を行く企業では、人的資本経営を通じて企業価値を高めるべく、人的資本と財務成果を有機的に結びつける工夫がなされています。今回のリポートでは、その一例である丸井グループの取組みをご紹介させていただきます。2.人的資本と財務成果の有機的連携丸井グループは、人的資本を「企業価値創造の主体」として位置づけ、人的資本投資を企業の成長と持続可能な発展に直結させるための重要な投資と捉えています。従業員のスキルアップやエンゲージメントの強化を通じて長期的な企業価値の向上を図るべく、人的資本投資と財務成果の有機的な連携を重要視しているのです。具体的には、人的資本に関する重要業績指標(これをインパクトKPIと呼称しています)と、これによって生み出すことが期待される財務価値を明確化し、インパクトKPIが財務価値の創出にどのように(またはどの程度)結びついているのかについて、ロジックモデル(注1)と呼ばれる手法を用いてその因果関係を可視化し、両者の関係を測定・管理しようとしています。丸井グループは、「IMPACTBOOK2023」(注2)において、インパクトKPIが、利益や資本効率などの財務成果に結びつくのかについて説明しています。そのなかで、人的資本投資については、図1のような因果関係が描かれています。図1人的資本投資に関するインパクトKPI,財務価値,ロジックモデル出典:丸井グループIMPACTBOOK2023をもとに筆者作成3.ハードルレートを上回る人的資本投資丸井グループでは、投資の実行において高い投資判断の基準(ハードルレート)を設定しています。具体的には、有形財の投資を実行する際、株主資本コストを超える内部収益率(InternalRateofReturn:IRR)(注3)である、IRR10%を超えることを要求していますが、当該ハードルレートは人的資本投資にも適用され、人的資本投資計画・実行の際にもIRRが計算されます。丸井グループは2024年3月期~2028年3月期の5年間で650億円の人的資本投資を行うことを計画していますが、当該投資によって創出される新事業・サービスによる限界利益(売上高-変動費)をリターンととらえ、IRRを計算したところ12.7%となり、10%の当社ハードルレートを超えていることが明らかにされています。丸井グループは、人的資本を中心とする無形資産投資を通じて、ROEを現在の10%から25%に、PBRを現在の1.7倍から5倍にまで拡大することを目論んでいます。掲げられている数値目標だけをみると、いささか無謀にも思えるのですが、人的資本を企業価値創出に結びつけようとする取り組みをみると、本気でこれを実現しようとする強い意志を感じざるを得ません。日本では、人的資本経営は開示レベルの問題だと認識している企業が少なくありません。しかし、グローバルなトップ企業においては、人こそが企業経営の源泉であり、人を活かすことができなければ成長はないとすら認識されているのです。欧米企業と日本企業の間の企業価値ギャップはすでに数十倍から数百倍にまで拡大しつつあります。人的資本をバネに企業価値を増大させるためには、人への投資を将来的な財務価値に結び付けるべく、マネジメントシステムとの有機的連携を図ることがカギになりそうです。<注釈>ロジックモデルとは、ある取り組みやプロジェクトが目標を達成するまでのプロセスを、因果関係を示しながら論理的に整理した図やフレームワークのことをいいます。このモデルは、投入資源(インプット)から活動(アクティビティ)、そしてその結果として生じる成果(アウトプット)、さらに最終的に達成したい目標やインパクト(アウトカム)までを一連の流れとして可視化することで、最適なインプットのもとで成果が生み出されるプロセスをマネジメントすることに役立ちます。ロジックモデルは、政策評価など、行政組織のマネジメントシステムにおいても活用されています。https://www.0101maruigroup.co.jp/ir/pdf/impactbook/2023/impactbook_all.pdfIRRは、将来のキャッシュフローの現在価値が初期投資額と等しくなる割引率を指し、一般的に、IRR>資金調達コスト(資本コスト)となることが求められる。提供:税経システム研究所
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2024/09/12 管理会計
企業が生き残るための製品・サービスの原価計算の勘所(12)
1.利益公式の一歩先前回の(11)では、目標営業利益達成のための計算式として、(1)式の「利益公式」を紹介しました。売上高予算-目標営業利益=許容原価・・・(1)おさらいですが、利益公式は、目標営業利益を達成するために、「利益先取り」の形式で売上高から目標営業利益を差し引き、許容原価を計算しました。許容原価は、「許容できる費用の上限額」です。売上高予算を達成する前提で、営業利益の計算に関連する「売上原価と販売費及び一般管理費の合計」を、「許容できる費用の上限額」に収めることができれば、目標営業利益を達成することになります。利益公式は、売上高予算の達成を前提としているのですが、企業環境の変動が激しい現代にあっては、実績が必ずしも売上高予算どおりになるとは限りません。その点にやや不確実な要素が内在しています。そこで、伊藤[1975,p.82]では、利益公式をもう一工夫して、(2)式のように変形することを提唱しています(注1)。目標営業利益=売上高予算-許容原価・・・(2)この(2)式の考え方は、伊藤[1975,p.82]において、「当初においては、利益計画は、即、原価管理(コスト-コントロール)の問題でもあったといえる。今日でも、後者が前者の主要な部分領域を構成していることに変わりはない。しかし、今日では原価管理にさえ成功すれば利益業績が改善されるという安易な条件は存しない。そこで、先の考え方をさらに一歩前進させて、次のように、利益そのものを売上高もともに事前において計画の対象とする」と説明されています。この指摘は、重要なポイントです。原価計算の領域では、原価管理、すなわち「売上原価と販売費及び一般管理費の合計」を「許容できる費用の上限額」に収めることは、重要な課題であることは自明です。一方、むしろ管理会計の領域の論点なのですが、売上高を予算どおりにコントロールするという意味での「収益管理」は、予算管理のなかでも重要性をもちます。予算と実績の比較分析において、売上高の分析では、比較損益計算書による項目間の増減を検討するだけでなく、販売単価の変動による売上高の増減と販売数量の変動による売上高の増減にわけて分析することから、収益の管理を重要視していると理解できます。2.営業利益を確保する別の論点もう一つ別の論点をご紹介します。ビジネス界では、「粗利(益)」である「売上総利益」に注目した発言がよく聞かれます。とりわけ、商品販売業では「粗利(益)」を重要視している傾向があると思います。ここで、またおさらいですが、売上総利益は(3)式のように計算します。売上高-売上原価=売上総利益・・・(3)ところが、「本業での儲け」である営業利益は、(4)式のように計算しています。売上高-売上原価-販売費及び一般管理費=営業利益・・・(4)さらに、(3)式と(4)式から、(5)式のように考えられます。売上総利益-販売費及び一般管理費=営業利益・・・(5)(5)式は、売上総利益(粗利(益))から販売費及び一般管理費を引くと営業利益になるということなのですが、重要なポイントであると思っています。3.利益公式―目標利益達成のための計算式具体的な数値を用いて考えてみましょう。ある年度の利益計画または予算において、目標とする売上高予算を100億円と設定したとします。目標営業利益率は25%ですから、目標営業利益は25億円です。そして、25億円の目標営業利益を達成するためには、「売上原価と販売費及び一般管理費の合計」を売上高予算の75%、つまり、75億円にする必要があります。これらの金額を(4)式にあてはめてみると、(5)式となります。100億円-75億円=25億円・・・(5)参考文献伊藤博、1975『管理会計―事例による解説と研究』実教出版。伊藤博、1992『管理会計の世紀』同文舘出版。伊藤嘉博・目時壮浩、2021『異論・正論管理会計』中央経済社。岡本清、2000『原価計算』六訂版、国元書房。岡本清・廣本敏郎・尾畑裕・挽文子、2008『管理会計』中央経済社。小林啓孝、1997『現代原価計算講義』第2版、中央経済社。小林啓孝・伊藤嘉博・清水孝・長谷川惠一、2017『スタンダード管理会計』第2版、東洋経済新報社。清水孝、2006『上級原価計算』第2版、中央経済社。清水孝、2014『現場で使える原価計算』中央経済社。清水孝・長谷川惠一・奥村雅史、2004『入門原価計算』第2版、中央経済社。園田智昭、2021『プラクティカル原価計算』中央経済社。谷武幸、2022『エッセンシャル管理会計』第4版、中央経済社。<注釈>伊藤[1975,p.82]で提唱している式では、「利益=売上高-原価」と表記しています。提供:税経システム研究所
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2024/09/05 財務会計
新たなリース会計基準への動き(35)
はじめに2023年5月2日付けで、企業会計基準委員会より、公開草案として、「リースに関する会計基準(案)」(以下、リース会計基準案)と「リースに関する会計基準の適用指針(案)」(以下、リース会計適用指針案)が公表されました。既に公開草案が公表されてから1年以上が経過しているものの、多くのパブリック・コメントが寄せられ、それらへの対応に時間を要しているために、2024年8月中旬においても、未だ基準化は行われていません。今回は、前回に続いて、改正後のリース会計基準(以下、新リース会計基準)等の適用に関わる経過措置等について、紹介します。12.経過措置(2)つづき~新リース会計基準を適用する際の経過措置~<3>借手側・ファイナンス・リース取引に分類していたリース適用初年度期首前より新たな会計方針を遡及適用したならば生じるであろう適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用した場合(以下、適用初年度期首剰余金を修正する場合)、借手は、ファイナンス・リース取引に分類していたリースについては、リース資産及びリース負債の帳簿価額のそれぞれを適用初年度期首の帳簿価額とすることができるとされています(リース会計適用指針案、par.116)。ただし、それぞれの帳簿価額に残余保証額が含まれているときには、その金額は適用初年度期首における借手による支払見込額に修正しなければなりません。・オペレーティング・リース取引に分類していたリース適用初年度期首剰余金を修正する場合、借手は、オペレーティング・リース取引に分類していたリースについては、次の会計処理ができるものとされています(リース会計適用指針案、par.117)。適用初年度期首における借手のリース料残額を、借手の追加借入利子率を用いて割り引いた現在価値により、リース負債を計上。リース1件ごとに、次のいずれかで算定された使用権資産を計上リース開始日から新たな会計基準を適用していたとした場合に算定される、使用権資産の帳簿価額(適用初年度期首の借手の追加借入利子率を適用)またはリース負債と同額(前期末の前払または未払リース料の金額の分だけ修正)適用初年度期首の使用権資産については、減損処理の対象。少額リースについて簡便的処理を行う場合は、修正なし・セール・アンド・リースバック取引売手である借手は、適用初年度期首前に締結されたセール・アンド・リースバック取引については、次のとおり取り扱うものとされています(リース会計適用指針案、par.120)。借手による資産の譲渡については、売却に該当するか否かの見直しなしリースバックを、適用初年度期首に存在する他のリースと同様に会計処理リースの対象となる資産の売却に伴う損益を、長期前払費用または長期前受収益等として繰延処理を行い、リース資産の減価償却費の割合に応じて減価償却費に加減算することで損益計上する取扱いを適用している場合には、継続適用<4>貸手側・ファイナンス・リース取引に分類していたリース適用初年度期首剰余金を修正する場合、貸手は、ファイナンス・リース取引に分類していたリースについて、リース資産及びリース負債の帳簿価額のそれぞれを適用初年度期首の帳簿価額とするとされています(リース会計適用指針案、par.125)。こうしたリースについては、適用初年度期首より、新たな会計基準を適用してリース債権及びリース投資資産について会計処理を行うことになります。ただし、貸手における製作価額または現金購入価額(いわば、取得原価)と借手に対する現金販売価額の差額である販売益を割賦基準により処理をしている場合には、その繰延販売利益の帳簿価額を適用初年度期首の利益剰余金に加算することになります(リース会計適用指針案、par.125)。・オペレーティング・リース取引に分類していたリース適用初年度期首剰余金を修正する場合、貸手は、オペレーティング・リース取引に分類していたリースについて、適用初年度期首に締結された新たなリースとして、新たな会計基準を適用することになります(リース会計適用指針案、par.126)。・サブリース取引適用初年度期首剰余金を修正する場合、貸手は、中間的貸手がヘッドリースに対してリスクを負わない場合に適用される例外的な取扱いを除いて、次の修正を行うことが求められています(リース会計適用指針案、par.127)。適用初年度期首におけるヘッドリース及びサブリースの残りの契約条件に基づいて、サブリースがファイナンス・リースかオペレーティング・リースかの判断を行うこと。上記(1)により、ファイナンス・リースに分類された場合、そのサブリースを適用初年度期首に締結された新たなファイナンス・リースとして会計処理を行うこと。13.適用時期についてリース会計基準案では、基準として公表してから2年程度経過した4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの適用とし、早期適用を認めることが示されています(リース会計基準案、par.56)。そして2024年7月30日開催の企業会計基準委員会において、重要な会計処理の変更が生じること及び公開草案の公表から1年以上経過していることを踏まえて、原則的適用時期について、2027年4月1日以後開始する連結会計期間及び事業年度の期首から適用することが、事務局から提案されています。提供:税経システム研究所
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