アウトライン審査事例
国税不服審判所が示した審査請求事件の裁決例は、正確な税務処理を行っていくうえで見落とせません。アウトライン審査事例では実務家の皆様にとって実用性の高い裁決事例を簡潔に紹介。併せて、参照条文も記載しておりますので、実務上の判断の一助としてお役立てください。
1213 件の結果のうち、 1 から 10 までを表示
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2026/05/25
登記官が間違えるときもある。地目変更され、近隣に類似する土地がない土地の登録免許税の課税標準は、固定資産税評価基準により算出するとした事例(一部取消し)
【裁決のポイント】所有権移転等の登記申請書には、課税標準と登録免許税の額を記載する。課税標準は、固定資産台帳の登録価格で、市町村から届く固定資産課税明細書に「価格」又は「評価額」と表記されている(1,000円未満の端数切捨)。「固定資産税課税標準額」ではない。登録価格がない場合は、当該不動産に類似し、かつ、登録価格がある不動産の金額を基礎とした登記官認定額が課税標準となる。審査請求人が令和5年12月に購入した本件土地は、同年11月に地目が田から雑種地に変更されていたが、審査請求人はその年の1月1日現在の登録価格を課税標準として登録免許税を計算し納付した。登記官は地目変更があったことから、本件土地に隣接する雑種地を認定土地として選び、登記官認定額に基づく登録免許税との差額の納付を求め、審査請求人は応じた。しかし、登記官認定額が本件土地の令和6年度の登録価格より高かったため、審査請求人は、認定土地は本件土地とは接道状況が大きく異なる、近隣のf町土地を選択するのが合理的であると、税務署に還付通知をすべき旨の請求をするが、認められなかった。国税不服審判所は、認定土地は接道状況等が大きく異なり適切でない、f町土地には類似性が認められないと判断し、固定資産評価基準によって本件土地の価額を求め、登録免許税の過誤納が認められるとして処分の一部を取消した事例である。(登録免許税の還付通知をすべき理由がない旨の通知処分・一部取消し・令和7年2月18日裁決)【主な争点】本件登記官認定額は、登録免許税の課税標準たる本件各土地の価額として過大か。【裁決の要旨】登録免許税法施行令附則第3項は、台帳登録価格のない不動産についても、飽くまで台帳登録価格に依拠してその価額を算出することにより、台帳登録価格のある場合とない場合とで、課税の公平や価額の均衡を図ることにあると解するのが相当である。なお、類似不動産が存在しない場合又は類似不動産が把握できない場合には、他の合理的な方法により求めた登記の時の価額を課税標準たる不動産の価額(時価)とするものと解するのが相当と認められるが、台帳登録価格のない不動産について、固定資産評価基準(地方税法第388条第1項)によってその価額を算出し、その算出した価額が時価を表さないといえるような特段の事情がない限り、当該価額をもって登録免許税の課税標準たる不動産の価額と解するのも、登録免許税の課税標準たる不動産の価額を台帳登録価格に基づいて求めることとしている理由にかなうものとして相当であると認められる。本件土地と本件認定土地は市街化調整区域内において隣接し、地目が一致しているが、本件土地に面する水路には路線価の付設がないことからすると、接道の状況及びその面する街路に係る路線価の付設の状況において大きく異なっている。本件登記官認定額は、本件土地の価額を合理的な方法により算定しているものとは認められない。f町土地は、土地の地積、形状等及び固定資産評価に適用される路線価において本件土地との類似性は認められないから、本件土地の類似不動産であるとはいえない。そして、本件土地の価額を固定資産評価基準によってその価額を算出することに、本件土地の時価を表さないといえるような特段の事情があるものとは認められない。したがって、本件土地の価額は○○○○円とするのが相当であり、過誤納に係る部分は違法であるから、当該部分を取り消すべきである。【参照条文】登録免許税法第10条《不動産等の価額》、第31条《過誤納金の還付等》登録免許税法附則第7条《不動産登記に係る不動産価額の特例》登録免許税法施行令附則本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/05/18
概算払された国庫補助金は返還不要が確定済!国庫補助金の額が確定した日でなく、実際に概算払の交付を受けた日の属する事業年度で収益計上すると判断された事例(一部取消し)
【裁決のポイント】国庫補助金等は、その収入すべき権利が確定した日の属する年度の益金の額に算入する。原則として、国庫補助金等の交付決定がされた日の属する事業年度である。しかし、書類審査や現地調査等を経て、補助事業完了後に交付すべき補助金の額が確定される場合には、原則として、補助金の額が確定した旨の通知があった日の属する事業年度となる。審査請求人は、固定資産の取得のために国庫補助金を申請し、交付が決定され(令和2年3月期)、概算払があり(令和3年3月期)、補助事業完了後に補助金の額が確定、交付済との差額が支給された(令和4年3月期)。審査請求人は、取得した固定資産について圧縮損を損金算入するための別表十三(一)を添付したが、一つの勘定科目で補助金の額(貸方)と圧縮損の額(借方)を同額で計上したため、残高0となって、損益計算書には補助金の額も圧縮損の額も記載されていなかった。税務署は、概算払の補助金について、補助金の額が確定した令和4年3月期の益金に算入すべきとして更正処分等を行った。国税不服審判所は、審査請求人の経理処理では補助金が益金の額に算入されていない、概算払された補助金は、払い過ぎの返金が求められないものであるから、実際に交付を受けたときに収入すべき権利が確定しているとして、処分の一部を取消した事例である。(令和3年3月期、令和4年3月期の各事業年度の法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分、他・一部取消し、他・令和6年3月15日裁決(非公開))【主な争点】本件補助金の額は事業年度の益金の額に算入されていたか。【裁決の要旨】審査請求人は、国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入の規定の適用を受ける意思であったことは見て取れるものの、審査請求人の主張によっても、本件補助金の額は益金の額に算入されていないこととなる。ある収益をどの事業年度に計上すべきかは、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり、これによれば、収益は、その実現があった時、すなわち、その収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金の額に算入すべきものと解するのが相当である(最高裁平成5年11月25日判決)。本件補助金の概算払については、補助事業が実際に完了した部分に応じて交付されるものであり、原則として、払い過ぎにより返還を求めることはないこと、提出された概算払請求書等につき、補助事業終了後に本件補助金を交付する場合と同様に書類の審査等を行い、不備がなければ概算払をすることとされていることからすれば、本各補助金が概算払により交付された場合は、当該交付を受けたときに、本件補助金の収入すべき権利が確定したと解するのが相当である。したがって、概算払により交付を受けた本件補助金の額については、実際に交付を受けた日の属する令和3年3月期に収益計上し、益金の額に算入されるべきであり、令和4年3月期の益金の額に算入されるとした原処分には誤りがある。【参照条文】法人税法第2条《定義》、第22条(第二款各事業年度の所得の金額の計算の通則)、第42条《国庫補助金等で取得した固定資産等の圧縮額の損金算入》法人税法施行令第80条《国庫補助金等で取得した固定資産等についての圧縮記帳に代わる経理方法》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/05/11
売上を1,000万円以下に調整し続け、税務調査に。真実の売上を示したことで所得税は過少申告加算税、しかし消費税は重加算税対象と判断された事例(一部取消し、棄却)
【裁決のポイント】重加算税を課するためには、過少申告行為又は無申告行為そのものとは別に、「隠蔽又は仮装と評価すべき行為が存在」し、これに基づき過少申告行為又は無申告行為されなかったことを要する。判例でさらに、納税者が「当初から過少申告又は無申告を意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づき、過少申告行為又は無申告行為をした」場合には、重加算税の賦課要件を満たすという基準が示されている。審査請求人は清掃事業者で、各年分の売上をノートに正確かつ網羅的に記載していたが、将来の不安から、税の支払いを少なくしたいと考え、また、消費税を納めなくて済むよう、真実の売上高を記載した青色決算書の下書きから、売上高を1,000万円以下に調整した決算書を作成して所得税申告を行っていた。税務調査時にノートを提出したが、税務署が、所得税の修正申告、消費税の期限後申告の両方に重加算税が課したことから、審査請求人は、どちらも単なる過少申告にすぎないと主張した。国税不服審判所は、所得税については過少申告と認めて処分の一部を取消し、消費税については、基準期間の課税売上高を減らして免税事業者を装ったとして重加算税の賦課決定処分は適法と判断した事例である。(①令和元年分から令和4年分までの所得税等に係る重加算税の各賦課決定処分・一部取消し、②令和3年及び令和4年の各課税期間の消費税等に係る重加算税の各賦課決定処分・棄却・令和7年4月11日裁決)【主な争点】審査請求人に、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったか。【裁決の要旨】①隠蔽又は仮装の行為の有無について、②当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動があったか否かについて検討する。1)所得税等①正確かつ網羅的に記載されている本件ノートを破棄せず保存し、調査において提出していることを踏まえると、下書用決算書の処分をもって隠蔽と評価することは困難である。②調査担当職員に対して真実の所得金額を隠蔽する態度、行動をできる限り貫こうとしたと評価し得る事情は認められず、これを外部からもうかがい得る特段の行動と評価することは困難である。したがって、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。2)消費税等①売上金額を1,000万円以下となるように調整した令和元年分及び令和2年分の所得税青色申告決算書及び所得税等の確定申告書をそれぞれ作成し、提出した行為は、消費税の免税事業者の適用を受けるために、国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠蔽又は仮装し、本件各課税期間における消費税等の納税義務がないかのように装うものであることから、審査請求人の一連の行為は、消費税等における隠蔽又は仮装と評価すべき行為に該当すると認められる。②重加算税の賦課要件を満たす以上、請求人の行為が消費税等の無申告の意図を外部からもうかがい得る特段の行動といえるか否かを検討するまでもない。【参照条文】国税通則法第68条《重加算税》消費税法第2条《定義》、第5条《納税義務者》、第9条《小規模事業者に係る納税義務の免除》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/05/11
目当ては土地。当初から建物は壊す計画で土地建物を取得しているから、建物取壊し費用、裁判の弁護士費用等は、土地(借地権)の取得費に算入すべきと判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】所得税基本通達38-1《土地等と共に取得した建物等の取壊し費用等》は、土地(借地権を含む。)とその土地上の建物等と共に取得した後に、おおむね1年以内に建物等の取壊しに着手するなど、その取得の目的は土地の利用であることが明らかであると認められるときは、建物等の取得費用や取壊し費用は、土地の取得費に算入すると定めている。不動産賃貸業者の審査請求人は、貸地上に借地人の弟A名義の共同住宅があることから、建物収去と土地明渡しを求めてAを提訴し、建物と借地権をAから買い取る内容で和解した。裁判が進行中でも、審査請求人は顧問税理士を使者にして、近隣の保育園経営者J社に保育園敷地の提案をしており、Aと和解後、保育園の設置準備を理由に住人を退去させ、建物を取壊して更地に戻すとJ社に賃貸し始めた。審査請求人の不動産所得の計算上、必要経費に算入されている弁護士報酬、建物取壊し費用、移転補償料等の各費用について、税務署が、借地権の取得費に算入するとの処分を行ったため、審査請求人は、建物を不動産業者の査定額でAから取得している、建物の価値にも着目しており、所得税基本通達38-1と異なる事情があるなどと主張した。国税不服審判所は、当初から建物を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであり、各費用は本件借地権の取得費に算入すべきと判断した事例である。(令和元年分から令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分・棄却・令和7年5月20日裁決)【主な争点】本件各費用は、本件借地権の取得費か、不動産所得の必要経費か。【裁決の要旨】1)審査請求人の本件建物等の取得目的について審査請求人は、遅くとも平成31年3月には本件土地を保育園の敷地として利用することを計画し、Aとの和解成立時点において、本件建物に居住する賃借人を立ち退かせた上、本件建物を取り壊して本件土地を保育園の敷地とするために、本件借地権を利用する目的を有していたと認められる。このような目的は、本件和解前から交渉していたJ社に対して、本件土地の賃貸を開始したことからも裏付けられる。審査請求人の本件建物及び本件借地権の取得は、当初から本件建物を取り壊して本件借地権を利用する目的でされたものであることが明らかであると認められる。2)本件建物の取壊し費用、未償却残高、移転補償料について上記のとおり、本件借地権を利用するために要したものといえるから、本件借地権の取得費に算入すべきものである。3)本件弁護士報酬について土地の所有権等の存否に争いのある訴訟において、弁護士報酬を支払った場合、当該報酬は土地の取得に関連して発生した費用であるから、所得税法第38条第1項の規定により、土地の取得費に算入されることになる。審査請求人の主張は本件各費用を本件借地権の取得費に算入すべきかどうかの判断に影響するものではない。本件各費用は本件借地権の取得費に算入すべきである。【参照条文】所得税法第37条《必要経費》、第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》、第51条《資産損失の必要経費算入》所得税基本通達38-1《土地等と共に取得した建物等の取壊し費用等》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/27
裁判所の執行官。特別職の国家公務員であるが、俸給制度によらず手数料制度が採用されており、独立経営の事業所得者であると判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】裁判所執行官と公証人は手数料制の公務員とも言われる。執行官は裁判所法により地方裁判所に所属する裁判所職員であるが、収入は最高裁判所規則「執行官の手数料及び費用に関する規則」により定められ、たとえば、現在、差押え又は仮差押えの執行の手数料は、執行すべき債権の額により4,000円から15,500円、その目的を達することができない場合は3,000円であり、旅費は、1キロメートルにつき37円以内の割合において所属の地方裁判所が定め、宿泊料は行政職俸給表の五級の職と同額とされている。原則として兼業や副業はできない。本件の審査請求人は執行官で、手数料収入を給与収入、兼務庁勤務を命ぜられた場合の旅費・宿泊料は給与所得者の非課税所得として確定申告をしたところ、税務署からいずれも事業所得の収入であるとして更正処分を受けた。国税不服審判所は、執行官の職務内容から、支払義務者にもなる裁判所の指図を受けることなく、自己の責任と負担において独立採算的な体制のもとに運営されることになっており、自由職業と認められ、執行官の受ける手数料および費用の支払又は償還を受ける金額は、事業所得にあたると判断した事例である。(昭43年分所得税に対する処分、昭47年7月21日裁決)【主な争点】執行官が裁判所から受け取る手数料と旅費等は給与収入か、事業収入か。【裁決の要旨】執行官の収入は、裁判所法上で、執行官の給与体系において、他の国家公務員と異なる手数料制の職員であると宣言され、すなわち、執行官の職務行為に対する手数料については、法律により特にそれが個々の国家公務員たる執行官に帰属することとされたものであり、他の国家公務員のように国から定額の給与を受けるものではない。さらに執行官は、職務を執行にあたっては、職務の執行に必要な物および役務を調達しなければならず、このためには支払義務者にもなる裁判所の指図を受けることなく、自己の責任と負担において独立採算的な体制のもとに運営されることになっている。以上のことから執行官の職務内容を判断すると、執行官は特別職の国家公務員であるが、俸給制度によらず手数料制度を採用し、その職務の執行は反覆継続性を有し、かつ、執行官自身の計算において独立的に経営されているものであって、自由職業(物の用役又は人の役務を提供することを目的とするもの)と認められ、その所得は所得税法上「その他の事業」にあたるものと判断される。執行官が旅費・宿泊料として受ける金額は、事業遂行上の対価として「収入金額とすべき金額」に該当すると同時に、旅費・宿泊料として現に支払うべき金額については「所得を生ずべき業務について生じた費用」として必要経費に該当するものである。一般の国家公務員が「国家公務員等の旅費に関する法律」によって支給される旅費・宿泊料とは全く性格を異にするものであり、この点について請求人の主張には理由がない。【参照条文】所得税法第9条《非課税所得》、第27条《事業所得》、第36条《収入金額》所得税法施行令第63条《事業の範囲》本情報は、最高裁まで争われましたが、納税者の上告は棄却、事業所得として確定しています。消費税導入に伴い、執行官又は公証人の受け取る手数料は非課税とされました。提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/20
売掛金に形式上の貸倒れを検討する場合に注意。基本契約書等がなく、取引先に必要性が生じた都度、受注していた工事は、「たまたま取引」で、「継続的取引」でないと判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】売掛金は回収が滞っても、借用証書のある貸付金等と違い、直ちに債権確保手続きに入ることが事実上困難な事情があることから、法人税基本通達9-6-3(本件通達)は、一定期間取引停止後弁済がない場合等に形式上の貸倒れを認めている。その場合とは、(1)債務者との取引停止後1年以上経過している場合、(2)同一地域の売掛債権の総額が取立費用より少なく、督促しても弁済がない場合であり、(1)は、継続的な取引を行っていた債務者の支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合であって、たまたま取引を行った場合の売掛金には適用がない。本件の審査請求人は建設工事会社である。飲食業経営等のA社の代表者は親戚で同一地域に住んでおり、A社から頼まれる都度、各種工事を請け負い、代金請求をしてきた。審査請求人は、A社から過去3回の工事代金(本件売掛金)の支払いがないため、直近の工事をした期の申告期限である令和2年6月にはA社との取引が停止するに至ったと判断した。このことをA社には通知していない。そして審査請求人は、令和4年4月期に再度A社に請求をし、期末までに支払いがないため、貸倒損失として損金経理をした。しかし翌期にはA社からの別工事を受注し、その代金を回収している。税務署が、A社との取引は単発で継続的取引とはいえないとして本件通達の適用を認めないと、審査請求人は継続的取引に該当すると主張した。国税不服審判所は、A社に必要性が生じた都度の取引は「継続的な取引」とは認められず、A社との取引が停止したとも認められない、両代表者が同一地域に住んでおり(2)にも該当しないから、本件通達の適用は認められないと判断した事例である。【主な争点】本件貸倒損失は令和4年4月期において損金の額に算入されるか。【裁決の要旨】(1)A社と継続的な取引を行い、取引を停止したか審査請求人とA社との間には、建築工事の必要性が継続的にあることを前提とした基本契約書等のやり取り等はなく、審査請求人がA社から工事を継続的に請け負う関係にあったということはできず、むしろ、審査請求人とA社は、各工事の必要性が生じた都度、工事の受発注と代金の請求を行っていたとみるのが自然である。したがって、審査請求人とA社との間で行われた各工事は、本件通達に定める「継続的な取引」とは認められない。また、A社は本件売掛金を支払わなかったという点のみをもって、資産状況、支払能力等が悪化したとまでは認め難く、令和4年5月以降の審査請求人とA社との関わりからすれば、審査請求人が本件取引先との取引を停止したとは認められない。審査請求人が、本件通達に定める「継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った」とは認められない。(2)本件売掛金の総額がその取立費用に満たないか審査代表者とA社代表者はいずれも同一地域内に在住していることからすれば、本件売掛金は、本件通達に定める「法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない」とは認められない。したがって、本件通達の定めは適用されず、本件貸倒損失は令和4年4月期の損金の額に算入されない。【参照条文】法人税法第22条(第2款各事業年度の所得の金額の計算の通則)法人税基本通達9-6-3《一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/13
取引条件の中に答えはあった。課税仕入れの日を機械設備等の納品とその後の据付工事で区分することはできず、検収で全体が完了する一つの請負契約であると判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】「課税仕入れを行った日」は、原則として、表裏の関係である「資産の譲渡等の時期」の取扱いに準じて決まる。請負については、原則として、物の引渡しを要する請負契約においては、その目的物の全部を完成して相手方に引き渡した日、物の引渡しを要しない請負契約にあっては、その約した役務の全部を完了した日とされる(消費税法基本通達9-1-5)。また、事業者が機械設備等の販売に伴いその据付工事を行った場合は、その据付工事が相当の規模で、その据付工事に係る対価の額を合理的に区分できるときは、機械設備等と据付工事を区分して、それぞれにつき資産の譲渡等を行ったとすることができる(基本通達9-1-9)。事業者がこの取扱いによらない場合には、据付工事を含む全体の引渡しのあった日が資産の譲渡等の時期になる。本件の審査請求人は、A社に2件の太陽光発電設備導入を発注し、必要な機器が納品され、A社から受領した第1回分請求書を支払い、基本通達9-1-9によりその課税期間の課税仕入れと処理した。A社は前受金処理をしていた。翌課税期間に作業が完了し、審査請求人はA社に検収書を発行すると、第2回分請求書(残額)を受領して支払った。税務署は、一つの契約なので基本通達9-1-5により対価の全額が翌課税期間の課税仕入れになるとして更正処分等を行った。国税不服審判所は、各契約の取引条件に、機器についての納期や代金支払いの定め、機器搬入で所有権が審査請求人に移転する定めもないことから、基本通達9-1-5により判断されることになり、課税仕入れを行った日は翌課税期間と判断した事例である。(平成30年8月13日から平成31年3月31日課税期間の消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和3年3月23日裁決(非公開))【主な争点】各契約に係る課税仕入れの時期はいつか。【裁決の要旨】各契約には、各機器の搬入によって各機器の所有権及び危険負担が審査請求人に移転する旨の定めはなく、また、A社担当者の申述及び審査請求人代表者の答述からすると、A社が平成31年3月25日に各機器を搬入したことをもって、各機器の所有権及び危険負担がA社から審査請求人に移転したとは認められない。各契約においては、各機器の金額とそれ以外の金額を区分することができるが、第1回分請求書の合計金額である本件金員は、各機器の代金に対応するものとはなっていない。そうすると、各請求書に係る請求は、各契約に基づく各営農型太陽光発電設備導入サ-ビス料の合計金額の一部(取引条件で2回払いと定められたうちの発注時の請求分、内金)であって、各機器の代金の請求であるとは認められない。以上のことからすると、各契約は、A社が各営農型太陽光発電設備導入サ=ビスを完了させ、各営農型太陽光発電設備を請求人に引き渡すことを約する、それぞれ全体で一つの請負契約であり、各契約には各機器の販売取引は存していないため、審査請求人が主張する各機器の販売と据付工事が一体となった請負契約であるとは認められない。課税仕入れを行った日は、消費税法基本通達9-1-5を適用して、A社がその目的物の全部を完成させ、審査請求人に引き渡した日である。【参照条文】消費税法第2条《定義》、第30条《仕入れに係る消費税額の控除》消費税法基本通達11-3-1《課税仕入れを行った日の意義》、9-1-5《請負による資産の譲渡等の時期》、9-1-9《機械設備の販売に伴う据付工事による資産の譲渡等の時期の特例》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/04/06
「価値の減少しない美術品」とは、鑑賞対象としての部分がその価値のほとんどを占めるものとして社会通念上確立しているもの。納税者のスーパーカーは車本来の価値もあり「車両運搬具」と判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】譲渡所得の基因となる資産が「使用又は期間の経過により減価する資産」の場合は、資産の取得費の計算において、取得日から譲渡日までの期間の減価償却費の累積額(非業務用資産は減価の額)を控除する(所得税法第38条)。骨とうのように歴史的又は希少価値があり、代替性のないものや、美術関係の年鑑等に登載されている作者の工芸品等は、「時の経過によりその価値の減少しない資産」とされている(所得税基本通達2-14)。本件の審査請求人は、観賞目的でスーパーカー1台(本件車両)を1億3,000万円で購入し、車両ナンバーを付けず、28年後に売却した。申告がないため税務署は調査し、本件車両は「使用又は期間の経過により減価する資産」として取得費を計算して更正処分等を行った。審査請求人は、本件車両は自動車本来の効用を果たしていない、製造は3年間に53台のみで希少価値が高く代替性がなく、美術品と同様の性格であるから、時の経過により価値の減少しない資産に該当すると主張した。国税不服審判所は、本件車両は車であり、その価値は希少性のみでなく、車本来の機能にも置かれていることなどから、骨とう等に該当せず、「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するとした事例である。(令和元年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分並びに過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和7年6月24日裁決)【主な争点】本件車両は、所得税法第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》第2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当するか。【裁決の要旨】資産の価値は、原則として、個別具体的な事情や当該資産に対して納税者の置く主観的意義付けを離れて、その類型ごとに社会通念上想定される本来的な目的や効用という観点から判断すべきである。鑑賞以外の実用的な目的又は機能が想定される資産が、なお、「時の経過によりその価値の減少しない資産」に該当するといえるには、骨とうに類するといえる程度の長期間を経てもなお確立した高い価値を維持しているような場合等に限られる。本件車両は、自動車であるから、減価償却資産「車両及び運搬具」に該当し、原則として「時の経過によりその価値の減少しない資産」には該当しないものものというべきである。次に本件車両は、本件売却後に出品されたオークションの説明文において、総生産台数は53台であること及び高性能のエンジンを搭載し、スーパーカーとしての機能をもって公道を走行できることが掲げられていることからすると、希少性のみではなく、その搭載するエンジンや走行性能といった自動車本来の機能にも価値が置かれていることは明らかである。さらに、本件車両は、製造から28年程度しか経過していない。加えて、近年までのオークションにおける同種車両の落札価格の推移については、いまだ不確定な面があるといわざるを得ない。以上のことからすると、本件車両が、「骨とう」すなわち「古美術品、古文書、出土品、遺物等」に類するといえる程度の長期間を経てもなお確立した高い価値を維持しているような場合に当たると解することはできない。したがって、本件車両は、所得税法第38条第2項に規定する「使用又は期間の経過により減価する資産」に該当する。【参照条文】所得税法第2条《定義》、第38条《譲渡所得の金額の計算上控除する取得費》、第49条《減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法》所得税法施行令第6条《減価償却資産の範囲》、第85条《非事業用資産の減価の額の計算》所得税基本通達2-14《書画、骨とう等》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/23
これ、いま、誰のもの?滞納者のコレクションを保管していた審査請求人に引渡命令処分。事実関係から当該コレクションは滞納者に帰属すると判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】国税徴収法第58条《第三者が占有する動産等の差押手続》は、滞納者の動産等で第三者が占有しているものは、その第三者が引渡しを拒むときは、差し押さえることができないが、滞納者が他に換価が容易で、滞納国税の全額を徴収することができる財産を有しないと認められるときに限り、国税局長は、その第三者に対し、期限を指定して、当該動産等の引渡しを命ずることができると規定している。本件の滞納者はコレクターで、購入した物品を置くために審査請求人(同族会社に該当しない、第三者)を創業した。また滞納者は自分のコレクションを所有及び管理させるために資産管理会社B社を設立し、令和5年まで役員であったが、裁判所命令でB社の株式は共同管財人に移されて役員を解任された。それ以前の平成25年に、審査請求人は、B社と寄託契約を締結し、B社から滞納者のコレクションを寄託物として受領していた。その際、寄託物目録は作成されず、契約書上に所有者の定めもなかった。審査請求人は、税務署から保管しているコレクションの一部(本件動産)の引渡しを求められたが、滞納者とB社は平成23年に売買で本件動産の所有権はB社に移転済と主張するため、引渡しを拒否すると、引渡命令処分を受けた。審査請求人は本件動産の所有者はB社の可能性が高いと主張した。国税不服審判所は、滞納者の本件動産購入購入後の所有権移転の有無について検討し、引渡命令処分時において本件動産は滞納者の所有財産であったと判断した事例である。(財産の引渡命令処分・棄却・令和7年3月17日裁決)【主な争点】本件動産は、引渡命令処分時において本件滞納者の所有財産か。【裁決の要旨】本件動産の購入経緯や請求書等の宛名、支払名義等に照らせば、取引先から本件動産を購入したのは、本件滞納者であると認められ、取引先は、本件動産の購入者は本件滞納者であると認識している。その際の請求書は一番時期が早いもので平成25年○月に作成されており、本件滞納者がB社に売却した平成23年○月○日より後であると認めるのが相当である。そして、B社の設立時から平成26年12月31日までの財務諸表に計上されていた金額は、本件平成23年○月売買契約の売買代金である○○○○ドルから変動がなかったのであるから、当該事実は、平成26年12月31日までの間に、B社の所有物に変動がなかったことを示すものである。また、寄託契約書には、寄託物の帰属に関する定めはなく、そのほか、本件滞納者とB社との間で作成された売買契約書やB社から本件滞納者へ対価が支払われたことを示す入金記録等も見当たらない。以上のとおり、本件各動産は、本件滞納者が取得したものと認められ、その後、B社を含む第三者に譲渡したとは認められないから、本件動産は、引渡命令処分時において本件滞納者の所有財産であったと認められる。【参照条文】国税徴収法第58条《第三者が占有する動産等の差押手続》国税徴収法施行令第14条《無償又は著しい低額の譲渡の範囲等》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2026/03/16
宗教法人が寄附されたクラシックカー1台を売却。なお数十台所有中。今後も借入金返済のために売却する継続性が認められる等から、収益事業(物品販売業)と判断された事例(棄却)
【裁決のポイント】公益法人等については、収益事業を行う場合に限り、法人税を納める義務がある。収益事業とは、「販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるもの」をいう(法人税法第2条第13号)。宗教法人について、外形的に物品販売業の形態を有する事業が、収益事業に該当するかどうかは、内容が物品販売(蝋燭等)か喜捨等(お札やお守り等)か、また、その事業が民間企業と競合するものか否か等の観点を踏まえた上で、当該事業の目的、内容、態様等の諸事情を社会通念に照らして総合的に検討して判断される。本件の審査請求人は寺院である。平成18年頃にAからクラシックカー等40台とその保管場所の建物を寄附され、遠方のため、それらの維持管理等をAに任せていた。Aは寄附時点で2億円の価格がついた車両(本件車両)を修復して海外に売却先を見つけ、平成30年に審査請求人は売却して(本件行為)、売却代金を残高30億円以上の借入金の一部返済に充てた。税務調査時の令和3年には所有車両は50台以上に増え、多くはナンバープレートがなく、高額な費用をかけて維持管理されている状態であった。税務署が本件行為を収益事業の物品販売業と認定すると、審査請求人は、単発の取引で継続性はない、後世に残すための維持管理である、建物は展示場所で事業場でないと主張した。国税不服審判所は、審査請求人は今後も借入金返済のため、各車両を売却して売却益を得ることは容易に想定され、既存の施設を利用してその事業活動を行うものに該当するから、収益事業であると判断した事例である。(平成30年12月31日期の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分、他・棄却・令和5年12月14日裁決(非公開))【主な争点】本件行為は、法人税法第2条《定義》第13号に規定する「収益事業」に該当するか。【裁決の要旨】法人税法第2条第13号の「事業場を設けて行われるもの」には、常時店舗等のほか、必要に応じて随時設けられる場所又は既存の施設を利用してその事業活動を行うものが含まれる(法人税基本通達15-1-4《事業場を設けて行われるもの》)。「継続して‥‥行われるもの」には、各事業年度の全期間を通じて継続して事業活動を行うもののほか、例えば土地の造成及び分譲、全集又は事典の出版等のように、通常一の事業計画に基づく事業の遂行に相当期間を要するものが含まれる(法人税基本通達15-1-5《継続して行われるもの》)。クラシックカーの売却は1台のみであるから、本件行為が事業としての継続性を有するか否か、本件行為に伴う財貨の移転が物品販売の対価の支払いか、また、宗教法人以外の法人の一般的に行う事業と競合するものが問題となる。審査請求人は、各車両を、日常的に使用するためでも、展示するためでもなく、今後も借入金返済のために販売による収益を得る目的で所有していると認めるのが自然である。販売目的で相当の期間にわたって車両を維持管理し、付加価値を高めつつ保有し、本件車両の売却先を見つけるのに約3年の期間を要して、実際に売却したと認められるから、本件行為は、事業としての継続性を有するものといえ、外形的に物品販売業の形態を有するものと認められる。また、本件車両の代金が、一部でも審査請求人への喜捨金として支払われたと認められる事情もない。そして、本件行為のような取引態様は、宗教法人以外の法人が一般的に行う中古車両販売と異なるものではなく、これらの事業と競合するものであると認められる。本件建物は、審査請求人が行う物品販売業の拠点となる場所とはいえ、本件行為は、既存の施設を利用してその事業活動を行うものに該当するから、「事業場を設けて行われるもの」に該当する。したがって、本件行為は、「収益事業」に該当する。【参照条文】法人税法第2条《定義》、第4条(納税義務者)、第7条《内国公益法人等の非収益事業所得等の非課税》法人税法施行令第5条《収益事業の範囲》法人税基本通達15-1-4《事業場を設けて行われるもの》、15-1-5《継続して行われるもの》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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