税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2025/06/09
役員報酬の決定と損金性
役員報酬は、法人税法上の要件を満たす場合に限り損金算入が認められる。形式や実態に不備があれば、たとえ業務に従事していたとしても、損金算入は認められない。まず、会社法第361条により、役員報酬の支給には、定款の定めもしくは株主総会の決議により決定される必要がある。適切な手続を欠く場合、支給そのものが無効とされ、会社からの返還請求や株主間の争いに発展することもある。税務上は、法人税法34条に基づき、「定期同額給与」「事前確定届出給与」「業績連動給与」のいずれかに該当する場合のみ損金算入が認められる(注1)。とりわけ中小企業に多い「定期同額給与」は、毎月同額を同時期に継続して支給することが要件とされ、期中での増減は原則として損金算入が認められない。新設法人においては、設立後3ヶ月以内に役員報酬の額を確定しなければ、初年度の損金算入が認められない可能性がある。また、役員賞与を支給する場合は、提出期限までに「事前確定届出給与に関する届出書」を所轄税務署に提出する必要がある。これを失念すると、支給額の全額が損金不算入となる。また、報酬金額が勤務実態や会社の規模に照らして著しく高額である場合は「過大役員報酬」として一部否認される可能性がある。平成31年2月13日神戸地裁判決(税務訴訟資料第269号‐17(順号13240))(注2)では、医療法人の理事長が妻や子に支給した役員報酬について、理事会等の正式な手続が存在せず、勤務実態も乏しいことや、理事長が通帳や印鑑を一元管理していることから、裁判所はこれを「仮装経理」と認定し、家族に支払われた報酬をすべて理事長本人への役員給与とみなし損金不算入とした。役員報酬は、「誰が」「どのように」決定したかが問われる。恣意的な金額設定は、経営の私物化と受け取られ、信用低下や資金繰りの悪化に繋がるおそれもある。税務・ガバナンス上、法的手続と業務実態の両面で適正に扱うことが重要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2019/pdf/13240.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/06/02
減価償却資産の単位判断
減価償却資産の計上においては、資産の「単位」の判断が重要である。誤った単位で計上すれば、耐用年数や償却方法の選定にも誤りが生じ、税務上の否認リスクを伴う。そのため、機械設備などが複数の部品から構成される場合、それを一体の資産として計上するか、個別の資産として計上するかという判断が求められる。この判断においては、「用途」と「機能」が重視される。つまり、単一の機能を果たすために相互に連携して稼働し、独立して使用することが困難なものは一体の資産とされ、逆に機能的な独立性が認められる場合は個別資産とされる。例えば、国税庁の質疑応答事例では、ワンルームマンションの200室に設置されたカーテンについて、1室ごとに使用される実態から、1組単位で資産性を判断すべきとされている(注1)。一方、間仕切り用パネルについては、設置後の状態に着目し、複数枚を一体の資産とするのが妥当とされている(注2)。判例にも参考となるものがある。さいたま地裁平成16年2月4日判決では、防犯用設備(カメラ、コントローラー、録画機器、ケーブル等)について、テレビやビデオは一般に単体で販売・使用されていることから個別資産、他方で監視カメラやコントローラーは一体として店舗単位で判定するのが妥当と判断し、実態に即した資産単位の検討が求められた。また、最高裁判決平成20年9月16日(いわゆるNTTドコモ事件)では、少額減価償却資産の該当性について、事業の事業活動における「機能発揮単位」に基づいて判断すべきとされ、納税者の主張が認められている(注3)。近年では、技術革新により分解・再構成が容易な機器等が普及し、資産を細分化して短期償却を図る節税手法も散見される。こうした動向に対して税務当局も注視しており、資産の単位判断にあたっては、単なる物理的構造や取得価格だけではなく、実際の使用目的や構成内容について記録・証拠資料を揃え、説明可能な体制を整えることが重要である。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/01.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/04/08.htmhttps://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/812/036812_hanrei.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/05/26
建物と構築物の減価償却
減価償却とは、事業の用に供する固定資産の取得価額を耐用年数にわたり費用配分し、期間損益を適正化する制度である。その資産が「建物」であるか「構築物」であるかによって、耐用年数や償却方法に大きな違いが生じるため、分類の判断は実務上きわめて重要となる。民法第86条第1項は「不動産は土地およびその定着物とする」と定めているが、「建物」自体の定義は規定していない。実務上は、不動産登記規則第111条やその準則に基づき、建物に該当するか否かは次の三要件で判断される。土地への定着性(基礎等で恒久的に据え付けられている)外気遮断性(屋根と周壁で内部空間を外部から区切る)用途性(継続的に居住・作業など特定目的に供し得る状態)税法上の分類もこの実務に準じ、「減価償却資産の耐用年数省令」別表第一に掲げる資産は、原則として「建物」に分類され、定額法により償却される。一方、これら三要件を満たさず、独立した施設として土地に固定される工作物、例えば、舗装路面、看板、煙突、貯水槽、フェンスなどは「構築物」とされ、省令別表第二に分類される。この区分が争点となったのが、令和4年9月13日の高松地裁判決(税務訴訟資料第272号・順号13753)である(注1)。牛舎・鶏舎・堆肥舎などの畜舎類について、納税者は構築物として旧定率法を適用したのに対し、税務署は建物として定額法による更正処分を行った。原告は、構築物の例示に「飼育場」が含まれていることや、通達により鶏舎や堆肥舎は構築物に該当すると主張した。しかし、裁判所は不動産登記規則等を参照し、当該施設がコンクリート基礎に固定され、屋根と周壁で内部が外部と遮断され、飼育目的に継続使用されていることから、三要件を満たすと判断し、「建物」に該当すると結論づけた。実務上しばしば問題になるのが、固定資産税では構築物として課税されている資産が、税務上は建物と判断されるケースである。今回のケースでも、固定資産評価では構築物扱いの畜舎が、税務署は建物と認定した。したがって、固定資産税の取扱いをそのまま税務申告に転用するのはリスクがある。分類に当たっては、登記の有無や地方自治体の評価に頼らず、税法に即して判定することが求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2022/pdf/13753.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/05/19
請負契約と雇用契約
2024年11月1日、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス法)が施行された(注1)。この法律は、フリーランスと発注事業者間の取引の適正化と就業環境の整備を目的としており、業務委託契約の実態を再評価する契機となっている。請負契約と雇用契約の区別は、源泉徴収義務、消費税の課税対象、社会保険の適用など、税務・労務の各分野に大きな影響を及ぼす。形式上は業務委託契約であっても、実態として指揮命令関係や勤務時間の拘束が認められる場合、雇用契約と判断されるリスクがある。例えば、令和2年9月1日の東京地方裁判所判決(税務訴訟資料第270号-83、順号13443)では、キャバクラのキャストに対する報酬が「給与」に該当するとされ、源泉徴収義務があると判断された。この判決では、勤務場所も時間の拘束性、指揮命令の有無といった要素が重視された(注2)。さらに、消費税に関しては、報酬に係る課税仕入れが否認されている。消費税基本通達1-1-1では、「事業として対価を得て行われる独立した事業者による資産の譲渡等」が課税対象とされており、報酬の実態が雇用であれば消費税の対象外になる(注3)。フリーランス新法の施行により、発注事業者には以下の義務が課される。業務委託時の取引条件の明示(報酬額、支払期日、業務内容等)報酬の支払期日を、成果物受領日から原則60日以内に設定し、期日内に支払う義務募集情報の的確な表示ハラスメント対策のための体制整備これらの義務は、業務委託契約の実態を明確にし、フリーランスの保護を図るものであると同時に、発注事業者に対しては、契約内容と実態の整合性を求めるものでもある。また、インボイス制度の下では、インボイス事業者以外のフリーランスに対する支払について、仕入税額控除が制限される。ただし、一方で、税負担の軽減を目的として、従業員との契約形態を雇用契約から請負契約へと形式的に変更する事例も依然として見受けられる。しかし、実態を伴わない契約変更は、税務調査において否認されるリスクが高く、整合性を欠いた対応となる。短期的な税負担の軽減のみを追求するのではなく、法的・税務的リスクを十分に検討し、業務実態の整備と記録の明確化を徹底することが求められる。<注釈>https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13443.pdfhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/01/01.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/05/12
交際費と祝儀の経理処理
企業が創立記念や周年行事を開催し、取引先や関係者を招いて式典やパーティーを行うことは少なくない。これらの行事に係る費用は、通常、交際費として処理されるが、来賓等から祝儀を受け取った場合は、経理処理に注意が必要である。結論として、式典費用の支出(開催者の交際費)と祝儀の受領(参加者の交際費)は、それぞれ独立した経済取引であり、式典費用の総額から祝儀を控除して処理することはできない。式典費用は全額を「交際費」として計上し、受け取った祝儀は「雑収入」として処理する必要がある。例えば、国税庁タックスアンサーでは、宴会費(1人当たり1万円を超えるもの)、交通費、記念品代を含む総額が1,000万円、受け取った祝儀が100万円という事例が紹介されている。この場合、交際費として1,000万円、雑収入として100万円をそれぞれ計上することが適切である(注1)。なお、令和6年4月1日以降は、飲食に係る費用のうち、「1人あたり1万円以下」の金額は交際費等に含まれない取扱いとなっている(注2)。この1人あたりの金額は、「飲食等の費用の総額÷参加者数」により判定する。複数の法人が共同で式典を開催し費用を分担した場合も、合計費用を参加者数で除して判定する。ただし、分担または負担した法人側にその費用の総額の通知が無く総額が把握できない場合で、かつ、飲食等に要する1人あたりの金額がおおむね1万円程度と見込まれる場合には、その見込額により判定することができる。消費税の仕入税額控除についても、交際費の支出額は祝儀などの受領を差し引かず、総額で計上しなければならない。祝儀は不課税取引であり、これを控除して交際費を計上すると、実際の支出額と一致せず、消費税の控除額の計算に誤りが生じるおそれがあるためである。また、式典が社長の就任や退任によるものであった場合、得意先からの祝儀を会社の収入とすべきか、社長個人の収入にすべきかという論点が生ずる。祝儀を贈る側は、「(借方)交際費/(貸方)現金」と処理していることが多く、業務上の関係に基づくものであると考えられる。したがって、受領する会社側でも雑収入として計上するのが妥当である。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5261_qa.htm?utm_source=chatgpt.comhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/05/12
電子契約と印紙税
電子契約の普及により、契約書を電磁的記録で作成・保存する企業が増えている。電子契約では電子印鑑が押印されることが多く、これが朱色で表示されるため、PDF形式の契約書を見て、「印紙税の対象では?」と疑問を抱く方も少なくない。しかし、印紙税法では、紙により作成された「課税文書」に対して課税する仕組みであり、電子印鑑が押されたものであっても、それが電磁的記録(電子データ)である限り、印紙税の課税対象とはならない。印紙税法基本通達第44条では、「作成」の意義が書かれているが、電子ファイル(PDFやWordファイルなど)を「送信」する行為は「作成」に該当しないとされている。このため、契約書を電子データで作成し、メール等で送受信した場合には、印紙を貼付する必要はない(注1)。一方で、電子契約で締結した契約書であっても、それを紙に出力して交付した場合や、契約内容の変更に伴い変更契約書を紙で作成した場合には、印紙税の課税対象となるため注意が必要である(注2)。たとえば、当初の契約金額が90万円で、変更契約書に変更後の金額110万円が記載されている場合、その差額である20万円が「記載金額」となり、印紙税が課されることになる。一方で、変更契約書に変更後の金額のみが記載されており、変更前の契約金額が明らかでない場合は、その記載された金額全額が課税対象となる(注3)。電子契約の導入は、印紙税のコスト削減や契約業務の効率化に大きく寄与する。導入に際しては、契約締結後の変更対応や書面化の有無などについても十分に検討し、印紙税の課税リスクを回避するための社内体制を整備することが重要である。さらに、電子契約に関連して注意すべき法令に「電子帳簿保存法」があり、同法では契約書などの国税関係書類を電子データで保存する場合、真実性や可視性を確保するための要件が求められる。印紙税の課税対象外であっても、保存方法が電帳法の要件を満たしていない場合は、税務上の問題となる可能性があるため、電子契約書の保存体制についても十分に整備しておく必要がある。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/10.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/11.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/02/12.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/28
消費税調査の強化
近年、税務当局は消費税の調査を強化しており、特に不正還付の防止に注力している。税務署の税務調査だけでなく、国税局査察部も消費税調査に重点を置いている。不正還付の手口としては、同一の高級腕時計のシリアルナンバーや不正に入手したパスポートの写しを用いて書類を偽造し、架空の課税仕入れおよび架空の輸出免税売上を計上するもの、虚偽のパスポート情報を用いた免税商品の販売を装うものなどがある(注1)。これらは消費税の仕入税額控除制度や輸出物品販売所制度を悪用する典型例であり、国税庁はこうした不正還付に対して厳格に対応している。企業にはコンプライアンス強化が求められる。インボイス制度の導入により、今後、税務調査の方向性も変化すると予想される。インボイス制度では、適格請求書(インボイス)の保存が仕入税額控除の要件とされているため、税務調査ではインボイスおよび帳簿の記載が正確かつ適切であるか、申告された仕入税額控除が適正であるかが精査されることが見込まれる。会計ソフトを使用して記帳している場合、1つ誤りが発見されると、芋づる式に検索機能で同様の誤りを簡単に抽出できるため、税務調査も効率的に実施されるだろう。効率的な調査を行うため、国税局や税務署にはITに特化した専門部署があり、必要に応じて調査に協力している。インボイス制度が始まって間もない現段階では、国税庁は軽微な記載不備を目的とした調査は行わず、まずは制度の定着を図るために柔軟な対応をとっている。しかし、これを理由に対策を怠ることはできない。制度が浸透し、適用が厳格化されるにつれ、税務調査も厳しさを増していくと考えられる。インボイス制度に関しては、法律ではなく国税庁ホームページ内のみで取り扱いが示されている場合もあり、実務者は知識のアップデートが欠かせない(注2)。消費税調査において誤りが見つかり、修正申告を行った場合、過少申告加算税が課される(注3)。また、不正が発覚した場合は重加算税が課される。重加算税は、仮装や隠蔽といった不正行為を行った際に適用され、税額の35%または40%と非常に重い負担となる。これらに加えて延滞税も課されるため、企業にとっては大きなリスクとなる。確定申告期が終わり、税務署は7月に向けて事務年度最後の税務調査に乗り出す。7月の人事異動後には税務調査の最盛期を迎える。実務担当者にとって税務調査は負担となりがちだが、日頃から適切な処理を心掛け、税務調査に備えることが求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/01.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htmhttps://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/tins/n04_3.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/21
事前確定届出給与を届出どおりに支給しなかった場合
事前確定届出給与は役員に対する給与を事前に定め、税務署に届け出ることでその給与額を損金として認めてもらう制度である。事前確定届出給与として認められるためには、支給時期や金額が事前に確定しており、実際の支給がその内容通りであることが求められる。もし、届け出と異なる支給があった場合は事前確定届出給与としての適格性を失い、損金算入が否認されることになる。3月決算法人が役員に対して、令和5年12月と令和6年5月にそれぞれ200万円の給与を支給すると届け出たものの、異なる支給をした場合は次のように取り扱う。1令和5年12月には100万円しか支給せず、令和6年5月には届け出どおり200万円を支給した場合1回目の支給が届け出と異なったため、その職務執行期間に係る給与すべてが定めどおりに行われたといえない。結果として、2回目の支給も含め、合計300万円全額が損金不算入となる。2令和5年12月に予定どおり200万円を支給し、令和6年5月には100万円しか支給しなかった場合このケースでは、1回目の200万円は損金算入が認められるが、2回目の100万円は損金不算入となる。1回目については、3月決算の年度内に予定どおり支給が完了していること、さらに、2回目の支給が前事業年度の課税所得に影響を与えるものではないことから、2回目のみを損金不算入とすることで差し支えない。このケースでは、決算期をまたいでの支給であるため、2回目のみが損金不算入となるが、これが同一事業年度内だった場合には、上記1のように全額が事前確定届出給与として認められない可能性が高い。業績が悪化し、減額支給をせざるを得ないケースがある。しかし、その場合でも減額支給が事前確定届出給与の適格性を失うことに変わりはないため注意が必要である。平成25年3月14日東京高裁判決でも、「業績悪化による減額は租税回避に当たらない」との主張は認められず、減額支給した給与が全額損金不算入とされている。やむを得ない事情で支給内容を変更する際は、「事前確定届出給与に関する変更届出書」を、変更決議日から1か月以内、または給与支給日の前日までのいずれか早い日までに提出する必要がある。変更が生じた場合には、迅速に変更届出を行うことが不可欠である。参考:国税庁HP「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/16.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/14
保険外交員は「代理業」に該当
平成29年度以降、東京都は生命保険外交員の業務を「代理業」に該当するとして個人事業税を課税する運用に転じている。この取扱いを巡って争われた裁判事例について、令和7年3月4日、原告19人(納税者)の請求を棄却する判決が下された(令和6年(行ウ)第118号)。原告らは生命保険募集人(以下「保険外交員」)であり、生命保険会社との間で営業社員雇用契約等を締結し、歩合制による報酬を受けていた。保険外交員が受ける歩合報酬は通常、事業所得に該当するが、それが事業税の課税対象である「代理業」に当たるかどうかについては、かねてより議論があった。その理由としては、保険外交員が地方税法に列挙された「事業」に含まれていないこと、昭和29年の行政実例で外交員への課税が「非課税」とされていたこと、一部の道府県では保険外交員を「代理業」に認定していないことなどが挙げられる。裁判において原告らは、自らは代理権を有しておらず、代理権を有しない者が行う取引の媒介業務を「代理業」に当たると解釈することは、租税法律主義等に反し、地方税法72条の2第8項の趣旨にも反するなどと主張した。しかし判決では、地方税法が「代理業」を定義していない以上、商法27条の「代理商」概念と整合的に解釈すべきとし、代理権の有無にかかわらず「一定の商人のために、反復継続的に取引の代理または媒介を行う事業」は課税対象となると判断した。また、報酬体系や支出の内容、業務の独立性などを踏まえ、外交員業務は「自己の計算と危険によって行われる独立した事業」に該当すると結論づけた。実際、原告らは事業所得の申告において、事務所経費や青色専従者給与等を計上しており、収入・支出の規模が1億円を超える者も存在していた。契約上「営業社員雇用契約」などとされていても、その実態が準委任契約としての性質を有すると認められる場合には、「使用人」とはされず、代理業として課税されることが明らかとなった。この判決を受けて、保険外交員が行う事業について「非課税」として運用している自治体の対応が注目される。また、令和6年10月の都税調査会では、法定業種の限定列挙方式を廃止し、事業性のあるもの全般を課税対象とする提言が復活しており、今後は課税基準そのものの見直しも議論される可能性もある。外交員に限らず、委託型業務に従事する者は、自身の業務実態を再点検し、必要に応じて専門家の助言を仰ぐべきであろう。提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/07
中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除
令和6年度の税制改正により見直された「中小企業者等の雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除」(いわゆる「賃上げ促進税制」)は、節税効果が高いだけでなく、繰越税額控除制度が設けられるなど、中小企業者にとって利用しやすい制度となっている。中小企業庁からガイドブックも公開されているため、活用するとよい(注1)。この制度は、青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等が、令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、国内雇用者に対して給与等を支給し、一定の要件を満たす場合に適用される(注2)。適用されると、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額が法人税額から控除できる。さらに、上乗せ要件を満たす場合には、控除率が加算される。1.適用要件国内雇用者に対して給与を支給すること。雇用者給与等支給増加割合が1.5%以上であること。【算式】(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)/比較雇用者給与等支給額≧1.5%2.税額控除限度額税額控除限度額は、控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額とされている。ただし、適用対象法人の適用事業年度の調整前法人税額の20%相当額を超える場合には、調整前法人税額の20%相当額が控除額の上限となる。3.上乗せ要件以下の要件を満たす場合、15%にそれぞれの割合を加算した控除率となる。雇用者給与等支給増加割合が2.5%以上である場合:15%教育訓練費の額が、比較教育訓練費の額に対して5%以上の増加があり、かつ雇用者給与等支給額の0.05%以上である場合:10%プラチナくるみん認定またはプラチナえるぼし認定を受けた場合、または、くるみん認定・えるぼし認定(2段階目以上)を受けた場合:5%4.繰越税額控除制度要件を満たす賃上げを実施した年度に控除しきれなかった金額(繰越税額控除限度超過額)については、翌年度以降5年間の繰り越しが認められる。この適用を受けるには、確定申告書に明細書を添付するなどの手続きが必要である。<注釈>https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.htmlhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5927-2.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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1002 件の結果のうち、 1 から 10 までを表示