経営研究レポート
MJS税経システム研究所・経営システム研究会の顧問・客員研究員による中小・中堅企業の生産性向上、事業活性化など、経営に関する多彩な各種研究リポートを掲載しています。
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2026/05/29 人事労務管理
昨今労務事情あれこれ(222)
1.はじめに近年、私傷病、特にメンタルヘルス上の理由により休職する労働者が増加しています。人手不足による業務負担の増大や、職場における対人関係や各種のハラスメントなど、メンタルヘルスに影響を及ぼすストレスの要因には事欠かない状況と言えるかもしれません。心身の調子が優れない状態で、十分なパフォーマンスを発揮できないまま仕事を続けていても、不調を招いた要因から根本的に切り離さないと、遅かれ早かれ従業員はパンクしてしまいます。いったん厳しい環境から離れて治療に専念してもらい、以前のように持てる能力を発揮できるまでに回復してから職場に戻れるよう、会社側も支援体制を整えることが求められます。メンタル不調による休職からの復職の際には、傷病の特性を十分に理解した上で、適切な対応と配慮をする必要があります。安易な対応をした結果、傷病の再発や悪化を招き、最悪の場合、その従業員の退職につながることもあり、会社の対応次第では労使紛争にまで発展することもあります。今回は、メンタル不調による休職から復職する際の、企業側の対応について考えてみたいと思います。2.メンタル不調による休職の現況は厚生労働省は毎年、事業所の安全衛生管理、労災防止等の実態把握のため、「労働安全衛生調査(注1)」を実施しています。公表されている最新版(令和6年版)によれば、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業または退職した従業員が「いる」と回答した事業所の割合は12.8%となっており、前年の調査と比べて0.7ポイント減少となっています。特にこの割合は大企業ほど顕著で、1,000人以上規模の事業所においては9割以上の事業所にメンタルヘルス不調を原因とする休職・退職者が存在するという結果になっています。業種別では、情報通信(39.2%)、電気・ガス・熱供給・水道業(32.7%)学術研究、専門・技術サービス業(22.2%)が上位を占めています。また、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄があると回答した従業員の割合は68.3%となっています。この割合は20歳未満(28.7%)から年齢を重ねるほど高くなっていて、30歳代では73.3%、40歳代では73.0%、50歳代では69.4%が強い不安や悩み、ストレスを感じながら仕事をしている実態が見られています。強いストレスの要因となっているものとしては、仕事の量(43.2%)仕事の失敗・責任の発生等(36.2%)、仕事の質(26.4%)セクハラ・パワハラを含む対人関係(26.1%)、会社の将来性(22.2%)などが上位を占める結果となっています。先述の通り、私傷病での休職は、メンタル不調によるものが多数を占める傾向にあります。では、「休職」とはどのような位置付けの制度なのでしょうか。3.そもそも「休職」とは?「休職」とは、従業員を就労させることが適切でない場合に、労働契約関係そのものは存続させながら、一定期間の就労を免除または禁止することをいいます。一口に「休職」と言っても私傷病による休職、事故欠勤休職、被疑者として起訴された場合の休職、出向休職、自己都合休職、組合専従休職など企業によって様々な休職制度が存在し、それらは各々就業規則等により定められています。就業規則等にて定められた休職事由が消滅することで休職は終了することになりますが、定められた休職期間が満了した時点で休職事由が消滅していないときには、解雇または自然退職とされることが一般的です(休職期間満了による退職を「解雇」と規定した場合は解雇予告義務などが関係してくることもあり、「自然退職」と規定するケースが多い)。多くの会社において私傷病による休職またはこれに類する制度が定められていますが、年次有給休暇や育児・介護休暇のようにその付与が法で義務付けられているわけではありません。私傷病による休職を認めるか否かはあくまでも企業の判断に基づくことになり、休職制度が就業規則等にて規定されていなければ、欠勤として扱う流れが通常です。とはいえ、私傷病により長期に出勤できなくなる事態は十分に想定できるものであり、治療のための猶予期間として休職制度を設けておくことは現実的な選択肢と言えます。従業員が休職する場合、休職開始から復職までには様々な経緯が想定されますが、特にメンタル不調による休職が終わり復職に至る場面では企業側は難しい判断を迫られることが多くなります。では、従業員から復職の希望が出された際、企業としてはどのように対応していくことが必要なのでしょうか。4.復職場面における企業の対応は?休職中の従業員から復職の希望があった場合、まずは復職することに問題ない旨が記載された主治医の診断書の提出を求めることになります。診断書には、就業上の配慮に関して医学的見地から意見が記入されていることもありますが、主治医の意見の中では、「日常生活において支障がない程度への回復=復職可能」と判断している場合もあり、必ずしも個々の職場事情や当人の担当業務の負荷を考慮しているわけではないことがあるので注意が必要です。このような判断の齟齬を回避するためには、主治医に対して、職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報提供を行い、それに基づいて復職可否について意見をもらう、あるいは、主治医の判断と職場で必要となる業務遂行能力の内容などについて、産業医にセカンドオピニオン的に判断を求めるなどした上で、人事担当者や上司なども交え、従業員の元の職場での業務に対処できるか否かにつき企業側として最終的な判断を行う、といった慎重な対応が必要です。メンタル不調の場合、個別の病状にはそれぞれ差があり、担当業務の負荷なども異なることから、定型的な判断基準を定めることはなかなか難しいのですが、最低限の判断目安として以下のようなポイントを挙げます。【復職可否の判断基準の例】復職に対して本人が十分な意欲を示していること単独で通勤時間帯に安全に通勤ができること(難しい場合は時間を変えれば可能か)会社所定の労働時間の就労が可能であること(あるいは復職当初は時短勤務なら可能か)与えられた職務をこなすことができること業務による心身の疲労が翌日までに回復可能であること適切な睡眠覚醒リズムで生活することができ、昼間に眠気がないこと業務遂行の際に必要な注意力や集中力を発揮できること上記の最低限のポイントがクリアできたとしても、元々の業務が通常通りこなせない中で復帰を認めることが、先を見据えたときに適切かどうかはケースにより異なります。この辺りは、必要に応じて労働法専門家の意見も入れ、社内事情も考慮した上での自社独自の慎重な判断が必要と考えます。会社が適切と考えるのであれば、復職直後の勤務形態として時短勤務やリモートワーク等により就労の環境に徐々に慣らしていくようにすることは、従業員の不安を最小限に抑え、症状の再発による更なる休職を避けることにつながります。また人事担当者や上司などは勤怠や勤務態度などを注意深く観察し、少しでも異変を感じるようなことがあれば声をかけて体調を確認する、面談の機会を設けるなど、復職後も継続した支援を心がけるようにしたいものです。5.休職期間が満了した場合の扱い休職事由が消滅することにより休職は終了して復職となりますが、休職期間満了時点において休職事由が消滅していない場合は、就業規則等の規定により解雇または自然退職として扱われます。私傷病休職の場合、この「休職事由が消滅」したかどうかの判断に関して、労使間で争いが生じることがあります。例えば、従業員が復職可能と主張し、その主張の裏付けとなるような主治医の診断書が提出されたとしても、実態はとても労働に耐えられる状態ではなかった…、こうした例のように、休職期間満了による解雇・自然退職を避けるために焦って復職しようとするようなことも珍しいことではありません。そのような「解雇・自然退職を避けるため」の主張をもとに、十分な検討がなされないまま復職を認めた結果、かえって症状が悪化してしまい、短期間で再度休職となると、今度は企業側が健康配慮義務違反の指摘を受けかねません。では、休職していた従業員がどのような状態にまで回復すれば、解雇または自然退職とされずに復職可能と判断されるのでしょうか。休職者の復職に関する裁判例によれば、「従前の職務を通常程度行うことのできる健康状態まで回復したかどうか」によって判断するとし、適正な内容にて就業規則等に定められ、適正に運用された休職期間を経過しても復職できない場合は、解雇または自然退職として扱うことを認める判例が多い傾向にあります。一方で、「当初は軽易業務に就かせれば、ほどなく通常業務に復帰できる回復ぶり」である場合、「従前の業務に復帰できないとしても、従業員の能力や経験、配置の実情や業務の難易度などから別の業務であれば復帰可能」である場合は復帰させることも検討すべきとして、従前の業務に直ちに復帰できないことをもって休職期間満了退職と扱ったことを不当と判断した例もあります。内臓疾患や肢体の傷病のように、検査数値などが正常値になったことをもって「回復」と判断できる傷病であればともかく、メンタル不調による傷病の場合は「回復」したかどうかを客観的・定量的に判断することが難しいこともまた事実です。だからこそ、従業員本人の主張や主治医の判断、産業医等の企業側からの医学的判断、上司や人事担当者の判断など多方面から多くの要素を検討し、復職が可能なのか、復職した後も継続して職務を続けていくことが可能かどうかについての慎重な判断が重要になります。参考文献「心の健康問題により休業した従業員の職場復帰支援の手引き」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000561013.pdf<注釈>労働安全衛生調査(実態調査)令和6年(事業所調査)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r06-46-50_kekka-gaiyo01.pdf(個人調査)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r06-46-50_kekka-gaiyo02.pdf提供:税経システム研究所
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2026/05/29 医療経営
戦略的医療機関経営 その171
【サマリー】前回のレポートでは、急性期病院に関する2026年度診療報酬改定の内容を解説した。今回のレポートでは、開業医分野の改定内容を解説する。病院は規模が大きい。さらに外来部門と入院部門に分かれている。一方で開業医分野は規模は小さく(多くは個人開業医)外来部門しかない。また国から求められる医療機能としては、プライマリー医療であるかかりつけ医としての役割である。このように病院と開業医では大きく状況が異なる。したがって、診療報酬改定の内容についても収益へ影響する部分が異なる。1.はじめに改定率は前回レポートで記述したとおり、+3.09%であるが、医療機関別にみると、病院は+0.49%、医科診療所は+0.10%、歯科診療所は、+0.02%、保険薬局は+0.01%となっています。つまり、同じ医療機関でありながら、診療所より病院のほうが多くプラス改定の恩恵を受けられることになります。考えられる理由は、現在の経営状況です。全国の診療所の黒字率の方が病院よりも高いので、赤字割合のより高い病院のほうに多く振り分けたというのが厚生労働省言い分です。今回の改定のポイントが物価高騰対策というのは前回レポートで記述したとおりです。その財源となる改定内容は、初診料や再診料の加算点です(前回レポートで記述通り)この初診料や再診料といった基本中の基本の診療点数は、病院よりも診療所の収益に大きく影響します。2.外来・在宅ベースアップ評価料診療所に勤務する職員の賃上げの財源となる診療点数です。この点数は前回の診療報酬改定で新設されましたが、診療所の一部では、届出を見送りました。理由は様々ですが、診療所はそもそも人手が多くないので、届出作業など院長自身が実施しなければならないことがあり、手続きが面倒。届出を事務職員にさせると、一事務員が全職員の給与を把握してしまうことになり、これも届出を躊躇させる要因となりました。このベースアップ評価料が点数アップすることになり、しかも前回の令和6年度改定時に届出をしていた診療所と点数の差別化をおこなうとなりました。さらに今後補助金などが出てくるのですが、ベースアップ評価料を届出していることが、補助金を申請する条件になる可能性が非常に高くなったこともあり、届出を躊躇していた診療所も今回は届出をするところが多くなっています。3.かかりつけ医機能の強化開業医に求められる医療機能は「かかりつけ医機能」です。このかかりつけ医機能を強化するために診療報改定では、何点か改正が行われました。地域包括診療加算の見直し:脂質異常症、高血圧症、糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病などの主に生活習慣病を有していて、要介護状態の患者をこの加算点の対象に追加機能強化加算の見直し:機能強化加算の算定にBCPの作成を条件とした時間外対応加算の充実:診療時間以外の時間帯に患者対応した際の点数をアップ生活習慣病管理料の見直し前回改定で新設された生活習慣病管理料(対象疾患は糖尿、脂質異常症、高血圧症)の算定においては、最低でも6か月に1回は必要な血液検査を実施せよという条件がついた。さらに糖尿病の患者には1年に一度、眼科と歯科に受診を勧めよ。勧めたら点数を算定できるという新しい点数ができました。糖尿病は糖尿病性白内障の発症につながりますし、同じく糖尿病から歯周病へ移行することもあるので、他科診療への推奨という予防に診療点数が付いたとことになります。参考)生活習慣病に係る疾病管理イメージ特定疾患療養管理料の見直し前回改定で生活習慣病管理料が新設されましたが、それまでは対象3疾患は、この特定疾患療養管理料で算定されていました。3疾患が生活習慣病管理料に移行した後、この特定疾患療養管理料を算定する疾患に胃炎と喘息が急上昇しました。このような現象は普通はあり得ません。厚生労働省は、病名の付け替えを疑っているようです。次回改定まで調査するようですが、とりあえず今回の改定では急に多くなった胃炎(消化性潰瘍)の患者に禁忌である非ステロイド性抗炎症薬の投与をしている患者はこの特定疾患療養管理料の算定はできないことになりました。4.特定機能病院からの逆紹介患者の受け入れ大学病院などの特定機能病院には、200床以下または診療所に逆紹介を30%以上しなければいけないルールがあるのですが、その割合が50%に引き上げられました。この50%という数値はクリアできなければ特定機能病院には減算というペナルティがあります。さらに特定機能病院から逆紹介患者を受け入れた診療所は別途点数が算定できることになりました。外来患者の流れが変わる可能性がある改正です。参考)外来機能分化イメージ5.その他骨塩定量検査:4か月に1回から1年に1回になりました。(骨粗しょう症の治療患者は別)人工腎臓(透析)点数の見直し:人工透析の点数が下げられました医療DX推進体制整備加算の見直し:電子的診療情報連携体制整備加算という名称に変更。算定の条件がいくつかあるが、もっともハードルが高い条件は「電子処方箋発行体制」です。参考)電子処方箋について※本レポートの出典は、中医協に提出された資料です。提供:税経システム研究所
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2026/05/28 企業経営
中小企業のM&Aと企業価値評価(第23回)
【サマリー】第21回より最近の中小企業のM&Aについての国(中小企業庁)の働きかけ、具体的には中小企業のM&Aガイドラインについて解説しています。本稿では前稿に引き続き中小M&Aガイドラインの参考資料で紹介されている中小企業のM&Aの事例を挙げ、筆者のコメントを述べたいと思います。1.中小M&Aガイドライン(第3版)での中小企業M&Aの事例経済産業省から公表されている中小M&Aガイドライン(第3版)_参考資料4の「中小M&Aの事例」では以下のような事例が紹介されています。小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例譲り渡し側の条件の明確化が中小M&Aの成立に寄与した事例従業員の反対にもかかわらず成立した事例廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例何らかの理由により中小M&Aが成立しなかった事例前稿では①小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例を紹介しましたので、本稿では②経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例などを説明します。2.経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例(1)ホテル事業の会社のM&A(株式譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:ホテル事業・売上高:10億円・従業員:20名・業歴:45年◆譲り受け側:B社・業種:ホテル事業・売上高:50億円◆関与した支援機関:(顧問)税理士、M&A専門業者【意思決定に至るまでの経緯】A社代表者である斉藤は、裸一貫でホテル事業を立ち上げ、丁寧かつ時流をとらえたサービスが評判を呼び業界でも有名な経営者となった。しかし、近年は競合他社が増えたこともあり、客足が徐々に遠のき始め最近3期は経常損失を計上していた。また、後継者候補であった一人息子は病気で亡くなっていた。75歳となった斉藤は、まだ自分の体が動くうちに中小M&Aにより事業を残したいと考え、顧問税理士に相談した。【成立に至った経緯】顧問税理士から紹介されたM&A専門業者が業界内に太いパイプを有していたため、約2か月でB社とのマッチングが成立した。B社はA社の知名度だけでなく、丁寧なサービス、教育体制と人材の質を評価した。斉藤も「自分の会社を評価してもらえた」と喜んだ。斉藤はA社の全株式をB社に譲渡しA社から引退した。【成立に至った後の経緯】斉藤は、株式の対価である譲渡代金と退職慰労金を受け取り、老後資金として十分な額を確保することができた。引退後は悠々自適な日々を過ごしている。上記事例は最近3年間で経常損失を計上しているホテル事業運営のA社株式をB社に譲渡したものです。一般的に経常損失が継続している状況の会社は将来的にも収益性の低下が想定されるために第三者への株式譲渡は難しいものと思われます。しかし、この事例ではA社代表者が株式の譲渡代金に加えて退職慰労金も受け取っているために稀なケースといえます。これはA社の従業員のサービスや教育が高く評価されて、当該ホテルのオペレーションやホスピタリティに金銭的価値が見いだされたものであると推察されます。ホテル事業は労働集約型の形態であるために財務状況が一時的に悪化しても人的資本や顧客からの評判、優良顧客の存在などの無形財産に価値があればM&Aが成立する可能性があります。一方で財務状況が著しく悪化してしまうと、当該無形資産の価値も棄損してしまうので、早い段階での意思決定がポイントになるものと考えます。(2)卸売業のM&A(事業譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:卸売業・売上高:12億円・従業員:30名・業歴:50年◆譲り受け側:B社・業種:卸売業・売上高:30億円◆関与した支援機関:弁護士、中小企業再生支援協議会、M&A専門業者【意思決定に至るまでの経緯】A社代表者である鈴木は、創業者である父からA社の経営を引き継ぎ2代目経営者としてA社を運営していた。しかし、父の代に金融機関から借り入れた金額が合計約20億円あり、既に大幅な債務超過となっていた。A社では金融機関への返済で資金繰りが圧迫され、新規投資する余力もなく、このままでは近いうちに破綻すると考えた鈴木は知人の弁護士に事業再生の相談をした。【成立に至った経緯】鈴木は弁護士に委任して中小企業再生支援協議会の手続を活用するとともに、当該弁護士が紹介したM&A専門業者に譲り受け側(スポンサー)探索を依頼し、これによりスポンサー1社が確定した。当該スポンサーは、A社の販路や地域における知名度を高く評価し、A社の全事業を事業譲渡の手法により譲り受けた。鈴木はA社の金融機関からの借入についての個人保証(経営者保証)があったが、「経営者保証に関するガイドライン」により経営者保証を外して当面の生活費と(華美でない)自宅を残すことができた。【成立に至った後の経緯】鈴木は破産を回避できたことに安堵した。今は、自分が本当にやりたかったけれども父に反対されて実現できなかったビジネスの立ち上げを目指している。上記事例は金融機関からの借り入れが大きな負担となっている債務超過の会社の代表者が事業譲渡により新しい道に踏み出すことができたものです。この事例は債務超過であるA社の事業にスポンサーが販路や知名度といったところに価値を見出し、スポンサーはA社株式ではなくA社の事業のみを譲り受けています。このために事業譲渡後のA社では主に金融機関からの借入金が残ることになります。一般的にA社代表者は当該借入金に対して保証人となっているために、返済見込みがない場合には破産手続きに移行することが考えられますが、この事例では「経営者保証によるガイドライン」を適用することによって破産を回避して当面の生活費や自宅を手放さなくて済んだことが特筆すべきです。「経営者保証ガイドライン」とは、経営者の個人保証の整理に関する金融機関の自主的なルールです。法的な強制力はないものの、各金融機関は同ガイドラインに従った協議に応じる運用となっております。経営者保証ガイドラインの特色は、一定の要件を満たせば破産手続を経ないで保証債務の返済免除を受けることができるために官報への掲載や信用情報への影響も生じません。また破産の場合よりも多くの資産を手元に残せる可能性があり、場合によっては自宅を手元に残すこともできます。自分が経営している会社が債務超過でも事業価値が金銭的に評価される可能性があるのであれば、当該事例のような流れで第二の人生を歩むことも想定できるので希望が持てるものと思料します。3.親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例(1)建設業のM&A(株式譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:建設業・売上高:1億円・従業員:5名・業歴:20年◆譲り受け側:B社・業種:建設業・売上高:10億円◆関与した支援機関:事業承継・引継ぎ支援センター、弁護士【意思決定に至るまでの経緯】A社代表者である北澤は、創業者である父から引き継ぎ2代目としてA社を経営していた。北澤は自身が65歳を超えたこともあって事業の承継を考えるようになり、明確に意思確認はしていなかったが、同業他社で修行をしていた長男を後継者として迎え入れようとした。しかしながら、A社の経営状況がよくないこと等から、長男は経営者保証に対する不安等を抱き、継ぐつもりがないことを北澤に伝えた。北澤には経営を委ねられる従業員はおらず廃業も考えていたところ、事業承継・引継ぎ支援センターからのダイレクトメールでM&Aによる事業継続という方法があることを知った。【成立に至った経緯】A社のベテランの職人の技術力が評判であったため、同センターにより2か月で同業B社とのマッチングが実現し、北澤はA社の全株式を譲渡した。【成立に至った後の経緯】B社は人手不足の中でA社のベテラン従業員を採用することができ、職人の育成及び事業拡大を図ることができた。北澤も顧問として職人の育成に寄与している。上記は親族への事業承継が不調に終わったもののM&Aにより会社を存続させることか叶った事例です。建設業や飲食業、小売業等は子供をはじめとした親族内での事業承継が多い業種といえます。親族内での事業承継がうまくいけばそれに越したことはないと思われますが、適切な後継者が不在、または後継者と目された親族の拒絶などの事例は多々あります。当該事業が例えば夫婦二人で営んでいる場合には思い切って廃業という選択肢もあり得ますが、何人かの従業員を雇用している場合には事業の存続を考える経営者も多いのではないでしょうか。そのような場合には、本事例のような事業承継・引継ぎ支援センター等に相談するのが最適と考えます。特に建設業や飲食業等は職人と呼ばれる技能習熟者の技術やノウハウを後世に伝えることも社会にとって重要な使命であり、そのためには積極的に上記のような公的機関を活用するのが望ましいものと考えます。4.意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例(1)ギフト用品販売(小売業)のM&A(事業譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:ギフト用品販売(小売業)・売上高:2億円・従業員:15名・業歴:40年◆譲り受け側:B社・業種:ギフト用品販売(小売業)・売上高:9億円◆関与した支援機関:地域銀行、事業承継・引継ぎ支援センター【意思決定に至るまでの経緯】A社は創業者・会長の竹橋が90歳と高齢ながらまだ実権を握っており、その婿養子・現社長の上原に発言権はなかった。A社の取扱商品や販売方法は時代遅れで徐々に売上が減少し、遂に2期連続で経常赤字に陥った。上原の経営意欲は低下しつつあり、危機感を持った竹橋も渋々了解の上、地域銀行から紹介された事業承継・引継ぎ支援センターに譲渡相談することになった。【成立に至った経緯】同センターは他地域の同業他社B社にA社との中小M&Aについて打診した。B社は他地域への進出を希望しており、A社事業を譲り受ける意思も固まっていた。一方、A社は業績と資金繰りが急激に悪化し、事業の継続が危ぶまれた。竹橋は長年の取引先や従業員のことを第一に考え、譲渡代金の早急な支払を条件とし、当初オファーを受けていた金額よりも相当低額でB社へ事業譲渡を実行した。【成立に至った後の経緯】竹橋は既存取引先に迷惑を掛けず、従業員の雇用継続が図れたことは満足しているものの、決断が遅れたため低額での譲り渡しとなり後悔の念が残った。上記は意思決定のタイミングによってM&Aでの取引内容が左右された事例です。創業者が高齢を理由にM&Aを検討することは珍しくなくなりました。一方で苦労して育てた会社や事業を第三者に譲渡することへの躊躇や戸惑いを覚える創業者も存在するものと思われます。当該事例は既存取引先や従業員をうまく引き継げたものの、M&Aの検討から実行に移すまでに時間がかかり、その間に業績や資金繰りが悪化したために想定より安く事業を譲渡せざるを得なかったものです。企業は将来にわたり継続することが一般的な前提ですが、ある調査会社の調査によると日本における企業の平均寿命(起業から廃業・倒産までの期間)は約23年との報告もあるために、M&Aに関する意思決定を行なったのであればスピード感をもって実行に移すことがM&Aの利害関係者(取引先、従業員、M&Aの相手先、金融機関等)にとって有益な結果をもたらすのではないかと筆者は考えます。提供:税経システム研究所
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2026/05/28 企業経営
昨今の経済情勢を背景に地域企業経営はどう対処するのか
【サマリー】26年度前半に公募される大型補助金のリストアップと概要紹介前稿では経産省系の主な補助金の全体像をご紹介しました。今回は26年度前半の大型補助金をご紹介し、読者の皆様の申請の参考にご利用いただければと思います。(1)主な大型補助金(筆者作成)(1)-1:省力化投資補助金(一般型)(6次公募)①概要人手不足対策として、省力化設備(自動化・DX機器)導入を支援②対象中小企業・小規模事業者人手不足・生産性課題を抱えている企業③補助内容補助率:1/2~2/3補助額:数百万円~数千万円④対象設備例自動包装機無人レジ物流自動化AI・IoT設備⑤申請方法(実務)GビズID取得(必須)事業計画書作成電子申請(jGrants)採択後→交付申請設備導入→実績報告⑥採択のポイント人手削減効果(数値)作業時間削減率ROI(投資回収)(1)-2:大規模成長投資補助金(第6回)■概要1億円規模の大型投資を支援■対象中堅・中小企業大規模な設備投資を行う企業■補助内容補助率:1/3程度補助額:最大数億円■対象工場設備物流拠点車両(条件付き)■申請方法事業計画(かなり詳細)金融機関との連携(重要)書類提出面接審査あり■採択ポイント成長性(売上拡大)地域経済への影響雇用創出実現可能性(1)-3:省エネ補助金(1次)■概要エネルギー効率改善の設備導入支援■対象エネルギー削減が見込める設備■補助内容補助率:1/3〜1/2補助額:数百万〜数億円■対象設備高効率冷凍機省エネ空調ボイラー冷蔵設備■申請方法省エネ診断(重要)削減率計算申請書提出採択→実施■採択ポイントエネルギー削減率(%)CO2削減量投資回収年数(1)-4:中小企業成長加速化補助金(2次)■概要売上拡大・事業スケールアップ支援■対象成長志向の中小企業■補助内容補助率:1/2程度補助額:数千万円規模■対象設備投資DX新規事業■申請方法成長戦略策定数値計画(3〜5年)申請審査■採択ポイント売上成長率収益性市場性競争優位性(2)まとめ本稿では、2026年度前半に募集される比較的大型の補助金をリストアップしました。「自社に適合しそうな補助金だな。」とお感じになられたら、WEB検索していただき、問い合わせ窓口の役所か外郭団体にまずはお電話なさってください。塩対応を想定してストレスを想起し後回しにする必要はありません。皆さんの想定外に親切な対応をしてくれる人が多いです。できればオフィスに相談に出かけてください。思っていた補助金に細かい申請条件が合わなかったとしても、他の適合する補助金を探してくれたりします。何より、補助金管轄の役所の方等と面識を持つことで、新しい有益な情報を個別に頂けたりすることがあります。地方局によってカラーが違ったりしますので一様には言えませんが、産業関係の役所と人的ルートを作るのは皆さんの想定上の価値があります。補助金は役所と積極的にコンタクトできるスムーズな根拠なので、是非活用していただくべきかと思います。提供:税経システム研究所
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2026/04/30 人事労務管理
退職に関わるトラブル回避(第15回) 「雇止め法理3」
【サマリー】これまでのレポートでは、有期雇用契約における雇止めの法理について、主要判例や労働契約法19条を中心に整理してきました。形式上は契約期間満了によって雇用関係が終了する有期契約であっても、契約更新が繰り返されることにより労働者に雇用継続への合理的期待が生じている場合には、雇止めが解雇と同様の厳しい基準で審査される可能性があることを確認しました。企業実務では、有期雇用契約を締結する際に、契約更新の回数や通算年数に上限を設ける、いわゆる「更新上限特約」(以下、「上限特約」という)を設けることがあります。もっとも、このような上限特約が設けられている場合であっても、その内容が常に有効と認められるとは限らず、契約締結時の説明や制度の運用状況、雇用関係の実態などによって判断が分かれることがあります。そこで本レポートでは、有期雇用契約において上限特約を定めた場合に、それがどのような場合に有効と認められ、またどのような場合に労働者の合理的期待が認められるのかについて、主要な裁判例を基に解説します。1.有期雇用契約における上限特約の問題労働基準法施行規則の改正により、2024年4月より、有期契約の労働者に対しては、契約更新上限の有無およびその内容の明示が義務付けられました。そのため、有期雇用契約において、契約更新の回数や通算契約期間に上限(上限特約)を設ける場合、「契約更新は通算3年まで」「更新は4回を限度とする」といった形で契約期間の上限を明記しなければなりません。ただし、上限特約が記載されていれば、雇止めが必ず認められるわけではありません。もっとも、以前からこのような上限特約が設けられているケースも多く、その場合であっても、やはり契約期間満了時に当然に雇止めが認められるとは限りませんでした。裁判例では、上限特約の有無だけでなく、契約締結時の説明内容や契約更新の実態、業務の性質などを総合的に考慮して判断されています。つまり、上限特約が存在すること自体が直ちに雇止めの有効性を保証するものではないという点が重要です。2.上限特約の有効性の判断要素後述する裁判例の傾向を見ると、上限特約の有効性は主に次の要素によって判断されています。まず重要なのは、契約締結時に上限特約が明確に説明されているかどうかです。更新回数や契約期間の上限が契約書に明記されており、労働者がその内容を理解したうえで契約を締結している場合には、上限特約が有効と判断される可能性が高くなります。次に重要なのは、制度の運用が特約と一致しているかどうかです。制度上は更新上限が設けられていても、実際には例外的な更新が多数行われているような場合には、労働者に契約更新への合理的期待が生じる可能性があります。その場合、上限特約が存在していても雇止めが無効と判断されることがあります。さらに、業務の性質も判断要素となります。業務が一時的・臨時的なものであれば有期契約の合理性が認められやすい一方、企業の恒常的業務を担っている場合には、継続雇用への期待が認められやすくなります。3.上限特約と合理的期待の関係(実務上の留意点)有期契約の雇止めに関する判断では、労働者に契約更新への合理的期待が認められるかどうかが重要なポイントとなります。上限特約が明確に定められており、その内容が契約締結時に十分説明され、かつ制度が一貫して運用されている場合には、労働者に合理的期待が生じにくく、雇止めが有効と判断される可能性が高くなります。一方で、上限特約が存在していても、実際には更新が繰り返されている場合や、例外的な更新が多く行われている場合には、労働者が雇用継続を期待することに合理性が認められる可能性があります。この場合には、契約期間満了を理由とする雇止めであっても、裁判所はその合理性を厳格に審査することになります。企業が上限特約を設ける場合には、単に契約書に上限を記載するだけでは十分とは言えません。重要なのは、契約締結時に制度の趣旨や更新上限の内容を明確に説明し、その内容と実際の運用を一致させることです。また、上限特約を設けているにもかかわらず、例外的な更新を繰り返している場合には、その特約の実効性が否定される可能性があります。そのため、制度を設ける場合には、更新の判断基準や上限の運用方法についても慎重に検討する必要があります。このように、上限特約の有効性は契約条項の有無だけでなく、制度設計と運用の整合性によって判断される点に注意が必要です。次に、上限特約の認否について争われた裁判例を紹介いたします。4.重要判例1「カンタス航空事件東京高裁平13.6.29判決」<事案の概要>本件は、航空会社であるカンタス航空において勤務していた客室乗務員が、契約更新を拒否されたことについて、その雇止めの有効性が争われた事案です。原告は客室乗務員として採用されましたが、その雇用形態は1年契約の有期雇用契約とされていました。ただし、この契約については、採用当初から平成8年まで毎年契約を更新することを前提とする合意が存在していました。すなわち、形式上は1年ごとの有期契約とされていたものの、実際には一定期間にわたり契約更新を継続することが予定されていた雇用関係でした。原告はこの合意に基づき契約更新を受けながら勤務していましたが、会社は平成8年以前の段階で契約更新を行わず、契約期間満了を理由として雇用関係を終了させました。これに対し原告は、契約更新を前提とした雇用関係であったにもかかわらず、一方的に契約更新を拒否することは許されないとして、雇止めの無効を主張しました。<裁判所の判断>東京高等裁判所は、本件の雇用契約の実態について詳細に検討した結果、形式的には1年契約の有期雇用契約であったとしても、その内容や更新の合意を踏まえると、実質的には期間の定めのない雇用契約と解するのが相当であると判断しました。裁判所は、特に次の点を重視しました。第一に、採用時点において、契約は毎年更新されることが予定されており、平成8年まで契約更新を継続する合意が存在していたことです。このような合意がある場合には、形式的な契約期間の定めだけを理由として雇用関係が当然に終了するとは言えないとされました。第二に、原告の業務は客室乗務員として航空会社の業務に恒常的に必要とされるものであり、臨時的・一時的な業務とは認められない点です。第三に、契約更新が継続することを前提として雇用関係が形成されていたことから、労働者としては雇用が継続することを期待するのが自然な状況にあったと認められる点です。これらの事情を総合的に考慮し、裁判所は、本件の雇用契約は実質的には期間の定めのない契約と評価するのが相当であるとしました。さらに、仮に本件契約を形式どおり有期雇用契約であると解した場合であっても、原告が雇用の継続を期待することには合理的理由があると判断しました。そのため、契約更新を拒否するためには合理的な理由が必要であり、そのような事情が認められない以上、本件雇止めは許されないと結論づけました。<判決のポイント>本判決は、有期契約の形式を採っている場合であっても、その契約の内容や更新の合意、雇用関係の実態によっては、実質的に期間の定めのない雇用契約と評価される可能性があることを示した重要な裁判例です。また、仮に有期契約と解される場合であっても、契約更新が予定されていた事情や雇用関係の継続性などから、労働者が雇用継続を期待することに合理的理由がある場合には、雇止めの自由は制限されると判断されました。<実務上の示唆>この判決は、有期契約の運用において、契約書の形式だけではなく、契約締結時の合意内容や実際の運用が重要視されることを示しています。特に、契約更新が予定されているような場合には、形式的に有期契約であっても、実質的には継続雇用関係と評価される可能性があります。そのため企業としては、契約更新の範囲や更新の可能性について曖昧な合意を行うことは避け、契約の趣旨や更新の条件を明確にしておくことが重要になります。5.重要判例2「京都新聞COM事件京都地裁平22.5.18判決」<事案の概要>本件は、新聞社の関連会社である京都新聞COMにおいて、有期雇用契約の更新上限を理由に雇止めされた労働者が、その雇止めの無効を主張した事案です。原告は、京都新聞社の従業員として勤務していましたが、会社の業務再編に伴い、子会社である京都新聞COMへ移籍することになりました。この際、雇用形態は無期雇用ではなく1年契約の有期雇用契約とされました。会社は、有期雇用契約について通算3年を上限とする更新制度を設けており、原告もその制度のもとで契約更新を受けながら勤務していました。しかし、契約期間が3年に達した時点で、会社は更新上限制度を理由として契約更新を行わず、雇用関係を終了させました。これに対し原告は、契約更新が繰り返されてきたことや業務の継続性などを理由として、雇用継続への合理的期待があったとして、雇止めの無効を主張しました。<裁判所の判断>京都地方裁判所は、まず、有期契約に更新上限制度を設けること自体は直ちに違法となるものではないとしました。しかし、その制度が実際にどのように運用されているかを踏まえて判断する必要があるとしました。本件では、形式上は「更新上限3年」とする制度が存在していたものの、実際にはその上限を超えて契約更新されている例も多く存在していました。つまり、制度が必ずしも厳格に運用されていたわけではなく、職場においては契約更新が継続することが当然視されている状況があったと認められました。また、原告の業務内容は一時的・臨時的なものではなく、会社の業務運営において継続的に必要とされる性質のものであったことも考慮されました。これらの事情を踏まえ、裁判所は、原告には契約更新を期待することについて合理的理由があったと判断しました。その結果、更新上限制度のみを理由として契約更新を拒否することは許されないとして、本件雇止めは無効であると結論づけました。<判決のポイント>この判決の重要な点は、制度の存在だけでは雇止めの正当性は認められないという点にあります。企業が有期契約の更新上限制度を設けていたとしても、実際には例外的更新が多数存在する更新が事実上当然のように行われている労働者の業務が恒常的業務であるといった事情が認められる場合には、労働者に契約更新への合理的期待が生じる可能性があります。そして、そのような状況のもとで更新を拒否する場合には、契約期間満了という形式だけでは足りず、雇止めの合理性が厳格に審査されることになります。<実務上の示唆>本判決は、有期契約制度の運用において「制度と実態の一致」が極めて重要であることを示しています。企業が更新上限制度を設ける場合には、主に次の3点が重要となります。更新上限の趣旨を明確にすること契約締結時に労働者へ十分説明すること制度を例外なく一貫して運用すること制度上は更新上限が定められていても、実際には例外的更新が繰り返されている場合には、裁判所が更新期待を認め、雇止めが無効と判断される可能性があるためです。6.重要判例3「福原学園事件最高裁平28.12.1判決」<事案の概要>本件は、学校法人福原学園が設置する大学において、有期雇用契約の専任教員として採用された教員の雇止めの適法性が争われた事案です。原告は、同大学の専任教員として採用されましたが、その雇用形態は無期雇用ではなく、任期3年の有期雇用契約による任期制教員制度のもとで雇用されていました。この制度では、3年間の任期満了後に再任するかどうかを大学が判断する仕組みとなっていました。原告は3年間の任期を満了しましたが、大学は再任を行わず、契約期間満了を理由として雇用関係を終了させました。これに対し原告は、長期間にわたり教育研究活動に従事していたことなどから、任期満了後も雇用が継続することを期待していたとして、雇止めの無効を主張しました。本件の最大の争点は、任期制教員制度のもとで3年間勤務した教員に、雇用継続への合理的期待が認められるかどうかという点でした。<高裁の判断>控訴審である高等裁判所は、原告の主張を一定程度認め、任期制教員制度の実態や勤務状況などを踏まえると、原告には雇用継続への期待が認められる余地があると判断しました。高裁は、任期制教員制度が形式上は有期契約であったとしても、大学教育という業務の性質上、教員が継続的に教育研究活動を行うことが前提とされていることや、任期満了後に再任されている例が存在していることなどを考慮しました。その結果、原告には雇用継続を期待することについて一定の合理性があると判断し、雇止めを制限的に捉える姿勢を示しました。<最高裁の判断>これに対し最高裁判所は、高裁の判断を覆し、本件雇止めは有効であると判断しました。最高裁はまず、本件の任期制教員制度が、契約締結時から任期3年の有期契約であることが明確に定められていた制度である点を重視しました。そして、任期満了後の再任は大学が判断するものであり、制度上、無期雇用への移行が当然に予定されているものではないと指摘しました。そのうえで最高裁は、任期制教員制度のもとで3年間勤務したという事実のみをもって、直ちに雇用継続への合理的期待が認められるわけではないと判断しました。すなわち、任期制という制度の趣旨が明確であり、再任が保証されているわけではない以上、任期満了後に当然に雇用が継続するものと期待することはできないとしました。その結果、最高裁は、本件では原告に契約更新への合理的期待が認められる状況にはないとして、雇止めは有効であると結論づけました。<判決のポイント>本判決の重要な点は、有期契約制度のもとで一定期間勤務したという事情だけでは、直ちに合理的期待は成立しないという点を明確にしたことにあります。高裁は、制度の運用実態や勤務状況などを重視し、比較的広い意味で合理的期待を認める方向の判断を示しました。しかし最高裁は、任期制教員制度の趣旨や契約内容を重視し、任期満了後に無期雇用へ移行することが当然であるかのような期待を認めることはできないと判断しました。つまり、この最高裁の判決は、安易に合理的期待を認める考え方に対して一定の歯止めをかけた判決と評価することができます。<実務上の示唆>企業や大学などが任期制や有期雇用契約制度を採用する場合には、制度の趣旨や契約期間を明確にし、更新が当然に行われるものではないことを契約締結時に明確にしておくことが重要です。一方で、更新が当然視されるような運用を行ってしまうと、合理的期待が認められる可能性があります。本判決は、制度設計が明確であり、その内容が適切に説明されている場合には、単に一定期間勤務したという事情だけで合理的期待が認められるわけではないことを示したものといえます。以上の裁判例から分かるように、上限特約が設けられている場合であっても、その内容が直ちに有効と認められるとは限りません。契約締結時の説明内容や制度の運用状況、業務の性質などを踏まえ、労働者に雇用継続への合理的期待が認められるかどうかが重要な判断要素となります。企業としては、上限特約を設ける場合には制度の趣旨を明確にし、その内容と実際の運用を一致させることが紛争防止の観点から重要であるといえるでしょう。提供:税経システム研究所
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2026/04/30 人事労務管理
昨今労務事情あれこれ(221)
1.はじめに「お客様は神様です」という言葉は、多くの方が一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。この言葉は、昭和の国民的歌手である故三波春夫氏が1960年代に発したものです。生前の三波氏は、この言葉の真意を「お客様を神のように敬い、あたかも神に祈る時のように雑念を払って完璧な芸を見せること」(注1)と語っており、いわば究極のプロ意識を示した言葉でした。ところが時の経過とともに、客側の立場を殊更に強く主張する言葉として誤用されるようになり、今や「客はカネを払っている神様ともいえる存在なのだから、何を主張しても良いのだ」の如く、クレーマーの常套句となってしまいました。こうした客側の行き過ぎた意識に基づく執拗かつ過剰な行為がハラスメントの一種として「カスタマーハラスメント」(カスハラ)とされたのは2010年代前半頃からです。厚生労働省が公表した「職場のハラスメントに関する実態調査報告書(令和5年)」(注2)によれば、過去3年間に労働者からハラスメントの相談があったと回答した企業において、ハラスメントの相談種類別では、カスハラはパワハラ、セクハラに次いで多く、その件数も増加傾向であるという結果になっています。こうした状況を受けて、カスハラ対策の強化が盛り込まれた改正労働施策総合推進法(以下「改正法」)が2025年6月に成立し、2026年10月1日からカスハラ対策が事業主の義務とされることになっています。今般のカスハラ対策の義務化は、企業規模(従業員数)を問わず適用されるものであり、従業員の就業環境の整備・向上の観点からも極めて重要な施策の一つです。すでに独自のカスハラ対策を打ち出している企業も増えていますが、義務化に伴い今後企業として実施を求められる措置はどのようなものかを考えていきます。2.カスハラとは?―法令上の定義「カスハラ」と聞いて、どのような光景をイメージするでしょうか?理不尽なクレームによる長時間拘束、罵声・暴言・恫喝、不当な返金・賠償および過剰なサービスの要求、SNSをはじめとしたインターネットへの投稿(いわゆる「晒し行為」)、果ては脅迫・暴行といった犯罪行為までさまざまな形態の「カスハラ」が思い浮かびますが、改正法において「カスハラ」とは以下のように定義されています。職場における「カスタマーハラスメント」とは、職場において行われる顧客等の言動であってその雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されるものであり、①~③の要素を全て満たすもの上記の「顧客」とは、顧客、取引の相手方、施設の利用者ほか事業主の事業に関係を有する者を指し、今後商品やサービスを購入・利用する可能性のある者も含むとされています。では、今後、事業主の義務とされるカスハラ防止とは具体的にどのような措置が求められるのでしょうか。3.カスハラ防止のために事業主に求められる措置とは?改正法において、事業主は以下の措置を必ず講じることが求められます。○事業主方針の明確化およびその周知啓発カスハラには毅然とした態度で対応し、労働者を保護する旨の方針を明確化するカスハラの内容およびあらかじめ定めた対処の内容を労働者に周知する例)管理監督者にその場の対応方針について指示を仰ぐ、労働者一人で対応させない、犯罪に該当する言動は警察へ通報、本社等に情報共有し指示を仰ぐなど○相談体制の整備相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知相談窓口担当者が適切に対応できるようにする○事後の迅速かつ適切な対応事実関係を迅速かつ正確に確認する(録画・録音等の確認や周囲の従業員へ聴取など)被害者に対する配慮のための措置を行う再発防止に向けた措置を講ずる○対応の実効性を確保するために必要なカスハラ抑止のための措置特に悪質と考えられるカスハラへの対処方針をあらかじめ定め、労働者に周知し、その対処を行うことができる体制を整備する例)悪質行為者への警告文発出や施設への出入り禁止など○その他併せて講ずべき措置相談者のプライバシーを保護するために必要な措置を講じ、労働者に周知する相談したこと等を理由として不利益な扱いをされないことを定め、労働者に周知・啓発する4.BtoBにおけるカスハラにも注意カスハラというと、小売業・サービス業といったいわゆるBtoCビジネスで多発するイメージがありますが、BtoBビジネスにおいても起こり得ます。この場合、自社の役職員が被害者となるケースだけでなく、カスハラの加害者になるケースも考えられます。自社役職員によるカスハラ行為が認められた場合、相手先企業からは使用者責任に基づく損害賠償を求められる可能性や、優越的地位の濫用行為を禁じた独占禁止法・下請法に抵触しさまざまな罰則を受ける可能性も忘れてはなりません。BtoBにおけるカスハラの例正当な理由なく発注した商品の受取を拒否する相手企業に対し、発注した商品・役務以外の商品や役務を提供させる相手企業に対し、担当者が個人的にキックバック等の金銭を要求する自社の従業員が相手先企業(担当者)からカスハラ行為を受けた場合は、先述のような措置に基づき対処していくことになりますが、改正法で求められている事項ではないながら、自社の従業員に対しても、カスハラの加害者となる可能性を自覚してもらうこと、その場合の責任や制裁(懲戒処分など)について、十分な指導を日頃から実施しておくことも必要と考えます。自社のミスや不十分な対応などへの正当なクレームには謙虚に接し、適切な対応と再発防止のための改善を行っていくことは当然ですが、悪質なクレームに対し、事なかれ主義的にその場を収めるためだけの対応をすることは、クレーマーに成功体験を与え、よりエスカレートしたカスハラとなって現場を疲弊させることになります。何より「会社や上司は自分を守ってくれなかった」という従業員の不信感は決して消えることのない傷として残ることでしょう。改正法で求められる措置は多項目に渡りますが、対応に苦慮するような内容ではないものと考えます。カスハラは些細なものも決して許さず、会社は従業員を絶対に守る、という姿勢を打ち出すことは、就業環境を向上させるだけでなく、エンゲージメントを高める一助となることでしょう。<注釈>三波春夫オフィシャルブログ「『お客様は神様です』について」参照https://minamiharuo.com/kamisama/令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査報告書(概要版)https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/001541313.pdf提供:税経システム研究所
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2026/04/30 企業経営
企業探検家 野長瀬先生の経営お悩み相談室(第24回)
毎回いろいろな企業経営者のお悩みをテーマとし、その悩みを解決する糸口を企業探検家・野長瀬裕二先生がアドバイス形式で解説していきます。筆者が見てきた様々な企業の成功例や工夫の事例、そこから見えてくる普遍的なノウハウを紹介し、各回のテーマの悩みに寄り添う情報をお伝えします。<相談内容>原材料費が高騰して困っています。当社は、私が立ち上げたラーメン店です。自社の製麺所を持ち、スープも麵もこだわったものとなっています。当店で修業した弟子たちが3人開業していて、各店に麺を卸しています。ここ最近、原材料の高騰が続き、利益がほとんど飛んでいきます。周囲に倒産している同業も見られます。この状況を乗り切るために、どのように手を打つべきでしょうか。■デフレ下の経営とインフレ下の経営図1消費者物価指数の推移(総務省、前年同月比)1990年代にバブル経済が崩壊した後、わが国の物価はデフレ基調で推移してきました。デフレ期には物価には低下圧力が加わり、雇用にはマイナスの影響があります。リーマンショックに超円高が加わった2010年前後は、雇用状況が悪化し、自殺者も増えました。一般に、インフレは雇用にはプラスに働くことが多く、タイムラグを経て賃金上昇も生じます。デフレとインフレには、それぞれ負の面もあり、どちらがよいというものではありません。節度あるインフレ下において、着実に経済成長していくことを目指すのが、先進国の経済政策の標準的な姿といえるでしょう。御社のように現役の起業家は、年齢的には長く続いたデフレ環境下に事業を立ち上げている場合が多いです。インフレ状況に直面するのが、業歴が長くともはじめての経験です。これまでとは考え方を変える「マインドセット」が求められる状況と言えます。図1は2013年以降の消費者物価指数の総務省統計局による推移データです。2013年は、アベノミクス元年、すなわち大幅の金融緩和が行われた時です。円という通貨の流動性が上昇したにもかかわらず、ハイパーインフレとならずインフレ率は図1に示されるとおり、2%のインフレターゲットを下回っていました。アベノミクスは、「デフレではない状況」を実現しましたが、インフレターゲットの範囲内で推移したのです。図1に示される通り、コロナ禍における世界中の金融財政政策、あるいは戦争や物流状況の諸状況が重なり、2%を超える状況になったのです。戦争等によるコストプッシュインフレ、経済成長によるディマンドプルインフレ、さらには少子高齢化による供給力不足が合わさり、2%に到達したのです。ガソリン等のエネルギーコストの政策的抑制があり、2%ですから、それらの措置を採らなければもっとインフレ率は高くなったと言われています。現在の物価上昇の原因のいくつかは今後解消されるかもしれませんが、供給力不足は続くと思われます。経済成長志向の「高圧経済」を目指す政策が採用されていますので、経済は成長する中、供給力に制約があるということで、ここしばらくはインフレ圧力が続くでしょう。物価が上昇すると、一定のタイムラグの後、賃金が上昇しますので、企業の人材採用コストの上昇も続くでしょう。リーマンショックの頃との大きな違いは、中国生産への依存がカントリーリスクとなっていることです。中国の大きな供給能力をフルに活用するなら、高圧経済と物価抑制が両立するかもしれませんが、現実には難しそうです。つまり、御社としては、今まで経験したことのないインフレ環境が中期的に続くことを前提に経営戦略を立案するようにマインドセットすべき状況です。■外食産業のビジネスモデル表1外食産業のビジネスモデル1.グローバル経営規模の経済、成長志向2.国内コスト低減規模の経済3.国内価値重視規模の経済、差別化4.地域コスト低減規模の経済5.地域価値重視差別化それでは、次に、生き残る外食産業のビジネスモデルにどのようなものがあるかを考えていきましょう。表1に示されるように、大まかに5つの類型が考えられます。1.グローバル経営型は、国内の競争に勝ち残った企業が海外に進出するパターンです。一方、食文化は国により異なるので、海外市場に受け入れられやすいメニューとそうではないメニューに分かれます。インバウンドで観光客が喜んで食べるメニューは海外でも通用する可能性が高いです。最近大手牛丼チェーンが強化している回転寿司やラーメンという業態は、多くの国や地域で受け入れられる傾向にあります。御社のような中小企業においても、ラーメン業態では海外進出している事例はみられます。ハンバーガーなどの業態では、海外進出の成功例は相対的に少ないようです。グローバル経営型では、味をローカライズ(現地化)するかどうかも問われます。チェーンオペレーションに関する設備やシステム、一部の食材等では規模の経済が得られます。2.国内コスト低減型では、カントリーリスクを取らずに、人口減少する国内における市場占有率を高めていきます。セントラルキッチンに投資し、広域的な規模の経済を発揮していきます。ファミリーレストランのような業態が典型的なものです。財務内容の悪いチェーンは、店舗のリニューアル等に限界があるため、今後の収益力次第です。このタイプは高収益・好財務の企業に集約していく可能性があります。多角化していく中で、コングロマリットディスカウントの事例も見られ、今後は多彩な業態の整理や統廃合も起こるでしょう。3.国内価値重視型は、チェーンオペレーションの確立が難しいので、大企業も苦労しますが、ホテル業や結婚式ビジネスとレストランを並行して行い、シナジーを得るような場合が見られます。店ごとにオペレーションが違うと規模の経済が得られませんが、その場合は優秀な料理人を育成する仕組み等に規模の経済が発揮され、差別化されます。遊休不動産の利活用のような資産運用のスキルが差別化要因となることもあります。4.地域コスト低減型は、特定地域に集中的に店舗立地し、オペレーションコストや物流上の利点を生かす事例、あるいはお手頃価格を実現する中小企業等の事例が見られます。ちょい飲み系の中華等の事例が見られます。地方に行くと、もつ料理、チャーハン、レバニラ炒め等の看板メニューに強みを持ち、安いわりに満足度の高い店があります。メニューを集中させているので、コストと味のバランスが良い状況が保たれているのです。5.地域価値重視型は、そこに行かなければ食べられないという差別化要因を持つスタイルのお店です。特定地域に立地するご当地ハンバーグレストラン等が中堅規模の成功例です。常にフレッシュな状況の食材を店舗に配送し、添加物等は必要最小限とし、大企業との競争を回避するといった工夫が見られます。メニューについては、規模が大きいほど、新メニューを導入し、評判が高いものを定番化する努力をしています。中小企業は定番料理で勝負していく場合が多いようです。新メニューの開発を継続していくには、開発コストが必要となります。地域価値重視型のもう一つのパターンは、チェーンオペレーションでは実現できない品質を有するというものです。小型の店で、予約が先まで埋まっていく。このスタイルですと、家族経営が可能となります。家族の仲が良く、力を合わせて経営し、高価格を頂き、予約制により食材ロスをミニマム化していく。人手不足でも、家族によりある程度のサービスはできる。収益力を高めるなら、修行中の職人を雇う等が可能となります。御社のようにのれん分けし、一部の食材を供給することも一つの方法です。地域価値重視型は、行列ができるか、予約が先まで埋まっているかがカギとなります。御社は製麺所を持ち、修行した弟子たちに面も供給しています。その意味では、表1の5、あるいは4と5の複合型のビジネスモデルをブラッシュアップすべきフェーズにあるといえるでしょう。■インフレ下における御社の戦略体系御社は、寿司や和食に比べてラーメン店という庶民的な業態なので、どの程度高価格とするかはデリケートな問題です。今の常連客を大切にしながら、行列ができる店を目指すのがオーソドックスな将来イメージでしょう。今、御社はおいしいラーメンと町中華的なメニューを揃えているお店です。麺を内製化し、スープにもこだわりを持つ優れた店と言えるでしょう。足りないのは、圧倒的な看板メニューです。色々なメニューがあっても、ほとんどの客が同じメニューを頼む。そのため、生産性は向上していく。そして開店と同時に行列客で店がいっぱいになる。このような状況に至るにはどのようにすべきか。家族で、この問題を徹底的に考え抜くことから始めるべきでしょう。そして、弟子たちの店も含めて、ブランド化していく方策も検討すべきテーマです。インフレが今後も続くとするなら、価格を改定しても顧客の忠誠心が低下しないことが前提となります。表2御社の戦略の体系A.圧倒的な看板メニューの確立B.ブランドの確立C.長期的な別ブランドの確立常に行列がある店であれば価格上昇の影響は、他店より軽微なものとなります。美味しい味を追求するのみならず、そうしたブランドを目指していく時期と言えるでしょう。御社には、複数のお子さんが後継者として入社しています。これは素晴らしい財産です。後継者が育ったなら、起業経験のある社長、あるいは意欲的な後継者は、第二の創業として、高価格帯の別ブランドを企画することも可能です。近年、こうした高価格帯の店を立ち上げて成功している事例も見られます。高付加価値であれば、多少のインフレであっても吸収することは可能です。いずれにせよ、中期的にインフレ環境は続きますので、生き残る中小企業は、表1の4,5の複合したビジネスモデルを確立し、表2のA-Cの戦略のできるところから取り組んでいくことが重要です。「インフレを前提とした経営」を目指す良い時期ではないかと思われます。提供:税経システム研究所
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2026/04/20 行政DX
国税庁が進める税務行政におけるAIの活用
1.はじめに近年、行政分野では、人口構造の変化に伴う人手不足、事務処理の複雑化、住民や事業者に対するサービス向上の要請を背景として、デジタル技術の導入が加速している。税務行政においても同様であり、国税庁は、申告、調査、徴収、相談対応などの各分野で、データの利活用と業務処理の高度化を進めている(注1)。その中でも、近年とりわけ注目されているのがAIの活用である。税務行政におけるAI活用の意義は、単に職員の作業を省力化することにとどまらず、膨大な申告情報や納税履歴、過去の調査結果、税目間の関連性、業種別の傾向などを横断的に分析することで、限られた行政資源をより効果的に配分し、重点的に確認すべき対象を把握しやすくする点に大きな意味がある。従来は人の経験や勘に依存していた部分についても、データ分析を通じて客観性を高め、税務行政全体の精度を向上させることが期待されている。一方で、このような変化は、納税者である企業や個人事業者にも影響を及ぼす。従来は帳簿や証憑を備えていること自体が評価される場面もあったが、AIにより異常値や不自然な傾向を抽出することが容易になるため、今後は、数値の動きや取引内容について、なぜその処理を行ったのか、どのような経緯があったのかを、第三者に対して合理的に説明できる状態を整えておくことが重要になり、企業側には説明可能性と処理の一貫性がより強く求められるようになると考えられる。本稿では、国税庁が進めているAI活用の現状を整理するとともに、その進展が企業に与える影響や、今後企業等が取り組むべき事項について考察してみたい。2.国税庁におけるAI活用の現状2.1税務調査対象の選定高度化国税庁のAI活用として最も広く認識されているのは、税務調査対象の選定における分析の高度化である。従来、税務調査の対象選定には、申告内容の確認、業種特性、過去の調査実績、担当職員の知見等が用いられてきたが、電子申告の普及や申告情報の蓄積が進む中で、大量のデータを横断的に分析し、調査の優先順位付けを行う手法の有効性が高まっている。令和6事務年度の法人税等の調査事績の概要(注2)には、「AIも活用しながら、あらゆる機会を通じて収集した資料情報等や申告書の分析・検討を行うことにより、調査必要度の高い法人を的確に抽出し、実地調査を実施しました」と記載されており、AIは、申告書や決算情報、消費税・法人税・所得税等の関連情報、過去の修正申告や申告漏れ事例などを基に、一般的傾向から外れる数値や行動パターンを検知し、調査必要性の高い対象を絞り込む補助機能として活用されていると考えられる。このような仕組みが進展すると、従来であれば見落とされ得た軽微な不整合や、税目横断で見たときに浮かび上がる不自然な点も把握されやすくなる。企業にとっては、単年度の法人税申告のみを整えるのではなく、売上計上、仕入計上、役員報酬、交際費、消費税区分、源泉徴収事務等が、全体として矛盾なく管理されていることが重要となる。2.2滞納整理・納税管理における活用AI活用は、税務調査対象の選定に限られない。徴収分野においても、過去の納付履歴や接触履歴等の情報を活用し、滞納整理の実効性を高める方向性がうかがえる。限られた人員の中で、どの納税者に優先的に対応すべきかを判断するうえで、データ分析の重要性は今後さらに高まると考えられる。また、国税だけでなく、東京都練馬区が富士通Japan株式会社と開発した『未納対策支援AI』(注3)のように、自治体においても、AIを用いて未納対策や職員への案件配分の最適化を図る取組が見られる。この点は、税務行政が経験依存型からデータ活用型へと移行しつつあることを象徴している。従来は、担当者の経験や地域事情に基づく判断が大きな比重を占めていたが、AIの導入によって、過去事例の集積を踏まえた客観的かつ再現性のある意思決定が進む可能性がある。このため、企業の立場から見れば、滞納や納付遅延が発生した場合の行政対応が、従来よりも迅速かつ的確になる可能性が高い。そのため、税務対応は調査時のみの問題ではなく、資金繰りの管理、納税資金の確保、期限管理の徹底といった日常的な経営管理の一部として認識する必要がある。2.3AI-OCR等による紙資料のデジタル化税務行政の高度化を支える基盤として、紙情報のデジタル化も重要なポイントである。申告及び届出の電子化は進んでいるものの、なお紙媒体で提出される書類や添付資料は存在する。これに対し、AI-OCR等を活用して紙情報を電子データ化し(注4)、検索及び分析可能な状態に変換する取組が重視されている。紙資料のデジタル化が進めば、単なる保管から一歩進み、情報資産としての活用が可能になるため、過去提出書類との比較、申告内容との整合性確認、税目横断分析など、従来は人手に頼らざるを得なかった確認作業の効率化が見込まれる。2.4データ統合基盤整備の進展とKSK2AI活用を税務に定着させるためには、税務データを個別に保有するだけでは不十分であり、必要な情報を横断的に確認できる統合基盤が求められる。例えば、申告情報、納税履歴、届出情報、調査関連情報などが連携しやすくなれば、個別の数値だけでは見えにくかったリスクも把握しやすくなる。特に重要なのは、単年度・単一税目で見るのではなく、時系列や関連税目を通じて全体像を捉えることが可能となる点である。このような基盤整備の一環として、国税庁は、従来の国税総合管理システムを刷新し、次世代国税総合管理システム「KSK2」の導入を予定している(注5)。KSK2は、それ自体がAIそのものというよりも、税務行政のデータ処理基盤を高度化し、結果としてAI活用を進めやすくするための基盤として重要な意味を持つ。従来の税務行政では、税目ごとに情報が分かれていたり、紙資料が残っていたりすることで、分析可能な情報の範囲や即時性に限界があったが、KSK2の整備により、申告情報、納税履歴、各種届出、調査関連情報などを横断的に把握しやすくなれば、AIが活用できるデータ環境も大きく広がることになる。これにより、法人税、所得税、消費税、相続税など複数の税目をまたいで不整合や異常な動きを把握できれば、個別には見えにくかったリスクも浮かび上がりやすくなり、例えば、法人と代表者個人間の資金移動、関連会社間取引、役員報酬と個人所得の整合性、売上計上と消費税処理の対応関係などを立体的に検討できるようになる可能性がある。さらに、調査現場で、必要な情報へ迅速にアクセスできる環境が整えば、現場で確認した事実とAIによる分析結果を結び付けながら、論点整理や確認作業をより機動的に進めやすくなる。将来的には、過年度比較や業種平均との比較、関連当事者取引の変動状況などを即時に参照し、その場で説明を要する論点を明確にする運用も想定される。もっとも、AIは数値上の異常や傾向の偏りを見つけることはできても、その背景事情や個別の経営判断の合理性まで自動的に理解できるわけではない。そのため、最終的な判断はあくまで税務職員が行い、納税者に対する説明責任や公平性、情報管理の厳格性を確保することが不可欠である。したがって、AI活用は、人の判断を置き換えるものではなく、現時点では人の判断を支える高度な基盤として位置付けるのが適切である。2.5AI活用の効果令和6事務年度法人税等の調査事績の概要(注2)では、法人税・消費税に関する実地調査件数が5万4千件と対前年比7.4%減少する中で、追徴税額の総額は3,407億円(対前年比+6.6%)、調査1件当たりの追徴税額は6,342千円(対前年比+15.4%)と追徴税額が高水準となっていることが示されており、対象選定の精度向上が成果につながっている可能性が示唆されている。これは、すべての納税者を均等に確認するのではなく、リスクの高い案件に重点的に行政資源を投入する「選択と集中」が進んでいることを意味する。しかし、その一方で、どのような基準で対象が抽出されているのかが納税者から見えにくく、不透明感につながるおそれがある点や、学習データの偏りや例外的事情の存在により、本来問題のない案件が異常として抽出される可能性が否定できないとの指摘もある(注6)。AIはあくまで行政判断を支援する手段であり、最終的には人による合理的な確認と説明責任の確保が不可欠であるため、分析結果を過度に信用しすぎると、現場での事情聴取や個別事情の確認が不十分になる懸念もある。この点は行政側だけでなく、対応する企業側にとっても重要なポイントである。2.6税務で用いられるAI国税庁の内部アルゴリズムや運用詳細のすべてが公表されているわけではないため、以下では、税務分野で一般に用いられるAI技術の仕組みを、税務行政への活用場面を念頭に置いて整理してみる。税務で用いられるAIは、一般に想像されがちな「人間の代わりに自動で違法性を判断する」ものではなく、膨大な税務データの中から、通常の傾向と異なる動きや、重点的に確認すべき可能性がある事例を見つけやすくする分析技術にある。言い換えれば、AIは結論を出す主体ではなく、税務職員が確認すべき対象を効率的に絞り込むための補助装置として機能するものである。この仕組みを理解するうえで、まず重要なのは、AIが分析対象とするデータである。税務行政では、申告書の数値、決算情報、納税履歴、届出情報、過去の調査結果、税目間の整合関係、さらには紙で提出された資料をAI-OCRで読み取ってデータ化した情報など、さまざまな情報が対象となり得るが、AIは、こうした大量のデータをそのまま扱うのではなく、まず形式をそろえ、欠損や重複を整理し、分析しやすい状態へ整える。この前処理は、ばらばらの形式で集まった書類を同じ分類基準で整理し直す作業に近い。次に行われるのが、「特徴量」と呼ばれる判断材料の作成である。特徴量とは、AIが比較や判定の手がかりとして使う数値や指標のことである。たとえば、売上高そのものだけではなく、前年からの増減率、粗利率の変化、交際費比率、役員関連支出の推移、消費税の申告内容と売上計上額との対応関係、同業他社と比べたときの数値のずれなどが、特徴量として用いられる可能性がある。そのうえで、AIは大きく分けて二つの方法で活用されることが多い。第一は、「異常検知」である。これは、過去の正常な傾向や同業平均から大きく外れる事例を見つける方法であり、必ずしも過去に不正と確定した事例だけを学習しなくても利用できる。第二は、「予測」や「分類」である。こちらは、過去に調査で申告漏れや修正が確認された事例と、そうでない事例をもとに、どのようなパターンに注意が必要かを学習し、新しい案件に対するリスクの高低を算出する方法である。また、近年では、AI-OCRによって紙資料を読み取り、文字情報をデータ化する技術や、文章の中から取引先名、金額、日付、契約内容などを抽出する自然言語処理の技術も重要になっている。これにより、紙の請求書や契約書、届出書などに含まれる情報も検索や比較の対象にしやすくなる。さらに、税務の分野では、様々な関係者間の関係性を分析する手法の活用も有効である。法人、代表者、親族、関連会社、取引先などのつながりを図式的に捉え、資金移動や取引の流れをネットワークとして見ることで、通常とは異なる取引集中や循環的な資金移動を見つけやすくなる。このような分析は「グラフ分析」や「ネットワーク分析」と呼ばれ、数値だけでは見えにくい関係性の偏りを把握するのに役立つとされる。もっとも、これらの技術が導入されても、最終判断までAIが自動で行うわけではない。税務上の判断には、臨時的な事情、業界特有の商慣行、経営上の合理的な理由など、数値だけでは分からない背景が数多く存在する。そのため、AIが示した「要確認」の結果は、あくまで税務職員が確認を始めるための手がかりであり、最終的には人が資料や説明を踏まえて判断する必要がある。このようなことから、企業側にとって重要なのは、AIそのものを過度に恐れることではなく、こうした技術が「不自然な数値の動き」や「説明のつきにくい処理」を見つけやすくする仕組みであると理解し、自社の記帳、証憑保存、処理ルールの一貫性、説明資料の整備を平時から高めておくことであると言える。3.今後企業等が取り組むべき事項3.1「帳簿がある」から「説明できる」への転換AI活用が進む税務環境において、企業に求められる水準は変化している。従来は、帳簿や証憑が一定程度整備されていれば、税務上の基本的対応として評価される面があった。しかし今後は、単に記録が存在することに加え、その数値や処理の背景を合理的に説明できることが重要となる。このため、企業がまず取り組むべきは、売上、仕入、経費、在庫、資金移動等の基礎データを正確かつ適時に記録することである。例えば、売上が前年対比で大きく増減した場合、役員関連取引が増加した場合などには、その理由を裏付け資料とともに示せる状態が求められる。また、高額取引、臨時費用、役員関連支出、例外処理などについては、請求書や領収書のみならず、契約書、見積書、稟議書、議事録、メール、取引メモ等を含めて保存することが望ましい。重要なのは、「この支出はなぜ必要であったのか」「この処理はなぜこの科目で行ったのか」を第三者が追える状態にしておくことである。また、時系列比較も重視される。各期の処理方針が一貫しているか、同種取引に対する勘定科目や計上基準がぶれていないか、月次推移に異常な変動がないかといった点は、AI分析との親和性が高い。企業としては、「その年だけうまく整える」対応ではなく、継続的に整合性を維持する体制が必要である。3.2会計処理ルールの標準化と内部統制の整備大企業では内部統制や経理規程、システム化が比較的進んでいる一方、中小企業では経理処理が属人的であり、証憑管理や承認フローが曖昧なケースも少なくない。そのため、AIを前提とした税務行政の進展は、特に中小企業に対して実務上の影響が大きいと考えられる。担当者によって勘定科目が異なる、同種取引でも処理時期がばらつく、承認フローが曖昧である、といった状況は、AI分析上も不自然なデータを生みやすい。したがって、経理規程、運用基準、証憑保存ルール、承認手続等を明文化し、誰が担当しても同じ処理結果となる仕組みを整備する必要がある。AI時代には、企業側も自らのデータを分析し、異常値やリスクを把握しておくことが望ましい。前年同月比、粗利率、在庫回転率、交際費比率、役員関連費用の推移など、基本的な管理指標を定期的に確認するだけでも、潜在的リスクの早期発見につながる。このようなセルフチェックは、税務調査対策としてだけでなく、経営判断の精度向上にもつながると考えられるため、税務対応と経営管理を切り離すのではなく、データ品質向上を両者に共通する課題として捉えて対処することが望ましい。3.3生成AI活用に関する社内ルール整備企業自らが、自社のデータを分析し、異常値やリスクを早期に把握する場面や、文書作成補助や情報整理の効率化を図る場面では、企業自身が生成AI等を活用する機会も増えると考えられる。一方で、税法解釈や個別事情の判断には専門性と責任が伴うため、AIはあくまで補助的に用い、最終判断は人が行う体制を徹底することが望ましい。このため、AI活用を進めるに当たっては、機密情報や個人情報の入力制限、AI出力内容のレビュー手順、最終承認者の明確化、利用履歴の管理等に関する社内ルールを策定することが必要である。AIを使う側のルール整備もまた、AI時代の企業実務における重要課題である。3.4専門家との連携強化税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士等の専門家との連携は、従来以上に重要になる。今後の税務実務では、単なる申告書作成代行ではなく、月次レビュー、異常値分析、役員取引点検、電子保存体制整備、社内規程策定支援など、予防的かつ継続的な関与が求められる。特に中小企業においては、社内人員だけで高度な対応を完結させることは難しい場合が多いため、外部専門家を「調査が来たときだけ相談する相手」ではなく、「平時から管理水準を高める協力者」と位置付けることが望ましい。4.終わりに国税庁が進めるAI活用は、税務調査対象の選定、滞納整理、紙情報のデジタル化、データ統合基盤の整備等を通じて、税務行政全体をデータ駆動型へと転換させる重要な流れである。今後の税務行政は、電子申告の普及を前提として、データの蓄積から分析、分析から重点対応へと進化していくと考えられ、税目横断分析、時系列比較、業種比較、取引関係の把握などが進展すれば、従来は断片的にしか把握できなかったリスク兆候も、より早期に可視化されることになるだろう。この変化は、企業等に対して、従来以上に高度な説明可能性を要求する。すなわち、正確な記帳、一貫した会計処理、十分な証憑保存、税目横断での整合性確保、異常値の事前把握、専門家との連携等を平時から整えておく必要がある。企業側としては、「見つからなければよい」という受動的発想ではなく、「見られても説明できる状態をつくる」という能動的姿勢への転換が求められるが、これを企業にとっての脅威であるととらえるのではなく、自社の管理体制を見直し、持続可能な経営基盤を強化する契機であると考えて対処することが望ましい。<注釈>国税庁,税務行政のデジタル・トランスフォーメーション2023,https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation2023/index.htm国税庁,令和6事務年度法人税等の調査事績の概要,https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2025/hojin_chosa/index.htm練馬区,練馬区プレスリリース2024年3月27日版,https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/koho/hodo/r6/r603/20240327.files/20240327.pdf国税庁,AI-OCRの概要,https://www.e-tax.nta.go.jp/shiyo/ksk2/ksk2_ai-ocr.htm国税庁,国税庁レポート2025,https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/report/2025.pdf東京地方税理士会,第51回日税連公開研究討論会デジタル化社会における税理士の役割と納税者の権利利益の保護,https://city.itto.co/koukaiken51/download_file/38/1/東京地方税理士会%20第51回論文集_web用.pdf提供:税経システム研究所
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2026/03/31 企業経営
中小企業のM&Aと企業価値評価(第22回)
【サマリー】前稿より今までの投稿のまとめとして、最近の中小企業のM&Aについての国(中小企業庁)の働きかけ、具体的には中小企業のM&Aガイドラインについて解説しています。本稿では中小M&Aガイドラインの参考資料で紹介されている中小企業のM&Aの事例を挙げ、筆者のコメントを述べたいと思います。1.中小M&Aガイドライン(第3版)での中小企業M&Aの事例経済産業省から公表されている中小M&Aガイドライン(第3版)には本文の他に様々な参考資料が紹介されています。特に参考資料4の「中小M&Aの事例」では以下のような内容で具体的な中小企業のM&Aを整理しております。小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例経営状況が良好でない中小企業において中小M&Aが成立した事例親族内承継の頓挫から中小M&Aに移行し成立した事例意思決定のタイミングが中小M&Aの成立内容に影響を与えた事例譲り渡し側の条件の明確化が中小M&Aの成立に寄与した事例従業員の反対にもかかわらず成立した事例廃業を予定していたものの中小M&Aが成立した事例何らかの理由により中小M&Aが成立しなかった事例上記の内容を見ても、中小企業のM&Aは様々なドラマが展開されており、成功もあれば失敗の事例も多く存在します。このような事例を理解しておくことは今後M&Aを検討しようとしている経営者にとって実務上の参考情報として大変有用であるとともに、M&Aを成功裡に進める上での基礎知識として重要と考えます。本稿では当該中小M&Aの事例を挙げて、事例から考えられる教訓や筆者の経験などを紹介します。2.小規模企業・個人事業主において中小M&Aが成立した事例中小企業の経営者の中には、自分が営む事業の売上規模や職員数が小さいためにM&Aの成立に懐疑的な方もいるかもしれません。しかし、M&Aは売上規模や職員数などが大きくなくても成立した事例は多数存在します。(1)計測機器の会社のM&A(事業譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:計測機器の製造・売上高:3000万円・従業員:3名・業歴:40年◆譲り受け側:B社・業種:計測機器の施工・メンテナンス・売上高:5億円◆関与した支援機関:地元信用金庫、事業承継・引継ぎ支援センター【意思決定に至るまでの経緯】10年前に先代経営者の他界に伴い、当時既に65歳を超えていた佐伯友彦(仮)がA社の社長に就任した。その後、業績は伸び悩み従業員の高齢化も進んだため廃業を検討したが、取引先に迷惑を掛けられないと、事業の継続を決断した。地元信用金庫に相談をしたところ、M&Aの公的機関として事業承継・引継ぎ支援センターを紹介された。佐伯は自社の事業規模や財務状況からM&Aは難しいと考えていたが、同センターでの相談は無料と聞いたため、取りあえず相談した。【成立に至った経緯】佐伯の予想に反し、事業承継・引継ぎ支援センターから4社の紹介を受け、うち2社と面談し、A社の技術力や商圏を高く評価したB社への事業譲渡実行に至った。【成立に至った後の経緯】A社の製品は熟練の技術が必要であるため、A社の従業員は引き続き雇用され、また取引先との関係から佐伯は顧問としてB社の事業拡大に貢献している。上記事例は年商3,000万円、従業員3名というA社がB社に事業を譲り渡したものです。このように中小企業のM&Aでは事業規模などより、商圏や技術力、ノウハウや優良顧客などいわゆる無形資産の価値が重要となります。これらは金銭的に「のれん」として評価されて取引金額に加算されることとなるためにM&Aで事業や株式を譲渡しようと考えている経営者は、まずは自分の会社はどこが強みなのか、その強みは他社へ移転した際にも持続可能なものなのかを見極めることが重要といえます。またM&Aの公的機関としての事業承継・引継ぎ支援センターですが、東京都の場合、東京都事業承継・引継ぎ支援センターは東京商工会議所が国から委託を受けて実施しており、東京23区を中心に第三者承継・従業員承継に関する中小企業等の相談を受け付けていますので、まずはそこに足を運んで相談するのが中小企業のM&Aの第一歩といえます。(2)靴小売業のM&A(個人事業の事業譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:田中和夫(仮)・業種:靴小売業・売上高:4000万円・従業員:3名・業歴:50年◆譲り受け側:佐藤八郎(仮)・業種:創業希望者◆関与した支援機関:地元信用金庫、日本政策金融公庫、事業承継・引継ぎ支援センター、弁護士、商工会、商工会議所等【意思決定に至るまでの経緯】田中は、靴の小売店を営む72歳の個人事業主で引退したいと考えていたが、親族に継ぐ者はおらず自分の代で廃業せざるを得ないのかと悩んでいた。懇意にしていた商工会の経営指導員より、事業承継の個別説明会を案内され、そこで、個人事業主でも、M&Aで事業を譲り渡した例が多くあるという話を聞いた。自分が育てた事業を、意欲のある人に引き継いでもらえるならありがたいと感じ、M&Aを決意し、事業承継・引継ぎ支援センターにて譲り受け相手を探すこととなった。【成立に至った経緯】田中は、同センターから靴店の創業を希望する佐藤を紹介され、意気投合した。なお、譲受代金について、佐藤の自己資金が不足していたことから、複数の金融機関が協調融資を実施し、更に同センターは弁護士を紹介し契約のサポートをする等、支援機関が一丸となった支援が行われ、事業譲渡実行に至った。【成立に至った後の経緯】事業譲渡実行後、佐藤は事業承継補助金の交付を受け、新たなチャレンジを行う等、精力的な事業拡大に乗り出した。また、田中も引き続き従業員として、佐藤を支えている。上記は個人事業主が新たに個人に対して事業を譲渡した事例となります。総務省の「労働力調査」(2025年)によると、日本で個人事業を営む個人及びその家族従事者は約589万人存在するとのことです。また業種でみるとサービス業(飲食業、理美容業、コンサルタント等)、建設業(いわゆる一人親方)、卸売・小売業(個人商店など)が多いようです。このような個人事業においてもM&Aによる事業承継の事例が報告されております。筆者の経験上、個人事業は事業を他社へ譲渡するより廃業を選択することが多いと思われますが、この事例のように自分の事業に無形資産があり、かつ他社へ譲渡して引き継いでもらいたいという意欲があればM&Aによる自分の事業の継続という道が開ける可能性がありますので、そのような個人事業主にはぜひM&Aにチャレンジしてもらいたいと考えます。(3)寿司・懐石料理店のM&A(他の業種の会社との業務提携)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:寿司・懐石料理店・売上高:3500万円・従業員:5名(うち家族3名)・業歴:30年◆譲り受け側:B社・業種:レジャー業・売上高:50億円◆関与した支援機関:地元信用金庫【意思決定に至るまでの経緯】地元で寿司・懐石料理店を営む宇田川大輔(仮)は、多数の地元常連客に愛されていたが、厨房設備等が老朽化したことに伴い、設備の更新を検討していた。お店の常連でもあった地元信用金庫の担当者に相談したところ、飲食業への参入を検討していたB社をスポンサーとして紹介された。しかし、設備の更新には多額の費用を要することが分かり、自身の年齢から多額の借入を負うことに抵抗があり、また家族からも反対されたことから、廃業を考えていた。【成立に至った経緯】家族経営を行ってきた宇田川は、当初は第三者がスポンサーとなることに抵抗があったが、B社社長の加藤裕三(仮)と面談を重ねる中で、信頼関係を構築した。宇田川は家族経営の維持を条件に、B社から資金援助を受けるのと引換えに飲食店経営のノウハウをB社に提供するという業務提携の合意に至った。【成立に至った後の経緯】A社は、宇田川の希望通り、家族経営を継続したまま、B社からの支援により、老朽化した店舗設備を更新し、内装等も新装することができた。また、B社と協働してグルメサイト等によるPRを行った結果、新規顧客やインバウンド需要による外国人観光客の獲得にも成功している。上記は個人の飲食店が他の業種の会社と業務提携して事業を継続させた事例です。M&Aは主として株式の譲渡または事業の譲渡を行うことで経営権や主要な事業を第三者に引き渡すことが多いのですが、当該事例では飲食店経営のノウハウを相手先に提供することで資金を得て事業そのものを引き続き自分たちで継続している珍しい案件です。当面は事業を自分たちで継続していくものの、どこかのタイミングで当該事業を改めてB社もしくは別の第三者へ譲渡することになるものと思われます。(4)学習塾のM&A(個人への事業譲渡)【当事者情報】◆譲り渡し側:A社・業種:教育業・売上高:5000万円・従業員:5名・業歴:25年◆譲り受け側:三宅一郎(仮)・業種:創業希望者◆関与した支援機関:M&Aプラットフォーマー、(顧問)税理士【意思決定に至るまでの経緯】地域の小・中・高校生が通う個別指導学習塾を経営していた小山克彦(仮)は年齢や持病等により、自身で塾を継続していくことに限界を感じ、廃業を検討。塾の生徒や保護者から塾の存続を望む声が多く、廃業以外の道を顧問税理士に相談したところM&Aの可能性を示唆された。【成立に至った経緯】顧問税理士から紹介されたM&A専門業者とはコスト面で折り合いがつかず、低コストで事業の承継者を探すことができる方法を探していたところ、インターネット上で候補者を探せるマッチングサイトである、M&Aプラットフォームの存在を知った。M&Aプラットフォーム上で複数の候補者から打診を受け、その中で、塾講師の経験があり、学習塾経営の創業希望者であった30代男性会社員の三宅と出会い、基本合意に至った。小山は、三宅の人柄や能力があれば、塾の子供達を安心して任せることができると考え、事業譲渡実行に至った。【成立に至った後の経緯】M&Aプラットフォームを利用したことにより、低コストで中小M&Aが実現した。小山は現在、塾経営の経験がない三宅をサポートし、子供達の成長を見守りながら、地域のボランティアに参加するなど充実したセカンドライフを送っている。上記は学習塾を運営している会社の事業を個人へ譲渡した事例です。今までの3つの事例は地元の金融機関や事業承継・引継ぎ支援センターが案件の仲介役となっていましたが、当該事例ではインターネットでのマッチングサイトで譲渡の相手先を探しています。この理由としてM&A専門業者を利用するとコストがかさむことが挙げられています。確かにM&A専門業者を利用すると高いコストは発生しますが、その分良質な相手先の紹介やM&Aの手続を円滑に遂行できるというメリットもあります。筆者の経験上、中小企業のM&Aは一生に一度経験するかどうかの重要なステージですので、ある程度のコスト発生はやむを得ないのではないかという見解です。従ってインターネットでのマッチングサイトよりは地元の金融機関や事業承継・引継ぎ支援センターへの相談による情報入手が望ましいのではと考えます。提供:税経システム研究所
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2026/03/31 人事労務管理
昨今労務事情あれこれ(220)
1.はじめに現代社会は「ストレス社会」とも言われています。人それぞれにストレスを感じる対象は異なるのでしょうが、全くストレスがなく日々の生活を送っている人は皆無と言っても差し支えないでしょう。単純に「ストレス=悪」と考えがちですが、ストレスの全てが悪影響を及ぼすわけではありません。適度なストレスやプレッシャーはそれを乗り越えたときに、自分自身の成長の糧や自信につながります。この「適度」が曲者で、ストレスは定量的に捉えることができず、同じストレスの原因(ストレッサー)にさらされても、ある人にとっては適量でも、別の人にとってはそれを過剰に感じてしまうこともあるわけです。過剰なストレスにさらされた結果、メンタルの不調を訴える人も増加しており、それが原因で長期の休職や退職に至るケースも多くみられています。こうした状況を踏まえ、2015年に従業員50人以上の事業場ではストレスチェックが義務化されています。従業員50人未満の事業場については現在のところ努力義務とされていますが、2025年5月14日に公布された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律」にて、従業員50人未満の事業場にもストレスチェック義務化を拡大することが決まりました。この施行日については「公布後3年以内に政令で定める日」とされており、まだ確定していませんが、最長でも2028年5月までには企業規模を問わずストレスチェックが義務となる見込みです。この義務化までにはまだ1~2年ある、と感じる向きもあるかもしれませんが、扱う対象は、個々の従業員が感じるストレス、という非常にセンシティブな事柄です。プライバシー保護など個人情報の取扱いには慎重な対応が求められますし、ストレスチェックを行う体制づくりのための人員や資金などをふんだんに割くことは容易ではない……と考えると、早めに着手しておくことに越したことはありません。今回は小規模事業場のストレスチェック義務化にどのように対応していくべきかを考えていきます。2.労働者のメンタルヘルス対策の現状は?厚生労働省では「過労死等の労災補償状況」を毎年発表しています。2024年度の精神障害による労災請求件数は3780件(前年比205件増)であり、うち、1055件に労災補償の支給が決定されています。(前年比172件増)請求件数・支給件数ともに年々増加傾向となっており、様々なストレスによるメンタル不調の増加が統計からも明らかになっています。一方、事業場規模によるストレスチェックの実施状況(注1)には、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場のうち、すでに義務化されている従業員50人以上の事業場では89.8%が実施しているのに対し、努力義務とされている従業員50人未満の小規模事業場においては、従業員30人から49人の事業場で57.8%、10人から29人の事業場で58.1%と低い割合に留まっており、従業員50人以上の事業場とは大きな格差が生じています。では、小規模事業場におけるストレスチェックについて、どのような体制を整備し、準備を進めていけばよいのでしょうか。3.どのような準備をしていくべきか?ストレスチェックの導入にあたっては、先述のとおり、従業員のプライバシー保護の観点から明確なルールづくりが必要と考えます。事前に労使(安全衛生委員会など)で以下の事項について協議を行っていきましょう。1.ストレスチェックの実施方法まず、ストレスチェックを自社で行うのか、外部に委託するのかを決める必要があります。小規模事業場では、従業員のプライバシー保護体制が脆弱なことが多いことから、セキュリティ体制が高く専門知識も豊富な外部機関への委託が推奨されています。2.担当者の選任・実施体制外部に委託する場合でも、担当者の選任や具体的な実施方法は社内で決めなければなりません。以下の事項を協議・決定しておきましょう。自転車通勤を許可する等の方策が考えられます。実施の時期や実施の頻度(年に1回以上)質問票の内容(厚生労働省指定の3項目と追加項目)(注2)高ストレス者の判定基準面接指導を行う医師の選任・面接指導の依頼方法従業員50人未満の事業場に対し、産業保健サービスを提供する公的機関として都道府県ごとに「地域産業保健センター」が設置されています。体制整備に不安がある場合はこちらに相談することも可能です。(相談は無料)3.結果の保存と管理体制ストレスチェックの結果は、従業員のプライバシー関係の情報が多く含まれる非常にセンシティブな内容ですので、保存や管理には厳格なルールを設けることが求められます。個々のデータへのアクセス権限・保管方法などのセキュリティ体制外部機関などの実施者と事業主間の情報共有ルールの明確化(特に人事権を持つ者はストレスチェックの実施者や実施事務従事者として関与することが禁止されている)「なにやらいろいろと手間がかかりそうだ……」といった印象を受けた方も多いかもしれません。義務化とはいえ、ストレスチェックを実施しないこと自体に、現行法令では罰則が設けられていません。しかしながら、ストレスチェック実施後に行うべき所轄労働基準監督署への報告を怠った場合や虚偽の報告を行った場合は50万円以下の罰金が科されることになっています(労働安全衛生法第120条)。こうした法令上の罰則以外にも、企業経営上の数々のリスクがあることは認識しておくべきでしょう。どのようなリスクが考えられるのでしょうか。4.従業員のメンタル不調予防が不十分な場合のリスクとは?ストレスチェックの実施により、従業員がメンタル不調に至る前に対応できる体制が不十分な場合、次のようなリスクが考えられます。1.生産性の低下や離職の増加ただでさえ人手不足感の強い昨今、ギリギリの人員で業務遂行をしている職場が少なくないと思います。そのような状況の中、メンタル不調による欠勤や長期の休職で人員が減少することは、他の従業員の負担増加に直結し、パフォーマンスの低下を招くことになります。この状況が続いてしまうと、メンタル不調を起こしている従業員が退職する恐れがあるだけでなく、第二第三の休職・退職者が発生し、最悪の場合、職場崩壊につながってしまうこともあります。2.安全配慮義務違反と訴訟のリスク過重労働や顧客対応(カスハラなど)などの高ストレスの状況を企業が放置した結果、メンタル不調に至り、長期の療養や自死のきっかけとなった場合、企業は安全配慮義務を果たさなかったとして従業員側から損害賠償を求められ、または訴訟を起こされる可能性があります。3.企業イメージ低下のリスク上記2.に関連することですが、某広告代理店の若手社員が過重労働の末にメンタル不調に陥り自死したことにより、遺族から損害賠償を求める訴訟を提起された事件がありました。マスコミなどでこの「過重労働⇒メンタル不調による自死」の一連の事件を、その広告代理店の社名をつけて「〇〇事件」と呼ばれていることをご存知の方も多いのではないでしょうか。このような不幸な事件の当事者として社名が連呼されるだけでなく、判例として永きにわたり残ってしまうことで企業イメージが低下することは避けられません。また、今や強力な発信力を持つツールとして、誰でもSNSを利用できる時代です。メンタル不調を放置するだけでなく、それを理由とした不当な配置転換、解雇など、従業員に不利益な措置を行った場合、社名入りで実情をSNSに投稿され、これが拡散されることもありえます。企業イメージの低下は業務遂行への影響だけでなく、新規採用や従業員の定着に大きく影響する可能性があります。厚生労働省では、小規模事業場のストレスチェック体制構築の一助として、2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」を策定・公開しています。(注3)このようなマニュアルや地域産業保健センターとの連携により早めの体制づくりをしていきましょう。<注釈>令和6年「労働安全衛生調査(実態調査)」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r06-46-50_houdou.pdf厚生労働省「ストレスチェック制度導入ガイド」6ページ参照https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei12/pdf/160331-1.pdf厚生労働省「小規模事業場ストレスチェック実施マニュアル」https://www.mhlw.go.jp/content/11303000/001646587.pdf提供:税経システム研究所
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