税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2025/03/10
青色事業専従者給与とは
青色事業専従者給与とは、青色申告を行う個人事業主が、生計を一にする配偶者やその他の親族で、専らその事業に従事する者に支払う給与を、必要経費として認める制度である(注1)。青色事業専従者給与を経費として計上するためには、以下の要件を満たす必要がある。生計を一にする配偶者または親族であること。その年の12月31日時点で年齢が15歳以上であること。その年の6か月を超える期間、専らその事業に従事していること。年の途中で事業開始した場合などは、事業に従事可能な期間の2分の1を超える期間の従事があれば認められる(注2)。支払う給与が労務の対価として相当であること。このほか、専従の程度によっては、専従者として認められないケースもあるため注意が必要である。例えば、週1日程度の勤務では専従とは認められない可能性が高く、専業主婦が事業の一部を補助していた程度では認められなかった事例がある。青色事業専従者給与が税務上認められるためには、労務内容や勤務実態を明確に記録し、証拠として提示できる状態にしておくことが重要である。帳簿への記帳や振込決済を行い、支払い事実を明確にすることも求められる。特に注意が必要なのは、支払われる給与額が相当額を超えた場合の取扱いである。給与が過大と判断された場合、その超過分は経費として認められないばかりか、事業主から専従者への贈与とみなされ、贈与税の課税対象となる可能性がある。給与額の決定には、十分な検討が必要である(注3)。さらに、青色事業専従者給与を経費に算入するためには、「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署長に提出する必要がある。提出期限は、給与を経費に算入しようとする年の3月15日までである。ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には、その日から2ヶ月以内に提出する。届出書には、専従者の氏名、職務内容、給与の金額支給時期などを詳細に記載する。また、専従者が増えた場合や、給与額を変更する場合には、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を速やかに提出しなければならない。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2075.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/10.htmhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/651008/01.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/03/03
満期や解約により保険金を受け取ったとき
確定申告の時期を迎え、満期や解約により保険金を受け取った場合の取扱いについて改めて確認しておきたい。同保険金にかかる税金は、契約者、受取人の関係によって異なり、所得税または贈与税の課税対象となる(注1)。1.契約者と受取人が同一の場合(自身の契約で、自身が受取人の場合)この場合、満期や解約による保険金は、受取の方法により、契約者(兼受取人)の一時所得または雑所得となる。満期保険金等を一時金で受領した場合満期保険金等を一時金で受領した場合には、一時所得になる。【計算式】(受取保険金額-払込保険料総額-特別控除額50万円)×1/2=一時所得満期保険金等を年金で受領した場合満期保険金等を年金で受領した場合には、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額が、公的年金等以外の雑所得になる。2.契約者と受取人が異なる場合(例:契約者が親、子が受取人)契約者(保険料の負担者)と保険金の受取人が異なる場合は、贈与税が課される。満期保険金を一時金でなく、年金で受領する場合は、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課される。契約者と受取人が同一の場合は、満期返戻金額または解約返戻金額から払込保険料総額を差し引いた額が課税対象となるが、契約者(保険料の負担者)と保険金の受取人が異なる場合は、払込保険料は加味されない。暦年贈与の場合は、満期返戻金額または解約返戻金額から110万円を差し引いた額が贈与税の課税対象となる。3.契約者と受取人が同一であっても、保険料の負担者が異なる場合契約者と受取人が同一の場合は上記1の取扱いとなるが、実務では契約者と実際の保険料の負担者が異なることがある。例えば、契約者と受取人を子にしつつも、その保険料を親が直接保険会社に支払うケースである。この場合は、たとえ契約者と受取人が同一であっても、上記2と同様に贈与税が課される。この場合、払込保険料ではなく、上記2と同様に満期返戻金額または解約返戻金額が贈与税の対象となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1755.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/02/17
相続時精算課税制度と贈与税申告
令和5年度税制改正により、相続時精算課税制度が大幅に変更されている(注1)。令和6年中にこの制度を利用して贈与を受けた方は、確定申告手続きが例年と異なるため、注意が必要である。相続時精算課税制度は、60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子や孫に対して財産を贈与する際に選択できる制度である。贈与時においては、特別控除により2,500万円までの贈与が非課税となるが、贈与者が亡くなった際には、これらの贈与が相続財産に加算され、相続税対象となる(注2)。令和6年分において初めて相続時精算課税制度を選択する場合、以下の手続きが必要になる。「相続時精算課税選択届出書」の提出「相続時精算課税選択届出書」に受贈者の戸籍謄本または抄本などを添付して受贈者の所轄税務署に提出する。提出期間は、令和7年2月3日から3月17日まで。贈与税の申告書の提出(贈与財産が110万円を超える場合)贈与財産の価額が年110万円を超える場合は、1の届出書と併せて「贈与税の申告書」を提出する必要がある。一方で、贈与財産の価額が110万円以下の場合は、申告書の提出は不要で、届出書のみの提出で済む。このように手続きが変更になったのは、相続時精算課税制度においても年間110万円の基礎控除が認められるようになったことによる。これにより、贈与財産の価額が110万円以下の場合は贈与税申告書の提出義務がなくなった。令和6年分贈与税申告の申告期間は、令和7年2月3日から令和7年3月17日である。この期間は、所得税申告の申告期間(令和7年2月17日から令和7年3月17日)とは異なるため、早めの準備が求められる。特に、今回初めて相続時精算課税を選択する場合は、期限内に必要書類を全て提出しなければ選択が認められず、暦年課税となってしまうことに注意が必要である。改正により相続時精算課税はメリットが大きくなったが、一度選択すると取り消して暦年贈与に戻すことはできないため、選択する際には慎重に検討することが重要である。(参考)令和6年分贈与税の申告のしかたhttps://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/zoyo/tebiki2024/01.htm<注釈>https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/02/17
必要経費と認められる支出〜資格取得費用をめぐる判断
所得税法では、必要経費を「事業の遂行上必要な支出」と定め、事業収入と直接関連するものが該当するとされる。個人事業においては、店舗併用住宅の維持費など、一つの支出が家事費と業務上必要な費用の両方の性質をもつ家事関連費について区分が難しい。特に、教育関連費の支出については、家事関連費に該当するのか、該当した場合に必要経費に算入できるかどうかを二段階で検討する必要がある。所得税法施行令96条では、家事関連費は原則として必要経費に算入できないと規定されている。ただし、支出の「主たる部分」が業務遂行上直接必要であり、かつ、その必要部分が明確に区分できる場合に限り、必要経費として認められる(注1)。この点に関し、法廷で争われた事例として、大阪高裁令和2年5月22日判決がある(注2)。本件では、接骨院を経営する者が、柔道整復師の資格取得費用を必要経費として計上できるかが争われた。裁判所の判断(要旨)は次のとおりである。資格がなくても事業を継続できていたため、資格取得が業務遂行上不可欠とはいえない。将来の事業拡大や収入増加の可能性はあるものの、資格取得は個人のスキル向上の側面が強く、必要経費とは認められない。支出の中に業務に関連する部分が含まれていたとしても、家事費と明確に区分されていないため、必要経費には算入できない。この判決から、必要経費として認められるには、業務との関連性を客観的に示す証拠が不可欠であり、納税者の主観的な判断だけでは認められないことがわかる。また、家事関連費と家事費を明確に区分することの重要性も指摘されており、教育関連費を安易に必要経費として計上することは避けるべきであろう。一方、近年の働き方の変化に伴い、リスキリングや資格取得の重要性が高まっていることから、教育関連費を必要経費として認めるべきではないかという意見もある。しかし、現状では十分な議論が尽くされておらず、本判決が実務に与える影響は大きい。教育関連費を必要経費として計上する際には、慎重な判断が求められる。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htmhttps://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13408.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/02/10
チャットボットによる確定申告相談スタート
令和7年1月6日、令和6年分所得税の確定申告に対応する税務相談チャットボットが国税庁ホームページで公開された(注1)。チャットボットは「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、利用者の知りたい情報を簡単に得られる便利なウエブサービスである。メニューから質問を選ぶか、ユーザーが文字を直接入力すると、AI(人工知能)が自動的に回答を表示してくれる(注2)。国税庁のチャットボットは「税務職員ふたば」というAIキャラクターが、利用者の質問に対して24時間対応している。●相談方法メニューから質問する方法「よくある質問」が一覧として表示されるので、相談内容に近いメニューを選択し、さらに細かい項目を選んでいくと回答が表示される。例えば、確定申告に必要な書類を調べたい場合、「所得税の確定申告令和6年分」から「確定申告に必要な書類を調べる」を選択する。その後、「所得の種類」や「控除の種類」を順に選ぶ。所得:「給与所得、公的年金、土地や建物の譲渡所得」、控除:「医療費控除、住宅ローン控除」と選択した場合は、マイナンバーを確認するための本人確認書類譲渡所得の内訳書医療費控除の明細書住宅借入金等特別控除の計算明細書住宅取得資金の借入金の年末残高証明書などが表示され、各書類名をクリックするとその様式や説明が確認できる。文字を直接入力して質問する方法具体的な質問を話し言葉で入力すると、それに応じた回答が表示される。例えば、「土地・建物を譲渡した時の税金について教えてほしい。」と入力すると、「土地や建物を売却した場合の税金の取扱い」が表示される。さらに、「参考情報:土地や建物を売ったとき」をクリックすると、譲渡所得や税金の計算方法、譲渡益や譲渡損失がある場合の特例について、さらに詳しい情報が表示される。税務相談チャットボットは昨年より進化しており、確定申告の税金相談だけでなく、e-Taxやスマホ申告の相談もできるようになっている。インターネット上で申告書が作成できる「確定申告書作成コーナー」の事前準備方法やエラーの対処方法などについても相談できる。自宅からパソコンやスマホで申告する際の相談ツールとして心強いものとなった印象であり、多くの利用が期待される。今後、令和6年分の消費税の確定申告に対応するチャットボットは、令和7年2月3日に公開される予定。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/pdf/0020011-029.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/02/03
関税等脱税事件 金の密輸事件が6割占める
財務省が公表した令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月まで)に全国の税関が行った輸入品に対する関税及び消費税に係る犯則調査の状況(注1)によると、令和5事務年度に税関長による通告処分は151件、検察官への告発は6件の計157件で、脱税額は総額で約4億円に上った。特に、金地金の密輸事件が102件と全体の約6割を占め、脱税額は約3億6千万円で総額の約9割に達している。金地金、いわゆる金の密輸は、金を隠匿して日本国内に持ち込むことにより消費税の納税を回避し、その持ち込んだ金を消費税込みの価格で金買取業者に売却することで利益を得る手口である。密輸で得られた利益は国外に持ち出され、新たな金の購入資金に充てられるなどしており、これらの行為は組織的に行われていると考えられる。消費税率が平成26年4月に8%へと引き上げられた後、金の密輸は急増した。これに対し、財務省関税局は、平成29年11月に「ストップ金密輸」緊急対策を策定し、取り締まりの強化や金密輸の厳罰化を進めた(注2)。その結果、平成30年頃からは減少し、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの入国者数が激減したことにより、金密輸事件の発生は極めて低位で推移していた。しかし、最近の訪日外国人旅行者の急回復や金価格の高騰を背景に、再び金密輸事件の摘発件数や押収量が増加している。具体的な事例として、タイから入国する際に金約105㎏をプラスティックケースに隠匿し、消費税等約8,080万円を不正に免れようとしたケースや、韓国からの入国時に金約30㎏を活魚運搬車内に隠し、消費税等約2,896万円を不正に免れようとしたケースが報告されている(注3)。財務省関税局・税関は、令和6年11月に金密輸対策のための臨時の税関長会議を開催し、関税局長から各税関長に対して、水際での取り締まり強化を指示した(注4)。具体的には、隠匿された金の摘発に効果が期待される検査機器を整備や旅客や貨物に対する深度ある検査の実施を行うことで、金密輸に対する抑止効果を高めるとしている。税関による金密輸の摘発は、氷山の一角であり、相当程度の利益が犯罪組織などに流れているとも言われていることから、一刻も早い対策強化が求められている。<注釈>https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a.htmhttps://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/stop.htmhttps://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a2_topics.pdfhttps://www.customs.go.jp/news/hodo/20241129.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/27
確定申告と医療費控除
1月1日から12月31日の間に、一定額以上の医療費を支払った場合、確定申告において医療費控除の適用を受けることができる。セルフメディケーション税制とは異なる制度だが、どちらか有利な方を選択して申告できる。医療費控除の適用を受けるためには、医療費の詳細を記載した「医療費控除の明細書」を添付して確定申告する必要がある。しかし、受診件数や医療機関数が多い場合、明細書の記載が煩雑で手間がかかることがある。この課題を解消するため注目されているのが、マイナポータル連携である(注1)。マイナポータル連携とは、マイナポータル経由で給与所得の源泉徴収票、控除証明書などのデータを一括取得し、確定申告書に自動入力する機能のことである。医療費通知情報も取得可能であり、これを利用すれば、正確な情報を簡便に取得でき、手作業での入力負担を軽減できる。また、代理人設定を行えば、家族の医療費通知情報も連携が可能である。取得したデータは、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で利用できるが、マイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する場合に限られる。令和6年分所得税確定申告における医療費控除の変更点として、「医療費控除の適用を受けるおむつ代」が挙げられる。介護保険法施行規則の一部改正に伴い、要介護状態が長期間にわたって継続することが見込まれる場合は、一定の手続きにより最長48か月間の要介護認定を行うことができることとされたこと等を踏まえ、厚生労働省において「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(注2)」が令和6年10月10日付で改正されている。これにより、おむつ代の医療費控除の適用を受ける際の手続きが簡略化されている。具体的には、適用1年目でも一定の要件を満たす場合、「おむつ使用証明書」に代えて「主治医意見書の内容を確認した書類」等を用いることが可能となった(注3)。ただし、前述のマイナポータル連携はできない。なお、医療費控除の適用を受けるためには、医療費控除の明細書の添付は必要だが、領収書の添付や提示は不要である。ただし、税務署から確認や提出を求められる場合があるため、確定申告期限から5年間適切に保管する必要がある。また、医療費通知に記載されている医療費の内容は年の途中までの場合があり、1年分の記載がないこともあるため、記載されていない分の医療費については、領収書等を基に入力する必要がある点等については留意が必要である(注4)。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mynapo.htmhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/pdf/omutuBetten.pdfhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/index.htmhttps://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/cat1/cat13/cat132/cat1322/cat13221/cid364.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/20
事業所得と雑所得の区分について
事業所得と雑所得の区分については、令和4年10月に所得税基本通達35-1及び35-2が改正されている(注1)。この改正は、多様な働き方の拡大を背景に、スモールビジネスの所得を事業所得として申告する者の中には、そこで生じた赤字を他の所得と損益通算して税負担を軽くする事例が問題視されたことによる。事業所得と雑所得の区分は、納税者自身の判断だけでなく、改正通達の影響を受けるため、特に300万円以下の収入で副業を行う場合、自身の所得区分がどちらに該当するのかを慎重に判断する必要がある。事業所得とは事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得とされている。業務に係る雑所得とは業務に係る雑所得とは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいう(注2)。事業所得と雑所得の区分事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。事業的規模である場合は事業所得、そうでない場合は業務に係る雑所得に区分される。記帳・帳簿書類の保存がある場合その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合には概ね事業所得と区分される。ただし、次のような場合は個別に判断する。その所得の収入金額が僅少と認められる場合例えば、その所得の収入金額が300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合が該当すると考えられる。その所得を得る活動に営利性が認められない場合その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するために収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合など。記帳・帳簿書類の保存が無い場合その所得に係る取引を記帳していない場合や帳簿書類の保存が無い場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難い。また、事業所得の記帳・帳簿書類の保存義務に反している。この場合、その所得の収入金額が300万円超だとしても概ね業務に係る雑所得となる。300万円以下の場合は、業務に係る雑所得(資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得)となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/20
交際費と業務関連性
交際費等とは、法人が得意先や仕入先など事業に関係のある相手に対し、接待や贈答などを行うために支出する費用を指す(注1)。ただし、他の費用と同様、事業に直接関連しない交際費等は損金に算入することはできない。しかし、交際費の中には、業務関連性が薄く、その判断基準は必ずしも明確ではないこともあり、税務上の争点となる場合がある。令和5年5月12日東京地裁判決(令和元年(行ウ)第607号、第614号)では、交際費等の業務関連性が争われている。この裁判では、広告業を営む法人2社の代表者が写真家や建築家、クラブ経営者らとの飲食代を代表者個人のクレジットカードで支払い、それを納税者は「損金に算入できる交際費等」と主張、一方で国は「交際費等に該当しない」と反論した。主要な争点は、「交際費等の業務関連性」であり、この支出がどの程度業務に関連しているかという点だった。裁判所は、交際費等として認められるためには、支出が具体的に業務と関連していることを証明する必要があると判断した。具体的には、業務を受発注や契約関係があることなどが必要であり、単に人脈を広げるためという抽象的な理由だけでは、業務関連性を立証するには不十分とした。しかし、厳格な姿勢をとる国側に対し、東京地裁は中小企業の一般的な取引実態も考慮し、複数の業務に関連し、互いに業務を受発注する関係にあって、現在も取引関係を継続しているといった程度の結びつきがあれば、業務との関連性が認められると解釈し、柔軟な対応をみせている。ただし、この判例はあくまで1つの事例であり、明確な判断基準が無い業務関連性については、今後、異なる判断が下される可能性がある点には注意が必要である。一方で、消費税については、納税者はクレジットカード明細書の保存しか行っていなかったため、仕入税額控除が認められなかった。消費税法では、帳簿や請求書などの保存が義務付けられており、たとえ飲食等の代金が交際費等に該当したとしても、クレジットカード明細書だけでは、これらの要件を満たすことはできない(注2)交際費等を損金算入するためには、業務関連性を具体的に証明することが重要である。忘年会・新年会シーズンは、関係者との親睦を深める絶好の機会ではあるが、同時に税務処理に関する注意点も意識し、正しい処理を心掛けたいものである。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/06
暦年贈与と相続時精算課税
2024年1月から相続税・贈与税が大幅に改正された。この改正を踏まえ、節税を目的とした「駆け込み贈与」は12月末までに行う必要がある。そこで、贈与税の課税制度である「暦年贈与」と「相続時精算課税」について、基本と改正点のポイントを解説する。暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までに贈与された財産に課税する制度である。この制度には贈与者や受贈者に特別な制限がなく、血縁や縁戚に関係なく贈与することができる。暦年課税では、年間110万円の基礎控除が設けられており、贈与額が110万円を超えた場合にのみ、超過額に累進税率で課税される。一方、贈与額が年間110万円以下であれば、贈与税の申告義務はない(注1)。ただし、暦年贈与では、贈与者が亡くなった場合には、生前贈与された財産が相続財産に加算される制度の「持ち戻し」規定が適用される。贈与された額が相続税の対象として加算される。この加算される期間が、改正前はこの「持ち戻し」の対象期間が相続開始前3年までであったが、改正後は7年に延長された。なお、相続が開始する3年よりも前の4年間については合計100万円まで加算されない特例が設けられた(注2)。相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫に対して行われた贈与について利用できる制度である。この制度には特別控除額2,500万円が設けられており、控除額の範囲内であれば贈与時には贈与税が課されない。特別控除額を超えた場合は、超えた額に一律20%の税率で課税される。相続時には基礎控除額を控除した残額が相続財産に加算され、相続税の課税対象となる(注3)。税制改正により、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新たに設けられた(注2)。暦年贈与と相続時精算課税制度にはそれぞれ利点と欠点があり、贈与者と受贈者の条件に応じた選択を行うが、相続時精算課税制度の条件を満たすのであれば、毎年110万円以内の贈与を繰り返すことで非課税枠を効果的に利用して節税することを視野に入れたい。ただし、相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないため、慎重な判断が必要である。基礎控除110万円は、暦年課税、相続時精算課税制度ともに1月から12月までの1年間で計算されるため、今年中に贈与する場合は、12月末までに贈与の意思を示し、贈与することが必要である。できれば、贈与契約書を作成して贈与の意思を明確に示しておくと良い。令和6年が相続時精算課税制度の初年度となる場合、基礎控除以下の贈与であれば申告は不要だが、「相続時精算課税選択届出書」の提出は必須である点に注意が必要だ。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htmhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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