税金ワンポイント
税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。
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2025/02/10
チャットボットによる確定申告相談スタート
令和7年1月6日、令和6年分所得税の確定申告に対応する税務相談チャットボットが国税庁ホームページで公開された(注1)。チャットボットは「チャット(会話)」と「ロボット」を組み合わせた言葉で、利用者の知りたい情報を簡単に得られる便利なウエブサービスである。メニューから質問を選ぶか、ユーザーが文字を直接入力すると、AI(人工知能)が自動的に回答を表示してくれる(注2)。国税庁のチャットボットは「税務職員ふたば」というAIキャラクターが、利用者の質問に対して24時間対応している。●相談方法メニューから質問する方法「よくある質問」が一覧として表示されるので、相談内容に近いメニューを選択し、さらに細かい項目を選んでいくと回答が表示される。例えば、確定申告に必要な書類を調べたい場合、「所得税の確定申告令和6年分」から「確定申告に必要な書類を調べる」を選択する。その後、「所得の種類」や「控除の種類」を順に選ぶ。所得:「給与所得、公的年金、土地や建物の譲渡所得」、控除:「医療費控除、住宅ローン控除」と選択した場合は、マイナンバーを確認するための本人確認書類譲渡所得の内訳書医療費控除の明細書住宅借入金等特別控除の計算明細書住宅取得資金の借入金の年末残高証明書などが表示され、各書類名をクリックするとその様式や説明が確認できる。文字を直接入力して質問する方法具体的な質問を話し言葉で入力すると、それに応じた回答が表示される。例えば、「土地・建物を譲渡した時の税金について教えてほしい。」と入力すると、「土地や建物を売却した場合の税金の取扱い」が表示される。さらに、「参考情報:土地や建物を売ったとき」をクリックすると、譲渡所得や税金の計算方法、譲渡益や譲渡損失がある場合の特例について、さらに詳しい情報が表示される。税務相談チャットボットは昨年より進化しており、確定申告の税金相談だけでなく、e-Taxやスマホ申告の相談もできるようになっている。インターネット上で申告書が作成できる「確定申告書作成コーナー」の事前準備方法やエラーの対処方法などについても相談できる。自宅からパソコンやスマホで申告する際の相談ツールとして心強いものとなった印象であり、多くの利用が期待される。今後、令和6年分の消費税の確定申告に対応するチャットボットは、令和7年2月3日に公開される予定。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htmhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/pdf/0020011-029.pdf提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/02/03
関税等脱税事件 金の密輸事件が6割占める
財務省が公表した令和5事務年度(令和5年7月から令和6年6月まで)に全国の税関が行った輸入品に対する関税及び消費税に係る犯則調査の状況(注1)によると、令和5事務年度に税関長による通告処分は151件、検察官への告発は6件の計157件で、脱税額は総額で約4億円に上った。特に、金地金の密輸事件が102件と全体の約6割を占め、脱税額は約3億6千万円で総額の約9割に達している。金地金、いわゆる金の密輸は、金を隠匿して日本国内に持ち込むことにより消費税の納税を回避し、その持ち込んだ金を消費税込みの価格で金買取業者に売却することで利益を得る手口である。密輸で得られた利益は国外に持ち出され、新たな金の購入資金に充てられるなどしており、これらの行為は組織的に行われていると考えられる。消費税率が平成26年4月に8%へと引き上げられた後、金の密輸は急増した。これに対し、財務省関税局は、平成29年11月に「ストップ金密輸」緊急対策を策定し、取り締まりの強化や金密輸の厳罰化を進めた(注2)。その結果、平成30年頃からは減少し、さらに新型コロナウイルス感染症の影響で海外からの入国者数が激減したことにより、金密輸事件の発生は極めて低位で推移していた。しかし、最近の訪日外国人旅行者の急回復や金価格の高騰を背景に、再び金密輸事件の摘発件数や押収量が増加している。具体的な事例として、タイから入国する際に金約105㎏をプラスティックケースに隠匿し、消費税等約8,080万円を不正に免れようとしたケースや、韓国からの入国時に金約30㎏を活魚運搬車内に隠し、消費税等約2,896万円を不正に免れようとしたケースが報告されている(注3)。財務省関税局・税関は、令和6年11月に金密輸対策のための臨時の税関長会議を開催し、関税局長から各税関長に対して、水際での取り締まり強化を指示した(注4)。具体的には、隠匿された金の摘発に効果が期待される検査機器を整備や旅客や貨物に対する深度ある検査の実施を行うことで、金密輸に対する抑止効果を高めるとしている。税関による金密輸の摘発は、氷山の一角であり、相当程度の利益が犯罪組織などに流れているとも言われていることから、一刻も早い対策強化が求められている。<注釈>https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a.htmhttps://www.customs.go.jp/mizugiwa/gold/stop.htmhttps://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/collection/ka20241113a2_topics.pdfhttps://www.customs.go.jp/news/hodo/20241129.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/27
確定申告と医療費控除
1月1日から12月31日の間に、一定額以上の医療費を支払った場合、確定申告において医療費控除の適用を受けることができる。セルフメディケーション税制とは異なる制度だが、どちらか有利な方を選択して申告できる。医療費控除の適用を受けるためには、医療費の詳細を記載した「医療費控除の明細書」を添付して確定申告する必要がある。しかし、受診件数や医療機関数が多い場合、明細書の記載が煩雑で手間がかかることがある。この課題を解消するため注目されているのが、マイナポータル連携である(注1)。マイナポータル連携とは、マイナポータル経由で給与所得の源泉徴収票、控除証明書などのデータを一括取得し、確定申告書に自動入力する機能のことである。医療費通知情報も取得可能であり、これを利用すれば、正確な情報を簡便に取得でき、手作業での入力負担を軽減できる。また、代理人設定を行えば、家族の医療費通知情報も連携が可能である。取得したデータは、国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」で利用できるが、マイナンバーカードを利用してe-Taxで申告する場合に限られる。令和6年分所得税確定申告における医療費控除の変更点として、「医療費控除の適用を受けるおむつ代」が挙げられる。介護保険法施行規則の一部改正に伴い、要介護状態が長期間にわたって継続することが見込まれる場合は、一定の手続きにより最長48か月間の要介護認定を行うことができることとされたこと等を踏まえ、厚生労働省において「おむつに係る費用の医療費控除の取扱いについて(注2)」が令和6年10月10日付で改正されている。これにより、おむつ代の医療費控除の適用を受ける際の手続きが簡略化されている。具体的には、適用1年目でも一定の要件を満たす場合、「おむつ使用証明書」に代えて「主治医意見書の内容を確認した書類」等を用いることが可能となった(注3)。ただし、前述のマイナポータル連携はできない。なお、医療費控除の適用を受けるためには、医療費控除の明細書の添付は必要だが、領収書の添付や提示は不要である。ただし、税務署から確認や提出を求められる場合があるため、確定申告期限から5年間適切に保管する必要がある。また、医療費通知に記載されている医療費の内容は年の途中までの場合があり、1年分の記載がないこともあるため、記載されていない分の医療費については、領収書等を基に入力する必要がある点等については留意が必要である(注4)。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/mynumberinfo/mynapo.htmhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/pdf/omutuBetten.pdfhttps://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/241009/index.htmhttps://www.keisan.nta.go.jp/r3yokuaru/cat1/cat13/cat132/cat1322/cat13221/cid364.html提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/20
事業所得と雑所得の区分について
事業所得と雑所得の区分については、令和4年10月に所得税基本通達35-1及び35-2が改正されている(注1)。この改正は、多様な働き方の拡大を背景に、スモールビジネスの所得を事業所得として申告する者の中には、そこで生じた赤字を他の所得と損益通算して税負担を軽くする事例が問題視されたことによる。事業所得と雑所得の区分は、納税者自身の判断だけでなく、改正通達の影響を受けるため、特に300万円以下の収入で副業を行う場合、自身の所得区分がどちらに該当するのかを慎重に判断する必要がある。事業所得とは事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得とされている。業務に係る雑所得とは業務に係る雑所得とは、副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいう(注2)。事業所得と雑所得の区分事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。事業的規模である場合は事業所得、そうでない場合は業務に係る雑所得に区分される。記帳・帳簿書類の保存がある場合その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合には概ね事業所得と区分される。ただし、次のような場合は個別に判断する。その所得の収入金額が僅少と認められる場合例えば、その所得の収入金額が300万円以下で、主たる収入に対する割合が10%未満の場合が該当すると考えられる。その所得を得る活動に営利性が認められない場合その所得が例年赤字で、かつ、赤字を解消するために収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合など。記帳・帳簿書類の保存が無い場合その所得に係る取引を記帳していない場合や帳簿書類の保存が無い場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難い。また、事業所得の記帳・帳簿書類の保存義務に反している。この場合、その所得の収入金額が300万円超だとしても概ね業務に係る雑所得となる。300万円以下の場合は、業務に係る雑所得(資産の譲渡は譲渡所得・その他雑所得)となる。<注釈>https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/20
交際費と業務関連性
交際費等とは、法人が得意先や仕入先など事業に関係のある相手に対し、接待や贈答などを行うために支出する費用を指す(注1)。ただし、他の費用と同様、事業に直接関連しない交際費等は損金に算入することはできない。しかし、交際費の中には、業務関連性が薄く、その判断基準は必ずしも明確ではないこともあり、税務上の争点となる場合がある。令和5年5月12日東京地裁判決(令和元年(行ウ)第607号、第614号)では、交際費等の業務関連性が争われている。この裁判では、広告業を営む法人2社の代表者が写真家や建築家、クラブ経営者らとの飲食代を代表者個人のクレジットカードで支払い、それを納税者は「損金に算入できる交際費等」と主張、一方で国は「交際費等に該当しない」と反論した。主要な争点は、「交際費等の業務関連性」であり、この支出がどの程度業務に関連しているかという点だった。裁判所は、交際費等として認められるためには、支出が具体的に業務と関連していることを証明する必要があると判断した。具体的には、業務を受発注や契約関係があることなどが必要であり、単に人脈を広げるためという抽象的な理由だけでは、業務関連性を立証するには不十分とした。しかし、厳格な姿勢をとる国側に対し、東京地裁は中小企業の一般的な取引実態も考慮し、複数の業務に関連し、互いに業務を受発注する関係にあって、現在も取引関係を継続しているといった程度の結びつきがあれば、業務との関連性が認められると解釈し、柔軟な対応をみせている。ただし、この判例はあくまで1つの事例であり、明確な判断基準が無い業務関連性については、今後、異なる判断が下される可能性がある点には注意が必要である。一方で、消費税については、納税者はクレジットカード明細書の保存しか行っていなかったため、仕入税額控除が認められなかった。消費税法では、帳簿や請求書などの保存が義務付けられており、たとえ飲食等の代金が交際費等に該当したとしても、クレジットカード明細書だけでは、これらの要件を満たすことはできない(注2)交際費等を損金算入するためには、業務関連性を具体的に証明することが重要である。忘年会・新年会シーズンは、関係者との親睦を深める絶好の機会ではあるが、同時に税務処理に関する注意点も意識し、正しい処理を心掛けたいものである。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htmhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/18/05.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/01/06
暦年贈与と相続時精算課税
2024年1月から相続税・贈与税が大幅に改正された。この改正を踏まえ、節税を目的とした「駆け込み贈与」は12月末までに行う必要がある。そこで、贈与税の課税制度である「暦年贈与」と「相続時精算課税」について、基本と改正点のポイントを解説する。暦年課税とは、その年の1月1日から12月31日までに贈与された財産に課税する制度である。この制度には贈与者や受贈者に特別な制限がなく、血縁や縁戚に関係なく贈与することができる。暦年課税では、年間110万円の基礎控除が設けられており、贈与額が110万円を超えた場合にのみ、超過額に累進税率で課税される。一方、贈与額が年間110万円以下であれば、贈与税の申告義務はない(注1)。ただし、暦年贈与では、贈与者が亡くなった場合には、生前贈与された財産が相続財産に加算される制度の「持ち戻し」規定が適用される。贈与された額が相続税の対象として加算される。この加算される期間が、改正前はこの「持ち戻し」の対象期間が相続開始前3年までであったが、改正後は7年に延長された。なお、相続が開始する3年よりも前の4年間については合計100万円まで加算されない特例が設けられた(注2)。相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫に対して行われた贈与について利用できる制度である。この制度には特別控除額2,500万円が設けられており、控除額の範囲内であれば贈与時には贈与税が課されない。特別控除額を超えた場合は、超えた額に一律20%の税率で課税される。相続時には基礎控除額を控除した残額が相続財産に加算され、相続税の課税対象となる(注3)。税制改正により、相続時精算課税制度に年間110万円の基礎控除が新たに設けられた(注2)。暦年贈与と相続時精算課税制度にはそれぞれ利点と欠点があり、贈与者と受贈者の条件に応じた選択を行うが、相続時精算課税制度の条件を満たすのであれば、毎年110万円以内の贈与を繰り返すことで非課税枠を効果的に利用して節税することを視野に入れたい。ただし、相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないため、慎重な判断が必要である。基礎控除110万円は、暦年課税、相続時精算課税制度ともに1月から12月までの1年間で計算されるため、今年中に贈与する場合は、12月末までに贈与の意思を示し、贈与することが必要である。できれば、贈与契約書を作成して贈与の意思を明確に示しておくと良い。令和6年が相続時精算課税制度の初年度となる場合、基礎控除以下の贈与であれば申告は不要だが、「相続時精算課税選択届出書」の提出は必須である点に注意が必要だ。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4402.htmhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdfhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/12/23
差押えと公売
「公売」は、滞納者が税金を滞納した場合に、納税者から差押えた財産を官公庁が売却し、その代金を滞納分の税金に充てる制度である。この制度では、差押財産を公平な手続きを通じて市場に出し、広く一般の購入機会を提供している。令和6年11月、東京国税局が滞納者から差し押さえたフェラーリを出品し、約1億7,000万円で落札されたことが話題になった。一般的には、市場価格より安く入手できることが多い公売だが、市場に出回りにくい物件や稀少な資産といった掘り出し物の場合は高値がつくこともある。税金の滞納から公売に至る流れは次のとおりである。まず、納付期限までに税金が支払われない場合、約1か月後に督促状が送付される。それでも納付が行われない場合は、金融機関や取引先などを通じて財産調査が行われる。この調査で把握された財産が差し押さえられ、最終的に公売へと進むことになる。差押物件は、不動産や車両だけでなく、美術品や時計といった動産に及ぶ場合もある。公売には、「入札」と「競り売り」の二つの方法があり、入札はさらに「期日入札」と「期間入札」に分かれる。期日入札は指定された公売日に会場で入札書を提出し、その場で開札される形式であり、期間入札は指定された提出期間内に入札書を郵送または直接提出し、後日開札が行われるものである。いずれの場合も、最高額を提示した入札者が物件を取得する仕組みとなっている。近年ではインターネットを活用した官公庁オークションが普及しており、自宅から簡単に誰でも入札できることが特徴だ。ただし、公売に参加する際は事前準備が不可欠である。例えば、不動産の場合、登記簿や物件説明書を確認し、さらに、可能であれば現地の現況確認を行うことが必要である。公売物件の多くは瑕疵担保責任が免除されており、落札後に不備が見つかっても補償を受けられないケースが多いためである。特に不動産は、法的な制限や占有者の退去リスクなども考慮しておきたい。公売は、市場価格よりも安価といったメリットや希少品に出会えるチャンスもある制度だが、リスクを理解した上で参加することが求められる。参考官公庁オークションhttps://help.kankocho.jp/knowledge/help004提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/12/16
令和7年1月からのe-Tax機能改善
国税庁は、令和6年10月25日、令和7年1月以降、e-Taxで提供する新たな機能について公表を行った。(注1)令和7年1月以降提供される新機能は、個人向けスマホ用電子証明書への対応(令和7年1月対応予定)マイページの「各税目に関する情報」の拡充(令和7年1月対応予定)ゆうちょ銀行の口座振替依頼書のオンライン提出(令和7年4月対応予定)個人・法人向けマイページの税務代理人への利用拡大(令和7年5月対応予定)となっている。令和7年1月対応が予定されているスマホ用電子証明書への具体的な対応方法とマイページの「各税目に関する情報」の拡充は、下記のとおりとなっている。スマホ用電子証明書への対応は、スマホ用電子証明書を利用することで、マイナンバーカードをスマホで読み取らなくても、申告書の作成・e-Tax送信ができるようになるというもので、また、利用者証明用電子証明書に設定したパスワードの代わりに、生体認証などを利用できるようになるというものである。スマホ用電子証明書に対応するためには、事前に下記の手順で申込を行う必要がある。スマートフォンのマイナポータルアプリをタップトップ画面で、メニューをタップスマホ用電子証明書の申込「スマホ用電子証明書を申請する」から、申込み。なお、スマホ用電子証明書に対応している機種でない場合、「スマホ用電子証明書を申請する」ボタンは表示されないため、事前に対応している機種かどうかの確認が必要となる。また、申込を行う前に以下の事前準備が必要となる。<事前準備>マイナポータルアプリとおサイフケータイアプリの最新バージョンのインストール署名用電子証明書と6~16桁の暗証番号の準備GooglePixelを使用している場合は事前に最新のセキュリティアップデートを実施する(注2)マイページの「各税目に関する情報」の拡充は、「各税目に関する情報」に「贈与税関係」を新たに追加し、過去にe-Taxで提出された贈与税申告書が参照可能というものである。なお、申告書を表示するためには、マイナンバーカードでログインする必要がある。<注釈>https://www.e-tax.nta.go.jp/topics/2024/topics_20241025.htmhttps://www.digital.go.jp/policies/mynumber/smartphone-certification提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/12/09
ふるさと納税の利用と注意点
ふるさと納税は地域貢献を図る制度であり、自治体に寄附をした場合は、その寄附金額の一部がその年の所得税や翌年の住民税の控除対象となる(注1)。例えば、30,000円を寄附した場合、2,000円の自己負担を差し引いた28,000円が控除対象となる。ふるさと納税のメリットは、この税控除だけでなく、寄附先の自治体から特産品などの返礼品を受け取ることができるところにある。良いことづくめに感じるふるさと納税であるが、利用に当たっては注意も必要である。まず、デメリットとして、必ず2,000円の自己負担が生じる。また、ふるさと納税を行うことにより受けられる控除には、収入や家族構成によって異なる上限額があり、上限額を超えた金額は寄附者自身の負担となる。ふるさと納税をお得に利用するためには、この上限額を把握して範囲内で寄附することが重要である。所得の種類などによっては、試算が難しい場合もあるが、ふるさと納税サイトの事業者が提供する「ふるさと納税限度額シミュレーション」などを利用すると便利だろう。これからの時期は、寄附をするタイミングにも注意が必要である。今年の寄附金として扱うためには、年内に決済が完了していることが条件だが、寄附先や決済方法によっては、来年の寄附として扱われるケースがある。特に現金書留や金融機関への払込方法の場合は注意が必要である。また、年末は駆け込みで寄附する人が増え、人気の返礼品は品薄になることが多い。余裕をもって寄附することが必要である。税控除を受けるには、確定申告を行うか、ワンストップ特例制度を利用するかのいずれかが必要となる。ワンストップ特例制度は、確定申告の必要がない給与所得者等であること、その年の寄附先が5自治体以内であること、提出期限までに寄附先の全自治体に申請書を必着で送付することなどの条件がある。複数の自治体に寄附した場合や医療費控除や住宅ローン控除など他の申告項目がある場合などは、確定申告を行う必要があることに注意が必要である。なお、ふるさと納税の返礼品に係る経済的利益は一時所得になる。一時所得の特別控除額は50万円であるので、その年中の他の一時所得を含めたところで50万円を超える場合は、確定申告が必要になるおそれがある。なお、年末に寄附し、翌年に返礼品を受領した場合は、翌年の一時所得となる(注2)。<注釈>https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.htmlhttps://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/03/08.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2024/12/02
フリーランス・事業者間取引適正化等法の施行開始
令和6年11月1日より、表題の「フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)」が施行された。同法は、フリーランスと発注事業者との取引の適正化と、フリーランスの就業環境の整備を図ることなどを目的として制定されたもので、このフリーランスに該当するのは、「業務委託の相手方である事業者で、従業員を使用しないもの」とされ、特に業種等を限定していないため、税理士等の士業も含め、幅広い個人事業者が対象となる事が予想される。同法の内容は、主に発注事業者に対して、フリーランスに業務を委託する際の義務を求めるものであり、以下のとおり発注事業者の満たす要件により、その義務の内容が異なる。【義務項目】業務内容・報酬額・支払期日等について書面等による取引条件の明示報酬支払期日(60日以内の出来るだけ早い日)の設定及び期日内の支払受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しといった行為の禁止フリーランスの募集情報の適格表示育児介護等と業務の両立に関する配慮フリーランスに対するハラスメント対策に係る体制の整備業務委託の中途解除や非更新の場合の事前予告と理由開示【発注事業者の分類と対応範囲】従業員なし(業務委託をするフリーランスも含む):①従業員あり・業務委託期間が1ヵ月未満:①②④⑥従業員あり・業務委託期間が1ヵ月以上6ヶ月未満:①②③④⑥従業員あり・業務委託期間が6ヶ月以上:①~⑦の全部すでに令和2年11月から、「フリーランス・トラブル110番」といった相談窓口(注1)も用意されており、また、違反があった場合には、発注事業者は行政の調査を受けることになり、指導・助言・勧告・命令・企業名公表、さらに命令に従わない場合は罰金といった措置が講じられる。内閣官房(注2)・公正取引委員会(注3)・厚生労働省・中小企業庁などから分かりやすい資料の開示もされているため、該当するフリーランス及び発注事業者は確認しておくことを推奨する。<注釈>https://freelance110.mhlw.go.jp/https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/freelance/index.htmlhttps://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/提供:株式会社日本ビジネスプラン
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