税金ワンポイント

税務に関するニュースの中でも、注目度の高いトピックスを取り上げ紹介していく税金ワンポイント。主要な改正情報はもちろん、税務上、判断に迷いやすい税金実務のポイントを毎週お届けします。速報性の高い、タイムリーな情報を皆様の実務にお役立てください。

国税庁はこのほど、役員給与に関するQ&Aを追加公表した。昨年6月に公表されたものに続くもので、定期同額給与の期中増額や減額の扱いなどが示されている。まず、定期同額給与を期中に増額した場合には、増額後の金額が一定であれば、増額前の金額を超える部分のみが損金不算入になるとしている。ただし、期中に代表取締役が死亡して代わりに代表取締役になった役員のように、期中に役員としての地位や分掌が激変した場合には、期中に増額しても増額後の金額が定額であれば、増額前増額後とも...
与党が決定した19年度税制改正大綱は、減価償却制度のほか、信託税制、三角合併等の当面の課題に対応する改正内容となっているが、消費税については来年秋以降に本格論議を開始するとして先送りした。まず、減価償却は、19年4月1日以後に取得する減価償却資産については定額法の残存価額を廃止し、定率法は一定時期に定額法に切り替えることにより、備忘価額1円を残して事実上取得価額の100%までの償却が可能となる。19年3月31日までに取得されたものは、償却可能限度額(取得価...
国税庁はこのほど、土地改良区内にある農地を宅地等に転用して譲渡した場合の決済金等を譲渡費用と認める旨の取扱いを公表した。この取扱いは、最高裁判決でこれらの費用を譲渡費用として認める旨の判決が出されたことを受けてのもので、過去の事案についても除斥期間内であれば更正の請求を認めることとしている。土地改良区内にある農地を宅地等に転用して譲渡する場合には、土地改良法等の定めによって土地改良区に対して農地転用決済金や協力金を支払わなければならないのが一般的であるが、...
政府税制調査会(本間正明会長)はこのほど、19年度税制改正に関する答申を取りまとめたが、焦点となっていた減価償却については定率法償却率の改正も視野に、法定耐用年数での100%償却を提言している。減価償却制度については、有形減価償却資産について取得価額の95%相当額で償却を打ち止めとする現行制度を改めて100%償却を認めることでコンセンサスは得られているが、具体的にどのような形にするかについては、これまでは95%到達資産について、残存価額の3年程度での均等償...
移転価格の大型更正事案が相次いでいるが、東京地裁はこのほど、海外の子会社との間の低利融資に関して、実在の取引ではない想定取引を基にして独立企業間価格を算定した税務当局の処分を適法とする判断を示し、税務当局の採用した方法よりも合理的な方法があるかは納税者側に立証責任があるとした。移転価格における独立企業間価格の算定方法は、いわゆる基本3法を原則とし、それに準ずる方法あるいは準ずる方法と同等の方法等が認められている。争いになった事案は、日本の親会社がタイの子会...
国税庁はこのほど、平成19年1月1日以後の相続等から適用される財産評価基本通達の改正を公表した。この改正は、会社法の施行に関連する事項が殆どで、同庁では改正案を公表してパブリックコメントを募集していたが、当初の改正案どおりの改正内容となった。改正後の評価通達では、まず、類似業種比準方式と配当還元方式において「1株あたりの資本の金額を50円」に引きなおして計算することとされていたものを、「1株あたりの資本金等の額(法人税法の規定による)を50円」に引きなおし...
大阪国税局はこのほど、投資一任勘定による株式への投資に係る収益の所得区分について個別回答を行った。これは投資一任勘定を受ける証券会社からの照会に対するもので、顧客に対して支払われる一任勘定に係る収益は基本的には事業所得または雑所得に当たることが確認されている。この照会事例では、証券会社は投資一任勘定によって顧客から受け入れた資金を株式のみで運用し、顧客は運用益から固定報酬と成功報酬を差し引いた残額を受け取る仕組みであり、特定口座は使わずに顧客名義で売買し、...
地方への税源移譲に伴う所得税と住民税の税率見直しにより、所得税から控除しきれないローン控除税額を住民税から控除できることとされたが、その適用は平成19年度分(20年に課税)住民税からとされ、20年の確定申告時期等に申請を行うこととなる見通しである。税率見直しによって、所得税は19年分から5%〜40%までの6段階、住民税は19年度分から一律10%とされるが、調整措置として所得税から控除しきれないローン控除税額を住民税から控除できることとなる。控除は19年度分...
会社法の施行に伴い、18年度税制改正で各種の対応措置が取られたが、消費税関連では、いわゆる特例有限会社の持分の譲渡が株式の譲渡として扱われるほか、自己株の譲渡は、相対取引を除き非課税取引とみなされることとなるため注意が必要だ。会社法では有限会社制度が廃止されたが、経過措置によって有限会社のまま存続することを認められているのが特例有限会社である。消費税法の上では、旧有限会社の出資持分の譲渡は非課税取引に該当し、課税売上割合の計算上譲渡対価の全額が分母の「資産...
移転価格をめぐる大型更正事案が増加しているが、その一方で相手国との間の相互協議を伴う事前確認も大幅に増加していることが明らかとなった。これは、国税庁が公表した「相互協議を伴う事前確認の状況」いわゆるAPAレポートによるもので、平成17事務年度(17.7.1〜18.6.30)における相互協議の発生件数は92件、合意件数が65件となっている。事前確認は納税者が税務当局に対して独立企業間価格の算定について事前の確認を求めるもので、算定方法が合理的と認められれば移...