税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

(1)はじめに令和2年度税制改正により、一定の居住用賃貸建物の取得に係る消費税額は原則仕入れ税額控除の対象とならないこととされています。令和2年度の税制改正であり令和2年10月1日以後に行う居住用賃貸建物に係る課税仕入れについて適用されることになります。(令和2年3月31日までに締結した契約については経過措置あり)改正から2年が経ちますが、通常の法人の場合、居住用賃貸建物を購入することは少ないと思います...
はじめに相続税対策のために借入金により賃貸用マンションを取得した被相続人が、当該マンションの相続財産評価基本通達(以下「評価通達」という。)の評価額(以下「通達評価額」という。)により相続税申告を行なったところ、当該マンションの通達評価額は「著しく不適当」として評価通達総則6項(以下「総則6項」という。)が適用され、収益還元価額による不動産鑑定評価額により行われた更正処分が争われた事件の最高裁令和4年4...
はじめに皆さまご存知のように、2022年3月以降、急激な円安が進行しています。本稿執筆時(2022年11月5日時点)までに、既に政府による市場介入が2回も行われていますが、米国連邦制度理事会(FRB)による政策金利の引き上げによって、日米の金利差は4パーセント程度に開きました。このようなこともあり、円安傾向は当分の間継続すると考えられます。下のグラフは、2022年9月28日(水)午後5時まで1年間の円と...
法人税法における中小法人課税については、大まかにいえば大法人による支配関係がある場合を除き、資本金1億円以下の法人が適用対象となり、また、法人事業税における外形標準課税の適用対象は資本金1億円超とされています。
【ポイント】相続又は遺贈により財産を取得した者が、相続開始前3年以内に被相続人から受けた贈与がある場合、その価額を相続税の課税価格に加算して相続税の計算をします。贈与税の基礎控除以下の贈与財産でも、加算します。贈与税の申告があり、贈与税額がある場合、相続税からその贈与税が控除されます。なお、相続税改正の目玉となりうる「資産移転の時期の選択に中立的な税制」の検討が税制調査会に...
1.はじめに自宅の増改築をする際の増改築資金を子が負担した場合、贈与税又は譲渡所得税の課税関係が生じますので注意が必要です。本件について所得税に関するタックスアンサーがあります。しかしこれが少々わかりにくいので、具体的数値事例をもって下記のとおり整理いたします。2.タックスアンサーNo.4557親名義の建物に子供が増築したとき本件タックスアンサーは下記のとおりです。
1特定期間に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除特定期間(平成21年・平成22年)に取得した土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除は、10年以上前である平成21年度税制改正で創設された制度であるが、その改正は後述の事故事例における令和元年分だけでなく令和4年分以降でも発生する可能性のあるものである。(1)創設の背景平成20年9月のリーマンショックを契機として、主要都...
1.相続時精算課税制度における贈与税の計算相続時精算課税制度を選択した場合の贈与税の計算は次の算式のとおりである。(贈与税の課税価格-特別控除額)×20%(1)贈与税の課税価格相続時精算課税適用者が特定贈与者からの贈与により取得した財産については、特定贈与者ごとにそ...
1.はじめに令和4年度税制改正において、令和5年10月1日から開始されるインボイス制度について、次の適格請求書発行事業者登録制度に関する取扱いの見直しが行われました。免税事業者の登録制度(経過措置)事業者免税点制度との適用関係(登録日が令和5年10月1日の属する課税期間以外の課税期間)登録の拒否と登録取消しこれらの改正に伴い、「適格請求書発行事業者の登録...
1.令和4年から実施されたグループ通算制度とは令和4年4月1日以後に開始する事業年度からグループ通算制度が実施されています。このグループ通算制度は、従来の連結納税制度が見直されたもので、次のような特徴があります。グループ内の法人間でその年度の所得金額と欠損金額を損益通算して申告します。具体的には欠損金額の合計を黒字法人が所得金額の比で按分して損金算入し、...