税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

Q兄が亡くなって、唯一の相続人である私が相続税の申告をしました。その後、税務署から、相続税額の2割加算が漏れていると連絡がありました。2割加算とは、どういうもので、なぜ加算するのでしょうか。【ポイント】相続税法は、民法(相続法)の規定を受けています。相続法は基本的に直系による相続で構築されています。傍系の相続人が財産を取得した場合、過分な負担(相続税額の2割加算)を求められ...
1令和4年度税制改正前の手続(1)納税地の異動納税義務者は、その所得税の納税地に異動(例:納税地である住所地を転居に伴い異動する場合)があった場合には、その納税地の異動があった後遅滞なく、その異動前の納税地の所轄税務署長に対し、「所得税の納税地の異動に関する届出書」を提出しなければならないこととされていた(所法20、所令57)。(2)納税地の変更納税地は一般的に納税義務者が...
1.はじめに令和4年度税制改正のうち、次のインボイス制度に関する見直しについて、見ていきます。なお、これらの改正は、令和5年10月1日以後に適用されます。適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係る経過措置仕入明細書等による仕入税額控除の適用要件経過措置期間における棚卸資産の調整措置2.改正内容(1)適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れに係...
1.相続時精算課税制度の見直し(1)相続時精算課税制度に係る基礎控除相続時精算課税適用者が特定贈与者から贈与により取得した財産に係るその年分の贈与税については、現行の基礎控除とは別途、課税価格から基礎控除110万円を控除できることとするとともに、特定贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算等をされる当該特定贈与者から贈与により取得した財産の価額は、上記...
関与先から次のような相談がありました。取引先から当社に対して出資をしてもよいとの話がありました。提案書には次のような説明等が記載されていますが、申し出を受けた方がよいでしょうか。借入れを行った場合には、業績の如何にかかわらず利息を支払わなければならないが、配当は業績が悪く...
2.最高裁判決の疑問点の検証(1)最高裁判決の評価最高裁判決は、通達評価額と実勢価格との「著しいかい離のみでは総則6項の適用は許されない」と判示したことは一応の評価はできる。しかし、それは、例えば、被相続人が居住用や事業用資産として「長い期間」保有していた資産を相続で取得した場合には、いかなるかい離があるとしても総則6項は適用されないという限りの射程である。かかる場合に総則6項が適用されないことは当然で...
個人開業医の事業承継についてはいくつかの方法がありますが、その中から、個人版事業承継税制と、医療法人成りしてからの理事長交代による承継、及び遺言による事業承継の3つについて、その内容及び検討すべき事項を整理してみたいと思います。1.個人版事業承継税制この制度は、先代事業者から事業を承継する相続人に対しては、相続した事業用財産に係る相続税を猶予し、その後一定の条件のもと免除す...
今月号より、医療機関の経営データを説明します。医療機関として医科診療所(外来のみ)歯科診療所、保険調剤は、コロナの影響による各科毎の患者数の動向が見てとれます。患者数の一番の減少は耳鼻科、次に小児科となっています。患者を当院に呼び戻すには、どのようにすべきか併せて考えてゆきます。
1.診療所(医院)の保険診療の流れ診療所では人の命を救うという特殊性があり、医療保険制度(国民健康保険、社会保険)があるため、経理処理の面で他の業種とは異なる知識が必要となります。特に収入の計上がポイントとなります。保険診療による収入は、⑦患者から診療のつど窓口で一部負担金として受け取る保険窓口収入と⑨レセプト請求によって社会保険支払基金・国民健康保険連合会から振り込みにより支払われる金額とがあります。...
1概要デット・エクイティ・スワップ(DES)とは、デット(債務)をエクイティ(資本)にスワップ(交換)する「債務の株式化」であり、過剰債務を抱える債務者が再建するために債務を返済可能な規模まで減額するための有効な手法として紹介されています。「債務の株式化」(DES)の具体的な手法としては、次の4つが紹介されています(「私的整理に関するガイドライン」Q&A38)。