税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

1.金融庁の要望金融庁は税制改正要望では、銀行の貸倒引当金を税制上の損金として扱い、①無税で償却できる範囲の拡大、②欠損金が生じた場合に過去に納めた法人税が戻る繰戻還付制度の拡充、③欠損金を翌年度以降に繰り越して利益と相殺できる繰越控除期間の、不良債権処理支援のための「三点セット」の実現を求めていた。金融庁では、大学教授や公認会計士など、7人のメンバーによる「金融機関の自己資本充実に関する税制研究会」を設置して、検討を実施していた。結果として、欠損金の繰戻...
Ⅰ.青色欠損金の繰越控除の概要1.青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越制度(1)概要この制度は欠損金が生じたとき、その欠損金額を一定の条件のもとに、以後の事業年度で生ずる所得から控除できる制度である。「欠損金」はその翌事業年度以降「5年間」の繰り越しが可能で、繰越期間に発生する「所得金額」と通算することになっている(法法57)。(2)この特例の要件①その事業年度開始の日前5年以内に開始した事業年度の...
Ⅰ.確定拠出年金制度の概要1.掛金の拠出段階の取扱い(事業主が拠出する掛金の取扱い)(1)企業型年金の掛金確定拠出年金制度における企業型年金の掛金は、その全額を事業主が拠出することとされているが(確拠法19①)、事業主が支出するこの掛金の額は、拠出限度額の範囲内であれば損金(又は必要経費)の額に算入され、また加入者である従業員の段階では給与所得の収入金額に含まれない(所得税は課税されない)こととされている(所令64①)。企業型年金の拠出限度額は以下のように...
Ⅰ.概要1.課税自主権に関する最近の動き課税自主権に関する方向性を表すものとして政府の方針は、平成15年6月27日の閣議決定「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」において記載されている。ここでは、三位一体の改革によって達成されるべき「望ましい姿」として、課税自主権の拡大を図ることにより、地方団体や住民の自立意識の更なる向上を目指していくことが示され、また改革工程として、地方が納税者の理解を得ながら、課税自主権を活用して地方の充実確保を図ることは...
Ⅰ.概要固定資産税は、所有者課税を原則としている。賃借人が行った内部造作(附帯設備)それ自体では一の家屋ではないので、内部造作(附帯設備)の所有者に家屋として課税することはできないが、固定資産税は、内部造作(附帯設備)の独立性に着目し、償却資産として課税対象としている。賃借建物に内部造作をしたような場合は、「主体構造部」と内部造作(附帯設備)が一体となって家屋としての効用を果たしているものの、内部造作(附帯設備)が独立して所有権の対象となりうる場合というこ...
Ⅰ.保存帳簿書類の概要1.青色申告法人の備え付けるべき帳簿書類(1)通常の場合青色申告法人は、その資産、負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引を複式簿記の原則に従って整然とかつ明瞭に記録し、その記録に基づいて決算を行わなければならない(法規53)。(2)電子計算機を使用する場合また、国税に関する法律の規定による国税関係帳簿書類の保存義務者は、国税関係帳簿書類の全部又は一部について、自己が最初の記録段階か...
Ⅰ.概要公募株式投資信託については、平成15年度税制改正において大幅な改正が行われている。この改正の追加するような改正となっているので、まず平成15年度税制改正から順次追っていこう。1.公募株式投資信託の課税の見直し(平成15年度税制改正)(1)平成15年度税制改正の概要平成15年度税制改正では、公募株式投資信託の課税は、平成16年1月1日以後、従来の利子並み課税の対象から除外された上、次のように改正さ...
Ⅰ.現行制度の概要1.個人住民税の概要個人住民税は、住所を有し、かつ一定の所得を有する個人に、その個人が住む市区町村(都道府県)が課税するもので、市町村民税と道府県民税がある。また、個人住民税は前年所得に基づいて算出する所得割と、世帯主など一人当たりの課税で地方自治体ごとに税額が異なる均等割で構成される。
5.年金課税公的年金等控除及び老年者控除について、次の見直しを行う。(1)公的年金等控除の65歳以上の者の上乗せの廃止公的年金等控除のうち、年齢65歳以上の者に対して上乗せされている措置が廃止される。(2)老年者控除の廃止老年者控除が廃止される。(3)特例措置標準的な年金だけで暮らしている高齢者世帯には課税がなされないよう、老年者特別加算として年齢65歳以上の者の公的年金等控除の最低保障額を50万円加算し、120万円とする特例措置が講ぜられる。(1)から(...
3.金融・証券税制(1)公募株式投資信託の譲渡益課税を上場株式等並みに軽減①公募株式投資信託の受益証券を譲渡した場合における譲渡所得等の金額について、上場株式等を譲渡した場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例の優遇税率(所得税7%、住民税3%)を適用される。この改正は、平成16年1月1日以後に行う公募株式...