税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

Ⅰはじめに従業員が使用人としての地位を維持したまま役員に就任することがあります。これを使用人兼務役員といい、税務では、特に給与について、使用人に支出する部分と役員として支出する部分との区分をすることにしています。それは、使用人部分については、会計の慣行に委ねて、役員の部分については、別段の定めにより、損金の額に算入する金額を制限していることによります。実際には、同一の人物の行為を区分することになるため、...
「退社した社員はその出資額に応じて返還を請求することができる」と規定する返還請求額について
【解説2】1.疑問点(1)今回の判決(平成22年4月8日)で、仮に唯一の出資社員であるBが、生存退社して、Aの死亡退社から10年以内において出資持分払戻請求を実行していたならば、その出資持分払戻請求額は、本件のような和解の金額になったのか疑問を生じる。その額は、その時の評価額すなわち、当該医療法人が解散する場合の剰余金の分配と同じ額に計算されるものと推察する。(そ...
令和4年度税制改正で、少額減価償却資産と一括償却資産の範囲から、貸付用のものが除外される方向で検討されています。これは、ドローンの購入を利用した節税を封じるための改正といわれています。ドローン節税とは何なのか。ドローン節税が本当に節税になっていたのか。そして、ドローン節税を封じる必要性はあるのかについて考えてみたいと思います。1.少額減価償却資...
まず、現状での相続税の概算を計算して、現状の財産で相続税を納税した場合に、次の世代に残したい財産が残せるかを検討してみましょう。1.納税資金計画のすすめ資産家は、相続があった場合に多額の相続税を国に納めなければなりません。ということは、相続税がかかるほどの財産がある方は国に潜在的な借金をしていることと変わらないとも考えられます。借金をするとき返済計画を立てるように、早めに相...
個人開業医の決算にあたり、注意しなければならない項目、あるいは確認しなければならない項目を挙げてみました。1.給与所得となる収入と事業収入との区分母子保健事業や予防接種事業などに基づく市町村からの入金については、おおむね3%の源泉徴収税額が天引きされています。いわゆる医師報償費といわれるもので、これらの収入については市町村から送付された源泉徴収票をもとに給与所得として申告し...
前回より、「社会福祉連携推進法人の運営と会計制度」というタイトルで連載をすることになった。この新法人制度と会計は、令和元年6月に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」において、社会福祉法人の事業の協働化・大規模化の促進方策等...
1.概要中小企業の株式承継対策として、中小企業投資育成に安定株主として出資の引き受けを行ってもらう対策は従来より行われています。長期安定株主として中小企業投資育成に出資を引き受けてもらうことにより、様々な形での株式承継・資本政策を行うことができます。今回はこの中小企業投資育成を使った株式承継ついて確認していきたいと思います。2.中小企業投資育成について中小企業投資育成株式会社(以下「投資育成」とします)...
今年もあとわずかとなり、年末調整で忙しい時期が到来している。今回は、年末調整において年の途中で死亡した親族がいる場合を中心にその注意すべき点等について、説明したいと思う。1.控除対象者の判定(1)年末調整における判定のしかた年末調整において、扶養親族や配偶者が本人の控除対象者に該当するかどうかは、原則として、「年末調整を行う日の現況」により判定...
1.特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例とは基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者で「消費税課税事業者選択届出書」を提出していない者は、特定期間における課税売上高が1,000万円を超える場合には、納税義務が免除されません(消法9の2①)。これを「特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例」といいます。なお、この特定期間における課税売上高での判定に代えて、特定期間...
はじめにいわゆるバブル経済崩壊後、日本人の給与はほとんど上がっていません。1990年代に派遣労働が正式に認められたことから、いわゆる非正規労働者の数が増えてきたことにも原因はあるかもしれません。現状、半分以上の日本人は25年前より収入が減っているようです。一方、富裕層はどうなっているでしょうか。その実態はよくわかりませんが、国税当局の機構を見ていくとある程度のことがわかります。例えば、平成29年7月国税...