税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

遺産の相続手続き(名義の書換えなど)には、さまざまなコストがかかる場合がある。とくに、不動産の相続手続きには税金もかかる。さらに、相続した不動産を売却すると、その売却手続きにも税金がかかる。今回は、不動産を相続により取得し、そして売却するまでの税金について、説明する。1.不動産の相続不動産の相続手続きにかかる税金は、相続税、登録免許税である。そ...
1.相続があった場合の納税義務の免除の特例とは基準期間における課税売上高や特定期間における課税売上高等が1,000万円以下である場合には、他の判定を経て免税事業者となりますが、相続により事業を承継した場合には、これらの判定に加えて、「相続があった場合の納税義務の免除の特例」規定が設けられています(消法10)。事業者免税点制度の全体像は、
はじめに令和4年1月7日、国税庁は「クロスボーダーで行うデリバティブ取引の決済により生ずる所得の取扱いについて」というお知らせを公表しました。これは、令和4年度税制改正の大綱が公表されて2週間後のことです。毎年の税制改正においては、税制改正の大綱→税制改正法案の国会提出→可決成立→政省令公布→国税庁による通達の公表、という順序で進んでいます。今回は税制改正法案の国会提出前の時期に国税庁の取扱いが公表され...
本業と不動産事業の切り分け手法としては会社分割の手法が代表的です。会社分割は会社の事業の全部又は一部を包括的に既存の会社や新設会社へ移転することが可能です。中小企業においても、事業採算の明確化や将来の事業承継・資産承継対策を目的に本業と不動産賃貸業を会社分割による切り分けを行いたいなどのニーズは増えてきており、税理士においてもこれらのニーズに対応するために、会社分割の取扱いを把握することは重要であると考...
いよいよ令和3年分の確定申告がスタートしました。今回は、見落としがちな間違い、令和2年分からの変更点について確認したいと思います。1.特定配当等・特定株式等譲渡所得の全部の申告不要上場株式に係る配当所得を、所得税では総合課税の対象として配当控除の適用を受け、一方、住民税においては国民健康保険料・介護保険料の負担軽減のため、申告不要とする課税方式の選択が認められています。この...
1.制度の概要令和3年12月31日までの間に、直系尊属(父母や祖父母など)から住宅取得等資金の贈与を受けた受贈者が、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その住宅取得等資金を自己の居住用家屋の取得や一定の増改築等に充て、かつ、その家屋を同日までに自己の居住の用に供したとき又は同日後遅滞なく自己の居住用に供することが確実であると見込まれるときには、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税とされる...
1.はじめに~上告不受理決定における運用の実態現行の民事訴訟法は一審裁判所、控訴審裁判所、そして最高裁判所の三審制が採用されているが、法律審である最高裁判所の審理を求めて上告の申立てとともに上告受理申立てを行っても、その上告受理申立てについて不受理とする最高裁決定が行なわれる場合が少なくない。特に、税務訴訟の場合には、最高裁が上告不受理決定を行う事件が相当数に及んでおり、いわゆる実質的な上告制限という事...
Q父が死亡した3か月後に母が亡くなりました。どちらも相続税の課税対象です。この場合、父の相続税の申告期限について教えてください。なお、Aの相続人は配偶者B、子C、Dの3名、Bの相続人はC、D及びBの先夫の子Eの3名です。【ポイント】相続税の申告書を提出すべき者が、申告書の提出期限前に死亡した場合、その者の相続人が、相続開始があったこと...
1.はじめに適格請求書等の交付をしようとする事業者は、「適格請求書発行事業者の登録申請書」を税務署長に提出し、税務署長の登録を受けることができます(消法57の2①)。税務署長の登録を受けると、適格請求書発行事業者の〔図表1〕の情報が国税庁ホームページ「適格請求書発行事業者公表サイト」(「公表サイト」といいます。)に公表されます(消法57の2④、消令70の5、インボイスQ&A問20)。法人(人格のない社団...
1.「令和4年度税制改正の大綱」の公表居住用財産に係る各種特例(次の2(1)から(3)に掲げる各種特例をいう)は、適用期限が令和3年12月31日までであるが、令和3年12月24日に閣議決定された「令和4年度税制改正の大綱」では、その適用期限が2年延長されるとともに特例の見直し(特例のうち(3)のみ)が行われることから、その大綱に基づき、見直し後の本特例の内容について確認を行う。2.居住用財産に係る各種特...