経営研究レポート

MJS税経システム研究所・経営システム研究会の顧問・客員研究員による中小・中堅企業の生産性向上、事業活性化など、経営に関する多彩な各種研究リポートを掲載しています。

1.はじめに現在、自治体病院の閉鎖、合併※や医師や看護師の確保が困難になり、救急医療の崩壊など医療機関の経営の深刻さについての報道を連日のように目にします。医療では人の生死を扱う場面も多く、利益のみを追求するような経営を行えば、医療の質に悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、一方で経営効率をまったく無視するような、いわゆる赤ひげ的な経営を行えば、前述したように地域医療が崩壊しその近隣の住民の医療に対する不安が増すことになります。特に地方では生死に直結する...
売上予測と経営計画策定
1.売上予測プロセス別特性実効的な経営計画策定の最重要点は売上予測値の設計にある。そのプロセスは「変動費管理の短期売上予測から発展させていくもの」と、「ビジネスモデル再構築から組み立てていくもの」があると述べた。これらの特性を見てみる。(1)「変動費管理の短期売上予測から発展させていくもの」
世界で一番やる気がないのは日本人(その1):『「見せかけの勤勉」の正体』(著:太田肇2010年PHP研究所)から大人が趣味やスポーツなどに、あれだけ熱中するのに、仕事となると“やる気”を出さない者が多いのはなぜか?それは、せっかくやる気の芽が出ても、それが育つのを妨げる障害(足かせ)があるからだと著者は語る。1.9割の日本人は“やる気”がない-意識調査の驚くべき数字日本人は「世界で一番やる気がない」というの...
会社分割とは、文字通り会社を複数に分ける法律的な行為で、会社が所有する事業の権利や義務、資産や負債・資本を分割させる制度です。2000年5月24日の「商法等の一部を改正する法律」として国会で可決し、2001年4月1日施行された、経営改善に係る事業再編の機動性の向上を目的とした立法といわれています。この会社分割制度が、前述のとおり事業再生手法として利用されるようになりました。経産省が力を注いだ「わが国における産業活動の革新等を図るための産業活力再生特別措置法...
適格退職年金廃止迫る退職金制度見直しの好機法人税法の規定により、平成14年4月に新規契約の取扱が停止された適格退職年金制度は、平成24年3月31日に10年間の経過措置期間が終了し実質的に廃止されます。適格退職年金は代表的な企業年金制度の一つであり、法人税法に定める一定の要件を満たすことによって、事業主が負担する掛金が全額損金として扱われ、社員側も掛金は給与所得ではなく受取時に課税される等税法上のメリットとともに、生命保険会社や信託銀行といった社外に退職金資...
1.金融緩和しかない菅改造内閣が船出した。民主党の代表選に圧勝した菅総理には、今度こそ“脱小沢”を鮮明にし、力強くクリーンな政治を実現してもらいたい。新内閣が第一に取り組むべき課題が、低迷する日本経済の建て直しであることは論を待たない。特に、急速に進んだ円高には、迅速な対応が必要だ。政府日銀が大胆な金融緩和策を実行し、資金の供給を増やすしかないと私は考える。このレポートで何度か述べてきたが、一口に経済政策と言っても、3年以内に達成を目指す緊急課題と、10年...
1.はじめに日本の対GDP総医療費は、OECD※の平均値を下回り、OECD加盟国31ヶ国※中22位となっています。さらに人口1,000人当たりの医師数も、OECD加盟国平均は3.1人ですが、日本は2.2人に留まっています。政府はこの数値をもとに現在、医療費および医師数の増加を目指しています。このような政府の政策の方向性を受けて、目標値であるOECD加盟国の最新の医療関連データを示し、考察したいと思います。
実効的なビジネスモデル再構築
1.ビジネスモデルの構築設計の概論実効的な経営計画を策定する必要に迫られている企業の多くは、これまで自社を食わせてきてくれたビジネスモデルが環境に適応できなくなっており、その改造、もしくは再構築に迫られている。全世界的な逆風の経済環境であっても、順調に二本足で立って、しっかり存続を確保して成長を見通している数少ない企業の多くが定着して行なっている作業である。多くの企業は順風の経済環境下で、このような本来の企業経営に於ける最も刺激的な活動を停止してしまってい...
組織はなぜ肥大するのか現代社会において官僚機構は、必然性の有無に関係なく、その規模を肥大させていくというもので、英国の社会学者パーキンソンによって提唱された。その著作、1957年発刊「パーキンソンの法則」(森永晴彦訳・1981年日本語訳刊)を紹介する。自らの企業を思い描きながら、是非お読みいただきたい。こんなことを聞いたことはありませんか。「仕事は、その完成のために使える時間を満たすまで延長される」(第一法則)「経費は、収入に見合うだけかかる」(第二法則)...
中小企業の事業再生について前回まで7回に分けて基礎編の解説をしてきました。以降は、早く事業再生のケース研究に入りたいところですが、その前に「会社分割制度」については再確認しておきたいと思います。ここから2回ほど、私的な事業再生における主力手法とされる「会社分割」について制度の仕組みや成立背景、活用手法等について解説します。爾後はケース研究を通じて再生実務の理解を深めたいと思います。1.改正産活法(2009年...