会計研究レポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

1.製造間接費の増減分析製造原価の原価要素別の増減が製造原価の増減に与えた影響を分析するにあたり、製造間接費についても以下の資料にもとづき、計算をしたとします。製造直接費のように、当期の製造間接費と前期の製造間接費とを比較して、製造間接費の増減原因を、操業度または配賦基準(ここでは直接作業時間)の増減によるものと...
−実務指針[税効果会計1]−今回のレポートでは、「公益法人会計基準に関する実務指針」(その2)における「税効果会計」についての実務上の問題について解説をします。I.税効果会計の概要Q20:新公益法人会計基準では、原則として税効果会計を適用することになっていますが、税効果会計とは、どのようなものですか。A:1.税効果会計を適用する場合公益法人において法人税法上の収益事業を実施している場合、税効果会計適用の要否を検討する必要があります。もし、法人税法上の収益事...
—ソフトウェア取引の収益の会計処理(その3)—
−ソフトウェア取引の収益の会計処理(その3)−1.はじめに今回は、前回に引き続き、企業会計基準委員会(ASBJ)より平成18年3月30日付けで公表された実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告」)について、解説をしていきます。前回は、ソフトウェア取引における収益認識の要件(①ソフトウェア取引の実在性、②一定の機能を有する成果物の提供の完了、および③成果物の提供への見返りとしての対価の成立)についての...
−多通貨会計(1)−1.はじめにこれまでは、会計基準や実務指針、ないしは中小企業の会計指針に規定されている範囲で、外貨換算会計をみてきました。今回は、それら基準や指針には具体的には規定されていない内容である、通貨ごとに記録を行う記帳方法(多通貨会計Multiple(Multi)currencyaccountingと呼ばれています)について概観することにします。外貨換算基準では、外国通貨による記録について、「外貨建債権債務及び外国通貨の保有状況並びに決済方法...
−意思決定権限の配分(その3)−15.1意思決定権限の配分(続き)以上の論点は次のように要約されます。すなわち、組織全体の意思決定を改善し、組織員を動機づけるには、(1)決定権をどのように配置し、(2)どのような尺度で業績を測定し、(3)業績評価の結果をどのように報酬に結びつけるか、が重要となります。(1)決定権...
1.製造直接費の原価要素別増減分析の意義製造原価の増減分析では、とくに、製造間接費には固定費が含まれるため、製造量の増減が製造間接費の増減に直接的に影響するとはいえません。そこで、製造原価については、原価要素ごとにその増減が製造原価の増減に与えた影響を分析する必要があります。以下の資料にもとづき、説明していきます。
−実務指針[リース会計]−今回のレポートでは、「公益法人会計基準に関する実務指針」(その2)における「リース会計」について実務上の会計処理を解説します。ただ、平成18年7月5日付けで、企業会計基準委員会より試案として「リース取引に関する会計基準(案)」及び「リース取引に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。この試案によれば、従来、ほとんどの企業が採用していた「所有権移転外ファイナンス・リース取引」についての例外処理規定が廃止されます。リース会計...
—ソフトウェア取引の収益の会計処理(その2)—
—ソフトウェア取引の収益の会計処理(その2)—1.はじめに今回は、前回に引き続き、企業会計基準委員会(ASBJ)より平成18年3月30日付けで公表された実務対応報告第17号「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告」)について、解説をしていきます。前回、ソフトウェアとその取引の特質として、①ソフトウェアが無形の資産であるということ、および②技術革新によりソフトウェア取引が多様化・高度化しているということ(「実務対応報告」...
-中小企業の外貨換算会計(3)-1.はじめに中小企業、特に証券市場に上場することなく、所有と経営が分離していないような中小企業については、その会計は税務の影響を大きく受けているのが現状です。そこで、中小企業会計指針では、会計処理と法人税法上の取り扱いとの関係を明らかにしています。結論的には、外貨建その他有価証券を除いて、換算方法等を所轄の税務署長に届け出ることにより、中小企業会計指針の会計処理と法人税法上の取り扱いを一致させることができる(第79項)ことと...
−意思決定権限の配分(その2)−15.1意思決定権限の配分(続き)組織の規模が大きくなると、意思決定に特定的な知識は組織のあらゆるレベルに拡散します。したがって、点Bが横軸上のどこに位置するかは問題の内容によって多様に異なります。企業全体に影響が及ぶような戦略計画に関わる情報は経営のトップ階層に存在しているので、それらの決定権はトップ・マネジメントに留保されます。それによってエイジェンシー・コストも最小化されます。一方、事業部に固有の情報は事業部内に存在す...