会計研究レポート

MJS税経システム研究所・会計システム研究会の顧問・客員研究員による新会計基準や制度改正等をできるだけわかりやすく解説した各種研究リポートを掲載しています。

−戦略マネジメント・システムとしてのBSCその7−1.BSCのメリットと限界(2)(1)戦略の伝達と理解戦略についての理解が上層の経営者たちの間で共有できたとしても、それだけでは不十分です。これまで企業では、戦略を上層部だけの機密事項として考えていたこともありました。しかし、たとえば球技系のスポーツのチームでは、監督やコーチだけが作戦を理解し、選手に作戦を伝達せずに戦うことはないのです。チームの全員が作戦を理解していなければ、さまざまな局面において各選手が...
わが国の学校法人(私立学校)において、従来から「学校債」を発行している場合が数多くみられます。しかし、それらは「学校債」と呼ばれていますが、いわゆる「学校債券」ではなく、借入金の「証拠証券」、すなわち、「金銭債権」にすぎません。「証券」は、預金証書、借用証書、受取証書等、単に一定の事実を証明するものである「証拠証券」と、財産権を表象し、それに記載された権利の行使や移転がその証券によって行われる「有価証券」に大別されます。私立学校の父兄や学生生徒等を募集対象...
新たな公益法人制度は、平成20年12月1日より施行されます。その施行にむけて関連法令の整備が進んでいます。平成19年7月10日、「公益認定等に係る政令・内閣府令」の制定に関するパブリック・コメントが公表され各種意見の公募が実施されました。その結果、平成19年9月7日、公益法人制度改革関連の政令・内閣府令(省令)が公表されたので、今回から数回にわたり、関連法案のうち、会計・財務関係の内容を中心に解説をします。1.公益法人制度改革のこれまでの経緯および今後のス...
−戦略マネジメント・システムとしてのBSC(その6)−1.BSCのメリットと限界(1)(1)マネジメントの仕組みの確立BSCを導入することのメリットはさまざまなものがあります。まず、ビジョンや戦略といったものを、とくに日本では、企業でさえ非常にあいまいに捉えられがちです。たとえば、日本の企業では、ビジョンと戦略が混在している場合が多く見受けられます。ある企業の戦略が、「○年後に利益を□□億円にする」というものであったとします。しかし、これはビジョンであり、...
−目標体系をベースとするボーナス・プラン(3)−(2)ボーナス・プランの具体例Z事業部の今後5年間に予想されるEVAとそれに対応するボーナスの推移を表したものが、下の表1でした。表1ボーナス・プラン(目標改定率λ=0.5,感...
−【論点3】会計方針の変更に係る過年度遡及修正−1.はじめに企業会計基準委員会が平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」(以下、論点整理)では、第3の論点として「【論点3】会計方針の変更に係る過年度遡及修正」を挙げています。【論点2】としては、個別財務諸表における過年度遡及修正の適用上の論点が取り上げられていますが、先に過年度遡及修正の内容を明らかにした方が理解しやすいかと思いますので、今回は、この【論点3】を取り上げて説明する...
−知的財産情報開示指針(その1)−
−知的財産情報開示指針(その1)−1.はじめに今回からは、数回に分けて、2004年1月に経済産業省より公表された「知的財産情報開示指針」について解説をしていきます。前回のレポートで説明しましたが、無形資産は、企業結合の場合等を除き貸借対照表に計上されることはそれほど多くはありません。一方、最近では、そのような無形資産の情報を知的財産(または知的資産)として、財務諸表以外の報告書で開示していこうという動きが活発になっています。それが、「知的財産情報開示指針」...
−知的財産を巡る動向−1.はじめに前回まで、数回に分けて、個別の無形資産の具体的な算定方法について解説してきました。実際には、それらの無形資産は、企業結合の場合等を除き貸借対照表に計上されることはそれほど多くはありません。一方、最近では、そのような無形資産の情報を知的財産(注1)(または知的資産として)、財務諸表以外の報告書で開示していこうという動きが活発になっています。今回は、そのような知的財産(または知的資産)を巡る最近の動向について解説していきます。...
−【論点1】過年度遡及修正の取扱いを定める必要性−1.はじめに企業会計基準委員会が平成19年7月9日付けで公表した「過年度遡及修正に関する論点の整理」(以下、論点整理)では、10の論点と、これらの論点に関わる個別論点として3つを挙げています。今回は、1つ目の論点として挙げられている「【論点1】財務諸表の過年度遡及修正の取扱いを定める必要性」について、付加的な内容にも触れながら説明します。この【論点1】は、国際的な動向と過年度遡及修正の取扱いを定める必要性、...
−戦略マネジメント・システムとしてのBSC(その5)−1.戦略マップとスコアカード(1)戦略スコアカードBSCを作成する場合に、もっとも陥りやすい過ちは、4つの視点にいくつかの尺度をちりばめて作成したものを「バランスト・スコアカード」だと思い込んでしまうことです。そして、このスコアカードは業績評価のみに利用されることになります。このようなスコアカードは、キャプランとノートンのいうKPIスコアカードであって、戦略マネジメント・システムとしての戦略スコアカード...