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消費税~総額表示義務の特例で消費者は混乱しないか~

2014/01/14

著者 :  西野道之助

カテゴリ:  消費税
補助項目:  税制改正

「消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(消費税転嫁対策特別措置法)」が成立し、平成25年10月1日から施行されました。

価格の表示に関する特例措置として、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保や事業者の値札の貼り替えなどの事務負担に配慮する観点から、平成25年10月1日以降、表示価格が税込価格であると誤認されないための措置を講じていれば、「税込価格」を表示しなくてもよいとする特例(総額表示義務の特例)が設けられています(消費税転嫁対策特別措置法10①)。

ただし、消費者への配慮の観点から、この特例を受ける事業者はできるだけ速やかに「税込価格」を表示するよう努めることとされています(消費税転嫁対策特別措置法10②)。

これを受けて、国税庁は「総額表示義務の特例措置に関する事例集(税抜価格のみを表示する場合などの具体的事例)」を公表しています。

(http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/sogakuhyojigimu.pdf)

今回はその事例の中で、特例として認められる表示ではありますが、消費者である我々にとっては混乱をきたすのではないかと思われるものを検討します。

1 新税率適用後も一時的に旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合の事例

上記事例集では、値札の貼り替えが間に合わない等の事情により、新税率の適用後においても一時的に一部の商品等について、旧税率に基づく税込価格の表示が残る場合についても、どの商品等の価格が旧税率又は新税率に基づく税込価格の表示になっているのかを明らかにすることによりこれを認めることとされています。

具体的には別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に、明瞭に、次のような掲示を行うことを条件に、旧税率に基づく税込価格のままの表示が可能となります。

値札に(8%)の表記がない商品は、旧税率(5%)に基づく税込価格です。
4月1日以後は、レジにて新税率(8%)に基づき精算させていただきます。

なお、平成26年4月以後も掲示するポスターやチラシ、また、平成26年4月以後のインターネットのウェブページなどにおいて、旧税率に基づく税込価格表示が残る場合においても、同様の誤認防止措置を講じる必要があります。

2 新税率適用前から、事前に新税率に基づく税込価格の表示を行う場合の事例

やはり事例集では、消費税率の引上げ前であっても、値札の貼り替えが間に合わない等の事情により、新税率に基づく税込価格の表示を行う場合において、別途、店内の消費者が商品等を選択する際に目に付きやすい場所に、明瞭に、次のような掲示を行うことを条件に、新税率に基づく税込価格の表示が可能となります。

店内の商品は、既に、新税率(8%)に基づく税込価格となっていますので、3月31日までは、レジにて5%の税率により精算させていただきます。

なお、上記1同様、平成26年3月31日以前に掲示するポスターやチラシ、また、平成26年3月31日以前のインターネットのウェブページなどにおいて、新税率に基づく税込価格表示を行う場合も、同様の誤認防止措置を講じる必要があります。

最近は、殆どの方が携帯電話を持ち歩いており、それには大抵計算機能がついています。

上記のような表示がされていたとしても、その場で税込価格を計算することは可能であるかも知れません。

しかし、これらの特例は、特に年少者や高齢者にとっては混乱のもとであるといえます。

消費者の立場からすれば、法律の規定どおり、速やかに「税込価格」の表示を事業者に対応して欲しいと思います。

提供:税経システム研究所


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