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消費税の課税売上割合の計算の見直し

2014/06/13

著者 :  西野道之助

カテゴリ:  消費税
補助項目:  税制改正

平成26年度税制改正により、消費税の課税売上割合の計算上、金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除く)の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の5%相当額を資産の譲渡等の対価の額に算入することとされました。

今回はこの改正の内容について検討します。

1 改正の内容

改正前は、消費税の課税売上割合の計算上、貸付金・預金・売掛金その他の金銭債権(資産の譲渡等の対価として取得したものを除く)の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の全額を「資産の譲渡等の対価の額(分母)」に算入することとされていました。

※ 課税売上割合

課税資産の譲渡等の対価の額の合計額(課税売上高+免税売上高)
資産の譲渡等の対価の額の合計額(課税売上高+免税売上高+非課税売上高)

しかし、今回の改正により、その譲渡に係る対価の額の全額ではなく、有価証券の譲渡の場合と同様に、その譲渡に係る対価の額の5%相当額のみを資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされました。

2 資産の譲渡等の対価の額(分母)に含めない金銭債権の譲渡

改正前より、たとえ金銭債権であっても、資産の譲渡等を行った者がその譲渡した資産の対価として取得したものを譲渡した場合には、資産の譲渡等の対価の額(分母)に含めないこととされています(消令48②二)。

したがって、たとえば通常の売掛金のファクタリング(売掛債権をファクタリング会社へ手数料を支払って売却し、本来は企業で行う債権の回収業務をファクタリング会社が行うこと)などについては、従来どおり課税売上割合の計算上、分母の額には含めないことになります。

3 支払手段の譲渡も「資産の譲渡等の対価の額(分母)」に含まれない

また、資産の譲渡等の対価の額(分母)に含まれないものには、他にも「支払手段の譲渡」などがあります(消令48②一)。

支払手段の譲渡には、たとえば次のものが該当します(消令9④、消基通6-2-3)

・ 銀行券、政府紙幣、小額紙幣及び硬貨
・ 小切手(旅行小切手を含む)、為替手形、郵便為替及び信用状
・ 約束手形

4 改正の経緯

今回の改正は、平成26年度税制改正の金融庁の要望事項から行われたものです。

前述のとおり、今回の改正前は、消費税の課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価として取得したものを除く金銭債権の譲渡については、その譲渡に係る対価の額の全額を資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされていました。

このため、消費税の課税事業者が金銭債権の譲渡を多く行うと課税売上割合が低下し、控除対象外消費税額が増加することになります。

したがって、住宅ローンの証券化や企業再生支援に伴うファンドへの譲渡などの金銭債権の売買が一般化している近年の経済実態を考慮し、円滑な債権譲渡を妨げないようにする施策の必要性から、有価証券の譲渡の場合と同様に、その譲渡に係る対価の額の5%相当額のみを非課税売上として、資産の譲渡等の対価の額(分母)に算入することとされました。

5 適用時期

この改正は、平成26年4月1日以後に行われる金銭債権の譲渡について適用されます。

提供:税経システム研究所


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