帳簿等の記載事項不備による仕入税額控除否認事件のその後(Ⅰ)
1. 問題の所在 平成元年4月に導入された消費税法では、仕入税額控除の要件として帳簿又は請求書等の保存を要件としていたところ、その導入時の指導期間において2度の指導が行われたところ、その際には、格別の指導もなかったことから、従前どおりの帳簿の記載(仕入事業者記載)又は請求書の記載(仕入先事業者記載)と経理処理で申告を行っていた。 ところが、3度目の税務調査が行われた際、帳簿等に記載されている「氏名又は名称」(以下「氏名等」ともいう。)が虚偽であると認定されて、課税事業者の保存する仕入れについては、消費税法の氏名等の記載は真実を記載することが要件とされているとして、虚偽の仕入事業者の氏名等を記載している帳簿又は請求書等の保存は、仕入税額控除を要件たる帳簿又は請求書の保存には該当しないと解釈して仕入税額控除が否認された事件がある。
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