実務情報
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2025/10/21 税務ニュース
外国人技能実習生等を使用する事業場に対して行った監督指導、送検等の状況
厚生労働省は、9月26日に全国の労働基準監督署等が、令和6年に外国人技能実習生(「技能実習生」)又は特定技能外国人を使用する事業所に対して行った監督指導(立入調査)や送検等の状況を公表した。全国の労働局及び労働基準監督署は、技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業所に対して、労働基準関係法令などの周知・啓発を行うほか、労働基準関係法令違反の疑いのある事業場に対して、適正な労働条件と安全衛生の確保のため、行政指導として監督指導を行っている。監督指導において度重なる指導を繰り返しても法令違反を是正しない事業場については、送検を行うなどの厳しい処分を行っている。今回、労働基準関係法令違反の疑いのあった事業場へ監督指導を行った結果、技能実習生を使用する11,355事業場のうち、8,310事業場(73.2%)、特定技能外国人を使用する5,750事業場のうち、4,395事業場(76.4%)について法令違反が認められた。技能実習生を使用する事業場の違反内容は、使用する機械等の安全基準違反(25.0%)が最も多く、割増賃金の支払違反(15.6%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取関係の違反(14.9%)と続いている。特定技能外国人を使用する事業場の違反内容は、使用する機械等の安全基準違反(24.0%)が最も多く、割増賃金の支払違反(17.2%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取関係の違反(16.7%)の順となっており、法令違反の上位については、技能実習生関係、特定技能外国人関係ともに同じ傾向がみられた。次に技能実習生、特定技能外国人から労働基準監督署等に対して労働基準関係法令違反として是正を求めて申告があった件数は、技能実習生は112件、特定技能外国人は107件となっており、申告内容については、賃金・割増賃金の不払が技能実習生は88件、特定技能実習生は90件と最も多かった。重大・悪質な労働基準関係法令違反が認められたとして送検した事案件数は、技能実習生関係が16件、特定技能実習生関係は7件となっている。主な送検内容は、技能実習生関係については、安全基準違反が4件、労働時間違反が3件、報告等違反が3件となっており、特定技能外国人関係については、安全基準違反が5件となっており、技能実習生、特定技能外国人ともに安全基準違反が最も多かった。また、特定技能外国人の労働条件の確保を図るため、労働基準監督署等では、出入国在留管理機関との間で、法令違反の相互通報や合同監督・調査を実施しており、令和6年に労働基準監督署等から出入国在留管理機関へ通報した件数は339件、出入国在留管理機関から労働基準監督署等へ通報した件数は73件であり、出入国在留管理機関との合同監督・調査については10事業場の実施となっている。(参考)外国人技能実習生又は特定技能外国人を使用する事業場に対して行った令和6年の監督指導、送検等の状況を公表しますhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63807.html
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2025/10/20 税ワンポイント
国税滞納から差押えまで
税金は、原則として定められた納期限までに完納することが求められる。しかし、資金繰りの悪化などから納付が困難となり、滞納に至ることも少なくない。国税を滞納すると、どのような流れで差押えに至るのか、その仕組みと実務上の対応について解説する。国税は、申告や更正、決定によって納付額が確定した時点で法定納期限が定まり、延滞税は納期限の翌日から発生する(注1)。したがって、納期限を一日でも過ぎれば、その税は「滞納」として扱われ、税務署のシステムで直ちに管理される。滞納が発生すると、税務署長は督促状を発送しなければならず、この督促状は納期限から50日以内に送付される。そして、督促状の発送日から起算して10日を経過すると、差押えが可能となる。ただし実際には、督促状が届いた段階で即座に差押えに進むことは稀であり、まずは税務署職員による電話や訪問といった「催告」が行われる。近年では集中電話催告センターが設けられ、さらにAIを用いて、効果的・効率的に滞納者に接触している。催告にも応じない場合には、税務署は質問検査権を行使し、動産・不動産・預金・給与などの財産調査を行い、差押えに着手する(注2)。必要に応じて強制的な捜索も可能であり、この場合は令状を必要としない。実質的に滞納者に帰属する財産であれば、名義の如何を問わず差押え対象となる。ただし給与や年金には差押禁止範囲が定められており、生活に必要不可欠な部分は保護される。差押えられた財産が金銭以外の場合には公売に付され、その換価代金は滞納税額に充当されたうえで、余剰があれば滞納者に返還される。一方で、国税には分割納付や猶予、減免、延納といった納税緩和制度が用意されており、生活や事業継続への配慮もなされている。また、超過差押えや無益な差押えは禁止されており、必要以上に滞納者の生活や事業を圧迫することは許されない。差押えを避けるためには、滞納が生じた段階で速やかに税務署に相談し、分割払いや猶予・免除・延納制度の活用を図ることが極めて重要である。さらに、滞納処分の各手続、すなわち差押え・換価・配当はそれぞれ独立した行政処分であり、納税者は各段階ごとに不服申立てや訴訟による救済を受けることができる。滞納に陥ったとしても、制度的な手続と救済策が存在することを理解し、適切に対応することが望ましい。<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/osirase/9205.htmhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tainoshobun/03/01/21.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/10/20 税ワンポイント
住宅ローン控除における「調書方式」導入と年末調整への影響
本年の年末調整から、住宅ローン控除の手続に「調書方式」が初めて導入される(注1)。従来の証明書方式とは異なり、マイナポータルを通じて年末残高情報を取得する仕組みが基本となるため、従業員がこの方式で控除を受ける場合、勤務先の担当者は制度の流れを理解しておく必要がある。この調書方式は、令和4年度税制改正により導入が決まったものである。借入先の金融機関等が税務署に年末残高の情報を提供し、国税当局がその情報をマイナポータルを通じて納税者本人に提供する方式であり、従来と異なり、金融機関から書面の年末残高等証明書は交付されない。対象となるのは令和6年1月以降に住宅に居住した納税者である。現時点では、システム対応が完了していない金融機関もあり、対応状況によって年末調整の方法が異なる。対応済の金融機関等からの借入については、納税者はマイナポータルを通じてデータを確認し、そのデータを用いて確定申告や年末調整を行うこととなる。一方、未対応の金融機関等については、従来の証明書方式で対応することになる。給与所得者が住宅ローン控除の適用を受けるためには、初年度は確定申告を行う必要がある。2年目以降は税務署から送付される「年末調整のための住宅借入金等特別控除証明書(以下、「住宅ローン控除証明書」という)を勤務先に提出し、年末調整により控除を受ける。調書方式の場合は、e-Taxのメッセージボックスに住宅ローン控除証明書が格納される。この住宅ローン控除証明書には、「住宅借入金等の年末残高に関する事項」および「控除見込み額」が記載されているので、年末調整では、この住宅ローン控除証明書のみを勤務先に提出すればよい。また、調書方式であっても、納税者が初年度の確定申告において2年目以降の住宅ローン控除証明書を「書面交付」で希望した場合には、2年目以降の適用期間に係る住宅ローン控除証明書がまとめて送付される。この場合、金融機関等から交付される住宅ローン返済計画表等を元に控除額の計算を行うこととなる。今後は、住宅ローン控除の適用にあたりマイナポータルとe-Taxの利用が基本となる。納税者はマイナンバーカードの取得、e-Taxの利用者識別番号の取得および連携設定を済ませておくことが重要である。参考住宅取得資金に係る借入金等の年末残高等情報のマイナポータル連携に関するFAQhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei/pdf/0024012-098.pdf<注釈>https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/jutaku/index.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/10/20 審査事例
青色申告の承認申請書の提出がないため、欠損金額の繰越しは認められなかった事例(棄却)
【裁決のポイント】当該事業年度以後の各事業年度の確定申告書を青色の申告書により提出することについて青色申告の承認を受けようとする内国法人は、当該事業年度開始の日の前日(設立の日の属する事業年度について青色申告の承認を受けようとする場合には、設立の日以後3月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日)までに、納税地の所轄税務署長に申請書の提出をしなければならない(法人税法第122条)。審査請求人が、設立の日の属する事業年度(令和2年3月期)において生じた欠損金額をその後の事業年度(令和3年3月期)の所得金額の計算上損金の額に算入して白色の確定申告書の別表7(1)を添付して申告したところ、税務署は、審査請求人は青色申告をすることについて所轄税務署長の承認を受けていないから、各事業年度の欠損金額の繰越しはできないなどとして、法人税の更正処分等をしたため、審査請求人が、原処分庁は青色申告についての説明を怠ったなどとして、原処分の全部の取消しを求めた。国税不服審判所は、青色申告の承認申請書をその提出期限までに納税地の所轄税務署長に提出していない、原処分庁の行政サービスとしての情報提供の不足をいうものにすぎないから、本件各更正処分の適法性に影響しないとして、棄却した事例である。(〇〇〇〇年〇〇月〇〇日から令和2年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分、他・棄却・令和4年4月18日裁決(非公開))【主な争点】各更正処分の適法性【裁決の要旨】審査請求人は、令和2年3月期の法人税について、青色申告の承認申請書をその提出期限までに納税地の所轄税務署長に提出しておらず、令和2年3月期において青色申告の承認を受けていないから、青色申告書である確定申告書を提出したとは認められない。そのため、令和2年3月期において生じた欠損金額があるとしても、法人税法57条10項に規定する「欠損金額の生じた事業年度について青色申告書である確定申告書を提出」した場合に該当しないから、同条1項の規定を適用することはできず、令和3年3月期の所得金額の計算上、別表1の「確定申告」欄の「繰越欠損金の当期控除額」欄の金額を損金の額に算入することはできない。青色申告でなければ欠損金の繰越控除が認められない旨説明をしていなかった原処分庁の業務に対する取組姿勢に問題があるという主張については、原処分庁にそのような説明義務があることを明らかにした法令の規定はない上、申告納税制度の下では、課税標準及び税額等の計算並びにこれらの前提となる制度の利用は、納税者の判断と責任において適正に行われるべきものである。そうすると、上記審査請求人の主張は、結局のところ、原処分庁の行政サービスとしての情報提供の不足をいうものにすぎないから、本件各更正処分の適法性に影響しない。【参照条文】法人税法第57条《青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越し》、第121条《青色申告》、第122条《青色申告の承認の申請》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/10/20 審査事例
その支払利息は、一時所得の計算上、解約返戻金の収入金額から控除できないとした事例(棄却)
【裁決のポイント】一時所得に係る総収入金額から控除される「その収入を得るために支出した金額」は、その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限るとされている。このことから、一時所得に係る収入、支出について、収入を生じた行為又は原因ごとに個別対応的に計算するものと解される。審査請求人が締結した終身保険契約は、最初の5年間で保険料を完納するタイプで、審査請求人は完納した翌年に約款に基づく契約者貸付金を申し込み、保険会社から借り入れを行い、利息の支払いが発生した。契約者貸付金に利用は任意で、また借入金の使用目的に制限なく、審査請求人は投資の資金に使用した。税務署は、審査請求人が受け取った保険の解約返戻金が一時所得として申告されていないとして所得税の更正処分をしたことから、審査請求人は、解約返戻金と支払利息は相殺されている、解約返戻金から支払利息を差し引けるので一時所得は発生しないとして、処分の取消しを求めた。国税不服審判所は、契約者貸付けを利用するか否かは審査請求人の任意である、解約返戻金を得るために本件利息の支払が不可避であったものではない、保険料支払に本件借入金が充てられていないことは明らかだから、本件利息は、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、その収入を得るために支出した金額に該当しないと判断した事例である。(令和2年分の所得税及び復興特別所得税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分・棄却・令和6年8月23日裁決)【主な争点】契約者貸付金の借入金利息は、保険の解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、「その収入を得るために支出した金額」に含まれるか(所得税法第34条第2項)。【裁決の要旨】本件における一時所得の金額に係る総収入金額は本件解約返戻金の額であり、本件解約返戻金は本件保険契約に係る保険料の支払により生じたものである。他方、本件利息はその元本たる本件借入金の使用の対価であるところ、本件契約者貸付けを利用するか否かは請求人の任意であり、本件解約返戻金を得るために本件利息の支払が不可避であったものではない。そうすると、本件利息が所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に含まれるというためには、「収入を生じた行為又は原因」である本件保険契約に基づく保険料の支払に本件借入金が充てられたものであることが必要であり、その充てられた範囲において、個別対応的に計算することとなる。この点、本件借入金が本件保険契約に係る保険料の支払に充てられていないことは明らかである。したがって、本件利息は、本件解約返戻金に係る一時所得の金額の計算上、所得税法第34条第2項に規定する「その収入を得るために支出した金額」に含まれない。審査請求人の主張について、本件借入金及び本件利息と本件解約返戻金が相殺されたのは、請求人が本件借入金及び本件利息を任意で返済していなかったことが原因であり、本件借入金及び本件利息と本件解約返戻金が事実上不可分の関係にあったとか、本件解約返戻金と本件借入金及び本件利息の相殺が事実上拒絶し難いという審査請求人の主張はいずれもその前提を欠く。【参照条文】所得税法第34条《一時所得》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/10/20 税務ニュース
日本商工会議所、令和8年度税制改正意見を公表
日本商工会議所は、9月17日、「令和8年度税制改正に関する意見」を公表した。意見書では、わが国は、30年にもおよぶ停滞期を脱し、経済の好循環を実現する好機を迎える一方、米国関税をはじめ世界経済の不確実性が強まるなか、中小企業は最低賃金の大幅な引上げ、円安・原油高によるコスト上昇、人手不足など厳しい状況に直面していると指摘している。このような現状において、わが国の国際競争力を高め「賃上げと投資が牽引する成長型経済」を実現するためには、大胆な投資促進政策が極めて重要であり、特に経済好循環の原動力である中小企業の成長投資への力強い後押しが不可欠である。地域経済を支える中小企業が「稼ぐ力」を強化し、構造的・持続的な賃上げに取り組むことができるよう税制面から強力に後押しすることが必要となっている。加えて、重要かつ恒久的な課題が、「中小企業の事業承継」であり、事業承継が停滞すれば、わが国の持続的な成長や地方創生の実現は極めて困難になると円滑な事業承継に向け、過大な税負担を取り除くことが不可欠であるとしている。このような考え方に基づき、意見・要望した内容は次のとおりである。1円滑な事業承継に資する税制円滑な事業承継のため、事業承継税制の一般措置について、対象株式の引上げ(総株式数の最大3分の2まで→全株式)、納税猶予割合の拡大(相続の場合80%→100%)、後継者人数の拡大(1名→最大3名)、雇用確保の弾力化、事業継続が困難な事由が生じた場合の免除等など特例措置並みに拡充し、実質的な恒久化を要望。2中小・中堅企業の「稼ぐ力」の強化に向けた税制中小・中堅企業の強化のため、研究開発税制・中小企業技術基盤強化税制の延長・拡充(繰越控除措置の復活、控除率等の引上げ、「中堅企業等向け研究開発税制」の創設等)や大胆な設備投資促進税制の創設、イノベーション拠点税制(イノベーションボックス税制)の拡充、研究開発に使用する設備に対する固定資産税の減免措置の創設、少額減価償却資産の損金算入特例の拡充・本則化、デジタル化資産等の即時償却を認める「IT導入枠」(仮称)の創設などを要望。3わが国のビジネス環境整備等に資する税制ビジネス環境整備等として、消費税インボイス制度に係る負担軽減措置の延長、外国人旅行者向け消費税免税制度の維持、中小企業・小規模事業者のデジタル化の推進(スマート青色特別控除(仮称)の創設等)、中小企業の成長や経営基盤強化を阻害する税制措置への反対(印紙税の廃止、事業所税の廃止)などを要望。4地域における民間投資拡大に資する税制地域の民間投資拡大のため、地域拠点強化税制の延長・拡充(税額控除率の引上げ等)、長期保有土地等に係る事業用資産の買換え特例の延長・拡充、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の拡充、「産業用地整備促進税制」(仮称)の創設などを要望。(参考)「令和8年度税制改正に関する意見」を公表https://www.jcci.or.jp/news/recommendations/2025/0918162000.html
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2025/10/17 税務ニュース
国税庁、ID・パスワードの新規発行を停止
国税庁は9月25日、同庁ホームページにおいてID・パスワードの新規発行を停止すると発表した。ID・パスワードとは、同庁ホームページにある「確定申告書作成コーナー」からe-Tax(電子申告)を利用して確定申告を行う場合に必要となるものである。ID(利用者識別番号)とパスワードについては、事前に税務署で本人確認を行ったうえで、発行することとなっており、納税者は取得したIDとパスワードを使用してe-Taxを行うことから「ID・パスワード方式」と呼ばれている。現在、e-Taxで確定申告を行うには、この「ID・パスワード方式」のほか、マイナンバーカードを使ってe-Taxにログインし、確定申告を行う「マイナンバーカード方式」の2通りの方法がある。「ID・パスワード方式」については、マイナンバーカードを使用せずにe-Taxを行うことが可能であることから、マイナンバーカードが普及するまでの暫定的な対応としてこれまで運用されてきた。現在、マイナンバーカードの保有率は国民の約8割となっており、「マイナンバー方式」でe-Taxを行う納税者も増加している。このような状況の中、令和7年6月13日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、「日本版記入済み申告書」(書かない確定申告)を実現するため、マイナンバーカードによるe-Taxを推進することとし、暫定的なe-Tax促進策である「ID・パスワードによる申告」は、廃止を含め在り方を検討し、2025年度中に結論を得ることとされた。これを受け、国税庁は、令和7年10月1日より「ID・パスワード方式」で使用するIDとパスワードについて新規発行を停止することとした。新規発行の停止により、e-Taxによる確定申告は「マイナンバー方式」に一本化されることになるため、初めてe-Taxを利用する納税者は、必ずマイナンバーカードが必要となる。既にID・パスワードを取得している納税者については、新規発行の停止後も引き続き「ID・パスワード方式」を利用できることになっている。今後の「ID・パスワード方式」に関する対応については、国税庁から改めて案内するとしており、廃止等のスケジュールは未定となっている。(参考)ID・パスワードの新規発行停止についてhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/pdf/idpw20251001.pdf
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2025/10/16 税務ニュース
チャットボットによる年末調整相談の開始
国税庁は、9月25日に同庁ホームページにおいて「税務相談チャットボット」による年末調整の相談を開始した。「税務相談チャットボット」とは、税金の相談に対してAI(人工知能)を使って、自動で回答するウェブサービスで24時間利用可能(メンテナンス時間を除く)で土日も対応している。チャットボットでの相談は、画面のメニューを選択する、もしくは自由に質問を入力することで、キャラクター(税務職員ふたば)が自動で回答する仕組みになっている。これまで、チャットボットは「所得税の確定申告(令和6年分)」、「e-Tax、確定申告書等作成コーナーの操作方法」、「消費税の確定申告(令和6年分)」、「インボイス制度」に対応していたが、今回、新たに年末調整(令和7年分)に対応することとなった。使い方は、まず「チャットボット(ふたば)に質問する。」をクリックすると「年末調整」、「所得税の確定申告」、「e-Tax、作成コーナーの操作方法」、「消費税の確定申告」、「インボイス制度」のメニューが表示される。ここで、相談項目を選択し、次のメニュー画面から相談内容を選択していくことで回答が表示される。もし、どのメニューを選んでよいかわからない場合は、メニュー画面で相談項目を選択後、次のメニュー画面の下に表示される「ここに質問を入力してください。」と書かれたスペースに質問を入力することで回答が表示される。例えば、年末調整で提出が必要な書類についてメニュー画面の選択で調べる場合、画面上の「提出が必要な申告書と添付書類」を選択すると「あなたが年末調整で受けたい控除の種類を選択してください。」と表示され、次に「住宅ローン控除(2年目以降)」を選択すると「住宅取得借入金等特別控除申告書」と「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の説明が表示されるほか、控除申告書をなくした場合の手続きについても参考情報として表示される。話し言葉による質問で調べる場合、例えば、「令和7年度の改正について知りたい。」と入力すると「令和7年分の改正について(基礎控除の見直し等)」ですね。」「令和7年分の年末調整においては、次のような見直し等が行われています。」と回答があり、基礎控除の見直しなど改正内容についての説明が表示される。チャットボットによる年末調整の相談は、令和7年分を対象としており、過去の年分には対応していないこと、日本の居住者の所得税を対象としており、非居住者には対応していないことなど一部の質問について回答が表示されないため、注意が必要である。チャットボットに年末調整の相談ができるのは、令和8年1月31日までとなっている。(参考)チャットボット(ふたば)に質問するhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/chatbot/index.htm
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2025/10/15 税務レポート
リース会計に関する会計と税務(その3) リース会計基準の改正を理解するために
1.令和7年度税制改正でのリースの取扱いリース会計基準の改正に対して、税務での対応は、税制改正の大綱の中で、「オペレーティング・リース取引によりその取引の目的となる資産の賃借を行った場合において、その取引に係る契約に基づきその法人が支払う金額があるときは、その金額のうち債務の確定した部分の金額は、その確定した日の属する事業年度に損金算入する。」(三法人課税4(8))という記述のほかは、延払基準の制度の廃止が示された程度で特別な改正は打ち出されていません。上記の記述の部分は、法人税法第53条の新設という形で規定されています。これは、法人税法においては、償却費以外は、債務が確定しているものに限って損金の額に算入する債務確定主義が取られており、新リース会計基準に基づきオペレーティング・リース取引による費用計上額を損金算入すると、リース期間の初期において賃借料を超える額が損金算入され、債務が確定しない費用の損金算入を認めることになってしまうためであると考えられます。また、新リース会計基準の中でも貸手のオペレーティング・リース取引は、従来通り経済的実態に合わせ「賃貸借取引」に準じた会計処理がなされることとされていることとの平衡、整合を取ることもリース会計基準と異なる処理を求める理由となっています。その結果として、借手の会計処理と税務では以下のような相違点が生じます。リース契約の期間を通じて定額で発生するリース料を損金処理するのに比べ、リース会計基準に基づく資産計上を行う場合には、契約開始初期には利息相当額がリース債務残高に応じて多額に算出され、契約終了に向かって逓減していきます。したがって、オペレーティング・リース取引の場合、リース期間の前半ではリース会計基準に従い資産計上することで、損金算入限度額以上の費用が計上されることになり、その部分を申告調整する必要が出てきます。そして、加算処理の結果、別表五(一)に累積した調整額をリース期間の後半で認容していくという処理が必要になります。そこで、オペレーティング・リース取引について賃貸借処理を行っている場合に、必要となる別表調整の理解が必要ということになります。そこで、別表の記載方法について、前回の取引例を利用して、解説していきます。2.別表調整の具体例(1)前提条件前回、以下のようなリースの支払計算表を基にリース会計基準に基づく仕訳処理を示しました。①リース契約締結時点の仕訳②リース料支払い時の仕訳(2月の初回)②-2リース料支払い時の仕訳(3月)③減価償却費の計上④年間累計での仕訳(①から③の合計)リース会計基準により会計上は、上記のような仕訳が起きていても、税務上の仕訳を想定するならば、法人税法第53条に基づき年間累計ベースでは以下のようになります。ということは、申告調整に必要な会計上の仕訳から税務上の仕訳への「修正仕訳」は次のようになります。なお、本稿では、減価償却費の相手科目を直接控除法で使用権資産としていますが、間接法によっている場合には、減価償却費の相手科目は減価償却累計額となります。(2)別表記載例別表四所得の金額の計算に関する明細書別表五(一)利益積立金額及び資本金等の計算に関する明細書もし、減価償却費の計上で間接法によっている場合には、別表五(一)の記載は、下記のようになります。上記の第1期では、となっているため、別表四で加減算の結果として課税所得が増える形になっています。しかし、リース期間の後半になると利息相当額の金額が落ちてきますので、となります。その結果、課税所得が減る形になり、リース期間が終了する時点で、別表五(一)のリース負債と使用権資産が0円となって、一連の申告調整は終了することになります。3.使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱いここまでの解説を見ていて、ファイナンス・リース取引となればリース資産を使用権資産として資産計上する必要があり、オペレーティング・リース取引だから賃貸借取引でよいという場合でも、顧問先企業が大企業の非連結会社だったり、公認会計士監査を受けている社会福祉法人だったりすれば、別表調整が必要になってきます。社会福祉法人の場合、収益事業をやっていなければ法人税申告は不要なので、問題はないのですが。そんな中で、前回の解説では、使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合の取扱いをご紹介しました。これらの取扱いによった際にそのリースが、オペレーティング・リース取引だった場合にどうなるのかを検討しておきたいと思います。使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合は、次のいずれかの方法を適用することができます(適用指針第40項(1))。第38項の定めによらず、借手のリース料から利息相当額の合理的な見積額を控除しない方法。この場合、使用権資産及びリース負債は、借手のリース料をもって計上し、支払利息は計上せず、減価償却費のみ計上する。第39項の定めによらず、利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に定額法により配分する方法(1)は、リース料について利息相当額部分とリース負債の元本返済額部分を区分することなく、リース料の支払い総額をリース負債として認識することです。その結果、使用権資産額もリース料支払い総額となるため、利息相当額込みの金額で減価償却することができます。(2)は、利息相当額の総額を借手のリース期間中の各期に配分するにあたって、利息法による(会計基準第36項)という原則に依らなくてもよいということです。(1)第40項(1)による仕訳と税務上記(1)の方法によれば、前述①から③のリース会計の仕訳は次のようになります。計算根拠等は、前回の解説をご覧ください。①リース契約締結時点の仕訳②リース料支払い時の仕訳③減価償却費の計上この結果、前述2.の解説で税務上認識されていた賃借料401,670円と同額の損金が減価償却費として計上されているため、別表四での別表調整は不要だということになります。厳密に考えれば、税務上は上記③の仕訳が不要であるため、①と②については別表五(一)での調整をすべきことになりますが、別表四での調整が不要であることはこれを失念しても納税額を誤ることはないという点で安心です。(2)第40項(2)による仕訳と税務②の利息法によらない利息相当額の処理は、①のリース契約開始時の仕訳は第38項の原則どおりですが、②のリース料支払い時において、利息相当額をリース期間を通じて定額で計上することができるため、支払利息の額が月々で変動しない点がメリットです。支払利息が月々で変動しないということは、利息相当額と減価償却費を加えたものが賃借料に一致し続けていることになります。ということは、第40項(1)と同様に別表四での調整が不要であることになります。このように利便性のある取扱いですが、これを適用するためには、使用権資産総額に重要性が乏しい場合でなければなりません。使用権資産総額に重要性が乏しいと認められる場合とは、未経過の借手のリース料の期末残高が当該期末残高、有形固定資産及び無形固定資産の期末残高の合計額に占める割合が10パーセント未満である場合です(適用指針第41項)。(3)税務上のリース資産の取得価額とはリース会計基準では、使用権資産の取得価額は、リース料支払総額から利息相当額を控除したものとされています。第40項(1)の取扱いのようにリース料支払総額で計上するのは例外取引とされています。それでは、税務上はどのようになるのか、改めて気になるところです。これについては、従来から法人税基本通達の中で定めがあり、令和7年度で若干の軸の訂正をしたうえで下記のように示されています。(賃借人におけるリース資産の取得価額)7-6の2-9賃借人におけるリース資産の取得価額は、原則としてそのリース期間中のリース料の額の合計額による。ただし、リース料の額の合計額のうち利息相当額から成る部分の金額を合理的に区分することができる場合には、当該リース料の額の合計額から当該利息相当額を控除した金額を当該リース資産の取得価額とすることができる。(注)1再リース料の額は、原則として、リース資産の取得価額に算入しない。ただし、再リースをすることが明らかな場合には、当該再リース料の額は、リース資産の取得価額に含まれる。2リース資産を事業の用に供するために賃借人が支出する付随費用の額は、リース資産の取得価額に含まれる。3本文ただし書の適用を受ける場合には、当該利息相当額は、リース期間の経過に応じて利息法又は定額法により損金の額に算入する。このようにリース会計基準の原則法であろうと簡便法であろうと税務上は共に認められている方法であり、問題が生じないということになります。提供:税経システム研究所
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2025/10/15 税務ニュース
金融庁「預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化」を要請
金融庁は、9月12日、一般社団法人全国銀行協会などの団体等に対して、警察庁と連名で、預貯金口座の不正利用等の防止に向けた対策を改めて要請した。要請した対策は、1.口座開設時における不正利用防止及び実態把握の強化、2.利用者側のアクセス環境や取引の金額・頻度等の妥当性に着目した多層的な検知、3.不正の用途や犯行の手口に着目した検知シナリオ・敷居値の充実・精緻化、4.検知及びその後の顧客への確認、出金停止・凍結・解約等の措置の迅速化、5.インターネットバンキングに係る対策の強化、6.振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等、7.不正等の端緒・実態の把握に資する金融機関間での情報共有、8.警察への情報提供・連携の強化の8項目となっている。金融庁では、法人口座を悪用した事案等の発生を受け、預貯金口座を通じて行われる金融犯罪への対策が急務となっており、インターネットバンキング等の非対面取引が広く普及していることを踏まえ、規模・立地によらず対策が必要であることから、全ての預金取扱金融機関に対し、2024年8月に対策を要請しており、システム上の対応が必要など、直ちに対策を講じることが困難な場合、計画的に対応することが重要であるとしていた。今回の要請は、インターネットバンキングを通じた振込による被害が急速に拡大しており、被害者本人が被害金を振り込まされるケースも念頭に、どう防止・検知し、被害を食い止めるかが重要であり、最近の手口(口座の貸借、異名義送金)への対応についても合わせて追加・改訂を行ったものである。2025年9月要請で追加した項目は、口座開設時における不正防止及び実態把握の強化、インターネットバンキングに係る対策の強化、振込名義変更による暗号資産交換業者及び資金移動業者への送金停止等、警察への情報提供•連携の強化となっており、特にインターネットバンキングに係る対策の強化について、①利用申込みの際の確認・注意喚起、②初期利用限度額の適切な設定、③利用開始後・利用限度額引上げ時の確認・注意喚起を行い、被害対策の防止を強く呼びかけている。なお、対策の要請を行った団体は、一般社団法人全国銀行協会、一般社団法人全国地方銀行協会、一般社団法人第二地方銀行協会、一般社団法人全国信用金庫協会、一般社団法人全国信用組合中央協会、一般社団法人全国労働金庫協会、株式会社ゆうちょ銀行、農林中央金庫、株式会社商工組合中央金庫となっている。(参考)法人口座及びインターネットバンキングの利用を含む預貯金口座の不正利用等防止に向けた対策の一層の強化についてhttps://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20250912/20250912.html
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