新着 実務情報
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2025/04/25
経済産業省、「工場セキュリティの重要性と始め方」を策定
経済産業省は4月11日、「工場セキュリティの重要性と始め方」を策定し、公表した。背景として、工場では、IoT化によるネットワーク接続機会の増加に伴いサイバー攻撃リスクも増加するほか、ネットワークの接続に乏しい工場であっても不正侵入等による攻撃の可能性があり、過去にはインターネットに接続していなくても外部からのUSB接続でウィルスに感染した事例も報告されている。また、意図的に攻撃を受ける場合もあれば、たまたま攻撃される場合もあるなど、いかなる工場でもサイバー攻撃を受けるリスクがあり、現にサイバー攻撃による工場の被害が国内外で生じていることから、工場のサイバーセキュリティ対策が求められている。こうした課題認識の下、これまで同省では、令和4年11月に工場システムのセキュリティ対策を実施する上で参考となるような考え方やステップを示した「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」※(以下「ガイドライン本編」という。)を、令和6年4月には「別冊:スマート化を進める上でのポイント」を策定してきた。近年、取引先まで被害が波及するなど、サプライチェーンを介したサイバー攻撃のリスクが高まっており、こうした状況において製造業全体を守るためには、工場の規模を問わずサプライチェーンを構成する全ての企業において、セキュリティ対策を実施する必要がある。今般、主に工場を有する中小規模の製造事業者の経営層や工場のセキュリティ担当者として選任された者を対象に、ガイドライン本編の内容をより分かりやすく解説し、具体的な事例・手順を示した解説書として、「工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドライン」Appendix【工場セキュリティの重要性と始め方】を策定した。今後、同省では中小企業向けサイバーセキュリティ対策促進施策と一体的に、関係省庁や関係団体と連携した広報活動等を通じて、本書の普及展開を図っていく予定であり、中小規模の製造事業者における工場セキュリティの意識が啓発され、製造業におけるサプライチェーン全体のセキュリティが向上することを期待している。(参考)経済産業省、工場セキュリティの重要性と始め方を策定https://www.meti.go.jp/press/2025/04/20250411005/20250411005.html※工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドラインhttps://www.meti.go.jp/policy/netsecurity/wg1/factorysystems_guideline.html
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2025/04/24
国税庁、リファンド方式に関する特設サイトを開設
国税庁は4月1日、令和7年度税制改正により、令和8年11月1日から実施される新しい外国人旅行者等向けの消費税免税制度(輸出物品販売場制度)となる「リファンド方式」の特設サイトを開設し、「輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直し」を公表した。「リファンド方式」については、免税対象物品を税込価格(課税)で販売するなど、従来の手続に比べ主に4点について変更が行われており、概要は以下のとおりである。1免税店は、外国人旅行者等(免税購入対象者)に対して、税込価格(課税)で免税対象物品を販売する。2免税購入対象者は、免税対象物品を国外に持ち出すことにつき購入日から90日以内の出国時に税関の確認を受ける。3免税店を経営する事業者は、購入記録情報と持出しを税関が確認した旨の情報(税関確認情報)を保存することで、免税の適用を受ける。4免税店を経営する事業者は、この確認後に免税購入対象者に消費税相当額を返金(リファンド)する。なお、今回の改正では、「リファンド方式への移行」に伴い、関連する事項について改正が行われている。【免税対象物品の範囲等の見直し】・一般物品と消耗品の区分、消耗品に係る購入上限額(50万円)、特殊包装の廃止・通常生活の用に供するかどうかの用途要件の廃止・金地金等については、免税販売の対象外とするなど【免税販売手続等の見直し】・船舶観光上陸許可等により在留する者などの手続の見直し・単価100万円(税抜価額)以上の商品に購入記録情報として「商品情報詳細」を設定・免税購入者が免税店で免税対象物品を運送事業者へ引き渡す免税販売方式(直送制度)は、消費税法第7条(輸出免税制度)により免税の適用を受けることができるなど【免税店の区分や許可要件等の見直し】・免税店の区分、許可要件の見直し・申請届出手続の簡素化など当該サイトにおいては、輸出物品販売場制度の改正の概要、Q&A、通達、申請書等の様式、免税販売管理システムAPI仕様書が掲載されており、同庁では「リファンド方式」に関する最新の情報を随時掲載するとしている。(参考)輸出物品販売場制度のリファンド方式への見直しhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/shohi/menzei/201805/format/002.htm
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2025/04/23 所得税法人税医療業務
クリニックの窓口収入管理方法
1.医療機関の収入医療機関の収入には患者から徴収した収入レセプト(診療報酬明細書)による社会保険診療報酬支払基金及び国民健康保険連合会への保険診療報酬の請求収入予防接種や健診等の実施による自治体や医師会から振り込まれる自由診療収入などがあります。これらの収入のうち②や③の収入は振込みによりますから収入の把握においては特段難しいことはありませんが、①の患者から徴収した収入の管理が医療機関においては(会計事務所においてはと言い換えることができます)一番難しい問題です。なぜ難しいのか、それは徴収した金額には保険診療と保険外収入とがあり、保険診療は消費税が非課税(事業税においても非課税)という扱いのため、区分して経理処理しておかないと消費税や事業税の計算ができない最近では患者の支払手段がPayPayなどによる電子決済、クレジットによる支払、それからオンライン診療においてはシステム会社を通してのクレジット決済、とキャッシュレス決済が多くなっているということがあげられます。特に②のキャッシュレス決済による窓口における収入をどのように管理・集計するかが、医療機関の経理事務を煩雑にしてきています。2.現場での作業診療報酬の領収書は、レセプトコンピュータからプリントしたものを患者に渡していますが、そこには現金なのかキャッシュレス支払なのかの記載はありません。そこで医療機関によっては余白に「クレジット決済」などのゴム印を押して患者に渡しています。更に、医療機関側では集計を管理するために領収証の控えの余白に「クレジット」や「PayPay」や「オンライン診療」などのゴム印を使い、決済手段ごとに領収証控えをまとめ、決済手段ごとに1日の集計をしています。3.会計事務所側の問題会計事務所においても、現金での収入はいくらだったのか、キャッシュレス決済による収入はいくらだったのかを把握しなければなりません。上述したように、保険診療収入は消費税や事業税の計算において非課税扱いになっているため、キャッシュレス決済による収入についても保険診療はいくらか保険以外の診療はいくらだったのかを把握する必要があります。また、クレジットやPayPayによる決済の場合手数料を引かれて振込まれ、オンライン診療にいたってはシステム会社が利用料を差引きます。また医療機関によって金額は異なりますが患者からオンライン診療利用料(保険診療以外の収入)を徴収しています。これらの金額を処理しないと、正確な収入金額が計算されないことになってしまいます。社会においてキャッシュレス決済が普及していっているのに、医療機関の事務処理はかえって地味な作業を強いられています。4.窓口における収入管理表の作成医療機関側では、窓口の収入を集計管理するためにエクセルで日計表や月計表を作成しています。基本のフォームは、「保険診療」と「保険外の収入」とを区分して集計できるようにしていますが、以前のように決済手段が現金だけならば、フォームも単純です。しかし、決済手段の多様化により、決済手段ごとに保険診療と保険外の収入の区分を設ける必要が生じました。保険診療も消費税や事業税の課税対象とされていれば、このような区分など必要ないのですが、税額計算上、区分を設けた管理表を作成せざるを得ないのです。参考までに、管理表フォームを最後に示してあります。5.日本医師会ORCA(オルカ)管理機構によるキャッシュレスサービス日本医師会ORCA(オルカ)管理機構は、医療機関のIT化を促進するため種々のサービスを提供していますが、そのうちの1つにクレジット決済サービスがあります。クレジット決済の他に電子決済にも対応(日本医師会会員限定)しています。窓口収入管理表の項目を1つ減らすことができるかもしれません。6.収入管理表の自動化はできないものかレセプトコンピュータやクレジット等の決済端末機から窓口の収入管理表へのデータ転送はできないものか、更には収入管理表のデータを会計システム(入力システム)に連動させるようなソフトはできないものか、おそらく多くの会計事務所が医療機関の処理実務をやりながら思っているのではないでしょうか。そのくらい医療機関における事務のIT化は遅れています。医療技術においてはあれほどIT化が進んでいるのにです。医療機関の事務においても、作業効率化のためにぜひ実現してもらいたいものです。7.追加情報:保険診療決定通知書のペーパーレス化昨年7月より、社会保険診療報酬支払基金(支払基金)及び国民健康保険連合会(国保連合会)からの診療報酬決定通知書が、これまでの紙媒体による郵送から、レセプトコンピュータへの配信通知に変更されました(プリントしなければ入手できなくなった)。顧問先に医療機関がある会計事務所にとっては知っておきたい知識です。なお、支払基金からの診療報酬額について、個人開業医の場合には源泉徴収税額が徴収されています。その源泉徴収税額の計算方法は(診療報酬決定額-200,000)×0.1021=源泉徴収税額です。この算式も知っておきたい知識です。ちなみに、上記の算式から、支払基金からの決定通知書が手元にない場合に報酬決定額を把握するための算式を求めることができます。報酬決定額をXとするととなります。そして源泉徴収税額はX-振込額で求めることができます。なぜ支払基金からの診療報酬について源泉徴収され、国保連合会からの診療報酬については源泉徴収されないのか、換言すれば、所得税法において「報酬・料金等の支払いを受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲」に「社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬」だけが該当しているのはなぜなのか、ということについては、おそらく国保連合会は国民健康保険法に基づき会員である保険者(都道府県、市町村及び国保組合)が共同して設立した公法人であるのに対し、支払基金は社会保険診療報酬支払基金法に基づき設立された法人(特別の法律に基づき設立された法人としての民間法人)であるという法人の性格(地位)によるのではないかと思われます。【参考:窓口収入管理表】提供:税経システム研究所
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2025/04/23
大阪・関西万博で日本産酒の魅力を世界へ
2025年4月13日から10月13日まで、大阪市の臨海部に位置する人工島・夢洲で開催される大阪・関西万博。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、158の国・地域と7つの国際機関が参加し、人類共通の課題解決を探り、持続可能な未来につなげることを目指している。2024年12月5日、「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録を受け、日本産酒への国内外の注目が高まっているところ、国税庁・国税局は、この万博の場で日本産酒の魅力を世界に発信するイベントを企画している。【イベント情報】1.2025年5月1日(木)12:30~17:00場所:ORA外食パビリオン「宴~UTAGE~」(2階宴-UTAGE-ラボ)内容:関西産酒類及び「伝統的酒造り」に関するセミナー、飲み比べ体験会、パネル展示実施主体:大阪国税局2.2025年6月8日(日)~6月15日(日)場所:EXPOメッセ「WASSE」(イベントホール南側)内容:「食と暮らしの未来ウィーク」期間中に、酒蔵をイメージしたブースで「伝統的酒造り」や日本産酒類の紹介、試飲等を実施実施主体:国税庁3.2025年6月13日(金)~6月15日(日)場所:EXPOアリーナ「Matsuri」内容:「東北の酒」とこうじ甘酒の試飲提供、「伝統的酒造り」に関するパネル展示、酒造りに関するワークショップ実施主体:仙台国税局4.2025年6月15日(日)~6月28日(土)10:00~20:40場所:大阪ヘルスケアパビリオン1階「ミライの食と文化ゾーン」内デモキッチンエリア内容:関西産酒類及び「伝統的酒造り」に関するセミナー・試飲会、PRイベント実施主体:大阪国税局5.2025年8月13日(水)~8月17日(日)10:00~17:00場所:関西パビリオン(多目的エリア)内容:関西産酒類の試飲、「伝統的酒造り」に関するPRブースの設置実施主体:大阪国税局(参考)大阪・関西万博における取組https://www.nta.go.jp/taxes/sake/tv/osaka_bampaku.htm「2025大阪・関西万博」公式ホームページhttps://www.expo2025.or.jp/
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2025/04/22
中小企業者に向けた新しい保証制度
中小企業庁は3月14日、物価高や人手不足等の影響を受けている中小企業者に向けた新しい保証制度として、協調支援型特別保証制度と経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)制度を開始することを発表した。協調支援型特別保証制度は、原材料の価格高騰、物価高、人手不足等の影響を受ける中小企業者に対し、金融機関のプロパー融資と保証付き融資を組み合わせることなどにより、金融仲介機能の一層の強化を図り、人手不足に対応するための省力化投資による中小企業の経営の安定や事業の発展など、多岐にわたる経営課題解決への取組みを後押しする保証制度を3年間(2028年3月末まで)の時限措置として開始するものである。経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)制度は、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、借入が過大となり、また、物価高や人手不足等の影響により、厳しい状況にある中小企業者の事業再生の取組みを後押しするため、経営サポート会議(金融機関等の関係者により個別事業者の支援の方向性について意見交換する場で、信用保証協会等を事務局とした支援の枠組み)や中小企業再生支援協議会等の支援により作成した再生計画等に基づき、中小企業者が事業再生を実行するために必要な資金の借入を保証する「経営改善サポート保証制度」を、2025年3月31日に終了する「感染症対応型」の後継として開始するものである。協調支援型特別保証制度の対象となる要件は、①申込金融機関から本制度による保証付き融資の実行と原則同時に本保証付き融資の実行と原則同時に本保証付き融資額の1割以上(融資期間12か月以上)のプロパー融資を受けること②申込金融機関の支援を受けつつ、自ら経営行動計画の策定並びに計画の実行及び進捗の報告を行うことのいずれかに該当する中小企業となっている。保証限度額は2億8,000万円で、保証期間は、一括返済の場合は1年以内、分割返済の場合は10年以内。据置期間は運転資金が1年以内、設備資金および運転設備資金が3年以内。金利は金融機関所定で、保証料率は0.45%~1.90%である。取扱期間は2028年3月31日まで。経営改善サポート保証の保証限度額は2億8,000万円(一般の普通・無担保保証とは別枠)となっており、保証割合は責任共有保証(80%保証)(ただし100%保証およびコロナ禍のセーフティネット5号からの借換については100%保証)となっており、いずれも保証付きの既往借入金の範囲内の額を借り換える場合に限るものとなっている。保証料率は0.3%(国による補助前は原則0.8%または1.0%)で、金利は金融機関所定で、保証期間は15年以内、据置期間は3年以内である。(参考)物価高や人手不足等の影響を受けている中小企業者に向けた新しい保証制度の取扱いを開始しますhttps://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2025/250314.html
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2025/04/21
事前確定届出給与を届出どおりに支給しなかった場合
事前確定届出給与は役員に対する給与を事前に定め、税務署に届け出ることでその給与額を損金として認めてもらう制度である。事前確定届出給与として認められるためには、支給時期や金額が事前に確定しており、実際の支給がその内容通りであることが求められる。もし、届け出と異なる支給があった場合は事前確定届出給与としての適格性を失い、損金算入が否認されることになる。3月決算法人が役員に対して、令和5年12月と令和6年5月にそれぞれ200万円の給与を支給すると届け出たものの、異なる支給をした場合は次のように取り扱う。1令和5年12月には100万円しか支給せず、令和6年5月には届け出どおり200万円を支給した場合1回目の支給が届け出と異なったため、その職務執行期間に係る給与すべてが定めどおりに行われたといえない。結果として、2回目の支給も含め、合計300万円全額が損金不算入となる。2令和5年12月に予定どおり200万円を支給し、令和6年5月には100万円しか支給しなかった場合このケースでは、1回目の200万円は損金算入が認められるが、2回目の100万円は損金不算入となる。1回目については、3月決算の年度内に予定どおり支給が完了していること、さらに、2回目の支給が前事業年度の課税所得に影響を与えるものではないことから、2回目のみを損金不算入とすることで差し支えない。このケースでは、決算期をまたいでの支給であるため、2回目のみが損金不算入となるが、これが同一事業年度内だった場合には、上記1のように全額が事前確定届出給与として認められない可能性が高い。業績が悪化し、減額支給をせざるを得ないケースがある。しかし、その場合でも減額支給が事前確定届出給与の適格性を失うことに変わりはないため注意が必要である。平成25年3月14日東京高裁判決でも、「業績悪化による減額は租税回避に当たらない」との主張は認められず、減額支給した給与が全額損金不算入とされている。やむを得ない事情で支給内容を変更する際は、「事前確定届出給与に関する変更届出書」を、変更決議日から1か月以内、または給与支給日の前日までのいずれか早い日までに提出する必要がある。変更が生じた場合には、迅速に変更届出を行うことが不可欠である。参考:国税庁HP「定めどおりに支給されたかどうかの判定(事前確定届出給与)」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/11/16.htm提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/21
「代表者親族へ会社所有車を無償貸与」「代表者親族や知人の健康診断料を会社で負担」「代表者への現金交付を帳簿に記載していない」(一部取消し)
【裁決のポイント】国税通則法第68条第1項にいう「事実」を「隠蔽」するとは、課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実について、これを隠蔽し、あるいは故意に脱漏することをいい、「事実」を「仮装」するとは、所得、財産又は取引上の名義等に関し、あたかも、それが真実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲することをいうと解される。本件の審査請求人は税務調査で指摘を受け、修正申告等に応じたが、(1)従業員ではない代表者親族が会社の車を無料で使っており使用料相当額の収入計上漏れがあった、(2)取締役(代表者の妻)の親族や知人に、労働安全衛生法上の義務として会社が従業員に受診させる健康診断を受診させ、福利厚生費として損金計上した、(3)現金不足の原因は代表者への現金交付であるが帳簿に記載しなかった、ことに「仮装・隠ぺい」があるとして重加算税が課されたことから、取消しを求めて審査請求を行った。国税審判所は、(1)使用料相当額がないことが真実であるかのように装ったとはいえない、(2)請求人の従業員のための健康診断その他必要な費用であるかのように装って帳簿書類に記載したといえる、(3)源泉徴収の対象となる代表者への賞与に該当する支払い事実を隠した、と判断して、(1)について課された重加算税の賦課決定処分を取消した事例である。(平成29年5月期から令和3年5月期までの各事業年度の法人税に係る重加算税の各賦課決定処分、平成27年5月他の各月分の源泉徴収に係る所得税等の重加算税の各賦課決定処分他・一部取消し、棄却・令和5年6月1日裁決(非公開))【主な争点】審査請求人に、重加算税を課す「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められるか。【裁決の要旨】(1)本件使用料相当額の計上漏れについて審査請求人と本件使用者(代表者親族)又はA取締役(代表者の妻)との間では本件使用者が本件車両を使用する合意があった一方で、その使用に伴う使用料について何ら具体的な取り決めをしていなかったと認められるから、本件車両は無償で貸借されていたと認められるものの、それ以上に、審査請求人が本件使用料相当額を収入として計上しなければならないことを認識しながら、あえて使用料について取り決めをせずに貸与し、本件使用料相当額の請求やその収入計上を行わなかったとまでは認める証拠はない。審査請求人には、本件使用料相当額を隠蔽し、あるいは故意に脱漏するといったことや、あたかも、本件使用料相当額がないことが真実であるかのように装うといったことがあったとはいえないから、審査請求人に「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったとは認められない。(2)本件健康診断料について事業者たる審査請求人に義務付けられている健康診断の対象は、その使用する労働者すなわち審査請求人の従業員である。審査請求人が、従業員ではない者らを請求人が健康診断を受診させる必要がある従業員であるかのように装って、健康診断を受診させた上、その費用である本件健康診断料について、審査請求人が負担すべき従業員のための健康診断その他必要な費用であるかのように装って帳簿書類に記載したものといえるから、審査請求人には、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる。(3)本件現金不足額について審査請求人は、長年にわたり事業を営み、代表者も長年にわたり務めていたのであるから、審査請求人の現金を代表者に交付をする際は帳簿書類に記録をすべきであることは、当然認識していたはずであるところ、代表者に現金を交付した事実を帳簿書類に記録せず、残存しない現金を帳簿書類に載せ続けることで代表者に対する給与等の支払の事実を隠蔽したといえるから、審査請求人には、「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと認められる(源泉所得税への重加算税)。【参照条文】国税通則法第68条《重加算税》本情報は、裁決日時点での審査事例となります。裁決日以後、裁判所により別の判決が示される場合もございますので、あらかじめご了承ください提供:株式会社日本ビジネスプラン
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2025/04/21
源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーの開設
国税庁は令和7年3月27日、源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーを開設した。源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーとは、e-Taxソフト(WEB版)と同様の画面操作を用いて、給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(一般用及び納期特例用)及び報酬・料金等の所得税徴収高計算書について、作成・送信・キャッシュレス納付手続(ダイレクト納付・インターネットバンキング)の一連の流れを体験することができるツールである。動作環境は、パソコン(Windows10、11ブラウザGoogleChrome、MicrosoftEdge、FirefoxMacOS14、15ブラウザSafari)の他、スマートフォン(iOS18ブラウザSafari、Android11ブラウザGoogleChrome)からも利用することができる。この体験コーナーは、事前準備が不要でe-Tax操作性を気軽に体験でき、デモ操作であるため、ミスを気にすることなく、何度でも利用することができる。基本的な操作方法については、別途「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーの操作方法」がPDFファイルで用意されているので、参照しながら手順の確認をすることもできる。また、パソコン(Windows)を利用している場合、オフライン環境でも利用することができる「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」が用意されており、このソフトをダウンロードし、実行することで(インストール不要)、インターネットに接続することなく「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」の操作を体験することができる。ダウンロード版の場合、WEB版とは異なり、Windowsパソコン(MicrosoftWindows10(64ビット版)、MicrosoftWindows11(64ビット版))のみの動作確認であり、Macやスマートフォンでは利用はできない。国税庁では、令和7年(2025年)までにキャッシュレス納付割合を4割とする目標を設定し、利用拡大を促進しており、e-Taxを利用して預貯金口座から振替により納付する「ダイレクト納付」、インターネットバンキングを利用する「インターネットバンキング等」、国税クレジットカードお支払いサイトを利用する「クレジットカード納付」、預貯金口座から振り替える「振替納税」はキャッシュレス納付に分類される。「源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナー」で体験できるキャッシュレス納付は、「ダイレクト納付」、インターネットバンキングを利用する「インターネットバンキング等」のみとなっているが、利用者識別番号の取得は不要で、実際にe-Taxによる送信や納付が行われることはないため、入力ミス等を心配することなく、申告から納付までの一連の手続きを体験することができるため、顧問先に説明する際の資料としても利用することできる。ダウンロード版については、パソコンにインストールすることも不要であるため、一度確認しておくとよい。(参考)源泉所得税のキャッシュレス納付体験コーナーhttps://www.e-tax.nta.go.jp/taiken/gensencashless.htm
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2025/04/18
2024年のキャッシュレス決済比率を算出
経済産業省は3月31日、2024年のキャッシュレス決済比率(以下「決済比率」という。)を算出し、公表した。決済比率については、同省が2018年4月に公表した「キャッシュレスビジョン」(※1)において、将来的には世界最高水準の80%を目指すとされている。また、「成長戦略フォローアップ」(2019年6月21日閣議決定、※2)においては、2018年における決済比率24.1%を倍増し、2025年6月までに4割程度とすることを目指すとされた。同省では、これまで政府目標の達成に向け、関係省庁と連携しつつ、キャッシュレス決済の推進に取り組んでおり、決済比率を毎年算出・公表している。2024年の決済比率は、前年から3.5ポイント上昇し、42.8%(141.0兆円・前年対比+11.3P)となり、政府目標である4割を1年前倒しで達成した。内訳について、クレジットカードは116.9兆円(同+10.6P)、デビットカードは4.4兆円(同+18.9P)、電子マネーは6.2兆円(同▲3.1P)、コード決済は前年からの伸び率が最も大きく13.5兆円(同+23.9P)となっている。構成比はクレジットカードが82.9%(前年対比▲0.6P)、デビットカードが3.1%(同+0.2P)、電子マネーが4.4%(▲0.7P)、コード決済が9.6%(同+1.0P)であり、コード決済の比率が増加している。なお、一般社団法人キャッシュレス推進協議会が昨年9月に公表した「2022年の世界主要国におけるキャッシュレス決済比率」によれば、上位から韓国99.0%、中国83.5%、オーストラリア75.9%、シンガポール65.6%、英国64.2%、カナダ61.9%、米国56.4%となっており、日本の42.8%(2024年)と比べると大きな開きがある。同省においては、引き続き必要な環境整備を進めていくとしているが、同省が2023年3月に公表した「キャッシュレスの将来像に関する検討会」(※3)においては、消費者の課題として「不正利用・セキュリティへの不安」、加盟店(事業者)の課題として「手数料の負担」が挙げられており、これらへの対応が重要になる。(参考)2024年のキャッシュレス決済比率を算出しましたhttps://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250331005/20250331005.html(※1)https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/cashless/image_pdf_movie/cl_vision.pdf(※2)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/pdf/fu2019.pdf(※3)https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/cashless_future/20230320_report.html
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2025/04/17
匿名データの利用
令和7年3月24日、国税庁は保有する行政記録情報を匿名加工したデータを活用し、我が国の税・財政政策の改善・充実に関する統計的研究を行う研究者の募集を国税庁ホームページ上で公表した。この匿名データは、個人の税務申告データを基にしており、令和7年4月から利用申出の受付が始まっている。この取り組みは、令和6年7月5日にデジタル社会推進会議で決定された「オープンデータ基本指針」を踏まえたものである。国税庁が保有する行政記録情報のオープン化について、有識者からなる会議体で検討を重ね、今回の匿名データ提供に至った。提供される匿名データは、平成26年分から平成30年分の5年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書(第一表・第三表)の情報とされている。申告件数全体から1%(1年分あたり約23万レコード)を抽出し、個人を特定できる情報(氏名、マイナンバー、整理番号、性別情報)を削除した上で、CD-Rによる貸出しにより原則2年間を上限として提供される(※1、※2)。匿名データの利用者は、公的機関、独立行政法人、大学等に所属する研究者に限定され、研究者の範囲は、博士研究員、大学院生(博士課程後期相当)となっている。利用目的は、学術研究の発展に資するものであり、かつ、税・財政施策の改善・充実に関する統計的研究であることが求められる。研究成果は国税庁の審査後、公表が許可された場合、国税庁ホームページで公表される予定である。具体的な利用手続の手順は以下のとおりである。1.事前準備:ガイドラインや利用規約を参照し、申出準備として仮の申出書を作成する(※3)。2.事前相談:提出された仮の申出書について事前の内容審査が行われる。3.申出受付:正式な申出書を提出する。4.申出審査:申出書について国税庁で内容審査が行われる。5.承諾又は不承諾:申出書に対する承諾または不承諾の決定通知が申出者に送付される。研究者に提供された匿名データは、研究者により厳重に保管され、研究終了後は研究成果とともに国税庁に返却される。研究中の中間成果物についても、復元できないように消去または破棄した上で国税庁に報告することが義務づけられている。政府がEBPM(証拠に基づく政策立案)を推進する中、これまで国税当局において厳重に管理されていた税務申告データを研究者に提供し、研究を行うことによって、税制の効果検証や将来の税制への政策提言につながる可能性がある。今後の日本経済に有益な税制を生み出すことが期待されている。(参考)匿名データhttps://www.nta.go.jp/publication/statistics/tokumei_data/index.htm(※1)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/tokumei_data/pdf/tokumei_tebiki.pdf(※2)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/tokumei_data/pdf/tokumei_guideline.pdf(※3)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/tokumei_data/yoshiki/yoshiki.htm
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