税務情報レポート

MJS税経システム研究所・税務システム研究会の顧問・客員研究員による租税を中心とした多彩な研究成果および最新の税制改正および制度や動向、判例研究等に関するリポートです。

1.無償減資した場合の資本積立金事業再生を行って行く過程では、欠損金の填補のために無償減資や資本準備金の取り崩しを行う場合は多くみられることである。その一方で、税務上の資本積立金はそのまま残ってしまうことになる。法人税法における資本等の金額は資本の金額または出資金額と資本積立金額の合計額であるが、資本積立金の定義規定(法法2条17号ヌ)により、無償減資が行われた部分は資本積立金額の増加となり、また商法上の資本準備金の取り崩しがなされても税務上の資本積立金に...
1.日米租税条約の意義(1)日米両国間の経済関係と投資交流の促進日米両国間の経済関係、経済交流は活発にされているが、これに伴って課税問題が多く発生しているところである。このうち配当や利子といった投資収益に対する課税の調整は非常に重要であり、投資収益に対する課税が軽減されることにより、投資交流が促進されることになる。(2)二重課税の排除二重課税の防止策として、外国税額控除制度があるが、それだけでは二重課税が排除しきれない場合もあり、この点を手当てする必要があ...
1.税源移譲の基本方針国と地方との問題については、平成15年6月に閣議決定した「基本方針2003」において、平成18年度までに概ね4兆円程度を目途に国庫補助負担金の改革を行うこと等、三位一体の改革の推進を行うことが決定された。「三位一体」とは、「官から民へ」、「国から地方へ」の考え方の下、地方の権限と責任を大幅に拡大する方向で、①国庫補助負担金の改革、②地方交付税の改革、③税源移譲を含む税源配分の見直し推進していくことをいう。いわゆる「骨太の基本方針200...
1.国税の更正の期間制限一般的な場合の更正の処分は、その国税の法定申告期限から3年を経過した日以後においては、することができないと定められている(通則法70①)。しかし、次のような更正については、法定申告期限から5年を経過する日まですることが可能である(通則法70②)。
Ⅰ.特定口座の概要1.特定口座に関する各種課税の特例特定口座について、平成14年度改正で設けられた「特定口座に関する特例」についてまず説明する。(1)特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算の特例特定口座内に保管されていた上場株式等を譲渡した場合などの所得の金額については、その特定口座において行った上場株式等の譲渡等に係るものだけを基礎として計算することができ、特定口座外での取引とは別に行うこととされている。
平成16年度税制改正主要事項一覧表
1.給与所得の課税①給料にかかる税金には、所得税と住民税がある。所得税は1月1日から12月31日までの1年間の所得に対して翌年3月15日までに確定申告をして納めるのであるが、給与所得者の場合には、通常は確定申告の必要がない。会社が月々の給料から所得税を概算で天引きして、本人に代わって納める仕組み(源泉徴収制度)になっている。この源泉徴収は、その人の正確な所得税の金額ではないので、会社がその年の12月に年末調整という手続で正確な所得税の金額に計算し直してくれ...
Ⅰ.概要1.連結付加税連結付加税とは、平成14年4月1日から平成16年3月31日までの間に開始する連結事業年度の連結所得について適用される、連結所得金額に対する税率に2%が上乗せされる付加税をいう(措法68の8)。連結付加税は、連結納税制度の創設に伴う税収減へ対応するために2年間に限り導入された暫定措置である。連結付加税が課せられていると2%上乗せの方が影響が大きく、欠損の通算があったとしても、連結納税制度の採用により、却って税負担が増えてしまうことがある...
Ⅰ.解説1.資産整理に伴う私財提供等があった場合の欠損金の損金算入の制度の概要この制度は、商法の規定による整理開始の命令があったこと等に伴い、再建等のために役員若しくは株主等である者若しくはこれらであった者から金銭その他の資産の贈与を受け(以下「私財提供益」という。)、あるいはその法人に対する債権者から債務の免除を受けた場合(以下「債務免除益」という。)には、それらを受けた日の属する事業年度前の事業年度において生じた欠損金額のうち、私財提供益又は債務免除益...
1.金融庁の要望金融庁は税制改正要望では、銀行の貸倒引当金を税制上の損金として扱い、①無税で償却できる範囲の拡大、②欠損金が生じた場合に過去に納めた法人税が戻る繰戻還付制度の拡充、③欠損金を翌年度以降に繰り越して利益と相殺できる繰越控除期間の、不良債権処理支援のための「三点セット」の実現を求めていた。金融庁では、大学教授や公認会計士など、7人のメンバーによる「金融機関の自己資本充実に関する税制研究会」を設置して、検討を実施していた。結果として、欠損金の繰戻...