アウトライン審査事例

国税不服審判所が示した審査請求事件の裁決例は、正確な税務処理を行っていくうえで見落とせません。アウトライン審査事例では実務家の皆様にとって実用性の高い裁決事例を簡潔に紹介。併せて、参照条文も記載しておりますので、実務上の判断の一助としてお役立てください。

【裁決のポイント】居住者が外貨建取引を行った場合には、その外貨建取引の円換算額は、その外貨建取引時の為替相場で換算した金額で、所得の金額を計算するものとされており(所得税法第57条の3第1項)、円換算は、その取引を計上すべき日における対顧客直物電信売買相場の仲値(TTM)によるとされている(所得税基本通達57の3-2)。しかし、預け入れ、払い出しが随時可能な外貨...
【裁決のポイント】国税通則法第68条《重加算税》の賦課基準である「隠蔽又は仮装に該当する場合」として、国税庁は、事務運営指針において、「二重帳簿を作成」「帳簿書類の破棄又は隠匿」「帳簿書類の改ざん、虚偽記載、相手方との通謀による虚偽の証ひょう書類の作成、帳簿書類の意図的な集計違算その他の方法により仮装の経理」、「帳簿未作成、未記入による収入または棚卸資産の除外」...
【裁決のポイント】本件の審査請求人は法人税法上の公益法人で、〇〇〇〇と称する事業(本件事業)を行い、公式HPや雑誌に案内を掲載し、参加者から金員(本件金員)を受領していたところ、原処分庁が、当該事業は収益事業(旅館業)に該当するなどとして、法人税等の更正処分等を行った。審査請求人は、本件事業の目的は、厳格な修行の機会を提供することにあり、本件金員は、参加者が修行...
【裁決のポイント】申告等をした税額等が実際より多かったときに正しい額に訂正することを求める更正の請求が認められる事由として、国税通則法第23条第1項第1号は、納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことと規定している。本件の審査請求人は、A社のテーマパークの専属ダンサーで、「家内労...
【裁決のポイント】重加算税を課するためには、過少申告行為そのものとは別に、隠ぺい、仮装と評価すべき行為が存在し、これに合わせた過少申告がされたことを要するものとされている。平成7年4月28日の最高裁判決は、納税者が、当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る「特段の行為」をした上、その意図に基づきことさら過少な申告をしたような場合...
【裁決のポイント】同一の取引先に対する売掛金と買掛金があれば、決済時に相殺され、残額のみが支払われることは、一般によく行われている。相殺前の請求額を売上高として計上していれば、本来なら、課税売上高を正しく把握できるであろうが、相殺があった場合に、取引全体を見誤ると、課税売上高が過少になる恐れが生じる。(近年、ネットバンキングからの自動仕訳が可能になっているが、相...
【裁決のポイント】法人税法上、寄附金とは、法人が行った金銭その他の資産の贈与または経済的な利益の無償の供与等をいい、交際費や広告宣伝費等、義援金等に該当するものは除かれる。本件では、他社所有の機械を借用する際に、自社で購入した消耗工具を装着したことが、寄附金に該当するかどうかが争われた。自動車部品製造業を営む審査請求人は、A社の工場内で、A社所有の機械を使用し、...
【裁決のポイント】国税通則法第12条《書類の送達》第1項は、国税に関する法律の規定に基づいて税務署長等が発する書類は、郵便もしくは信書便による送達または交付送達により、その送達を受けるべき者の住所又は居所に送達すると規定し、同条第5項第2号は、交付送達は、書類の送達を受けるべき者等が送達すべき場所にいない場合には、第4条の交付(手渡し)に代え、送達すべき場所に書...
【裁決のポイント】申告納税制度であっても、毎年の申告書提出を税理士に任せている場合に、まさかの期限後申告で、納税者が厳しい処分を受けることは想定外であろう。本件では、税理士法人が、2事業年度連続で、申告書を期限後に提出(電子申告利用)したため、審査請求人の青色申告の承認が取り消されて、青色申告の特典を失った。審査請求人は、国税庁の「法人の青色申告の承認の取消しに...
【裁決のポイント】法人税法上、人格のない社団等及び公益法人等は、法人税法施行令において収益事業として定められている34の事業を、継続して、事業場を設けて行う場合には、収益事業に該当し、申告が必要になる。かつて、マンション管理組合が行う組合員以外への駐車場貸付け、携帯電話中継アンテナ設置料等からの収益が、管理組合に帰属し収益事業となるのか、構成員(組合員)に帰属し...