アウトライン審査事例

国税不服審判所が示した審査請求事件の裁決例は、正確な税務処理を行っていくうえで見落とせません。アウトライン審査事例では実務家の皆様にとって実用性の高い裁決事例を簡潔に紹介。併せて、参照条文も記載しておりますので、実務上の判断の一助としてお役立てください。

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2024/02/05 インターネット販売の出品者プロフィール欄に、架空の会社名や親族の氏名を記載していたことをもって、直ちに取引を隠ぺいし、仮装したとは言えないとして、重加算税が取り消された事例（一部取消し）
【裁決のポイント】サラリーマンが本名を隠した副業について、重加算税の適法性が争われた事案である。審査請求人は勤務先の会社から副業を禁止されていたが、輸入品のネット販売を始め、所得税の確定申告をしていなかった。数年後に税務調査が入り、その時点の出品者プロフィール欄に実在しないＡ社を名乗り、代表者として母親の氏名が記載されていたことから、税務署は、取引名義を仮装する...
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2024/01/29 審査請求人と警備員の間の契約関係は、雇用契約とみるのが相当であるから、支払った報酬は外注費でなく給与であり、源泉徴収義務があると判断された事例（棄却）
【裁決のポイント】たとえ契約書が業務委託契約書というタイトルで作成されていても、また、契約書本文に「雇用契約ではない」、「申告納税等は受託者が各自の責任で行う」等と記載されていても、報酬を受ける側が自己の計算と危険において独立して業務を営んでいたものとはいえず、指揮命令に服して空間的・時間的な拘束を受けつつ労働に従事させられていたと認定されれば、税法上は、当該報...
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2024/01/22 税理士に納品日を伝えなかったことは、経理に関する知見に照らして、当初から過少申告を意図した行動であるとは認められないとして、重加算税が取り消された事例（一部取消し）
【裁決のポイント】本件は、税理士に経理関係書類の全てを見せていなかったため、過少申告となったが、重加算税が取り消された事例である。本件の審査請求人は医療法人の精密検査事業から分離独立した法人で、院長の配偶者であり、臨床検査技師の副院長（医療法人において経理事務の経験なし）が代表者に就任した。審査請求人は、事務所用に家具を数点購入し、代金を先に払い、一部の家具は翌...
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2024/01/15 開発予定地の近隣住民対策を業務委託した契約書等の作成は、事実を仮装したものであるとして、重加算税が課された事例（棄却）
【裁決のポイント】国税通則法第68条《重加算税》第1項でいう「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し」の「事実を仮装」とは、“あたかもそれが事実であるかのように装う等、故意に事実をわい曲すること”をいう。本件は、当初から役務の提供を期待することなく契約書等を作成した行為が、事実を仮装したものと判断され、...
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2024/01/15 税理士にあえて貸付金残高を誤解させる書類を送付して貸倒引当金を過大計上したことは、当初から過少申告を意図した行動であるとして、重加算税が課された事例（棄却）
【裁決のポイント】重加算税は、隠蔽又は仮装という行為を用いて過少申告をした場合に課されるが、最高裁判決（平成7年4月28日）は、積極的なそれらの行為がなくとも、納税者が、“当初から所得を過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動をした上、その意図に基づく過少申告をした”場合には重加算税の賦課要件を満たすと判示し、それにより重加算税を課...
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2023/12/25 輸出の許可を受けた郵便物が、外国において通関手続を経ることなく本邦に返送された場合、本邦に引き取ることから、輸入に当たるとした事例（棄却）
【裁決のポイント】税法の中で、「輸入」の定義は、関税法第2条《定義》第１号に置かれている。輸入とは、外国から本邦に到着した貨物又は輸出の許可を受けた貨物を本邦に引き取ることをいう。審査請求人は、加熱式たばこを、中国へ国際郵便で発送したが、輸入が取りやめとなって、中国側での通関手続きを経ることなく返送された。日本の税関は、名宛人の審査請求人に対して、国際郵便物課税...
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2023/12/18 実在しない架空の取引であるから、当該仕入高計上額は損金の額に算入されず、課税仕入れに係る支払対価の額にも算入されないと判断された事例（棄却）
【裁決のポイント】現金取引の記帳にはとりわけ注意が必要である。もし総勘定元帳の現金勘定残高がマイナスになっている期間があれば、課税庁に、現金管理の正確性から始まり、経理処理全般に疑念を与えることになる。輸出入および卸売業の審査請求人は、税務調査を受け、現金仕入れ高計上額について、架空の取引であるとして法人税及び消費税の更正処分ならびに重加算税賦課決定処分がなされ...
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2023/12/11 経理責任者である役員によるスクラップ売却収入の隠ぺいは、審査請求人の行為と同視することができるとして、重加算税が課された事例（棄却）
【裁決のポイント】売上を帳簿に記載せず、隠蔽した者が、経理担当の役員である場合は、法人への重加算税賦課決定処分を取り消させることは困難である。土木・建築業の審査請求人の役員で経理責任者のＢは、工事現場で発生した廃材等のスクラップの売却代金を、現金で受領し、その収入を審査請求人の帳簿に記載せず、簿外の現金として審査請求人の金庫で保管した。税務署はＢの地位が審査請求...
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2023/12/04 取引先への謝礼金を、仕入高として経理処理させた営業担当者の一連の行為は、法人において容認されていたとして、重加算税が課された事例（棄却）
【裁決のポイント】法人の代表者ではない者の仮装・隠ぺい行為でも、法人の行為と同視すべきと判断されて重加算税が課された事案は多い。審査請求人である法人の社内規定では、10万円以上の交際費、贈呈には社長決裁が必要とされているが、営業担当者は、その手続きを踏まず、購入先関係者へのリベート相当額を他の費用に上乗せした契約書の合計額で支出し、経理部は内容を知らされず当該合...
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2023/11/27 審査請求人の太陽光発電への取組みは、事業に該当しないと判断された事例（棄却）
【裁決のポイント】所得税法第27条の事業所得か否かは、原則、「その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうか」で判定される。令和4年10月7日改正の副業収入の所得区分等に関する所得税基本通達35-2《事業から生じたと認められない所得で雑所得に該当するもの》の改正で明記された。具体的には、過去の判例等から、①営利性・有償性の有無、...
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