事業者のインボイス制度導入への準備状況は、59.9%と約6割が制度導入に向けて「特段の準備を行っていない」と回答したことが、日本商工会議所が会員企業を対象に6月7日~7月2日に実施した「消費税インボイス制度等に関する実態調査」結果(有効回答数3812社)で分かった。特に、「売上高1千万円以下の事業者」では依然として7割超(73.0%)と、小規模な事業者ほど準備が進んでいない傾向が見られる。

インボイス制度導入に向けた課題(複数回答)としては、「そもそも制度が複雑でよく分からない」(42.4%)が4割超で最も多い。次いで、「発行する請求書等の様式変更」(27.3%)、「受け取った請求書等のインボイス要件確認」(21.4%)、「仕入先が免税事業者かどうかの確認」(21.1%)、「システムの入替え・回収コスト」(17.6%)が続いた。そのほか、「コロナで先行き不透明の中、制度を理解する余裕もない」といった声も寄せられている。

インボイス制度導入後の対応予定(課税事業者における免税事業者との取引)は、「まだ分からない」との回答が課税事業者の約6割(59.3%)を占め、2割超が「免税事業者との取引は(一切または一部)行わない」(11.7%)、「経過措置の間は取引を行う」(9.1%)と回答し、免税事業者との取引を見直す意向を示した。取引先が免税事業者かどうか「すでに把握できている」課税事業者は、約2割(20.1%)にとどまった。

インボイス制度導入後に免税事業者の約2割は「課税事業者になる予定」(14.2%)、「経過措置後に課税事業者になる予定」(6.1%)である一方、51.5%と約5割の事業者が「まだ分からない」と回答。また、「廃業を検討する」と回答した事業者も4%存在している。取引先から課税事業者になるよう「要請を受けた」ことがある免税事業者は1.6%、5.5%が「要請を受けたことはないが、課税事業者か確認されたことがある」と回答した。

免税事業者が課税転換する際の課題(複数回答)は、「制度が複雑で事務負担に対応できない」(49.2%)が約5割。次いで、「売上が確保できるか分からない」(45.5%)、「資金繰りが難しい」(34.2%)となっている。また、免税事業者の約4割(37.3%)は直近の利益が収支均衡以下。免税事業者の受注・販売先数は4割超(41.3%)が5社(者)未満で、取引先の減少が経営悪化に直結する可能性が高いとみられている。

同調査結果は↓
https://www.jcci.or.jp/20211110kekka.pdf

提供:株式会社タックス・コム