青色申告者に対しては種々の特典があるが、その一つに所得金額から最高65万円又は10万円を控除するという青色申告特別控除がある。青色申告特別控除は2018年度税制改正で、65万円から55万円に引き下げられたが、一定要件を満たす場合は65万円の控除が受けられる。国税庁はこのほど、「e-Tax又は電子帳簿保存を行うと65万円の青色申告特別控除が受けられる」と題したリーフレットを公表し、周知を図っている。

適用要件が改正された青色申告特別控除は2020年分以後の所得税(住民税は2021年度分以後)について適用され、65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、これまでの要件に加え、e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うことが必要になった。電子申告又は電子帳簿保存を行わない場合(改正前の65万円控除要件を満たしているのみの場合)は、青色申告特別控除額は55万円となる。

なお、2021年度の税制改正により電子帳簿保存法が改正され、2022年1月1日以後に電子帳簿保存を行う場合は、事前の税務署長の承認は不要となった。この制度の下、65万円の控除を受けるためには、その年中の事業に係る仕訳帳及び総勘定元帳について優良な電子帳簿の要件を満たして電磁的記録による備付け及び保存を行い、法定申告期限までに一定の事項を記載した届出書を提出することが必要となる。

ここでいう「優良な電子帳簿」とは、(1)訂正等の履歴が残ること、(2)帳簿間で相互関連性があること、(3)検索機能があること、(4)モニター・説明書等を備え付けることなどの要件を満たした電子帳簿のことをいう。また、2022年分の所得税確定申告から65万円の控除を受ける人は、2023年3月15日までに確定申告書とともに届出書を税務署に提出する必要がある。

リーフレットには、質問にYES・NOで答えながら進んでいくことで65万円の控除が受けられるかどうかチェックできるYES・NOチャートも掲載。税務署では、新しく事業を始めた人や記帳のしかたが分からない人、記帳に関する指導を希望する人を対象に、日々の記帳方法から申告書の提出まで一貫した指導を行っており、国税庁は、記帳指導の希望や詳しい内容は最寄りの税務署に気軽に尋ねるよう呼びかけている。

同リーフレットは↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0021010-076.pdf

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