土地を建物の所有目的で貸し付けた場合には、借地権の設定の対価として権利金など一時金を受け取るのが通例だ。この場合、受け取った一時金は、原則として不動産所得となる。しかし、権利金などの額が相当多額のときなどは、土地の一部分の譲渡とその効果が変わらない場合がある。このような場合には、資産の譲渡があったものとして、その借地権や地役権の設定の対価として受け取った権利金などは分離課税の譲渡所得となる。

譲渡所得として課税されることとなる権利金などは、次の「借地権等の設定の内容」に掲げるような権利の設定により受け取った権利金などのうち「対価の額の要件」に該当するものとなる。「借地権等の設定の内容」には、イ.建物又は構築物の所有を目的とする借地権の設定、ロ.特別高圧架空電線を架け渡すための地役権の設定、ハ.特別高圧地中電線を敷設するための地役権の設定、が掲げられている。

さらに、ニ.ガス事業法に規定するガス事業者が高圧ガス用の導管を敷設するための地役権の設定、ホ.飛行場を設置するための地役権の設定、ヘ.ケーブルカーやモノレールを敷設するための地役権の設定、ト.砂防法第1条の砂防設備である導流堤などの設置を目的とする地役権の設定、チ.都市計画法に規定する公共施設を設置するための地役権の設定、リ.都市計画法の特定街区内で建築物を建築するための地役権の設定、がある。

また、「対価の額の要件」としては、まず(1)「建物や構築物の全部の所有を目的とする借地権」や「地役権」の設定である場合は、権利金などが土地(転貸の場合には借地権)の時価の1/2を超えることがある。なお、地下若しくは空間について上下の範囲を定めた借地権や地役権の設定又は導流堤や遊砂地若しくは河川法に規定する遊水地などの設置を目的とした地役権の設定である場合には、その土地の時価の1/4を超えること。

(1)の算式は「その土地(転貸の場合には借地権)の時価×1/2<権利金等の額」となる。次に、(2)「建物や構築物の一部の所有を目的とする借地権」の設定がある場合は、権利金などが次の算式で計算した金額を超えること、が要件となる。算式は、「その土地(転貸の場合には借地権)の時価×(建物や構築物の所有部分床面積÷建物や構築物の全体の床面積)×1/2<権利金等の額」となる。

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