今年6月末現在の法人数は前年から1.7%増の322万法人で、うち2020年度内に決算期を迎え今年7月末までに申告した法人は、同2.0%増の301万法人だったことが、国税庁が発表した2020事務年度の法人税等の申告事績で分かった。その申告所得金額は同7.9%増の70兆1301億円、申告税額の総額も同4.9%増の12兆1220億円とともに2年ぶりに増加した。

法人の黒字申告件数は105万3千件(前年対比1.0%増)で、黒字申告割合は前年度を0.3ポイント下回る35.0%で、10年ぶりに下落に転じたが、2014年度以降7年連続で30%台となった。もっとも、法人の黒字申告割合は、過去最高だった1973年度(65.4%)の半分前後の低い数字が1993年度から28年も続いており、法人の黒字申告割合は低水準が続いている。黒字法人の申告1件あたりの所得金額は前年度比6.8%増の6662万8千円だった。

一方で、申告欠損金額は同60.1%増の23兆7219億円、赤字申告1件あたりの欠損金額も同56.1%増の1212万1千円と、ともに大幅増加。ちなみに、申告欠損金額のピークは1999年度の33兆2791億円だったので、2020年度は約71%まで減少している。申告所得金額が増加する一方、欠損金額も増加したのは、新型コロナ感染拡大の影響で、黒字企業と赤字企業の“二極化”が進んだ結果とみられている。

また、今年6月末現在の連結法人数は、親法人が1999法人(前年対比5.1%増)、子法人が1万5515法人(同7.2%増)の計1万7514法人(同7.0%増)だった。このうち、7月末までに申告した親法人は1920件(同10.5%増)で、その黒字申告割合は前年度に比べ▲4.0ポイント減少の58.1%。申告所得金額は同21.5%増の13兆8278億円となる一方、申告欠損金額も同68.8%増の4兆3528億円と大幅に増加する結果となった。

連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数1万6251件(前年対比11.7%増)のうち、黒字分は61.6%にあたる1万6件(同5.1%増)、赤字分が6245件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は6割に達し、総個別所得金額も16兆4683億円(同16.5%増)にのぼる。企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる連結納税の効果は大きいことがうかがえる。

なお、2020年度の法人税申告におけるe-Taxの利用件数は242万5千件で、前年度比2.3%増加しており、利用率は前年度を1.8ポイント上回る86.7%まで上昇。この要因としては、昨年4月からの大法人へのe-Tax義務化が大きいが、国税当局による大法人を含む全ての法人に利用を促すために順次実施してきた、データ形式の柔軟化や提出方法の拡充、提出先の一元化、認証手続きの簡便化等の環境整備も効果が出ているようだ。

2020事務年度の法人税等の申告事績の概要は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/hojin_shinkoku/pdf/hojin_shinkoku.pdf

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