法務省は、10月14日時点で最後の登記から12年を経過している株式会社、同5年を経過している一般社団法人・一般財団法人について、法律の規定に基づき、法務大臣の公告を行い、管轄登記所から通知書の発送を行うなど休眠会社の整理作業に着手した。上記の株式会社、一般社団法人・一般財団法人に該当する場合には、本年12月14日までにまだ事業を廃止していない旨の届出を管轄登記所にしないと、みなし解散の登記が行われる。

管轄登記所から通知書を受けた場合、法務大臣が公告を行った日(10月14日)から2ヵ月以内である本年12月14日までに管轄登記所に「まだ事業を廃止していない」旨の届出をする必要がある。同日までに届出がなく、かつ、登記の申請もなかった休眠会社・休眠一般法人については、12月15日付けで解散したものとみなされ、登記官により職権で解散の登記をされる。

ただし、みなし解散となっても、みなし解散の登記後3年以内に限り、(1)株式会社は株主総会の特別決議によって、(2)一般社団法人・一般財団法人は社員総会の特別決議又は評議員会の特別決議によって、株式会社や法人を継続することができる。継続したときは、2週間以内に継続の登記の申請をする必要がある。一方、届出をした場合であっても、必要な登記申請を行わない限り、翌年も休眠会社等の整理対象になる。

会社法の規定により、株式会社の取締役の任期は、原則2年、最長でも10年とされており、取締役の交替や重任の場合にはその旨の登記が必要だから、株式会社については、取締役の任期ごと(少なくとも10年に一度)に、取締役の変更の登記がされるはず。また、一般社団法人・一般財団法人に関する法律の規定により、その理事の任期は2年とされ、同様に少なくとも2年に一度、理事の変更の登記がされるはずだ。

取締役又は理事の変更に限らず、株式会社、一般社団法人・一般財団法人は、その登記事項に変更があった場合には、所定の期間にその変更の登記をすることとされている。長期間登記がされていない場合は、既に事業を廃止し、実体がない状態となっている可能性が高く、このような休眠状態の株式会社、一般社団法人・一般財団法人の登記をそのままにしておくと、商業登記制度に対する国民の信頼が損なわれることになる。

つまり、休眠会社を放置すると、事業を廃止し実態を失った会社がいつまでも登記上公示され登記の信頼を失いかねず、休眠会社を売買するなどして脱税など犯罪の手段とされかねない等の問題があり、法務省では1974年から休眠会社等の整理を始めた。当初は毎年ではなかったが、2014年以後は毎年行われ、2020年度の整理で、解散したものとみなされたのは、株式会社3万1516社、一般社団法人・一般財団法人が1487法人にのぼる。

この件については↓
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00083.html

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