人口減少や高齢化を背景とした所有者不明土地の増加が深刻化するなか、国土交通省はこのほど、2022年度税制改正要望において、ランドバンクへの税優遇の創設など、所有者不明土地問題解消に向けた税制面からの側面支援策を盛り込んだ。ランドバンクとは、低未利用土地の利活用を図るためマッチング・コーディネートや土地所有者に代わる管理などの機能を担う法人のこと。

同省が重点要望の一つとして掲げているのは、不動産市場の活性化・土地の有効活用の推進。その具体策として、まず、低未利用土地の流通促進によって所有者不明土地の発生を抑制するため、ランドバンクが流通阻害要因の解消を行うために一時的に取得する、管理不全等により流通に課題がある土地等について、登録免許税や不動産取得税を軽減する特例措置の創設を要望している。

現在、国土審議会においてランドバンクの指定制度の創設が検討されており、要望では、こうしたランドバンクが土地建物を購入する際の流通税の軽減として、不動産取得税について課税標準の1/5を控除。また土地取得者がランドバンクから土地を購入する際の流通税の軽減として、所有権移転登記にかかる登録免許税を2%から1%に軽減することとを求めている。

またこれに関連して、所有者不明土地法に基づく地域福利増進事業に係る税の特例措置の拡充も要望。地域福利増進事業とは、知事の裁定による使用権(最長10年)の設定により、所有者不明土地を公園や広場、購買施設等の公共的な事業のために活用可能とする制度。今般、再生可能エネルギーの推進や、防災・減災の必要性の更なる増大など、社会経済情勢の変化に対応する観点から対象事業の追加が検討されている。

要望では、一定の事業のために土地等を譲渡した場合、所得税・法人税等について、長期譲渡所得(2000万円以下の部分)に係る税率を軽減するほか、地域福利増進事業の用に供する土地及び償却資産について、固定資産税・都市計画税の課税標準を5年間2/3に軽減し、地産地消に資する再生可能エネルギーに関する事業や、備蓄倉庫等の防災上有効な設備の整備に関する事業なども特例措置の対象に新たに追加することを求めている。

ランドバンクが取得する土地に係る特例措置の創設は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/request/mlit/04y_mlit_k_02.pdf

地域福利増進事業に係る特例措置の拡充は↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2022/request/mlit/04y_mlit_k_04.pdf

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