内閣府は、2022年度税制改正において、地方創生を推進し、地方における雇用創出を図るため、地方拠点強化税制の見直し等を要望している。地方拠点強化税制は、企業が本社機能を東京23区から地方へ移転(移転型)と地方の企業の本社機能の強化(拡充型)があり、(1)オフィスに係る建物等に対し特別償却又は税額控除を認めるオフィス減税、(2)特定業務施設での雇用者の増加に対して税額控除が受けられる雇用促進税制がある。

同強化税制は、2015年度税制改正で創設され、鳴り物入りで創設された制度ではあるものの、今年6月末時点での適用を受けるために必要な整備計画の認定状況をみると、認定事業件数はたったの488件で、このうち税制適用実績は、オフィス減税119件、雇用促進税制の特例35件に過ぎず、雇用創出人数は1万8735人にとどまっている。昨年度改正でも、雇用促進税制の適用要件の緩和等が行われたが、再度見直しを要望した。

コロナ禍でのテレワークやリモート会議の導入が進むなか、本社機能全てを東京に置く必要性は減少。また、近年頻発する災害等に備えたリスク分散の観点からも、東京等の本社機能を代替・補完する地方拠点の整備は重要な課題として、適用期限の2年延長及び同税制が企業の地方移転等のインセンティブとして有効に機能するように感染症の影響によるビジネス環境や企業動向の変化等を踏まえた適用要件の緩和等の拡充を求めた。

また、要望では、国家戦略特区における特別償却や所得控除制度などの優遇措置の延長や、中小企業の再生を支援する観点から、再生企業の保証人となっている経営者が、合理的な再生計画に基づき、その再生企業に対して事業用資産の私財提供を行った場合に、その資産に係る譲渡益を非課税とする「経営者の私財提供に係る譲渡所得の非課税措置」の拡充及び適用期限の延長なども盛り込んでいる。

そのほか、昨年期限の延長が行われた「新型コロナウイルス感染症に関する特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税措置」について来年3月までとされている期限のさらなる延長や、既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・三世代同居・長期優良住宅化リフォームに係る特例措置の拡充及び延長、特定の学資としての資金の貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の延長などを求めている。

2022年度内閣府税制改正要望は↓
https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r04/zei/04zei.pdf

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