国税庁はこのほど、「障害者相談支援事業を受託した場合の消費税の取扱い」と題したニュースをリリースして、社会福祉法に規定する社会福祉事業として行われる資産の譲渡等については、消費税が非課税となるが、「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うものであり、社会福祉法に規定する社会福祉事業に該当せず、消費税の課税対象となるとの注意を喚起した。

この背景には、「障害者総合支援法」を根拠に、市町村は地域生活支援事業である障害者相談支援事業を行うこととされているが、当該事業における税務上の取扱いについて誤認している市町村がある旨の報道があったことがある。これは、社会福祉法に基づく社会福祉事業は消費税が非課税とされており、一部の市町村において、当該事業が社会福祉事業に該当するものと誤認し、誤って非課税扱いとして取扱っていたことによるものとみている。

そのため、厚生労働省では、昨年10月4日に事務連絡を発出し、障害者相談支援事業は消費税の課税対象であり、自治体が当該事業を民間事業者に委託する場合、消費税相当額を加えた金額を委託料として受託者に支払う必要があること等について各自治体に周知。これまで非課税の扱いをしていた自治体においては、委託先の事業者の負担が生じないよう、配慮するとともに、消費税相当額を踏まえて適切に対応するよう要請している。

国税庁は、社会福祉法上、「一般相談支援事業」及び「特定相談支援事業」は第二種社会福祉事業とされているが、「障害者相談支援事業」は、障害者に対する日常生活上の相談支援を行うもので、入所施設や病院からの地域移行等の相談を行う「一般相談支援事業」や、障害福祉サービスの利用に係る計画作成等の支援を行う「特定相談支援事業」には該当せず、また、社会福祉法に規定する他の社会福祉事業のいずれにも該当しないと指摘。

上記に加え、当該事業については消費税法上、非課税の対象として規定されているものでもないことから、当該事業の委託は、非課税となる資産の譲渡等には該当せず、受託者が受け取る委託料は、課税の対象となるとして、注意を喚起している。厚労省でも、自治体が障害者相談支援事業を委託する場合に必要となる消費税相当額について、委託先の民間事業者の負担とすることがないよう要請している。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/shohi/0024004-027/index.htm

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