事業所得や不動産所得、雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額や、その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額だ。必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額。つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費にならない。

逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になる。この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいう。それは、(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。

必要経費に算入する場合、家事上の費用は必要経費とならないが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費)となるものがある。例えば、店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)。この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られる。

必要経費になるものとならないものとしては、まず、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などが挙げられる。逆に、受け取った人も所得としては考えない。これは、土地や家屋に限らず、その他の資産を借りた場合も同様となる。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になる。

次に、生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除く)は必要経費にならない。青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされる。一方、業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になる。また、業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になる。

さらに、事業税は全額必要経費になるが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になる。そのほか、所得税や住民税や罰金、科料および過料などは必要経費にならず、公務員に対する賄賂などについても必要経費にならない。

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