法人が一の事業年度において、租税特別措置法における特別税額控除制度のうち複数の規定の適用を受けようとする場合において、その適用を受けようとする規定による税額控除可能額の合計額がその法人のその事業年度の調整前法人税額の90%相当額を超える場合には、その超える部分の金額(「調整前法人税額超過額」)は、その法人のその事業年度の調整前法人税額から控除することができないこととされている。

ただ、調整前法人税額超過額を構成する金額のうち、一定の税額控除制度によるものに限っては、その構成することとされた部分の金額は、それぞれの税額控除制度による控除をしても控除をしきれなかった金額として、繰越税額控除に関する規定を適用する(つまり、次のそれぞれの税額控除制度の繰越税額控除限度超過額として翌期以降に繰越控除することができる)こととされている。

一定の税額控除制度には、(1)中小企業者等が機械等を取得した場合、(2)沖縄の特定地域において工業用機械等を取得した場合、(3)中小企業者等が特定経営力向上設備等を取得した場合、の各税額控除制度がある。例えば(1)は、特定中小企業者等が、一定の機械装置等でその製作の後事業の用に供されたことのないものの取得又は製作をして、これを指定事業の用に供した場合には、特別償却との選択により特別税額控除を行うことができるもの。

調整前法人税額超過額の意義としては、法人が一の事業年度において適用を受けようとする特別税額控除制度の税額控除可能額の合計額のうち、その法人のその事業年度の調整前法人税額の90%相当額を超える部分の金額が調整前法人税額超過額になるが、この調整前法人税額超過額は各種特別税額控除制度による控除可能期間が最も長いものから順次成ることとされている。

上記の「法人税の額から控除される特別控除額の特例繰越」の繰越税額控除の適用を受けるためには調整前法人税額超過額が生じた事業年度以後の各事業年度の確定申告書に調整前法人税額超過額の明細書の添付をし、また、繰越控除の適用を受ける事業年度の確定申告書等に控除の対象となる調整前法人税額超過額、控除を受ける金額を記載するとともに、その金額の計算に関する明細書を添付して申告する必要がある。

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