多くの給与所得者は、給与の支払者が行う年末調整によって源泉徴収された所得税額と納付すべき所得税額との過不足が清算されるので、確定申告の必要はない。しかし、年末調整が済んでいる給与所得者であっても、その給与所得以外に副収入等によって20万円を超える所得を得ている場合には、確定申告が必要となるので要注意だ。給与所得者の副収入としては様々なものが考えられるが、一般的には、雑所得に該当するものがある。

まず、インターネットのオークションサイトやフリーマーケットアプリなどを利用した個人取引による所得。具体的には、衣服・雑貨・家電などの資産の売却による所得だが、古着や家財など生活の用に供している資産の売却による所得は非課税(確定申告が不要)で、損失は生じてないものとみなされる。そのほか、自家用車などの資産の貸付けによる所得やベビーシッターや家庭教師などの人的役務の提供による所得も雑所得に該当する。

次に、ビットコインをはじめとする暗号資産の売却等による所得や民泊による所得がある。個人が空き部屋などを有料で旅行者に宿泊させるいわゆる「民泊」は、一般的に、利用者の安全管理や衛生管理、また、一定程度の観光サービスの提供等を伴うものなので、単なる不動産賃貸とは異なり、その所得は、不動産所得ではなく、雑所得に該当する。また、NFTを組成して第三者に譲渡したことによる所得も雑所得に該当する。

ちなみに、給与所得者で確定申告が必要な人は、(1)給与の年間収入金額が2000万円を超える人、(2)1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得および退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人、(3)2か所以上から給与の支払を受けている人のうち、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得および退職所得以外の所得金額との合計額が20万円を超える人。

さらに、(4)同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人、(5)災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人、(6)源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人、(7)退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人、などが給与所得者で確定申告が必要な人に該当する。

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