取引先から受領した適格請求書の記載事項に誤りがあることは少なくない。例えば、商品を購入した時もらった領収書に登録番号の記載はあったのだが、軽減税率対象品目である旨の記載がなかった場合などがある。適格請求書に記載間違いなどの不備があると、仕入税額控除を受けられないが、また商品を購入したお店まで行って領収書を再発行してもらうのは大変なので、買手が修正することは認められないのだろうか。

この場合、お店から修正した適格請求書の交付を受けなければならない。消費税法では、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付した適格請求書発行事業者は、これらの書類の記載事項に誤りがあった場合には、これらの書類を交付した他の事業者に対して、修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書を交付しなければならないこととされており、買手が追記や修正を行うことは原則的には認められていない。

ただし、買手が適格請求書を修正することが認められるケースがある。それは、買手が作成した一定事項の記載のある仕入明細書等の書類で、売手である適格請求書発行事業者の確認を受けたものについても、仕入税額控除の適用のために保存が必要な請求書等に該当するので、買手において適格請求書の記載事項の誤りを修正した仕入明細書等を作成し、売手である適格請求書発行事業者に確認を求めることも認められる。

つまり、買手側で適格請求書を修正しても、売手側にその修正内容の確認を受ければいいことになる。この際、例えば、相互に関連する複数の書類により、仕入明細書等を作成することも可能であることから、受領した適格請求書と関連性を明確にした別の書類として修正した事項を明示したものを作成し、その修正事項について売手の確認を受けたものを保存することも認められる。

したがって、受領した適格請求書に買手が自ら修正を加えたものであったとしても、その修正した事項について売手に確認を受けることで、その書類は適格請求書であるのと同時に修正した事項を明示した仕入明細書等にも該当することから、その書類を保存することで、仕入税額控除の適用を受けることが認められるわけだ。売手側から修正した適格請求書を発行し直してもらう手間がなくなるので、実務的にはかなり楽になる。

なお、これらの対応を行った場合でも、売手において当初交付した適格請求書の写しを保存しなければならない。また、売手側が売上税額の積上げ計算を行う場合には、これらの対応により確認を行った仕入明細書等を適格請求書等の写しと同様の期間・方法により保存する必要がある点に留意が必要となる。

提供:株式会社タックス・コム