財務省は2月9日、国民負担率が、2024年度予算では23年度実績見込みから1.0ポイント減の45.1%と3年連続低下する見通しと発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保障(年金・健康保険などの保険料)の負担割合。24年度見通しの内訳は、国税16.9%、地方税9.9%で租税負担率が26.7%、社会保障負担率は18.4%。国民所得の伸びが大きく、社会保障負担も微減する見通しで、国民負担率を引き下げた。

2023年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.8ポイント減(国税:0.4ポイント減、地方税:0.3ポイント減)と2年連続で低下、社会保障負担率も0.2ポイント減の微減で4年連続で低下した。国民負担率を諸外国の2021年実績で比べた場合、日本(2021年度48.1%)は、米国(33.9%)や英国(47.6%)よりは高いが、フランス(68.0%)、スウェーデン(55.0%)、ドイツ(54.9%)よりは低い。

真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2024年度の国民所得(23年度に比べ11万8千円増の443万4千円の見通し)に対する財政赤字の割合は、前年度から2.7ポイント減の5.8%となる見通し。この結果、24年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、23年度実績見込みからは3.7ポイント減の50.9%だが、過去5番目に高い見通し。

なお、租税負担率は、戦後は40年代半ばの混乱期を除いて20%前後で推移。しかし80年台前半以降、次第に上昇し始めその後はほぼ20%台前半から半ばで推移、22年度実績では過去最高の29.4%を記録、24年度は過去5番目に高い。OECD加盟38ヵ国との21年実績での比較では、比較可能な36ヵ国中、日本(28.9%)はメキシコ(20.4%)、コスタリカ(20.6%)などに次ぐ8番目に低い水準。最高はルクセンブルグの60.8%。

また、2024年度見通しの国民負担率45.1%は、調査開始以来、過去最高となる22年度実績の48.4%を3.3ポイント下回るが、12年連続で40%台の高水準の数字となる見込みだ。OECD加盟38ヵ国と21年実績で比較した場合、日本(48.1%)は、比較可能な36ヵ国のなかで下から15番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルグの86.8%、最低はメキシコの23.0%(租税負担率も最低の20.4%)だった。

「国民負担率(対国民所得比)の推移」は↓
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/futanritsu/sy202402a.pdf

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