財務省は2月2日、「所得税法等の一部を改正する法律案」を今通常国会に提出したことを公表した。法案提出の理由として、「賃金上昇が物価高に追いついていない国民の負担を緩和し、物価上昇を上回る持続的な賃上げが行われる経済の実現を目指す観点から、所得税の定額減税の実施や、賃上げ促進税制の強化等を行う」等としている。法案は、国会の審議を経て3月末までの成立を目指し、2024年4月1日に施行する予定。

法案の概要は、個人所得課税では、「所得税の定額減税」:居住者の2024年分の所得税額から、居住者並びに配偶者及び扶養親族1人につき3万円を控除、合計所得金額1805万円以下の場合のみ対象、「ストックオプション税制の利便性向上」:スタートアップが付与したものについて、年間権利行使価額の限度額を最大3600万円に引上げ、「住宅ローン控除拡充」(2024年分につき子育て世帯の借入限度額上乗せ等)などがある。

法人課税では、「賃上げ促進税制の強化」:従来の大企業向けの措置について、税額控除率の上乗せ措置等を見直し、適用期限を3年延長、中堅企業向けの新たな措置を創設、中小企業向けの措置について、5年間の繰越控除制度を創設し、適用期限を3年延長、教育訓練費に係る税額控除率の上乗せ措置についての適用要件の緩和、子育てとの両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への税額控除率の上乗せ措置の創設など。

さらに、「戦略分野国内生産促進税制の創設」:電気自動車、半導体等を対象に、生産・販売量に応じた10年間の税額控除、「イノベーションボックス税制の創設」:国内で自ら研究開発した特許権等から生ずる一定の所得について、30%の所得控除、「交際費等から除外される飲食費の金額基準引上げ」(1人5千円→1万円)などがある。

消費課税では、「プラットフォーム課税の導入」:国外事業者がデジタルプラットフォームを介して国内向けに行うデジタルサービスについて、国外事業者の取引高50億円超のプラットフォーム事業者に消費税の納税義務を課す制度の導入。国際課税では、「非居住者に係る暗号資産等取引情報の自動的交換のための報告制度の整備」。納税環境整備では、「更正の請求に係る隠蔽・仮装行為に対する重加算税制度の整備」などがある。

そのほか、期限切れ租税特別措置の延長では、「住宅用家屋の所有権保存登記等に係る登録免許税の軽減措置の延長(3年)」、「旅行者等が入国の際に携帯等して輸入する紙巻たばこの特例措置の延長(1年)」。また、「防衛力強化に係る財源確保(附則)」:2023年度税制改正の大綱及び2024年度税制改正の大綱に基づき、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置を実施するため、適当な時期に必要な法制上の措置を講ずること、などがある。

所得税法等の一部を改正する法律案要綱は↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/213diet/st060202y.pdf

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