誠実に納税を行う納税者の税に対する公平感を損なうことがないよう、近年見られる新たな事例に対応していく必要があるとの観点から、2024年度税制改正では、納税環境整備の一環として、納税者が申告後に税額の減額を求めることができる更正の請求において、仮装・隠蔽が行われているものの、現行制度上、重加算税等が課されない事例が把握されていることを踏まえ、重加算税等の見直しを行う。

それは、過少申告加算税又は無申告加算税に代えて課される重加算税の適用対象に、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき更正請求書を提出していた場合を加えるというもの。また、偽りその他不正の行為により国税を免れた場合等に、延滞税の計算期間から一定の期間を控除する特例が不適用となる措置について、隠蔽し、又は仮装された事実に基づき更正請求書を提出していた一定の場合が対象となることを明確化する運用上の対応を行う。

そのほか、法人の代表者等が不正申告を行い、法人の財産を散逸させて納税義務を免れる事例等が把握されていることを踏まえ、不正申告を行った法人の代表者等に対する徴収手続きの整備等の所要の措置を講ずる。それは、偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等の第二次納税義務の整備だ。さらに、税務調査に対する非協力や納税者の不正への第三者による加担行為への対応について中期的に検討していく。

偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等の第二次納税義務の整備は、偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた株式会社等がその国税(その附帯税を含む)を納付していない場合に、徴収不足であると認められるときは、その株式会社の役員等は、その偽りその他不正の行為により免れ、若しくは還付を受けた国税等のうち、一定額を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負うというもの。

一定額は、その役員等が移転を受けたもの及びその役員等が移転をしたもの(通常の取引の条件に従って行われたと認められる一定の取引として移転をしたものを除く)の価額のいずれか低い額となる。上記の改正は、2025年1月1日以後に法定申告期限等が到来する国税及び滞納になった一定の国税について適用する。

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