昨年10月からインボイス制度がスタートしたが、それに伴い、2024年度税制改正では、インボイス関連の見直しが行われている。まず、一定の事項が記載された帳簿のみの保存により仕入税額控除が認められる自動販売機及び自動サービス機による課税仕入れ並びに使用の際に証票が回収される課税仕入れ(3万円未満のものに限る)の2つの特例については、帳簿への住所等の記載が不要とされる。

上記の改正の趣旨を踏まえ、2023年10月1日以後に行われる上記の課税仕入れに係る帳簿への住所等の記載については、運用上、記載がなくとも改めて求めないものとされる。実は、この見直しは、昨年12月22日に2024年度税制改正が閣議決定されたことを受けて、国税庁が、住所等の記載を不要とする国税庁告示の改正に先立ち、自動販売機特例等における帳簿の記載例などを示す文書を公表している。

それによると、この閣議決定に基づき、「自動販売機特例が適用される取引」や「回収特例が適用される取引(3万円未満の取引に限る)」における帳簿の記載事項については、これまで帳簿に住所または所在地の記載が求められていたが、3万円未満の公共交通機関利用時などの取扱いと同様に、「住所又は所在地」の記載を不要とする取扱いを整備していくとした(国税庁告示を改正予定)。

自動販売機特例や回収特例において対象となる3万円未満の取引か否かは、1回の取引の税込価額で判定する。例えば、自動販売機で飲料(1本150円)を20本(3000円)購入する場合、1回の商品購入金額(1本150円)で判定することとなる。また、帳簿に記載する「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」及び「特例の対象となる旨」は、「自販機」と記載すればよいとしている。

そのほか2024年度税制改正では、簡易課税制度又は適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置を適用する事業者が、2023年10月1日以後に国内で行う課税仕入れについて、税抜経理方式を適用した場合の仮払消費税等として計上する金額は、継続適用を条件に課税仕入れに係る支払対価の額に110分の10(軽減対象課税資産に係るものは108分の8)を乗じた金額とすることが認められることを明確化する。

また、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置について、一の適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れの額の合計額がその年又はその事業年度で10億円を超える場合には、その超えた部分の課税仕入れについて、本経過措置の適用を認めないこととされる。

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