2024年度与党の税制改正大綱では、児童手当について、所得制限が撤廃されるとともに、支給期間について高校生年代まで延長されることを踏まえ、16歳から18歳までの高校生期の扶養控除の縮小が明記された。現行の一般部分の国税38万円、地方税33万円に代えて、かつて高校実質無償化に伴い廃止された特定扶養親族に対する控除の上乗せ部分の国税25万円、地方税12万円を復元し、扶養控除を縮小する。

高校生年代に支給される児童手当と合わせ、全ての子育て世帯に対する実質的な支援を拡充しつつ、所得階層間の支援の平準化を図ることを目指す。さらに、扶養控除の見直しにより、課税総所得金額や税額等が変化することで、所得税又は個人住民税におけるこれらの金額等を活用している社会保障制度や教育等の給付や負担の水準に関して不利益が生じないよう、その制度等の所管府省において適切な措置を講じる必要がある。

独自に事業を実施している地方公共団体も適切な措置を講じる必要がある。具体的には、各府省庁において、今回の扶養控除の見直しにより影響を受ける所管制度等を網羅的に把握し、課税総所得金額や税額等が変化することによる各制度上の不利益が生じないよう適切な対応を行うとともに、各地方公共団体において独自に実施している事業についても同様に適切な対応を行うよう周知するなど所要の対応を行う必要がある。

扶養控除の見直しについては、2025年度税制改正において、2024年10月からの児童手当の支給期間の延長が満年度化した後の2026年分以降の所得税と2027年度分以降の個人住民税の適用について結論を得る。そのほか、ひとり親控除は、とりわけ困難な境遇に置かれているひとり親の自立支援を進める観点から、対象となるひとり親の所得要件を、現行の合計所得金額500万円以下から1000万円以下に引き上げて緩和する。

また、ひとり親の子育てにかかる負担の状況を踏まえ、ひとり親控除の所得税の控除額について、現行の35万円を38万円に引き上げる。合わせて、個人住民税の控除額について、現行の30万円を33万円に引き上げる。こうした見直しについて、2026年分以降の所得税と2027年度分以降の個人住民税の適用について扶養控除の見直しと合わせて結論を得ることとしている。

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