2024年度与党税制改正大綱が12月14日、公表された。来年度税制改正では、物価上昇を上回る賃金上昇の実現を最優先課題とした。1人当たり4万円の所得税などの定額減税のほか、賃上げ税制を強化し、賃上げにチャレンジする企業の裾野を広げる。さらに、中小企業の中堅企業への成長を後押しする税制も組み合わせることで、賃金が物価を上回る構造を実現し、国民がデフレ脱却のメリットを実感できる環境を作るとした。

所得税・個人住民税の定額減税は、納税者(合計所得金額1805万円超(給与収入のみの場合、給与収入2000万円超に相当)の高額所得者は対象外とする)及び配偶者を含めた扶養家族1人につき、2024年分の所得税3万円、2024年度分の個人住民税1万円の減税を行うこととし、2024年6月以降の源泉徴収・特別徴収等、実務上できる限り速やかに実施する。定額減税による個人住民税の減収額は、全額国費で補填する。

賃上げ促進税制の強化については、賃上げのけん引役として期待される従業員数2000人超の大企業について、継続雇用者の給与等支給額の増加に応じた控除率の上乗せについて、さらに高い賃上げ率の要件を創設し、従来の4%に加え、5%、さらには7%の賃上げを促していく。中小企業においても、新たに繰越控除制度を創設し、これまで制度を利用できなかった赤字企業に対しても賃上げにチャレンジする後押しをする。

経済社会の構造変化を踏まえた税制の見直しでは、子育て世帯等に対する住宅ローン控除を拡充する。子育て世帯及び若者夫婦世帯における借入限度額について、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1000万円の借入限度額の上乗せ措置を講ずる。また、子育て世帯においては、新築住宅の床面積要件について合計所得金額1000万円以下の者に限り40平方メートルに緩和する。

そのほか、外形標準課税については、単に資本金を資本剰余金へ項目間で振り替える減資を行っている事例がみられることから、現行基準(資本金1億円超)は維持しつつ、前事業年度に外形標準課税の対象だった法人が資本金1億円以下になった場合でも、資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える場合には外形標準課税の対象とする。この見直しは、外形標準課税の対象を中小企業に広げるものではないとしている。

なお、防衛力強化に係る財源確保のための税制措置については、法人税に税率4~4.5%の新たな付加税を課し、国税のたばこ税についても1本当たり3円の引上げを段階的に実施するという2023年度税制改正大綱に則って取り組むが、増税を始める時期については、「適当な時期に必要な法制上の措置を講ずる」ことを2024年度税制改正関連法案の附則において明らかにするとして、明示を見送った。

2024年度与党税制改正大綱は↓
https://storage.jimin.jp/pdf/news/policy/207233_1.pdf

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