国税庁が、今年6月までの1年間(2022事務年度)において、資料情報等から申告額が過少と想定される事案や、申告義務がありながら無申告と思われるものなど8196件(前事務年度比29.7%増)を実地調査した結果、うち85.8%に当たる7036件(同27.2%増)から2630億円(同17.9%増)の申告漏れ課税価格を把握したことが明らかになった。加算税87億円を含む669億円(同19.5%増)を追徴課税した。

2022事務年度は、新型コロナ感染症の影響が弱まり、実地調査件数は増加した中で、大口・悪質な不正が見込まれる事案を優先して調査した結果、実地調査1件当たりでは、申告漏れ課税価格が3209万円(前事務年度比▲9.1%)と、過去10年で最高だった前年度からは減少、追徴税額も816万円(同▲7.9%)に減少した。また、重加算税を賦課した件数は1043件(同21.6%増)で、その重加算税賦課対象額は388億円(同14.2%増)だった。

実地調査を適切に実施する一方、文書、電話による連絡や来署依頼による面接により申告漏れ、計算誤り等がある申告を是正するなどの「簡易な接触」も積極的に取り組んだ。簡易な接触件数は1万5004件(前事務年度比1.9%増)、申告漏れ等の非違件数は3685件(同1.3%増)、申告漏れ課税価格は686億円(同8.9%増)、追徴税額は87億円(同25.2%増)と、いずれも簡易な接触の事績を集計し始めた2016事務年度以降で最高となった。

一方、申告・納税義務があるのに申告しない無申告事案は、前事務年度より22.4%多い705件の実地調査を行い、うち86.1%に当たる607件(前事務年度比20.9%増)から741億円(同29.5%増)の申告漏れ課税価格を把握し、111億円(同48.7%増)を追徴課税した。1件当たりの申告漏れ課税価格は1億508万円(同5.8%増)、追徴税額は1570万円(同21.5%増)とともに増加した。

また、海外資産関連事案についても、CRS情報(非居住者金融口座情報)を始めとした租税条約等に基づく情報交換制度などを効果的に活用して調査。2022事務年度においては、845件(前事務年度比28.0%増)の実地調査を行い、うち174件(同51.3%増)から海外資産に係る申告漏れ課税価格70億円(同25.2%増)を把握し、うち4億円が重加算税賦課対象となっている。非違1件当たりの申告漏れ課税価格は4028万円(同▲17.3%)だった。

なお、相続税の補完税である贈与税についても、積極的に資料情報を収集するとともに、あらゆる機会を通じて財産移転の把握に努め、無申告事案を中心に贈与税の調査を的確に実施している。2022事務年度においては、2907件(対前事務年度比22.0%増)の実地調査を行い、2732件(同22.8%増)から申告漏れ課税価格206億円(同17.6%増)を把握、79億円(同15.1%増)を追徴している。

2022事務年度の相続税の調査状況は↓
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2023/sozoku_chosa/pdf/sozoku_chosa.pdf

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