個人事業者に対する消費税の実地調査の件数は、新型コロナウイルス感染症の影響による調査への抑制が緩和され、無申告等の調査を重点的に実施したほか、輸出物品販売場制度の悪用事案に対する調査に積極的に取り組んだことで大きく増加した。また、文書等による接触方法を積極的に組み合わせることにより、簡易な接触による調査等件数は増加し、非違件数及び追徴税額の総額は高水準となった。

今年6月までの1年間(2022事務年度)における実地調査の件数は、特別調査・一般調査が2万1千件(前事務年度比52.5%増)、着眼調査が5千件(同44.4%増)であり、合計2万6千件(同50.9%増)。そのほか、簡易な接触の件数は6万8千件(同0.3%増)だった。これらの調査等の合計件数は9万4千件(同10.3%増)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は約65%に当たる6万1千件(同10.4%増)となっている。

この結果、追徴税額は、実地調査によるものが336億円(前事務年度比33.4%増)で、そのうち特別調査・一般調査によるものは322億円(同41.2%増)、着眼調査によるものは14億円(同7.7%増)とともに増加したが、実地調査による追徴税額を1件当たりでみると、132万円(同▲7.7%)と減少。簡易な接触による追徴税額も60億円(同▲15.5%)に減少したが、調査等合計では396億円(同26.9%増)に増加した。

また、2022事務年度分から初めて消費税の還付申告への調査状況を公表。消費税の還付申告は、申告書の添付書類や保有する資料情報等に基づき厳格な審査を行い、申告内容に疑義がある場合には、還付を保留し、実地調査等を行うなどして還付原因等の解明・確認を実施。2022事務年度は、1122件(前事務年度比81.0%増)の実地調査を実施、申告漏れ等の非違件数は750件(同60.9%増)。追徴税額の総額は14億円(同▲6.9%)に減少した。

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