先日発表された東京税理士会の2023年度「税務調査アンケート」では、税務調査期間は3ヵ月以内で終了との回答割合が約65%だったことなどが明らかになったが、同調査では書面添付制度についてもアンケートを行っている。調査結果(有効回答数599会員)によると、「書面添付制度を利用している」は182件(30.4%)で約3割となり、「利用していない」が417件と約7割(69.6%)を占めたことが分かった。

書面添付件数4744件を税目別にみると、「法人税(消費税含む)」が2713件で57.2%を占め、「申告所得税(消費税含む)」が1640件(構成比34.6%)、「相続税」350件(同7.4%)、「贈与税」41件(同0.9%)。書面添付件数4744件のうちが、「税務調査となった」ものが33件、「意見聴取があった」ものが68件あった。また、書面添付について「報酬の請求をした」のは274件(5.8%)だった。

書面を添付している理由(複数回答)は、「税務調査の省略化」が67.6%で最多、次いで「業務品質の向上」(52.2%)、「税理士の権利」(42.3%)、「業務上の責任範囲を明確化」(41.8%)、「顧問先に対するアピール」(36.8%)、「金融機関に対するアピール」(11.0%)などが挙げられた。その他の理由(8.8%)としては、「背景や計算根拠の説明が必要だった」、「申告書だけでは分からない詳細の説明」などがあった。

一方、書面を添付していない理由(複数回答)では、「時間や労力がかかり煩雑」が43.4%で最多、次いで「添付する効果が不明」(29.2%)、「報酬の請求が困難」(28.4%)、「科目内訳書及び概況書で充分」(25.0%)などが続いた。今後の利用方針(複数回答)は、「納税者から要望があれば利用したい」(37.4%)、「税目によって利用したい」(30.2%)、「研修を受けてから利用したい」(13.0%)が挙げられ、「利用したくない」は12.9%だった。

書面添付制度をより一層周知・普及させるため有用だと思われる施策(複数回答)では、「事例集の充実」が48.9%で最多、次いで「制度の周知徹底」(38.9%)、「研修会の充実」(35.7%)、「納税者への周知用案内を作成」(31.9%)が続いた。なお、会員からは、「法人税、所得税はチェックシートにするなど作成を簡単にできるようにしてほしい」や「作成の手間・時間はかかるが、報酬増加は困難」などの要望・意見があった。

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