東京税理士会は、会員が受けた税務調査について、(1)事前通知の実施状況、(2)無予告調査、(3)調査件数、調査内容及び調査日数、(4)調査結果、重加算税処分などの実態把握を目的に、2023年度「税務調査アンケート」を実施した。調査結果(有効回答数599会員)によると、対象期間(22・7~23・6)に410件の税務調査の事前通知があり、このうち「納税者のみに通知があった」件数は29件(71.1%)に過ぎなかった。

事前通知がなかった無予告調査件数18件のうち「税務調査が速やかに開始されたもの」が5件(27.8%)だった。無予告調査は、納税者の負担が特に大きいことから、東京会では、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」又は「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外は避け、事前通知は要しないとの判断は慎重にするよう求めている。

回答のあった調査件数428件の内訳は、「法人税(消費税含む)」が319件と約75%を占め、「申告所得税(同)」が72件、「相続税」が34件、「贈与税」が3件。調査内容は、「帳簿・証憑」が396件(92.5%)で大半を占めているが、他の調査内容については、(1)「現金・預金」(34.8%)、(2)「パソコン等」(17.3%)、(3)「机・書庫・金庫」(14.0%)、 (4)「名刺・認印・電話帳等」(4.4%)などの順に多くなっている。

税務調査のうち、着手から終了までの期間は、428件中、「3ヵ月以内」で終了したものが279件で65.2%を占めて最も多く、「3ヵ月超~5ヵ月以内」が87件で20.3%、「6ヵ月以上」が57件で13.3%となっている。また、調査終了時の手続き(回答219件)は、申告内容に誤りが認められなかった場合の「更正決定等をすべきと認められない旨の通知」については、「不明」の71件を除くと、「あった」のは101件と約46%を占めた。

一方、申告内容に誤りが認められた場合の「更正決定等をすべきと認めたその理由の説明」が「あった」のは144件と約66%を占めた。なお、調査件数415件のうち、「申告是認」は86件(20.7%)、「修正申告」は319件(76.9%)、「更正」は10件(2.4%)。「修正申告」のうち、19件が「不満だった」。「更正」のうち、不服申立てをしたものは2件。また、修正申告・更正329件のうち、「重加算税処分あり」は68件(24.9%)だった。

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