国税庁が公表した2023年度税理士試験結果によると、合格者は前年より20人(3.2%)少ない600人だった。第73回目となる今回の税理士試験は、前年から14.0%増の3万2893人が試験を受けた結果、一部科目合格者は同30.3%増の6525人で、合格科目が5科目に達し税理士資格を取得した者は600人、うち、女性は全体の23.5%に当たる141人。一部科目合格者を含めた合格率は同2.2ポイント増の21.7%だった。

5科目到達合格者を学歴別にみると、「大学卒」が471人で最も多く、次いで「専門学校卒」が77人、「高卒・旧中卒」が32人、「短大・旧専卒」10人、「大学在学中」が4人、「その他」が6人となっている。昨年と比べ、「専門学校卒」が18人増えた。年齢別では、最多が「41歳以上」で269人、以下、「31~35歳」の107人、「36~40歳」の97人、「26~30歳」の74人、「21~25歳」の53人の順となっている。

11科目ある試験科目の平均合格率は、前年(16.7%)を2.1ポイント上回る18.8%。科目別では、「財務諸表論」が前年を13.3ポイント上回る28.1%でトップとなって全体の合格率を引き上げ、次いで、「簿記論」が17.4%、「固定資産税」が17.3%、「事業税」が16.4%で続いた。一方、最低は「相続税法」が11.6%で最難関科目となった。ほかの主な科目では、「法人税法」14.0%、「所得税法」13.8%などとなっている。

税理士試験における受験者数は、2005年(5万6314名)をピークに減少が始まる。2011年に22年続いた5千名以上を割り込み、2015年には4千名を、2019年はとうとう3千名を割り込んでしまった。しかし、2023年度は3万2893人と5年ぶりに3万人を超えた。一方、5科目合格者数はここ10年間では2014年度(第64回)の910人が最も多く、2023年度は2021年度の585人に続き2番目に少ない。

この税理士試験受験者数の減少という状況に危機感を抱いていた日本税理士会連合会では、多様な人材の確保のため、税理士試験の受験資格要件の見直しを要望。2022年度税制改正で税理士法が改正され、(1)会計学科目(簿記論・財務諸表論)に限り受験資格要件を撤廃し、(2)税法科目では学識による受験資格における履修科目要件を緩和し、改正前の「法律学又は経済学」から「社会科学に属する科目」に拡大された。

この改正は、今年の2023年度(第73回)税理士試験から実施されたため、2023年度試験では受験者数が3年ぶりに増えて効果がみられた。なお、2024年度(第74回)の税理士試験は、来年4月22日に受験申込の受付を開始、5月10日に受験申込の受付を締め切り、8月6日~8月8日にかけて試験を実施し、11月29日に合格者を発表する予定となっている。受験申込受付期間が例年の日程より前倒しとなっているので、注意が必要だ。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishishiken/shikenkekka/73/pdf/kekka.pdf

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